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  • 発表日:2008/06/02
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NVIDIA,Kal-Elこと「Tegra 3」を正式発表。“4+1”コアのCPUと12コアのGPUを統合
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印刷2011/11/09 15:00

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NVIDIA,Kal-Elこと「Tegra 3」を正式発表。“4+1”コアのCPUと12コアのGPUを統合

画像集#002のサムネイル/NVIDIA,Kal-Elこと「Tegra 3」を正式発表。“4+1”コアのCPUと12コアのGPUを統合
 日本時間2011年11月9日15:00,NVIDIAは,タブレット端末およびスマートフォン向けSoC(System-on-a-Chip)であるTegraシリーズの新モデル「Tegra 3」を発表した。
 Tegra 3は,これまで「Project Kal-El」(プロジェクト カルエル)の開発コードネームで知られてきたプロセッサだ。携帯端末向けSoCとしては初のクアッドCPUコアを搭載した製品が,ようやく正式発表されたことになる。


第5のCPUコアを搭載した“4+1”構成


Tegra 3のダイショット。CPUコアを5基統合しているのが分かる
画像集#003のサムネイル/NVIDIA,Kal-Elこと「Tegra 3」を正式発表。“4+1”コアのCPUと12コアのGPUを統合
 Tegra 3が持つ最大の特徴は,クアッドCPUコアに,“第5のCPUコア”を組み合わせた「vSMP」(Variable Symmetric Multi-Processing,負荷対応型マルチプロセッシング)技術を採用している点だ(関連記事)。

 一般に,高性能にフォーカスした半導体プロセス技術を採用すれば,より低い電圧で高クロック動作を実現できるようになる半面,低電圧動作時のリーク電流は増大する。その一方で,低電圧プロセス技術を採用した場合は,リーク電流は大幅に低減できるものの,高クロック動作ができなくなるといった,消費電力とパフォーマンスのトレードオフが生じてしまう。

Tegra 3のブロック図
画像集#004のサムネイル/NVIDIA,Kal-Elこと「Tegra 3」を正式発表。“4+1”コアのCPUと12コアのGPUを統合
 そこでNVIDIAは,vSMPを採用することにより,4基のクアッドCPUコアには標準のプロセス技術(=TSMC Gプロセス)を採用して高クロック動作時の消費電力低めに抑えつつ,メールやSNSの同期といったバックグラウンドタスクの発生するアクティブスタンバイや,SoCに統合されたビデオ&サウンド系デコーダによるメディア再生用には,低電圧プロセス(=TSMC LPプロセス)を採用した「Companion CPU Core」(以下,コンパニオンCPUコア)のみを使うことにした。これにより,「Tegra 2」と同じTSMCの40nmプロセスを採用したクアッドCPUコア仕様でありながら,Tegra 2よりも低い消費電力での動作を可能にしているという。

高速プロセスのCPUコアは高クロック動作時の消費電力を抑えられるが,リーク電流が大きく,低クロック動作時の消費電力が高くなる。低電圧プロセスのCPUコアは,リーク電力が少ないものの,高クロック動作時は標準プロセス技術を採用したCPUよりも多くの消費電力を必要とする(左)。そこで,標準プロセスと低電圧プロセスの利点を組み合わせたのがvSMPとなる(右) ※出展:NVIDIA
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Tegra 3のメインCPUコアとコンパニオンCPUコアを比較した表 ※出展:NVIDIA
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 ちなみに,OS側はコンパニオンCPUコアを“5つめのCPUコア”としては認識しないとのこと。Tegra 3内のCPU管理ロジックが,4コアのうちの1つとコンパニオンCPUコアとを負荷に応じて切り替えるため,アプリケーション側でvSMPに対応したりする必要はない。

4+1コアの挙動を紹介するムービー

vSMPの採用によって,Tegra 3ではTegra 2よりも大幅な低消費電力化を実現したと謳われる
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 NVIDIAでTegraのマーケティングを統括するMatt Wuebbling氏(Director, Tegra Product Marketing)は,国内の報道関係者を対象とした電話ベースの事前説明会で,「Tegra 3では,vSMP技術の採用によって,Tegra 2と比べて5倍の性能を,より低消費電力で実現できる」として,ゲームプレイやHDビデオ再生時の消費電力比較データなどを公表した。
 そのなかでもとくに興味深いのは,Tegra 2のシングルCPUコアを低クロックで動作させてのHDビデオ再生と,Tegra 3のCompanion CPU Coreを利用したHDビデオ再生とで,最大61%もの消費電力差が生じている点だろう。Wuebbling氏は「vSMP技術の採用によって,アクティブスタンバイ時のさらなる低消費電力化も果たしている」ともアピールしているため,バッテリー駆動時間の向上も期待できるようだ。

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ゲームなど,負荷が高い局面では,4つのCPUコアすべてを最大1.3GHzで動作させるようになっている
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Adobe FlashやHTML5など,CPU負荷が高いWebブウラウジング時には,2コアを休ませたりして省電力化を図る
一般的なWebブラウジング時にはCPUコア1基だけを最大1.4GHzで動作させる(左)。そして,SoCに統合されたビデオやサウンドのコーデックを利用してのコンテンツ再生や,メールの同期にSNSの更新などを伴うアクティブスタンバイ時はコンパニオンCPUコアだけを利用(左)。これによって大幅な省電力化を実現する。H.264 High Profileの1080pムービーも,コンパニオンCPUコアとデコーダだけで処理可能という
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GPUはTegra 2の8コアから12コアへと強化


 GPU周りでは,「Ultra Low Power GeForce」(ULP GeForce)と呼ばれるGPUコアの数が,Tegra 2の8基からTegra 3で12基へと強化されたのがトピックといえる。

