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インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も
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印刷2009/09/14 10:42

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インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も

 “Lynnfield”の発表後,最初の土曜日となる2009年9月12日,Intelの日本法人であるインテルは東京・秋葉原のベルサール秋葉原で,「Intel Technology Day in Akiba 2009」と題するエンドユーザー向けイベントを開催した。
 本稿では,恒例となっている同社天野伸彦氏のセッションを中心に,イベントの模様をお伝えしたいと思う。

オープニングセレモニーには,インテルの吉田和正代表取締役社長と,IntelのSteven J. Dallman(スティーブ・ダルマン)副社長兼セールス&マーケティンググループゼネラルマネージャーが登壇。日本が,Core i7の売れ行きでは世界のトップ2に入ることを紹介していた
画像集#002のサムネイル/インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も 画像集#003のサムネイル/インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も


“神様”による「Lynnfieldのススメ」

〜P55チップセットのエラッタ情報も公表


天野伸彦氏
画像集#004のサムネイル/インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も
 今回のイベントでは,“神様”天野氏のセッションが2回組まれた。
 一つめは,もちろんCore i7-800番台とCore i5-750番台,開発コードネームLynnfieldと呼ばれていた新型CPUがテーマだ。
 Lynnfieldの特徴については,4Gamerですでにお伝えしている部分も多いため(関連記事1関連記事2),今回は割愛するが,興味深かったのは,対応チップセット「Intel P55 Express」(以下,P55)のエラッタに関する言及があったこと。天野氏は,7月のイベントで「P55チップセットについて,一つ謝らなければならないことがある」としていたが,これが,P55のエラッタだと明らかになったのである。

画像集#005のサムネイル/インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も
「謝らなければならないこと」の内容。Core i7-800&i5-700番台の発表直後に公開されたP55のデータシートにあるエラッタ情報である。一部のマザーボードベンダーやPCメーカーには,事前に通達されていたようだ
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エラッタの内容を分かりやすくしたのがこのスライド。USB 1.1の非同期転送デバイスと同期転送デバイスを同じコントローラの下で使用していると,同期転送デバイスのデータが捨てられてしまうことがある
画像集#007のサムネイル/インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も
Intel製P55マザーボード「DP55KG」I/Oインタフェース部におけるUSBポートの割り当て。IEEE 1394aコネクタの列についているUSBポートがEHCI#1側に独立している。なお,これはあくまでDP55KGの例で,ほかの製品については自分で調べるしかない
 P55のデータシートから示した天野氏によると,このエラッタは「USB 1.1 Full Speed同期転送デバイスと非同期転送デバイスとが同じコントローラの下に混在できず,混在させると同期転送デバイスのデータが捨てられてしまうことがある」というもの。
 これだけではイメージしづらいので補足しておくと,「USB 1.1 FullSpeed」の同期転送を行う製品としては,USBサウンドデバイスやエントリー向けWebカメラがある。一方,非同期転送デバイスの代表格は,キーボードやマウスだ。とくにPCゲーマーの場合,USB接続型のヘッドセットやサウンドデバイスを使っている人が少なくないと思われるが,これを,USB接続キーボードやマウスと混在させたときに,音の途切れる問題が生じる可能性がある,というわけである。

 ただし,P55チップセットは,2系統のUSBコントローラを内蔵しているため,系統の異なるUSBポートに接続を振り分ければ問題ないとのこと。このエラーが発見されたのは「量産直前の6月頃」(天野氏)で,「社内でも,量産に踏み切るかどうかいろいろと議論があった」(天野氏)そうだ。結局は,「回避策がある」ため,量産に踏み切ったのだろう。
 なお,この問題は,次のB3ステッピングで修正されるとのことだが,B3ステッピング版P55を搭載したマザーボードが出荷される時期は明らかにされなかった。

 なお,Lynnfieldに関しては,天野氏なりの「いいと思う点」が紹介されている。それによると,(Core 2と比べて)メモリコントローラが統合されたこと,「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)を搭載したこと,そして「Integrated Power Gate」による省電力機能をサポートしたこと,以上3点がポイントになるという。

