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[TGS 2008#115]意外と深い“ぬりえアクション”。「ブロブ」クリエイティブディレクター,ニック・ヘイガー氏にインタビュー
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印刷2008/10/15 23:15

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[TGS 2008#115]意外と深い“ぬりえアクション”。「ブロブ」クリエイティブディレクター,ニック・ヘイガー氏にインタビュー

画像集#001のサムネイル/[TGS 2008#115]意外と深い“ぬりえアクション”。「ブロブ」クリエイティブディレクター,ニック・ヘイガー氏にインタビュー
 THQジャパンが11月13日の発売を予定しているWii用タイトル「ブロブ:カラフルなきぼう」は,カラフルであることが罪と考える“インキー”により色を奪われてしまった街,“レインボーシティ”を舞台に繰り広げられる「ぬりえアクション」だ。プレイヤーは,体の色を7色に変えられる主人公“ブロブ”となって,インキーが奪ったカラーボトルを奪取しつつ,モノクロの世界をキャンバスに建物や看板,ランドマークなどをカラフルな色と模様に塗り替えていくのだ。
 このブロブ,東京ゲームショウ2008では10月11日,12日のキッズコーナーにてプレイアブル出展されていたのだが,現代社会や都市生活への風刺,どこかシニカルなキャラクター設定など,見かけとは裏腹に,子供だけでなく大人でも楽しめそうなタイトルに仕上がっている。
 今回,ブロブのデベロッパ Blue Tongue Entertainmentでクリエイティブディレクターを務めるニック・ヘイガー氏に話を伺うことができたので,本作に注目している人はぜひご一読を。

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大人でも子供でも楽しめる

懐の深い「ぬりえアクション」


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。ブロブのお話しを伺う前に,ヘイガーさんがこれまで関わってきたタイトルを教えてください。

ブロブのデベロッパ Blue Tongue Entertainmentでクリエイティブディレクターを務めるニック・ヘイガー氏
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ヘイガー氏:
 こちらこそよろしくお願いします。私がこれまで関わってきたタイトルは,有名なところではPC版「Starship Troopers」や,KONAMIの「ジュラシック・パーク」,THQジャパンの「バーンヤード〜主役はオレ、牛」などといったところです。

4Gamer:
 それらのゲームと比べると,11月13日に発売されるブロブは,かなり毛色の違ったゲームに見えますね。

ヘイガー氏:
 ゲームの根底に流れるテーマなどには共通部分もあるのですが,確かにずいぶんと違いますね。有名な原作やキャラクターを元に作るゲームや,まったくオリジナルなゲームなど,いろいろなゲームがありますが,私はどんなゲームであれ,常に新鮮で,のめり込める世界観を作っていきたいと考えています。

4Gamer:
 ブロブは,一見するととてもカジュアルなゲームですが,例えば主人公のブロブが自由や平和を,敵役のインキーが組織や没個性を,街の住人達が弱さや依存を象徴しているなど,扱っているテーマには意外なほどの深さがありますね。

ヘイガー氏:
 ありがとうございます。それこそが,私のゲーム哲学と言えるでしょう。ブロブの世界観は,一見するとカジュアルで奇妙なものかもしれませんが,風刺のきいたシニカルなテーマをベースに制作したので,大人でも十分楽しめるタイトルだと思いますよ。そういった世界観を,日本語版でもうまく表現してくれたTHQジャパンのスタッフには,非常に感謝しています。

一見すると低年齢層向けゲームだが,世界観や物語のテーマは意外なほど深い。シンプルな操作性と相まって,大人も子供も一緒に楽しめるゲームに仕上がっている
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4Gamer:
 いよいよ発売日が近づいてきていますが,開発でもっとも難しかったこと,苦労したことはありますか?

