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「リーグ・オブ・レジェンド」の国内リーグ「LJL 2018 Summer」決勝戦レポート。DetonatioN FocusMeが2年5ヶ月ぶりの悲願の優勝を果たす
今回決勝戦で戦ったのは,DetonatioN FocusMe(以下,DFM)と,Unsold Stuff Gaming(以下,USG)の2チーム。まずは,この2チームについて説明しておこう。
DetonatioN FocusMe
DFMは,日本のLoLプロシーンの最前線を走り続けてきたチーム。しかし,LJLの決勝戦においては4期連続でPENTAGRAM(※)相手に敗れるという屈辱を味わっており,実に2年もの間,優勝から遠ざかっている。
※以前はRampage(RPG)という名前で活動していたが,2018年1月にチーム名がPENTAGRAMへと変わった。
だが今季,DFMに追い風が吹いた。今シーズンは,大幅なゲーム内バランスの調整によって,世界中のプロチームが混乱に陥いるほどメタ(主流な戦術)が変動したのだが,それを逆手にとったDFMは,周囲をあっと驚かせるような構成で他チームを出し抜き,19勝2敗という圧倒的な成績でシーズンを終えたのだ。
中でも,ADC担当だったYutapon選手のピックしたチャンピオンは多彩を極めた。モルデカイザーやカーサス,ヤスオ,ライズ,タリヤ……といった様々なチャンピオンを使用しており,ADC以外のチャンピオンを14回/9種類もプレイしている。ほかのチームがADC以外のチャンピオンを使用した数は,平均で8.6回/3.2種類。この数字の比較だけでも,DFMがいかに多様な戦術を取ってきたかが分かるだろう。
Unsold Stuff Gaming
USGは高いポテンシャルを評価されながらも,強豪チームの牙城を崩しきれず,3位や4位という成績でシーズンを終えることが多かったチーム。今シーズンに関しては,ボットレーンのメタが大幅に変わったことにより,圧倒的なプレイスキルを持つGango選手の力が発揮しきれないことが逆風となった。最初は「ADCを使っても試合をキャリー(勝利に導く)できるということを見せたい」と言っていたGango選手だったが,シーズン中盤からはADC以外のチャンピオンも使用するようになり,とくにスウェインを使用したときには5勝2敗という好成績を残している(そのため今回の決勝戦では,4試合すべてにおいてスウェインがBANされていた)。
シーズン前半では苦戦を強いられたUSGだが,メンバーが新しいメタに徐々に適応していき,後半戦ではチーム本来の強さを取り戻した。プレイオフでは,2年ものあいだ王者の椅子を守ってきたPGMを相手に,3-0で勝利するという快挙を成し遂げている。
そして始まった決勝戦。1試合めは,DFMがカミール,ノクターン,ジグス,エズリアル,タムケンチという,マップのどこからでも戦闘を仕掛けられるチーム構成を作り上げた。DFMはその狙い通りに積極的に試合を動かしていき,1試合目の勝利をものにした。
2試合めは,1試合めと同じくEvi選手がカミールをピック。DFMは,続けてそれを後押しするようなチャンピオンをピックしていき,Evi選手のカミールに試合を託す構成が完成した。これに対しUSGは,カミールへの対抗手段を作るのではなく,後半の集団戦に賭けるようなチーム構成を選択。
試合の途中までDFMの仕掛けに食らいついていたUSGだったが,試合時間が20分を過ぎたころ,DFMのプレッシャーに耐えかねて仕掛けた集団戦で逆に返り討ちにされてしまい,試合の大勢が決定した。1試合目に続き,DFMが勝利を重ねていく。
3試合目はにらみ合いの続く熱戦となったが,試合後半での大規模な集団戦を制したUSG側が勝利。2連勝して楽観的なムードが漂っていたDFMサイドだったが,この敗北によって空気がピンと張りつめ,ファンのあいだにも緊張感が漂った。4度に渡って敗れ続けてきた過去の決勝戦が,走馬燈のように頭をよぎった人も多かったことだろう。
4試合めは,DFMのCeros選手が今シーズン一度も見せていなかったアカリをピック。それに対してUSGのGariaru選手はエイトロックスをピックして対抗する。この勝負はCeros選手をソロキルしたGariaru選手に軍配があがったのだが,試合の駆け引きに勝利したのはDFMだった。
試合中盤,Steal選手が先にリフトヘラルドを触り始め,敵を誘い出したところでviviD選手がおとりになり,Yutapon選手が遠距離スキルで敵の体力を削り,Steal選手のグラガスのアルティメットによって敵を分断。そしてCeros選手,Evi選手が追撃していくという見事な連係が決まってUSG陣営を壊滅させ,試合を決定づけた。
この4試合目の勝利により,3-1でDFMの優勝が決定。DFMにとっては2年と5か月ぶり,悲願の優勝が決まった瞬間となった。
「LJL 2018 Summer Split Final」Twitch配信アーカイブ映像
今回優勝を決めたDFMは,2018年10月1日から韓国で開催される「World Championship 2018(以下,WCS)」に日本代表として出場する。
また,今年からWCSのプレイインステージでは,日本やブラジル,トルコといったワイルドカード地域に混ざって,中国・ヨーロッパ・LMS(台湾・香港・マカオ)・北アメリカの第3シードチームが一緒に戦うことになる。DFM vs C9 といった夢のカードが実現する可能性もあるわけだ。大会形式が気になる人は,以下のリンクからチェックしておこう。
「Worlds 2018」概要ページ
大会終了後はファンミーティングが開催され,選手とファンの交流が行われていた。勝利したDFMだけでなく,USGの選手をねぎらうファンの姿も多く見受けられたのが印象的だった。
最後に,各選手に優勝を果たした心境と,世界大会への意気込みを聞いたので,それをもって本稿の締めとしたい。
Ceros選手:
僕らはずっとWCSを目標にして練習してきたので,今日優勝できたことに満足せず,世界大会での勝利を貪欲に狙っていきたいです。
viviD選手:
2016年に日本にきて,いつかWCSに出て,世界の舞台で戦うことができると信じてやってきました。今日,それが間違っていなかったと証明できてとても嬉しいです。
Steal選手:
今はただ,優勝できて嬉しいという気持ちだけです。練習してきた,自分達が強いと思う構成を出せたので,それが勝因だと思います。
Yutapon選手:
決勝戦での負けが長いこと続いてたので,勝てて嬉しいというよりも,「負けなくてよかった」という気持ちのほうが大きいです。正直,決勝戦で負けることにはもう疲れました(笑)。WCSでは,自分達の得意な構成を相手に押し付けることができれば,チャンスがあると思っています。
Evi選手:
とにかく勝てて嬉しいです。僕は前シーズンからDFMに加入して,このチームを絶対に勝たせるんだという気持ちでやってきたんですが,前回の決勝戦ではそれができなくて,本当に悔しい思いをしました。だから今回勝てたののは本当に,めちゃくちゃ嬉しいです。
もし今日負けていたら,人間であることを維持できなかったかもしれません(笑)。WCSでは,僕らの力がどこまで通用するのか試したいですね。
Kazuコーチ:
選手達は毎日厳しい練習をこなしながら,ときには言い争いもして,チームとしてここまで育ってきました。リーグ中でも,プレイするのが難しい構成をどんどん試していって,この決勝戦のために備えてきた成果が出せたと思います。
DFMというチームは世界レベルの選手達が揃っていると思うので,相手の得意な構成をしっかり分析して,自分達のベストを尽くすことができれば,WCSの舞台でもいい勝負ができるんじゃないでしょうか。
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