Core i7-800番台とCore i5-700番台,Core i7-900番台の仕様比較表。Trubo Boostの欄には,Turbo Boostで引き上げられる“段階”が記されているが,ご覧のとおり,シリーズによって微妙に変わっている
画像集#008のサムネイル/インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も

Core i7-800番台と,Core i7-900番台の間にある大きな違いとして,天野氏が強調していたのが,搭載できるメインメモリの容量と,PCI Express 2.0レーン数だ。「より多くのメモリを積む必要がある人や,グラフィック性能を重視する人には,Core i7-900番台が向いている」とのこと
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LGA1156世代で,LGA775世代と比べて,CPUソケットカバーの形状が変わったことと,対応クーラーが3〜4mmほど大きくなっていることを,天野氏は注意事項として挙げていた。とくにクーラーは,ぱっと見だとほとんど同じだが,実際にはLGA1156対応製品でないと利用できないので,気をつけておきたい
画像集#010のサムネイル/インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も 画像集#011のサムネイル/インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も

Intelのマザーボードの電源は6フェーズ仕様。天野氏は多フェーズ競争に触れ,「Intelとしては(多フェーズ化より)安定した電源を供給できることが重要と考えている」と,他社との違いを強調していた。また,Driver-MOSFET群のヒートシンクがパッシブ型なので「下(=マザーボード基板)に風を送るようなCPUクーラーを利用したほうがいい」(天野氏)とのこと
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 最後に天野氏は,実勢価格が2万円前後となっているCore 2シリーズのCPUと「Core i5-750/2.66GHz」を比較。「1〜2年内に,IntelのCPUを買った人は,Lynnfieldはスルーしてもいいんじゃないか」という,本音モードのアドバイスを来場者に送っていた。実際,会場でLynnfieldに食いついていた人は,Core 2 Duo最初の製品である,E6000番台のユーザーが多かったようだ。

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天野氏が指摘する,Lynnfieldをスルーしていい人の一覧。Turbo Boostの影響でCPUの発熱は大きくなるため,「発熱を気にする人はスルーしていいのではないか」とも
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2万円前後で購入できる既存の製品「Core 2 Duo E8500/3.16GHz」「Core 2 Quad Q9550/2.83GHz」と,Core i7-750との比較。水色の部分を参考に,CPUを選んでほしいとアドバイスしていた

画像集#015のサムネイル/インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も
Core i7-800&i5-700番台は,Core 2 Duo/Quadとの競争にさらされるという見通しを天野氏は示す。……さすがに「AMDは敵ではない」とまでは言っていなかったが
画像集#016のサムネイル/インテルがエンドユーザー向けイベントでLynnfieldを強くアピール。「P55のエラッタ」公表も
Core i7-800&i5-700番台で,QPIは外に出ていないが,「内部的には使用されている」(天野氏)。P55マザーボードの一部で,QPIのクロックを設定できるものは,この内部クロックを設定しているという


Trimコマンドをサポートする第2世代SSD用FWは

Windows 7に合わせて“ほぼ同時”に公開予定


 二つめのセッションは,最近注目度の高いSSDに関するものだった。今回は,天野氏がFAQを用意し,それに回答していくという形式で進められた。一部,来場者の質問に答えて明らかになった情報もあるが,区別せず,テーマごとにお伝えしていこう。

1.SSDの寿命を計る方法は?


Intel製SSDは,S.M.A.R.Tを使うことで,寿命に関連したパラメータを取得できる
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 当たり前だが,SSDには寿命があるが,Intel製SSDでは,S.M.A.R.T(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technolog)を使って,寿命に関するパラメータを取得できるようにしていることが明らかにされた。
 取得できるパラメータは,

  • 書き込み回数(Host Writes)
  • ウェアリングの回数(Media Wear,フラッシュの寿命を長くするため書き込み場所を変える手法)
  • 予備領域の残り容量(Available Reserved Space)

Intelでは,SSD ToolboxをWindows 7に合わせてリリース予定。ただし,「SSDをやっている人たちは遅刻癖があるので,もしかしたら間に合わないかもしれない」(天野氏)という条件付きではある
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の3種類で,いずれかが閾値(Threshold,スレッショルド)を超えたら,「すぐに壊れるというわけではないが,交換を推奨している」(天野氏)そうだ。Intelでは,Windows 7の一般向け発売(=10月22日)に前後して,同社製SSDのS.M.A.R.Tを取得できるツール「Intel Solid State Drive Toolbox」(俗称 SSD Toolbox)を提供する予定になっているそうなので,ユーザーは,サポートサイトをこまめにチェックしておくといいかもしれない。
 なお,閾値情報について天野氏は「しかるべき時期が来たら公開する」と述べるに留まり,今セッションでは明らかにされなかった。


2.Intel製SSDにおけるTrimコマンドのサポートは?