ヘイガー氏:
 うーん(苦笑)。一番難しかったのは,ブロブのすごさを関係者に納得させることですね。「これ面白いの?」と言われたことも少なくありません。ゲームというのはある意味保守的というか,今までどおりのタイプのものが好まれる傾向がありますよね。ブロブは明らかに異質なゲームなので,それを理解してもらうまでが大変でした。

4Gamer:
 なるほど。確かに日本でも,そういった傾向は見られますね。

ヘイガー氏:
 あと,ブロブの音楽は,私の故郷であるメルボルンで収録したのですが,パブリッシャがアメリカの会社なので,「今までのゲームのような,常識的な音楽にしなさい」という意見も出されました。私達は自分達のスタジオで,生バンドの演奏を収録することにこだわっていたので,説得するのに苦労しました。

4Gamer:
 そうそう,ブロブは「色」にこだわったゲームに見られがちですが,街がさまざまな色に塗られていくと,音楽も豊かになっていくんですよね。

ヘイガー氏:
 はい,そのとおりです。ブロブでは,サウンドがサプライズの要素になっていますね。建物をペイントすると,それによって音楽も変わる。シンプルなアクションゲームに見えるけど,実は音楽のミキシングをするような楽しさも味わえます。

4Gamer:
 音楽だけでなく,グラフィックスのタッチも印象的ですが,グラフィックスエンジンはBlue Tongue Entertainment独自のものを利用しているのですか?

ヘイガー氏:
 ええ,グラフィックスには,当社独自の技術を利用しています。また,アートのスタイルに関しても,レインボーシティという都会が舞台であることを生かすために,グラフィティ(スプレーペイント)のような雰囲気を演出しました。キャラクターがソフトビニールの人形のようなデザインだったりするのも,私達が日々感じている,都会生活の要素を反映したものです。

左が色を塗る前の世界,右が色を塗ったあとの世界。街に色彩を取り戻せば,空が美しく晴れ上がり,音楽にも厚みが出て豊かになる
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Wiiという新しい“遊び道具”が

ブロブにはもっとも適していた


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4Gamer:
 ちなみに,Wiiというプラットフォームを選んだ理由は,どこにあるんでしょうか。

ヘイガー氏:
 Wiiというハードの良さは,シンプルだけど遊びの幅が非常に広いところにあると思います。それが,ブロブの革新性と合致していたというのが大きな理由ですね。

4Gamer:
 確かに,Wiiはいわゆるゲーム専用機というよりも,新しい遊び道具のようなハードですし,ブロブには適しているような気がします。

ヘイガー氏:
 でも,「ブロブはWiiオンリーで展開します」ということで上層部を説得するのは,かなり骨の折れる仕事でした(笑)。

4Gamer:
 Wiiリモコンで操作するゲームの割に,操作性もすこぶる良いという話も聞きました。Wiiリモコンという特殊なコントローラを生かすためには,相当な試行錯誤があったと思うのですが。

ヘイガー氏:
 ええ,それはもう大変でした(笑)。失礼にあたらなければよいのですが,Wiiリモコンも完璧ではない。任天堂もモーションプラスを開発しているくらいなので当然理解しているでしょうが,ノーマルのWiiリモコンでは,通常のゲームパッドで行えるような緻密な操作は難しいんです。我々がもっとも配慮したのは,現状のWiiリモコンで操作しても大味になりすぎず,アクション性も堪能できるようなバランシングです。

4Gamer:
 なるほど,海外での評価を見る限り,苦労のかいがあったようですね。ところで,ご自身がブロブをプレイして,一番面白いと感じるところはどこですか?

ブロブの原型は,オランダの美術系大学生が制作したゲーム「the Blob」。そのセンスと完成度に注目したTHQが,Blue Tongue Entertainmentと共に家庭用ゲーム機向けに開発したのが,「ブロブ:カラフルなきぼう」なのだ
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ヘイガー氏:
 ブロブの面白さは,心臓がバクバクするような感じではなく,プレイしていてじんわりと広がる幸福感や,自分の活躍でより良い世界を作ったときに得られる満足感ですね。とはいえ,ブロブにも刺激的な面はあります。毎回プレイするたびに違う発見があるし,努力に見合った見返りもある。だから何度もプレイしたくなるし,飽きがこない。

4Gamer:
 最大4人のオフラインマルチプレイにも対応しているし,一人でも友達とでも,いろんな楽しみ方ができそうですね。ちなみに,オンラインプレイに対応させなかったのには何か理由があるのですか?

