イベント
サーバー統合への言及もあり。「TERA」の正式サービス開始後初となるオフラインイベントを,新任プロデューサーへのインタビューと共に紹介
イベント会場には,インスタンスエリアの攻略速度を競うタイムアタックをはじめとした,来場客参加型の各種アトラクションが用意されたほか,TERAの開発元であるBluehole studioのスタッフによって,今後予定されているアップデート情報が公開された。
さらに,4Gamerではイベントの終了後に,新たにTERAの日本運営プロデューサーに就任した鈴木貴宏氏へインタビューしたので,それらの情報をまとめてお伝えしよう。
「TERA The Exiled Realm of Arborea」公式サイト
最後には仰天スコアが記録。「ビビッシュの実験場」タイムアタック
司会進行役を務めた,NHN Japanのハンゲ太郎氏(左)と,運営プロデューサー鈴木貴宏氏(右) |
会場には来場者参加型のアトラクションがいくつか用意されていたが,メインとなったのは,“ビビッシュの実験場”のタイムアタックだ。これは,11月22日の大型アップデート“進化”で実装されたインスタンスで,雪原を舞台にしたエリアに5体のネームドモンスターが待ち受けている。今回のタイムアタックは,インスタンスに入場してから,4番目のネームドである“アトレヤ”を倒すまでの時間を競うというものだった。
会場内の各PCには,フル装備に身を包んだキャラクターがクラス別に用意されており,来場客は5名によるチームを編成して挑戦。ちなみに,事前にTERAの運営スタッフが試してみたところ,アトレヤ討伐まで40分位かかったそうで,熱心なTERAプレイヤーでも,おそらく30分前後は掛かると見通されていた。オフラインイベントにおける来場客アトラクションとしては,かなりの長丁場といえるだろう。
目的が“タイムアタック”というのも一つの大きなポイントだ。エリア内には通常のモンスターもわんさかと配置されており,これらを全部やっつけていると時間がかかってしまう。ときには,敵にかまわず駆け抜けるといった判断も必要になるわけだが,敵を振り切るのに失敗して,巨大なトレインにやられてしまう可能性もある。このあたりの見極めが肝心だ。
もう一つ大きなポイントとなったのは,メンバー同士の“声”による連携だ。フリーターゲティングを掲げるTERAはアクション性が高く,戦闘中にタイピングでの意思疎通を行う余裕は生まれづらいい。今回はプレイヤー同士が近くにいるという環境だったので,声を出し合って協力するというプレイ方法が多く見受けられた。
とくに今回のイベントは,あらかじめ5人のチーム単位で応募できたため,普段TERAを一緒に遊んでいる人同士が一緒に参加でき,初戦からお互いに声を出し合い,積極的に連携を取る姿勢が見られた。イベントとして盛り上がっていたのが印象的だ。
タイムアタックのスコアを見ていくと,25分〜30分ぐらいのチームが多かった。しかし決勝戦では,なんと“12分48秒”というぶっちぎりのスコアが叩き出されたのだ。優勝チームのメンバー同士は,普段から同じサーバーで一緒にプレイしており,うまく連携が取れていたようだ。
今後のTERAの情報が“オフレコ前提”で世界初公開
キム・ナキョン氏 |
キム氏による解説は45分にもおよび,通訳の時間差し引いても,相当なボリュームだ。しかし残念ながら会場でのスライド撮影は厳禁で,本稿でその詳細をお伝えすることはできない。TERAは,欧米でのローンチを控えていることから,情報公開に細心の注意を払っており,今回もオフレコ前提とはいえ,キム氏は非常に心配していたようだ。
今回は個人的な感想を述べるに留めておくが,TERAの熱心なファンの多くが抱いているであろう要望・不満にピンポイント対応するとともに,今後の展開に対しても期待が持てる内容だったと思う。これらの情報は,時期が来れば正式に公開されるはずなので,そのときを待っていてほしい。
来場客からの質問に答えるQ&Aセッション。「サーバー統合」に関する情報もあり
続いて,来場客からの質問にキム氏らが答える,Q&Aセッションの場が設けられた。取り上げられた質問の数は少なかったが,それらのやりとりを一通り紹介しよう。
質問:
「アーチャー」に対して,新スキルの追加といった強化を行う予定はありますか。
キリアン装備の“オーバーエンチャント”。“名品+12”まで強化できた人は,そのアイテムを直接プレゼント |
このような質問をされるのは,アーチャーの現状に対して不満があるからなのでしょうか。もしそういった人が多いのでしたら,検討する必要がありますね。
TERAの開発をしていてよく実感することですが,クラス間バランスの調整作業は本当に難しいです。たとえば一つのクラスを強化すると,それ以外のクラスに対する要望が一斉に来ます。MMORPGである以上,新たなコンテンツやスキル,そしてレベルキャップ開放など,ゲーム内が常に変化していますが,クラス間バランスはそういった環境にも左右されます。基本的には,一度に劇的に変更を加えるよりも,慎重かつ継続的に調整していく必要を感じています。
質問:
「戦場システム」について,現在の人数規模以外のコンテンツを実装する予定はありますか。
キム氏:
戦場システムは今後も随時アップグレードしていきますが,現在は主に,このシステムに関する問題点を洗い出している段階です。
戦場システムにおける問題点は,大きく分けて四つあると認識しています。プレイヤーキャラクター間の装備格差を覆すのが困難であること。参加時の待ち時間が長いこと。戦局が一度大きく傾いてしまうと,ワンサイドゲームになりがちなこと。報酬品が基本的にPvPの際に役立つ品であるため,PvPに関心がない人にとっては興味を抱きづらいことです。
こういった問題をいかに解決するかを現在検討しており,そのうえで新たな戦場システムのコンテンツを作る可能性はあります。
