イベント
[TGS 2008#035]セガの「インターネットアドベンチャー[iA]」特別イベントに“iモードの父”夏野氏登場
壇上に上がったのは,セガのネットワーク開発部 企画セクション セクションマネージャーの木岡勝利氏と,セガサミーホールディングスの社外取締役にして慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特別招聘教授の夏野剛氏。ひょっとすると「iモードの父」とか「ドワンゴの常勤顧問」の夏野氏とかいった方が分かりやすいかもしれない。イベントは木岡氏が専門用語を並べ立てて説明すると,「ちょっと待ってよ,それじゃ小難しくて皆分からないよ」と,夏野氏がより詳しい解説を求めるという流れでiAの機能が順次紹介されていった。
今回,大きくフィーチャーされたのは,「いっしょにインターネット」というコンセプト。それに基づく「いっしょにネット申請」機能は,最大5人でパーティを組みネットサーフィンをするというもの。すなわち,最大5人で同じサイトをブラウジングしながら,「ああでもないこうでもない」と,チャットでやり取りして盛り上がってもらおうという機能だ。夏野氏は「面白いけど,これじゃ女の子を誘いにくいなあ」「iAを使うことがオシャレにならないとダメだね(女性には普及しない)」と,にこやかながらも厳しく指摘。また,各サイトに一言コメントを残せる「つぶやきミーム」についても,「炎上したりしない? 大丈夫?」と,メディアが口にしにくい,ぶっちゃけた疑問を提示していた(これに対する回答は後述)。
その一方で,ブラウジングしながらそのサイトについてチャットができる点については,「携帯電話のマニュアルを一緒に見ながら,難しい文章の意味を説明してもらったりするのは便利」と,新たな使い方を提示。ひいては新しいビジネスにも結び付けられるのではないだろうかと提案するなど,さまざまな企業の役員や顧問を兼任する夏野氏らしい一面を披露した。
イベントは,木岡氏の「気軽なインターネット」「いっしょにインターネット」というコンセプトの提示,そして夏野氏の「老若男女誰でも使えるiA」を目指すという言葉で締めくくられた。
なお,iAは10月16日から第2回クローズドβテストを実施。期間については定めておらず,問題がなければ,そのまま正式サービスへ移行する予定とのことである。
さて4Gamerでは,イベントののち,木岡氏および夏野氏にお話を伺うことができたので,抜粋して掲載しよう。
本日はよろしくお願いします。半年前にお話を初めて伺ったときに比べて,iAはずいぶん形になってきたなあ,というのが正直な感想です。
木岡氏:
構想がようやく形になってきました。それを踏まえて,第2回クローズドβテストを実施します。
4Gamer:
夏野さんが,iAのプロジェクトに参加したのはどういった経緯なんでしょう?
夏野氏:
セガサミーの役員だからですね。セガがオンラインとゲームを組み合わせてなんかやってるっていうから,「ん? んんん〜?」っていう感じで。
4Gamer:
ステージでは,あまりiAにお詳しくない感じでしたが,あれはどこまで本気でどこまで演技だったのでしょう?
そういう役どころだから,半分本気で半分演技です。こういうのは分かりやすくしないと,オーディエンスにささっていかない。アバターとかミームとかいっても普通の人には分からないですよ。だから今日は,実際に皆さんの反応が見られてよかった。
木岡氏:
そうですね,その部分はもっと分かりやすくしてハードルを下げる必要があります。
夏野氏:
「やれば面白い」のはいいんだけど,やらせるところまで持っていくのが難しい。
木岡氏:
基本無料で,ゲストという形でお試しもできますから,ぜひ触ってほしいですね。
4Gamer:
ステージでは「炎上しないか」とか,メディアが直接メーカーに聞きにくいことも,ざっくばらんに口にされてましたね。
夏野氏:
そういったことについては,問題と捉えるか,お客さんにとっての価値と捉えるかで変わると思います。僕は誹謗中傷でなく,辛らつな意見は必要だと思う。あとは実際,つぶやきミームで炎上するケースはほとんどないと思います。というのは,そういう状態となるのは人が少ないときなんです。iAにはアバターがあって,ずっとサイトに張り付いてネガティブなことをやっている人がいればすぐに分かる。むしろ,mixiの足跡に近い感覚になるんですよ。それに,つぶやきミームは短い文章しか残せない。ニコニコ動画もそうですが,短い文章だと炎上しようがないんですよ。
なるほど。
夏野氏:
あとはiAでガイドビジネスをやるといい。というのは,インターネットって目的意識がないと使いにくいから,例えば特殊な趣味を持つ人を集めて,サイトツアーを企画して。
4Gamer:
ステージでおっしゃられていた,携帯電話の例の派生ですね。
夏野氏:
僕の親にJALのサイトの使い方を教えて旅行に行かせたりとか,本気で考えてますよ。写真のアップロードの仕方とかもそうですよね。きちんとコールセンターみたいにすると,なかなかいいビジネスになる(笑)。
4Gamer:
iAをどのような人達に使ってほしいですか?
夏野氏:
老若男女問わず。とくにゲームショウに来ないような人に使ってほしいね。
木岡氏:
そこがメインターゲットですよね。
夏野氏:
それで今回,ゲームショウに来ているような人には,ぜひ皆を導くガイドになってほしいね。
4Gamer:
それでは最後に4Gamerの読者やiAを楽しみにしていらっしゃる人にメッセージをお願いします。
木岡氏:
いろいろトラブルもあり,お待たせしてしまいましたが,ようやく第2回クローズドβテストに漕ぎ着けました。アカウントなしでも入れますので,まずは気楽な気持ちで遊んでいただきたいと思っています。実際に触ってみてのご意見も,ぜひお寄せください。
夏野氏:
「意見が欲しい」という話を,ゲームメーカーがしているのは初めてですよ。パッケージで作っていた頃は,ユーザーの声なんて聞かなかったからね(笑)。独断で作って,あとは当たるも八卦当たらぬも八卦でしょ。ステージの最初でも言ったけど,iAは日本のゲームメーカーが真面目に皆の意見を聞きながら作ってます。なので僕からのメッセージは,「皆でよくしてあげてください」です。こんな機会,めったにないですよ。
4Gamer:
ありがとうございました。
- 関連タイトル:
インターネットアドベンチャー〔iA〕
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