ヘイガー氏:
 実はブロブを(海外で)リリースした時点で,任天堂のネットワークライブラリの使用許可が得られていなかったんです。もし次のバージョンが出るとしたら,ぜひ対応させたいと考えています。

4Gamer:
 おお,オンラインプレイ対応の可能性はあると?

ヘイガー氏:
 まだ詳しいことは何も言えないんですけど,考えてはいます(笑)。

操作性,グラフィックス,音楽のすべてから,楽しさが伝わってくる。早く実際に,思う存分プレイしてみたいものだ
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海外ファンからは“日本っぽいゲーム”と高評価

日本でどう評価されるのかが楽しみなタイトル


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4Gamer:
 ブロブは日本のゲーマーに,どのように受け入れられると思いますか。日本のゲーム市場に対する感想なども,併せてお聞かせください。

ヘイガー氏:
 日本のゲーム市場はやはり特殊ですね。海外の人間では,簡単には理解できないものだと思います。それは,いわゆる洋ゲーと,日本のゲームを比べてみればすぐに分かりますよね。また,カメラコントロールやスピード感などに対する,ゲーマーの向き不向きも大きいと思います。刺激の強い映像を見続けると酔ってしまう人もいるので,ブロブではゲームのテンポをややスローダウンして,カメラコントロールもカスタマイズし,日本市場に適した形に合わせました。

4Gamer:
 個人的な第一印象としては,ブロブは日本っぽい,Wiiっぽいゲームだなと感じたのですが。

ヘイガー氏:
 ありがとう,すごく嬉しいよ(笑)。日本に先駆けて発売された海外版のブロブをプレイした人にも,ブロブは日本っぽいゲームだと言われることが多かったですね。それを私は,当然褒め言葉として受け取っています。プレイした人にそう思ってほしいと考えながら,ブロブを制作したので。

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4Gamer:
 海外メディアからの評価は非常に高いブロブですが,日本のゲーマーはどういう評価をするのか。11月13日の発売日を楽しみにしています。
 それでは最後に,ブロブに注目している日本のゲーマーに,メッセージをお願いします。

ヘイガー氏:
 私自身もゲーマーですし,Blue Tongue Entertainmentのスタッフも,みんな情熱的なゲーマーです。ブロブは,自分達が楽しめないならリリースしない,という信念のもとに制作しました。
 皆さんにも絶対楽しんでもらえると思うし,皆さんそれぞれの楽しみかたをリスペクトしたいと考えています。すでにプレイした多くのファンは,ブロブを「メチャクチャいいね!」「大好き!」と言ってくれています。ええ,もちろん私も大好きです(笑)。
 開発者によっては,「ゲーマーとはこういうものだ」と,上から目線で見ている人もいるかもしれませんが,私達は,開発者もゲーマーも対等だと考えています。私達/皆さんが面白いと感じるゲームは,やっぱり面白いんです。11月13日にリリースされるブロブを,ぜひプレイしてみてください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

画像集#017のサムネイル/[TGS 2008#115]意外と深い“ぬりえアクション”。「ブロブ」クリエイティブディレクター,ニック・ヘイガー氏にインタビュー

 北米/欧州では9月22日に発売された本作。世界のゲームメディアの評価を見る限り,ヘイガー氏の狙いは見事に的中したと言っていいほどの高評価が得られているが,彼自身も言うように,北米/欧州のゲーム市場と日本のゲーム市場はまったくの別物だ。「日本っぽい」ゲームを,日本のゲーマーがどう受け止めるのかに注目したい。
 ともあれ,ブロブに込められた美しさやテーマ性,プレイヤーが幸福感/満足感を得られる仕掛けの数々は,画面写真やヘイガー氏の話からも,十二分に伝わってくる。このインタビューを通じて,ブロブというゲームの手触りやゲーム性に興味が湧いたという人も多いことだろう。11月13日の発売日を楽しみに待つとしよう。
  • 関連タイトル:

    ブロブ:カラフルなきぼう

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