質問:
「カジノ」の実装予定はありますか。
リアルガチャの商品はこのようなラインナップ |
カジノについては,これまで深く考えたことがありませんでした。韓国ではギャンブル色の強いコンテンツは導入しにくいという現状があります。ただ,日本は韓国と状況が違うので,もしかすると検討する価値があるのかもしれません。
キム氏からの回答が一通り終わった後,このたび新たにTERAの日本運営プロデューサーに就任した,鈴木貴宏氏が登場した。自己紹介を行った際は会場内が一瞬どよめいたが,来場客からが最も多かった質問に対して,重大な発表が行われた。
鈴木氏:
お客様から最も多く質問をいただいていた点について,私から回答いたします。TERAのサーバー統合に関して,行うのか行わないのか,もし行うのならいつ行うのか。我々TERA運営チームは,これに対して現在慎重に検討しています。
いつ行うのかは,この場では申し上げることができませんが,統合後のサーバー数や日程などを含めた詳細のお知らせを,来週中に発表させて頂きます。最後に,現在のTERAにおいてパーティプレイが若干行いにくくなっていることを,お詫び申し上げます。
最後に気になる情報も発表されたが,以上でTERAのオフラインイベントは終了となった。引き続き,イベントの終了直後に行った,鈴木氏へのインタビューを紹介しよう。
オフラインイベント,お疲れ様でした。鈴木さんがこうやって表舞台に出るのは,今回が初めてですよね。
日本運営プロデューサー 鈴木貴宏氏:
はい。約1か月前にTERAの日本運営プロデューサーに就任した,鈴木貴宏と申します。あらためてよろしくお願いします。
4Gamer:
イベントの感想を聞かせてください。
鈴木氏:
不慣れな部分が多々ありましたが,とても楽しかったです。
今日来ていただいた人は,TERAが本当に好きな人達なんだと実感しました。一緒になってイベントを盛り上げようとしてくれる人とか,職人気質でタイムアタックを突き詰める人とか,TERAが好きというのがさまざまな形で伝わってきたのが嬉しかったです。
4Gamer:
TERAの運営プロデューサー就任にあたり,現在どのような心構えでしょうか。
鈴木氏:
率直に申し上げて,いまのTERAの状況は,決して良くありません。その状況を正確に分析し,今後TERAを変え,そしてお客様からの信頼を取り戻したい。今はその気持ちが最も強いです。
4Gamer:
TERAのどこが“良くない”と考えていますか。
鈴木氏:
コンテンツレベルでの細かな部分もありますが,それよりも私が最もまずいと考えているのは,お客様に対してのアナウンスがしきれていないことです。
4Gamer:
確かに,TERAはサービス開始当初「顔が見える運営」を掲げていましたが,最近はそれが若干見えにくくなった感じがします。
鈴木氏:
仰るとおりです。お客様と接する機会が減り,それによって不安を無闇に増幅させ,ひいては信頼を損なう面があったと反省しています。仮にゲームコンテンツに対して不満がある場合でも,お客様との対話があるのとないのとでは,印象は大きく違ってきますからね。
4Gamer:
鈴木さんからのアナウンスの第一弾として,サーバー統合を予定していることが発表されました。これは,どういった経緯によるものなのでしょうか。
鈴木氏:
ご存知のとおりTERAではパーティプレイを重視しています。仮にゲーム内で遊んでいる人数が少なくなると,パーティを組みづらくなり,楽しめなくなってしまいます。その状況を長く続かせるわけにはいかないので,サーバー統合を決断しました。
TERAのMMORPGとしての規模を考えると,決断するのが随分早いなと思いました。
鈴木氏:
それだけクリティカルな問題と受け止めている,ということです。
また,発表するまでの期間もそうですが,発表から実施までの期間も極力短くしたいです。現在調整している最中ですが,早ければ2012年の1月中に実施する可能性があります。詳細は来週中にあらためて発表させて頂ければと思います。
4Gamer:
欧米のローンチが控える中,ネガティブな情報をあまり表に出したくないという側面があったのではないでしょうか。
鈴木氏:
日本でTERAを実際遊んでくださっている人にとって,パーティを組みにくいという問題が確実にあるわけで,それに対して何をすべきかを最優先で考えたまでのことです。Bluehole studioのスタッフも,日本チームの意見を積極的に聞くようになっており,早急に発表できた次第です。
4Gamer:
Blueholeといえば,キムさんが発表した情報は,想像していた以上のボリュームがありました。
鈴木氏:
私もイベントを迎えるまで詳細を聞かされていなかったので,実際に聞いて驚きました。彼も心配していましたが,あそこで発表された情報に関しては,来場された皆様の胸の内に秘めておいてくださると助かります。
4Gamer:
仮にそういったオフレコ情報が大っぴらに流出してしまうと,今後開催されるイベントのありかたにも支障が出てくるでしょうしね。取材する側の人間としては,もどかしいです……。
鈴木氏:
その点は申し訳ありません。今日はイベント終了後ということで時間も足りないので,2012年の年明けに,あらためて話の場を設けさせていただこうと考えています。
4Gamer:
はい,ぜひお願いします。本日はありがとうございました。
「TERA The Exiled Realm of Arborea」公式サイト
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TERA :The Exiled Realm of Arborea
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