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Call of Dutyシリーズ開発者が新スタジオ「Respawn Entertainment」を設立。同社の作品はElectronic Artsからリリース
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印刷2010/04/13 15:24

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Call of Dutyシリーズ開発者が新スタジオ「Respawn Entertainment」を設立。同社の作品はElectronic Artsからリリース

 モンスターヒットFPS,「Call of Duty: Modern Warfare 2」PC/PlayStation 3/Xbox 360)のデベロッパとして知られるInfinity Wardの幹部,ジェイソン・ウェスト(Jason West)氏とヴィンス・ザンペラ(Vince Zampella)氏が,新しいゲーム開発会社Respawn Entertainmentを設立した。まだ産声を上げたばかりの会社だけに,公式サイトにアーティストやエンジニアを募集するメールアドレスが掲載されているだけという素っ気ない状況。新作タイトルなども決まっていないが,とはいえ,すでにEA Partners(Electronic Artsで外部スタジオを管理する部門)と協力して,Electronic Artsに販売や流通を委託することが発表されている

Call of Duty: Modern Warfare 2
画像集#002のサムネイル/Call of Dutyシリーズ開発者が新スタジオ「Respawn Entertainment」を設立。同社の作品はElectronic Artsからリリース

 3月に入ってからゲーム業界に浮上した,ウェスト,ザンペラ両氏とActivision Blizzardとの確執については,月曜日に掲載したAccess Accepted第259回,歴史的作品「Call of Duty」シリーズの舞台裏で詳しく紹介したとおりである。

歴史的作品「Call of Duty」シリーズの舞台裏


 ウェスト,ザンペラ両氏が,これまでパブリッシャに300億円近い収益をもたらしているといわれるCall of Dutyシリーズの権利の帰属先やボーナス/報償金などをめぐってActivision Blizzardを相手に訴訟を起こしていることは連載でも書いたが,続く2010年4月9日,今度はActivision Blizzardが両氏への反対訴訟を起こしたのだ。

 Los Angeles Times誌が明らかにしたところによると,Activision Blizzardは「二人はActivision Blizzardの所有物であるInfinity Wardのアセットを利用し,Activision Blizzardと株主に損害を与えている」として真っ向から争う構えを見せており,簡単に決着はつきそうもない雰囲気だ。ちなみにこの訴状には,Infinity Wardが「Call of Duty: Modern Warfare 3」を開発していたことも記載されている。発売は2011年とのこと。

 さて,そんなウェスト,ザンペラ両氏のパブリッシャとして名前の挙がったElectronic Artsだが,なんとなく思い出されるのは,2009年に発売されたDouble Fine Studiosの「Brutal Legend」にまつわる顛末だ。
 2008年に同作の制作中止を発表したActivision Blizzardだが,ティム・シェーファー(Tim Schafer)氏率いるDouble Fine Studiosが,EA Partnersとして発売することを明らかにすると,Activision Blizzardが販売差し止めを求めて訴えに出たのである。

Battlefield: Bad Company 2
画像集#003のサムネイル/Call of Dutyシリーズ開発者が新スタジオ「Respawn Entertainment」を設立。同社の作品はElectronic Artsからリリース

 EA Partnersと外部スタジオの関係は,特定のゲームタイトルの販売権だけを譲渡するという緩やかなパートナーシップで,IP(知的財産権)やブランドの利用権は開発側に残る。「自分が生み出したものは自分の手に残したい」という意識が欧米のゲーム開発者達の間で高まっていることもあり,EA Partners式の販売方法はこれから増えていくかもしれない。

 Double Fine Studiosの場合は,裁判所の勧告によってActivision Blizzard側が訴訟を取り下げ,Brutal Legendはスケジュールどおりにリリースされている。

 もっとも,Electronic Artsにとっては,元Infinity Wardのトップをパートナーにすることについては,ちょっと複雑な過去がある。Infinity Wardは,もともと「Medal of Honor: Allied Assault」を開発した2015から分離した会社であり,Infinity Wardが制作したCall of DutyシリーズがミリタリーFPSジャンルのトップの座を占めたため,Medal of Honorシリーズは影が薄くなってしまった。Electronic ArtsはMedal of Honorシリーズを再度盛り上げるため,2010年中に新作「Medal of Honor」を投入する予定になっている。

Medal of Honor
画像集#004のサムネイル/Call of Dutyシリーズ開発者が新スタジオ「Respawn Entertainment」を設立。同社の作品はElectronic Artsからリリース

 そんなわけで,もしRespawn EntertainmentがポストCall of Dutyを狙ったミリタリーFPSを制作する場合,Electronic Artsは同じような系統の作品を二つ抱えることになるわけだ。
 さらに,Electronic ArtsにはBattlefieldシリーズもある。2010年3月にリリースされたばかりの「Battlefield: Bad Company 2」PC/PlayStation 3/Xbox 360)は,まさにCall of Duty: Modern Warfare 2を追撃するための一本であり,シングルプレイではCall of Dutyを意識したジョークがたまに聞かれたりする。CoDMW2派とBFBC2派に分かれたファンが,フォーラムなどで激しい論議や口論を行なっているというのは,欧米だけの現象ではないだろう。

 かくしてElectronic Artsは,ミリタリー系FPSシリーズを三つも抱える可能性があるわけで,自社タイトル同士が市場を奪い合うという最悪の状況を避けるためにも,それぞれの棲み分けを明確にし,場合によっては,ラインナップの組み直しも含めた抜本的な販売計画を行ってくることにもなるだろう。

 もっとも,Respawn Entertainmentから新作が登場するのは,遅くとも2〜3年後のことになるはずなので,以上はちょっと気が早い心配かもしれない。いずれにしろ,ウェスト,ザンペラ両氏とActivision Blizzardの問題も含め,Respawn Entertainmentはしばらく欧米ゲーム業界の話題の中心になりそうだ。
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