Tegra 3のGPUは12コアに強化され,Tegra 2に比べ3倍のパフォーマンスを実現。より現実的な光源処理や物理演算などが可能になるとされる
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 事前説明会でWuebbling氏は,「より優れたビジュアル効果を実現するため,ピクセルシェーダの強化にリソースを割いた」という表現を用いていたが,その後,NVIDIAから「ピクセルシェーダを4基増やした」という情報が得られている。要するに,Tegra 2の頂点シェーダユニット4基,ピクセルシェーダユニット4基という構成から,Tegra 3では後者が8基に強化されたというわけだ。
 NVIDIAは,この新しいGPUコア構成が持つ性能をTegra 2比で3倍としているので,コア数が1.5倍になっただけでなく,動作クロックも引き上げられている可能性がありそうだ。

Tegra 3の性能をアピールするムービー

15タイトル以上のTegra 3対応ゲームが開発中。Tegra Zoneで順次公開される予定だ
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 また,DDR3L-1500の対応によるメモリバス帯域幅の拡大は,CPUコアを使った物理演算処理を積極的にゲームへ適用できるようにしているそうで,たとえば,Vector Unit製のジェットスキーレースゲームの「Riptide GP」では,もともとTegraに最適化されていたが,Tegra 3端末では,水しぶきがレンズに当たる表現や,モーションブラー効果などの表現を行えるようになるという。また,Madfinger GamesのTPS「Shadowgun」では,マップ上に池が追加されたり,建物などのオブジェクトへの着弾もリアルタイムで物理シミュレーションされたりするようになるとのことだ。
 NVIDIAによれば,Tegra 3へ最適化されたゲームタイトルは15種類以上が開発中。また,年末までにTegra Zoneでは合計40タイトル以上もの新作タイトルが追加される予定になっている。

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Riptide GPの画面比較。Tegra 3では先行するジェットスキーの水しぶき表現や,モーションブラー効果が得られるようになる
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Shadowgunではマップ上に池が追加されたり,建物などのオブジェクトへの着弾がリアルタイムで物理シミュレーションされたりする

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各種ゲームコントローラに対応し,より本格的な携帯ゲーム機としてTegra 3タブレットを利用できるようになるという
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ゲームの3D立体視にも2012年前半に対応する計画だ
 もう1つ,ゲーム関連で注目しておきたいのは,PlayStation 3やXbox 360,Wii用のコントローラや,Logitechのゲームコントローラがサポートされることだ。Tegra 3タブレットHDMI経由で大画面テレビと接続して,いま挙げたコントローラもつなげれば,ゲーム機のように利用できるというわけである。
 さらに,2012年前半には,3D Visionベースの機能を用い,HDMI 1.4を介した3D立体視表示への対応も果たされるという。

 一方,2月のMobile World Congress 2011でTegra 3の概要を公表したときには特徴の1つとされていた,2560×1600ドットの外部ディスプレイ出力は,「現状では顧客からの需要が少ないため,対応を見送っている。ただし,今後のラインナップ追加時に対応する可能性はゼロではない」(Wuebbling氏)そうである。

 そのほか,Tegra 3ではメモリ周りやビデオ&サウンド関係でも細かく強化がなされている。Tegra 2との違いをへまとめてみたので,参考にしてもらえれば幸いだ。

※1 LG Electronicsの「Optimas Pad」やMotorola Mobilityの「Droid X2」など,“Tegra2 3D”とも呼ばれていた高クロック版Tegra 2チップ搭載モデルで実現
※2 720p HDビデオ再生時のバッテリ駆動時間(Tegra 2の値は発表時における公称値)。いずれもNVIDIAのリファレンスデザインを使用した場合のもの
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Tegra 3における強化ポイント
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 Wuebbling氏は,「Tegra 3のCPU性能は『Core2 Duo T7200/2GHz』と同等クラスであり,タブレット端末でもコンテンツ制作やビデオ変換などを可能にする」と,Tegra 3搭載機なら,コンテンツ消費用デバイスの枠を超え,よりリッチな体験が可能になると謳っている。
 さらに,今後も1年サイクルでTegraの高性能化を図っていく計画に変更はないとして,「Wayne」(ウェイン,開発コードネーム)を2012年に市場投入し,Tegra 2比で10倍の性能を実現するとあらためて予告していた。
 なお,NVIDIAが6月に買収したIceraのワイヤレスモデムやLTE/3Gベースバンド技術をTegraに統合するのは「2013年になる予定」とWuebbling氏。つまり,「Logan」(ローガン,開発コードネーム)世代にまで持ち越されるというわけである。

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Webブラウジング性能は競合製品に比べて最大で4倍高速になったという
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ビデオ変換も性能でも競合製品を圧倒。2倍の性能が得られるとしている


搭載製品第1弾はASUSの「Transformer Prime」


Eee Pad Transformer Primeは年内に市場投入される見込み
画像集#022のサムネイル/NVIDIA,Kal-Elこと「Tegra 3」を正式発表。“4+1”コアのCPUと12コアのGPUを統合
 Tegra 3搭載製品の第1弾となるのは,10月20日に香港で開催された「AsiaD: All Things Digital」において,ASUSTeK Computer会長のJohnny Shih氏が披露した「Eee Pad Transfomer Prime」だ。
 Wuebbling氏によれば,そのほかにも,2011年末から2012年初頭にかけて,さらに多くのTegra 3搭載タブレット端末が登場する見込みとのこと。スマートフォンは,2012年第1四半期から順次登場する予定になっており,合わせてTegra 3のラインナップも拡充される計画とされている。

Tegra 3のデモ「Glowball」


NVIDIA公式blogのポスト(英語)

NVIDIA日本語公式Webサイト

Tegra日本語公式ページ

ASUSTeK ComputerのEee Pad Transformer Prime予告ページ(英語)

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