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ASUS,次世代R.O.G.マザー「Maximus V」など「Z77」チップセット搭載製品を予告。独自機能の解説も
4Gamerでは都内で開催された報道関係者向け説明会に参加してきたので,Maximus Vシリーズを中心として,ASUSのZ77シリーズが持つ特徴をまとめてみたいと思う。
なお,今回明らかになったのはあくまでもASUS製Z77マザーボードの製品概要であり,「Z77チップセットがどんなものか」といった説明は一切なされていない。開発コードネーム「Ivy Bridge」(アイヴィブリッジ)こと第3世代Coreプロセッサに対応し,Sandy Bridge世代のCPUもサポートするチップセットであるという,Z77に関する基本説明さえ行われなかったくらいだ。
2012 International CESの時点で,Z77がPCI Express 3.0に対応することや,チップセットレベルでUSB 3.0をサポートする可能性は明らかになっているが(関連記事),今回,チップセットに関してそれ以上の情報はないので,その点はご了承を。
mini PCIe&mSATAコンボスロットを用意
PS3&Xbox 360に対応した外付けサウンドデバイスも
一言でまとめると,これはmini PCI ExpressとmSATAのコンボスロット(を搭載したミニカード)。もちろん汎用なので,「Intel Z68 Express」(以下,Z68)から引き続いてZ77でもサポートされると思われる「Intel Smart Response Technology」用のSSDを差したり,やろうと思えばBluetoothや3G通信,無線LANカードなどを差したりできるのである。
RedLineは文字どおり赤い線を意味し,埋め込まれたLEDによって通電時に赤く光るのだが,このRedLineによってマザーボードの基板を2つのエリアへと完全に分けているのだそうだ。
さらに,基板を構成する2枚の銅レイヤーでサウンド信号を保護。一般的なマザーボードでは,マザーボード上のノイズを拾ってS/N比の低下が起こるところ,Z77世代のR.O.G.マザーボードでは,搭載するCODECチップの持つスペックと同等のS/N比を,出力レベルでも確保できているという。
ちなみにASUSは,R.O.G.でオンボードサウンド部をマザーボードのそのほかの部分から分離した設計を「SupremeFX Shielding Technology」と呼んでいるが,今回は,それが拡張されたという理解でよさそうだ。
Maximus V GENEのRedLine(左)。通電時は文字どおり赤く光る(右) | |
Maximus V FormulaもRedLine搭載。ただし,「SupremeFX IV」を採用するとのことで,詳細はまだ明らかにされていない |
Fusion Thermo Systemは電源部用のパッシブクーラーで,エッジの立った外観それ自体は従来のR.O.G.マザーボードを彷彿とさせるが,ポイントは,両端に液冷用ホースの接続口が用意されているところだ。
Fusion Thermo Systemでは,空冷用のヒートパイプとは別に,液冷用のパイプも内部を走っている。空冷でも液冷でも,電源部用のヒートシンクを交換することなく利用でき,コストの低減が可能というのがASUSの主張である。
搭載するサウンドチップの詳細は明らかになっていないが,「(ASUS製サウンドデバイスシリーズである)Xonarの技術をベースにしており,チップ自体の仕様は(『Crosshair V Formula』のセットモデルに付属していた)『Thunderbolt』が搭載するものに近い」(Fei氏)。
ただ,ThunderFXでは,外部D/Aコンバータの搭載によってデバイスレベルのS/N比を120dBまで高めてあるほか,マイク入力時に環境ノイズをカットできる機能「ENC」(Environmental Noise Cancellation)が用意され,PC接続時に利用できるのがトピックとされている。
接続インタフェースはUSBとアナログRCA×2。PCとUSB接続できるだけでなく,PlayStation 3とはアナログRCA×2+USB,Xbox 360とはアナログRCA×2+2.5mmミニピン経由でそれぞれ接続可能と,マザーボードのセット品にしては汎用性の高いデバイスになっているのもポイントといえそうだ。
R.O.G.マザーボードでは,オーバークロック関連のUEFI設定をオンラインにアップロード&ダウンロードして,ほかのユーザーと共有できる「ROG Exchange」が用意されるのも特徴 |
