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インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も
本稿では,恒例となっている同社天野伸彦氏のセッションを中心に,イベントの模様をお伝えしたいと思う。
“神様”による「Lynnfieldのススメ」
〜P55チップセットのエラッタ情報も公表
一つめは,もちろんCore i7-800番台とCore i5-750番台,開発コードネームLynnfieldと呼ばれていた新型CPUがテーマだ。
Lynnfieldの特徴については,4Gamerですでにお伝えしている部分も多いため(関連記事1,関連記事2),今回は割愛するが,興味深かったのは,対応チップセット「Intel P55 Express」(以下,P55)のエラッタに関する言及があったこと。天野氏は,7月のイベントで「P55チップセットについて,一つ謝らなければならないことがある」としていたが,これが,P55のエラッタだと明らかになったのである。
「USB 1.1 Full Speed同期転送デバイスと非同期転送デバイスとが同じコントローラの下に混在できず,混在させると同期転送デバイスのデータが捨てられてしまうことがある」というもの。
これだけではイメージしづらいので補足しておくと,「USB 1.1 FullSpeed」の同期転送を行う製品としては,USBサウンドデバイスやエントリー向けWebカメラがある。一方,非同期転送デバイスの代表格は,キーボードやマウスだ。とくにPCゲーマーの場合,USB接続型のヘッドセットやサウンドデバイスを使っている人が少なくないと思われるが,これを,USB接続キーボードやマウスと混在させたときに,音の途切れる問題が生じる可能性がある,というわけである。
ただし,P55チップセットは,2系統のUSBコントローラを内蔵しているため,系統の異なるUSBポートに接続を振り分ければ問題ないとのこと。このエラーが発見されたのは「量産直前の6月頃」(天野氏)で,「社内でも,量産に踏み切るかどうかいろいろと議論があった」(天野氏)そうだ。結局は,「回避策がある」ため,量産に踏み切ったのだろう。
なお,この問題は,次のB3ステッピングで修正されるとのことだが,B3ステッピング版P55を搭載したマザーボードが出荷される時期は明らかにされなかった。
なお,Lynnfieldに関しては,天野氏なりの「いいと思う点」が紹介されている。それによると,(Core 2と比べて)メモリコントローラが統合されたこと,「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)を搭載したこと,そして「Integrated Power Gate」による省電力機能をサポートしたこと,以上3点がポイントになるという。
最後に天野氏は,実勢価格が2万円前後となっているCore 2シリーズのCPUと「Core i5-750/2.66GHz」を比較。「1〜2年内に,IntelのCPUを買った人は,Lynnfieldはスルーしてもいいんじゃないか」という,本音モードのアドバイスを来場者に送っていた。実際,会場でLynnfieldに食いついていた人は,Core 2 Duo最初の製品である,E6000番台のユーザーが多かったようだ。
Core i7-800&i5-700番台は,Core 2 Duo/Quadとの競争にさらされるという見通しを天野氏は示す。……さすがに「AMDは敵ではない」とまでは言っていなかったが |
Core i7-800&i5-700番台で,QPIは外に出ていないが,「内部的には使用されている」(天野氏)。P55マザーボードの一部で,QPIのクロックを設定できるものは,この内部クロックを設定しているという |
Trimコマンドをサポートする第2世代SSD用FWは
Windows 7に合わせて“ほぼ同時”に公開予定
二つめのセッションは,最近注目度の高いSSDに関するものだった。今回は,天野氏がFAQを用意し,それに回答していくという形式で進められた。一部,来場者の質問に答えて明らかになった情報もあるが,区別せず,テーマごとにお伝えしていこう。
1.SSDの寿命を計る方法は?
取得できるパラメータは,
- 書き込み回数(Host Writes)
- ウェアリングの回数(Media Wear,フラッシュの寿命を長くするため書き込み場所を変える手法)
- 予備領域の残り容量(Available Reserved Space)
なお,閾値情報について天野氏は「しかるべき時期が来たら公開する」と述べるに留まり,今セッションでは明らかにされなかった。
2.Intel製SSDにおけるTrimコマンドのサポートは?
ただし,Trimコマンドに対応できるのは,34nmプロセスで製造されたフラッシュメモリを搭載する第2世代「G2」(開発コードネーム「Postville」)のみで,残念ながら第1世代「G1」(同「Ephraim」)は対応させられないことが分かったそうだ。
またIntelでは,Windows XP/VistaでもTrimコマンドを利用可能にする「Intel Trim Tool box」(※仮称)が公開される見込み。Trimコマンド対応ファームウェアと同時期の公開が予定されているそうだ。当面Windows 7へ移行するつもりがないという人も,SSDユーザーであれば,Intelのダウンロードサイトはこまめにチェックしておくといいかもしれない。
3.SLCタイプの新製品
MLCタイプの製品だけが第2世代に移行したことで,一部のハイエンドユーザーは,SLCタイプの今後が気になると思うが,天野氏の答えは「今年中はない」。ただし,「来年のQ1……になるかどうかは分からないが,前半には新製品が出る」と明言していたことは,付記しておく必要があるだろう。万人向けとは言い難いSLCタイプの製品だが,秋葉原では確実にニーズがあるのも事実なので,まだちょっと先だが,楽しみに待ちたいところだ。
CPUクーラーメーカー各社が
Turbo Boost需要を見越した新製品を展示
このほか,Turbo Boostの効き目にはCPUの冷却が重要になることから,CPUクーラーメーカー各社が,新製品を大きくアピールしていた。各社に一押し製品を聞いてきたので,その写真を中心にお伝えしてみたい。
●Thermaltake Technology
●サイズ
サイズの一押しは,実勢価格3000〜4000円(※2009年9月14日現在)の「KABUTO」。「ANDY SAMURAI MASTER」の後継として,フィン構造の最適化を図ったトップフロークーラーだ | ||
左と中央は10月に4000円程度で発売予定の「GRAND KAMA CROSS」。下段右に示したのは,同社のLGA1156対応リストである |
●Cooler Master
- 関連タイトル:
Core i7&i5(LGA1156,クアッドコア)
- 関連タイトル:
Intel 5
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