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[GDC 2009#15]レベルファイブ流ヒットの法則! 売れるゲームはこうして作られる
そんなレベルファイブの代表取締役 日野晃博氏によるレクチャー「Level 5's Techniques to Producing a Hit game」(ヒットゲームを生むレベルファイブのテクニック)が,GDC09において行なわれた。
日野氏はGDCにスピーカーとして初めて参加するにあたり,ゲームの作り方などはほかのデベロッパが語っているため,それとは異なる視点でレクチャーを行うことに決めたと語った。
そんなレベルファイブが考える,ヒット作を生み出す方法として提示されたのが,「キャッチコピープランニング」「ブームトリガー」の二つである。
キャッチコピープランニングとは,ゲームの企画段階からキャッチコピーにしやすいウリを用意するということだ。「レイトン教授と不思議な町」については,「頭の体操」で知られる多湖 輝氏による監修や,大泉 洋さん,堀北真希さんといった有名俳優を声優として起用したことなどが紹介された。
また,当時のニンテンドーDS用ゲームにはあまりムービーが使われていなかっただけに,クオリティの高いムービーの存在が際立ったのだという。
レベルファイブの創立10周年記念タイトルとして,2009年内の発売が予定されている「二ノ国」は,ゲーム内のムービーをスタジオジブリが担当するという,とてつもなく大きなウリがある。もちろん,ほかにもウリとなる要素はあるようだが,これだけでもプロモーション効果は抜群だ。
ちなみに,講演の最後にプロモーションムービーが公開されたのだが,残念ながら撮影は不可。ジブリらしさにあふれたアニメーションで,どんなゲームに仕上がるか,とても気になる内容だったことはお伝えしておこう。
もう一方のブームトリガーとは,ゲームの中に盛り込まれた,ブームを起こす“しかけ”のことである。ブームは基本的に口コミで発生する可能性が高いため,プレイヤーがほかの人と情報交換できる要素を用意することが重要なのだという。
また,どんなに面白いゲームでも,3日でクリアされてしまっては,プレイヤー間で情報交換するきっかけすら与えられない。したがって,ある程度長いあいだ遊べる要素を用意することも,ブームを起こすには肝心とのことだ。
レイトン教授シリーズでは,解けない謎があった場合,ほかの人に解いてもらう,または自分が解いた謎に挑ませるといったことで,コミュニケーションが生まれる。また,サブゲームを集めるという時間のかかる要素も用意されている。
イナズマイレブンでは,キャラクターの入手方法を教え合ったり,対戦プレイなどを行なったりして,ほかのプレイヤーと交流することになるという。それに加え,1000人以上用意されているキャラクターを集めるというやり込み要素もある。
「レイトン教授と不思議な町」は,発売初週の出荷本数が12万800本で,爆発的な売れ行きとまではいかなかったものの,口コミで噂が広まり,結局93万6000本というヒット作になった。イナズマイレブンは前述したように,発売から半年以上経った現在も毎週5000本以上売れており,日野氏のいうブームトリガーが機能しているといえそうだ。
最後に日野氏は謙遜しつつも,「面白いのに売れないゲームという悲しいモノを生み出さないために,しっかりと売ることを考えながら開発してほしい」と述べ,講演を締めくくった。
確かに,これまで遊んだゲームを振り返ってみると,自分は面白いと思ったのに,さほどのセールスは記録しなかったというタイトルがある。そういったゲームには,今回の公演で日野氏が説明した,キャッチコピープランニング,もしくはブームトリガーが欠けていたのかもしれない。
「プロモーション効果の高い要素をゲームの企画段階から用意する」と,口に出して言うのは簡単だ。しかし実際には,広報サイドの言い分すべてをゲームに反映することは難しく,開発サイドと揉めることも多いのではないかと思う。
そのあたりのバランスの取り方は,デベロッパとパブリッシャを兼ねているレベルファイブならではといったところなのだろう。
次にレベルファイブがゲームを発表したとき,今回の講演を思い出すと,そのゲームの違った側面が見えてくるかもしれない。
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