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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第38回「『007/慰めの報酬』国内発売記念! 最強の007ゲーム大特集!(3)」
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印刷2009/04/02 21:16

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ジャンクハンター吉田のゲームシネシネ団:第38回「『007/慰めの報酬』国内発売記念! 最強の007ゲーム大特集!(3)」


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 007ゲームの話題を取り上げるにあたって,絶対に外せない一本がある。それは,Nintendo 64(日本ではニンテンドウ64)のみでリリースされた「GoldenEye 007」(邦題 ゴールデンアイ 007」。今から12年も前,1997年の作品だが今見ても紛れもない傑作だ。
 このゲームをきっかけに,FPSの面白さに目覚めたという人も,決して少なくないだろう。個人的にも,4人対戦のマルチプレイモードを1年半近く遊び続けた記憶がある。

 本作の元になった映画は,1995年末に公開された「007 ゴールデンアイ」。前作「007 消されたライセンス」の公開から6年ぶりの作品で,ボンド役にはテレビドラマ「探偵レミントン・スティール」で主役を演じたピアース・ブロスナン氏が挑んでいる。
 甘いマスクのブロスナン氏には,007らしいアクションが似合わないのでは? と危惧する向きもあったようだが,オナトップ役のファムケ・ヤンセンさんや,トレヴェルヤン役のショーン・ビーン氏ら脇を固める俳優陣の力もあって,ボンドのスマートな強さが引き立たてられており,映画としても傑作になっていた。

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 劇場公開から半年ほど経った時期だっただろうか。イギリスのゲーム雑誌で,本作のゲーム版がNintendo of EuropeからSNES向けに発売予定であるとの記事を発見。さすが007のゲームだけあって,アメリカのゲーム雑誌よりも先に,イギリスで記事になっていることに驚かされると同時に,あのNintendoが007のゲームを出してくれるということが嬉しく,一気に期待が膨らんだものだ。

 なんせ,1993年にテンゲンが日本で発売した(海外ではDOMARK),「007 死闘」が,個人的には許せなかったのである。当時のティモシー・ダルトン氏版ボンドは,リチャード・キール氏演じるジョーズと,映画では直接絡むことなどなかった。にも関わらず,007 死闘では普通にボンドとジョーズが戦うシーンがあるなど,原作への愛情が足りないのでは? と思わざるを得ない内容だったのだ。
 ……まあ,この作品は映画とは別のオリジナルのゲームだったので,そう目くじらを立てるようなことでもないのかもしれないが(ひょっとしたら,ティモシー版ボンドがあんまり好きじゃなかったから余計にそう思ったのかも?)。

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 さて,SNES向けに開発されていたGoldenEyeは,筆者が第一報を目撃して以降も,海外のゲーム雑誌にて「Rareが開発を担当している」といった記事が,2〜3点のスクリーンショットと共に掲載されていた。
 そのスクリーンショットから察するに,強制的に画面が移動していくタイプの一人称視点ガンシューティングだったようだ。雰囲気的には,「リーサルエンフォーサーズ」のような感じといえば,想像しやすいだろうか。

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 ところが,SNESでGoldenEyeがリリースされることはなかった。
 そもそもこの作品は,当時Rareに勤めていたMartin Hollis氏(「Killer Instinct」や「Perfect Dark」の開発にも参加していた人物。2000年に独立し,イギリスのケンブリッジにZoonamiという会社を設立した)が,映画および原作のGoldenEyeに惚れ込んで,Nintendo of Europeにプレゼンしたところ,SNESとVirtual Boyでの開発資金供給を受けることに成功。二つのプラットフォーム向けの開発がスタートしたというものだった。
 しかし,ご存じのとおりVirtual Boyは短命に終わり,開発が進んでいたGoldenEyeも開発中止に。SNES版のみで開発が続けられていたのだが,ゲームのボリュームが増えすぎたことと,画面4分割でのマルチプレイを実現したいというRare側の意向もあり,途中からNintendo 64へプラットフォームが変更されたのである。
 そして急きょ,オリジナルのゲームエンジンエンジンを開発するところから始め,約1年半でβ版が完成。しかしマルチプレイモードを充実させるためのチューニングなどに,さらに1年ほどの時間を要した。