メインメモリ周りの細かな設定が行えるR.O.G.マザーボードだが,そのメモリ設定を変更できる「Mem TweakIt」では,「CPU-Z」風のオンライン承認(バリデーション)プログラムも用意される |
ASUSのZ77マザーボードでは
「Virtu MVP」と「Smart DIGI+」もキーワードに
冒頭で述べたとおり,ASUSは,Maximus Vシリーズだけでなく,信頼性を重視したTUFシリーズや一般PCユーザー向けのP8Z77シリーズでも新製品投入を予告しているが,これらZ77マザーボードに共通の機能として訴求されるのが,「Virtu MVP」と「Smart DIGI+ Power Control」だ。
Virtu MVPで実現されるのは,単体GPU(以下,dGPU)とCPU統合型グラフィックス機能(以下,iGPU)の協調動作。従来的な協調動作では,決められた“分配比”に基づいてレンダリングタスクをdGPUとiGPUに振り分けるだけだったのに対し,Virtu MVPでは,「dGPUを基本的にレンダリングへ専念させ,iGPUにフレームバッファやディスプレイの制御を担当させる」といった役割分担が大きな特徴となる。
Virtu MVPでは,
- これから描こうとしているフレームが直前のフレームと変わらない場合,dGPU側の演算を止め,iGPU側のフレームバッファにある映像をそのまま表示させることでdGPUの消費電力を削減する「HyperFormance」
- (たとえば垂直同期60Hzで100fps出る場合など)ディスプレイデバイスが表示できる限界を超えてdGPUがレンダリングを行える状態にある場合,iGPU側のフレームバッファにある映像をそのまま表示させることでdGPUの消費電力を削減する「Virtual-Vsync」
を利用することで,dGPUの演算リソースを確保。dGPUのレンダリング性能を引き出して,より多くのフレームを描画できる状況に置きつつ,表示自体はiGPU側のフレームバッファが完全に描き換わってから行うようにすることで,ティアリングも回避できるようになるというのが,LucidLogix,そしてASUSの主張だ。
DIGI+ Power Control」の拡張版となる。
ASUSは,CPUやチップセット,GPUの動作電圧を,負荷に応じて制御し省電力化を図るというコントローラ「EPU」に,デジタルVRMたる「DIGI+ VRM」を追加するというのを,Intel 6シリーズ搭載マザーボードで実現していた。またX79世代では,アンコア部たるVCCSA,そしてDRAM用のDIGI+ VRMを追加し,メモリ周りも含め,主要な電源回路を低遅延で精度の高いデジタルVRMで制御できるようにし,これをDIGI+ Power Controlと呼んでいる。
今回はそんなDIGI+ Power Controlが「Smart」になったわけだが,ASUSでマザーボード製品のプロダクトマネージャーを務めるVeronica Chen(ヴェロニカ・チェン)氏は,「アンコア部」の対象にiGPUが加わったことと,「2013年にIntelが(HaswellベースのUltrabookプラットフォームである)『Shark Bay』で導入する新しいVRD仕様『VRD 12.5』にいち早く準拠し,簡単にCPUの消費電力を落とせるようになったこと」が,Smart DIGI+ Power Controlの新要素であると述べている。Chen氏によれば,仮にCPUのTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)が77Wだった場合,VRD 12.5の採用によって,それを45Wや35W相当にまで下げられるようになったとのことだ。
ただ,言うまでもないことだが,VRD 12.5は魔法ではないため,その状態で負荷の高いアプリケーションを起動した場合,得られる性能は下がることになる。「オフィス系など,性能がそれほど求められないアプリケーションを使うときにCPUの消費電力を下げられる機能」以上の期待はしないほうがいいだろう。
むしろ電源周りでは,「LGA1155&LGA1156プラットフォームでもDIGI+ Power Control仕様になった」という理解をしておいたほうがいいかもしれない。
説明会に並んだZ77マザーボードを確認
TUFシリーズの新作「SABERTOOTH Z77」は要注目
最後に,R.O.G.以外のマザーボードを,写真中心で概観しておこう。TUFシリーズの新モデル「SABERTOOTH Z77」で,基板上のエアフローを整えて冷却能力を高める「TUF Thermal Armor」が搭載されていたりするのは見どころといえそうである。
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