Trim対応ファームウェアも,Windows 7の一般向け発売までにはリリースしたいと天野氏。Windows XP/VistaでTrimコマンドを利用可能にするツールボックスも予定されているとした
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 同じくWindows 7に関連するネタだが,SATAの新規格に,SSDの主に書き込みを効率化する「Trim」というコマンドがある。このTRIMコマンドはWindows 7でサポートされることが知られているが,Intelでは,Windows 7に合わせて,SSD製品をTrimコマンドに対応させるファームウェアのリリースを計画しているという。
 ただし,Trimコマンドに対応できるのは,34nmプロセスで製造されたフラッシュメモリを搭載する第2世代「G2」(開発コードネーム「Postville」)のみで,残念ながら第1世代「G1」(同「Ephraim」)は対応させられないことが分かったそうだ。

 またIntelでは,Windows XP/VistaでもTrimコマンドを利用可能にする「Intel Trim Tool box」(※仮称)が公開される見込み。Trimコマンド対応ファームウェアと同時期の公開が予定されているそうだ。当面Windows 7へ移行するつもりがないという人も,SSDユーザーであれば,Intelのダウンロードサイトはこまめにチェックしておくといいかもしれない。


3.SLCタイプの新製品


 MLCタイプの製品だけが第2世代に移行したことで,一部のハイエンドユーザーは,SLCタイプの今後が気になると思うが,天野氏の答えは「今年中はない」。ただし,「来年のQ1……になるかどうかは分からないが,前半には新製品が出る」と明言していたことは,付記しておく必要があるだろう。万人向けとは言い難いSLCタイプの製品だが,秋葉原では確実にニーズがあるのも事実なので,まだちょっと先だが,楽しみに待ちたいところだ。


CPUクーラーメーカー各社が

Turbo Boost需要を見越した新製品を展示


 このほか,Turbo Boostの効き目にはCPUの冷却が重要になることから,CPUクーラーメーカー各社が,新製品を大きくアピールしていた。各社に一押し製品を聞いてきたので,その写真を中心にお伝えしてみたい。

●Thermaltake Technology
Thermaltake Technologyの一押しは,LGA1366/1156対応の「SpinQ VT」。実勢価格は6000〜7000円(※2009年9月14日現在)となっている。トップフローのように見えて違うという,ユニークなデザインだが,本体下部からの吸気時に,CPU電源部は冷却可能だという。なお,下段右の写真は,同社のLGA1156対応リスト
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●サイズ
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サイズの一押しは,実勢価格3000〜4000円(※2009年9月14日現在)の「KABUTO」。「ANDY SAMURAI MASTER」の後継として,フィン構造の最適化を図ったトップフロークーラーだ
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左と中央は10月に4000円程度で発売予定の「GRAND KAMA CROSS」。下段右に示したのは,同社のLGA1156対応リストである

●Cooler Master
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Cooler Masterの一押しは「Hyper N620」。6ヒートパイプ+デュアルファン仕様のサイドフロータイプで,実勢価格は7500〜9000円(※2009年9月14日現在)となっている
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クーラーではないが,ペルチェ素子搭載クーラー「V10」のデモ機として,シンプルなスチール製“まな板”,「Test Bench V1.0」が置かれていたので,これも紹介しておきたい。コンパクトなのと,マザーボードを取り付けるアタッチメントの使い勝手がよさそうなのが目を引く。国内発売は未定だが,登場すれば注目を集めそうだ
  • 関連タイトル:

    Core i7&i5(LGA1156,クアッドコア)

  • 関連タイトル:

    Intel 5

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