 ここまで時間がかかったのでは,途中でNintendoからせっつかれていたんじゃないか……と思う人もいるかもしれないが,そもそもNintendoサイドとしては,映画版権タイトルが売れるとは思っていなかったらしく,とくにおとがめはなし。
 そのため,ゲームのプロデュースとディレクションを初めて担当したHollis氏は,プレッシャーに押しつぶされることなく,ゲーム作りに専念できたようだ。
 結果,ゲームはシングルモードを一度クリアしたあとでも楽しめるよう,豊富なオマケ要素が用意されたほか,マルチプレイヤーモードも充実。ジョーズやオッドジョブなど,ボンドの好敵手をプレイヤーキャラクターとして選択できるという,007ファンにとって至れり尽くせりの作品に仕上がり,1997年8月に発売されたのである。

 なお,この作品は全世界でほぼ同時期に発売されたのだが,日本では最終的な出荷本数こそ30万本と健闘したが,TVCMの評判が悪かったこともあってか出足は悪かった。
 TVCMは,映画評論家の故 水野晴郎氏と浜村 淳氏が,ジェームズ・ボンドになりきるという内容。ある程度の年齢であれば,このCMの意味も分かるだろうが,ニンテンドウ64のプレイヤーは子供がほとんど。小中学生にこのCMが響かなかったのも,決して不思議なことではない。
 ちなみに筆者は,生前の水野氏と仕事で親しくさせていただいていたこともあり,このCMの舞台裏を聞いてみたことがある。良いタイミングなので,そのときの話をここに紹介しよう。


水野氏:
 なぜ僕にテレビゲームのCM出演オファーがきたのかと,ビックリしましたよ。どうやら浜村さんが先に決まっていて,多人数で遊べるゲームというイメージを作るために,僕にも話がきたみたいですね。関東と関西を主軸にCMをたくさん流すということと,映画版権を取り扱ったゲームということで,評論家として関東と関西で名前と顔が知れている僕達を使おうという理由もあったようです。
 広告代理店の方が僕達のために,現場にボンドガールっぽい金髪の外国人女性をたくさん連れてきてくれたので,ぜひ仲良くなりたかったですね(笑)。まあ実は,一緒にCM出演するために呼んでくれただけなんですけど(笑)。
 僕自身テレビゲームは年齢的にやらないし良く分からないんですが,映画の版権を扱ったゲームも数多くあるというのは知っています。僕の監督作「シベリア超特急」も,「桃太郎電鉄」のシベ超版みたいなゲームは作れないですか? とハドソンさんにお伺いしたこともあるんですが,結局NGでした。
 映画版権のゲームは日本ではあまり売れないそうですが,GoldenEyeは世界で800万本以上売れたと聞いてます。いや〜ゲームって本当にいいもんですねぇ〜(笑)。羨ましい限りです。でも日本では30万本程度ですってね。やはり映画を観る人はゲームをやらない。ゲームをやる人は映画を観ない。そんな風に,日本人の多くは映画かゲームかの,二択になっちゃうんですかね。両方を同じぐらい好きな人は,少ないんでしょうか。
 これはやはり……,シベ超をゲーム化して映画とゲームの枠を取り払うしかないですねぇ(笑)。


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 さて,前述のとおり筆者は,この作品のマルチプレイモードを,1年半はやり続けていた。近所に住む友人を集めては,夜な夜な遊んでいたのである。あそこまで一つのゲームにのめり込んだ記憶は,ほかにはない。
 それもこれも,黄金銃で一発撃たれたら即死の緊張感あるバトル,オッドジョブの理不尽なまでの小ささ,しゃがんで歩いていると第三者からは膝立ちしながらホバリングして見えるバカっぽさ,チョップで相手を殺せる不自然さなど,ゲームとしての面白さとバカバカしさが見事にミックスされているからだろう。
 さらに言えば,モーションセンサー爆弾だけで対戦するといった,プレイヤーが勝手に決めたルールを許容するような,器の大きさも魅力だ。
 今見るとテクスチャは粗く,カクカクしたポリゴン人形に過ぎないグラフィックスだが,ゲームは絵のキレイさだけが重要というわけではないのだ。個人的には,「ボンバーマン」や「モトローダー」と並んで,GoldenEyeはマルチプレイ対応ゲームのマスターピースだとすら思っている。


 2006年の冬のこと。Nintendo of AmericaのReggie Fils-Aime社長は,GoldenEyeをWiiのバーチャルコンソールで配信する計画があると公式に述べていた。また,2008年の頭には,Xbox Live Arcade用リメイク版GoldenEyeが,Xbox専門情報誌「XboxWorld 360」に掲載されたこともある。
 しかしNintendo of Americaはこの件について,以降は沈黙。Microsoftは,公式にGoldenEyeのリリースを否定している。

