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[GDC 2013]「Star Wars: The Old Republic」のローンチからFree-to-Playになるまでを振り返る。開発元のBioWareが体験したアップ&ダウン
SWTORの目標は,言うまでもなく,2004年のサービス開始以来MMORPGの頂点に君臨し続けている「World of Warcraft」を王座から引きずり落とすことであった。実際,ローンチから1か月間の販売本数は,予約販売と合わせて150万本にのぼる。さらに,2012年2月までに170万本が販売され,この頃のOhlen氏率いるLiveチームのモチベーションは非常に高かったのだという。
ただ,プレイヤーの統計資料などから,1つの大きな課題も浮上していた。それは,SWTORは当初から180時間分にも及ぶコンテンツを用意していたのだが,ほとんどのプレイヤーは週40時間ほどもアクセスしていたので,2012年2月に入ったあたりで「やることがない」という不満が続出していたのである。
MMORPGでは,キャラクターレベルが最上限に達したプレイヤー向けに,ゲームのメイン部分とは直接関係のないコンテンツを実装することで,そのまま遊び続けてもらえるような仕組みを用意することがある。SWTORでも,4月になってようやくそういった機能を実装したのだが,その頃には多くのユーザーが離れていたそうだ。
そして5月の時点では,アクティブユーザー数が130万人に減少し,「Guild Wars 2」や「World of Warcraft: Mists of Pandaria」などライバルソフトのローンチが控えていたこともあり,Liveチームはパニック状態に陥っていたとOhlen氏は説明する。さらに,Rich Vogel(リック・ヴォーゲル)氏など企画段階から開発に携わっていたBioWare Austinの多くのメンバーが辞職。SWTORの責任を取ってか,BioWare本体の創業者であるRay Muzyka(レイ・ミュージカ)氏と,Greg Zeshuk(グレッグ・ゼスチャック)氏までもが,この頃に退職している。
この話をしているOhlen氏が非常に悲しげだったのが印象に残っているが,それほどまでに,2012年初夏のBioWareの気力は低下していたのだと言う。
しかし,上層部が一新されたことにより,当初は「開発費が回収できない」として続けていた月額制のビジネスモデルから,Free-to-Playに移行させる気運が高まった。その結果としてSWTORは,発売から1年も経たない2012年11月にFree-to-Playとなったわけだが,それにより,現在までに450万アカウントが作成されているとOhlen氏は解説する。
そして,MAU(月間のアクティブユーザー数)などの細かいデータは公開されなかったものの,現在ではWorld of Warcraftに続く,欧米MMORPG市場第2位のゲームとなり,再びLiveチームのモチベーションも高まっているのだそうだ。
今後は,4月14日に大型拡張パック第1弾となる「Rise of the Hutt Cartel」がローンチされる。一度はプレイヤー数が激減してしまったSWTORだが,このままの勢いでまた盛り上がりを見せてもらいたいところだ。一度触ってやめてしまったという人も,今では無料でアクセスできるゲームとなっているので,このあたりでSWTORの世界に復帰してみるのも良いかもしれない。
「Star Wars: The Old Republic」公式サイト
Game Developers Conference公式サイト
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