 これは一体,どういうことなのだろうか?
 先週お伝えしたとおり,007タイトルは現在,Activisionが独占的に扱えることになっている。ひょっとしたら,これが障壁になっているのかもしれない。そう考えた筆者は,MGM Interactiveにこのことを聞いてみた。

 それによると,やはり実際にNintendoとMicrosoft(現在はRareの親会社)は,GoldenEyeの再リリースに向けて動いていたようだ。しかしMGM Interactiveは,Activisionとの契約上,ライセンスを自由に切り売りすることはできない。ただ,Activisionが許可をすれば,その限りではなかった……はずだそうだ。
 なんでも2006年秋の時点では,Activisionはこれを認める方向だったという。そこで,MGM InteractiveとEON Productionsは,ミニマムギャランティを設定したうえで,それぞれのプラットフォーム向けに版権を許諾。
 これを受けてRareは,Xbox Live Arcade向けにGoldenEyeの現代風リメイク作の開発に着手していたのだが,Activisionが方針転換をしたため,これにストップがかかってしまったとのこと。
 なお,Activisionが持っているライセンスは2014年12月末まで有効なので,これが切れた段階で再びNintendoやMicrosoftが契約に動けば,ひょっとしたらひょっとするかもしれない……が,Activisionが契約を更新した場合は,これも難しそうである。

 NintendoとMicrosoftにしてみれば,これぞまさしく“消されたライセンス”といったところだろう。007の版権ビジネスは,関わっている会社や人が多い分だけ複雑に入り組んでおり,上記のような理由を考えると,現行機種でGoldenEyeを再び遊べる日を待つのは,あまり現実的ではないかもしれない。
 どうしても遊んでみたい人は,なんとかしてニンテンドウ64本体とゴールデンアイ 007のカセットを入手するしかない。もし二つを揃えられたら,ぜひ友人を招いてマルチプレイで楽しんでみてほしい。盛り上がること請け合いだ。

 最後にもう一つ余談を。“ゴールデンアイ”という名称は,007の原作者,イアン・フレミング氏がジャマイカに所有していた別荘の名前が元ネタらしい。筆者もいつか別荘を持てるような日が来たら,そこをゴールデンアイと名付けるつもりだ。

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■ドブ漬けゲームスープレックス(38)
Wiiウェア
「GRADIUS ReBirth」(KONAMI)

 あの「グラディウス」の新作がWiiに!
 舞台となるのは宇宙歴6664年(「グラディウス2」で描かれているサイレント・ナイトメア事件の2年前)。宇宙科学技術庁長官ヴェノム博士は,惑星アンティクトンのマザー・コンピュータがバクテリアンによって浸食されたことを発見。この事態を重く見たグラディウス帝国政府は,かつてバクテリアンを退けた超時空戦闘機ビッグバイパーと,そのパイロットである特別大佐ジェイムス・バートンを現地に派遣した……という設定らしい。

 かつてMSX版でさんざんグラディウスを遊んだ者としては,これをやらないワケにはいかない。
 音楽はアレンジされているものの,聞き覚えのあるメロディに懐かしさがこみ上げてきたり,どこかで見たことのあるような敵キャラもいるしで,あのころの記憶が甦り思わず遠い目。

 ステージは全5面と少々物足りないかな? と思いきや,エクストラステージもあるし,オンラインのスコアランキングが用意されていたりと,やり込み要素も充実。ただクリアするだけでなく,ハイスコアを目指して繰り返し遊んでいると,これまた大昔の記憶が……。
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「GRADIUS ReBirth」



■■ジャンクハンター吉田(シネマゲーム研究家)■■
最近,昭和40年代発行の手塚治虫作品や藤子不二雄作品など,レアなマンガを大量に手放したという吉田氏。そのお金で,50インチのプラズマテレビや,アンプ内蔵型スピーカーを購入し,地デジやBlu-rayを堪能しているそうです。が,「ドラえもん」第1巻の初版本を手放すときには,ちょっと涙ぐんでしまったとか。なお,吉田氏は4月18日に劇場公開されるゲームシネマ「マックス・ペイン」のパンフレットに寄稿しているとか。見に行く人は,パンフレットも要チェック!



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