インタビュー
ボーカルコンサート「Score Re;fire #2 〜WILD ARMS Vocal Songs Concert 2019〜」を控えたなるけみちこ氏を直撃。2度目のコンサートへの意気込みを聞く
昨年12月に行われた,「WILD ARMS」シリーズのボーカル曲を集めたコンサート「Score Re;fire #1 〜WILD ARMS Vocal Songs Concert〜」の再演となるが,構成の変更や新たな楽曲も演奏予定ということで,“渡り鳥”と呼ばれるファンの間でも話題となっている。
前回の内容も踏まえて,今回の講演内容について,コンサートの監修及び楽曲の作曲・アレンジを手がける作曲家のなるけみちこ氏に聞いた。
「ワイルドアームズ」シリーズの名曲が鳴り響いた「Score Re;fire #1 〜WILD ARMS Vocal Songs Concert〜」レポート。2人の歌姫が“渡り鳥”達を魅了した
2018年12月15日,「ワイルドアームズ」シリーズのボーカルコンサート「Score Re;fire #1 〜WILD ARMS Vocal Songs Concert〜」が,神奈川・横浜関内ホール 大ホールにて開催された。数々の名曲が鳴り響いたコンサートをレポートする。
「Score Re;fire #2 〜WILD ARMS Vocal Songs Concert 2019〜」公式サイト
前回のコンサートでできなかった曲も追加!
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
今回は,昨年12月の公演の再演となるそうですが,具体的にはどのような内容になるのでしょうか。
前回のコンサートは昼と夜の2回公演だったんですが,そのために時間が足りなくて,演奏したい曲を2/3ぐらいしか選べなかったんです。ですので今回は,できる限り曲を詰め込むような構成にしています。バンドの体力がちょっと心配ですが,間に休みを入れつつ,なんとか頑張ってもらいます。
また演奏する曲のアレンジもブラッシュアップします。今,必死に作り込んでいる最中です。
4Gamer:
演奏をされる「渡り鳥バンド」は前回と同じ編成ですか?
なるけ氏:
メンバーが1人少ないんですがほぼ同じで,ボーカル3人にギター,ベース,ドラム,ピアノ,ホーンセクションが3人とパーカッションとヴァイオリン,ピアノが入る編成です。
ホーンセクションにヴァイオリンがいたりとか,ちょっと珍しい編成になっているんですが,彼らがいないとこのコンサートは成立しませんからね。
4Gamer:
ホーンセクションとヴァイオリンはけっこうインパクトがあって,前回も演奏を非常に盛り上げていました。
なるけ氏:
ありがとうございます。ホーンのメンバーは前回の2公演ではかなりクタクタになっていたんですけど,よく頑張ってくださいました。今回も長丁場になりそうなので,あの時以上に頑張っていただく予定です(笑)。
バンド全員がゲーム音楽のコンサートへの出演やレコーディング参加経験のあるメンバーなので,演奏も自然なんですよね。皆さん我慢強くて,いい人達です(笑)。
4Gamer:
メンバーはなるけさんが決められているんですか?
なるけ氏:
基本的には私が決めています。最初にドラムとギターはこの人と決めて,そこからメンバーを集めました。アンサンブルを聴いて演奏してくれるという,“腕のある人”というのが基準です。
ピアノの藪野遥佳さんは,普段はジャズピアノの演奏をしていて,私がそっちの要素を持っている人を探していたときに,岩垂(徳行)さんからご紹介いただきました。
ホーンセクションは,トランペットの野口(勇介)君と何度か仕事をする機会があって,彼と波長の合うメンバーを選んでもらったんです。ただ,サックスに関しては,今回私が使いたいと思った女の子を入れています。
4Gamer:
主役であるボーカリストは,今回も同じメンツですよね。
なるけ氏:
はい,麻生(かほ里)さんと織田(かおり)さん,コーラスのSAK.ちゃんの3人で,曲によってボーカルとコーラスのそれぞれが入れ替わって担当する演奏は,このコンサートの魅力の一つだと思っています。
麻生さんや織田さんは普段はボーカリストですが,コーラスに回っても歌えるというのは,本当にうまいからこそなんですよ。
4Gamer:
なるけさんから見て,麻生さんと織田さんの魅力ってどんなところなんでしょう?
なるけ氏:
うーん,一言で言うのは難しいな(笑)。麻生さんは女優さんでもあり,ミュージカルに多く出演しているせいか,“凄み”みたいな味わいがありますね。声に情報量が多くて,説得力があるんです。
織田さんは,とにかく抜群にうまいです。何を歌ってもらっても,リズムもピッチもすべてにおいて正確で,十代の頃から厳しい現場で歌ってきただけあります。
コーラスのSAK.ちゃんも含めて,3人ともとても格好良くて,そこが選考基準みたいなところもありましたね。
4Gamer:
期間として一番長く関わっているのは麻生さんですよね。
なるけ氏:
ええ。麻生さんは「WILD ARMS 2nd IGNITION」からの参加です。その前は渡辺真知子さんに歌っていただいたんですが,実はあのときは歌を入れる想定ではなく,エンディングはインストで作っていたんです。それを歌にしたいという現場からの意向があったのですが,エンディング曲の音域がとにかく広いので,それに対応できるボーカリストとして,急きょ,真知子さんにお願いした経緯がありました。
4Gamer:
そんな経緯だったんですね。
なるけ氏:
それを踏まえて,2nd IGNITIONでは最初から歌を入れることが決まっていて,実は当初,私は別の声優さんに歌っていただこうと考えていたんですが,金子(彰史)君が麻生さんをボーカルに起用したいという提案があり,検討した結果,最終的に麻生さんに決まりました。実際に歌ってもらうと,当時からビックリするぐらいの実力派で,今やWILD ARMSシリーズの代表的なシンガーになりましたね。
4Gamer:
一方の織田さんとの出会いはどんな感じでした?
織田さんはシリーズとしては「WILD ARMS XF」からの参加で,そのとき私は諸事情で作詞だけで参加させていただきましたが,音源で彼女の声を聴いたときはすごく若々しくて,実際に年齢もまだ十代でしたね。
その後,彼女と直接会ったのは別のタイトルでした。初めてレコーディングで一緒になったときに,XFから数年しか経っていないのに声に厚みが増して急成長しているのがハッキリ分かりました。現在進行形で歌も凄くうまくなっているぐらいの実力者で,とても信頼できるボーカリストです。
4Gamer:
前回の公演では,出演者の皆さんの衣装も世界観に合わせたウエスタンルックで決まっていましたね。
なるけ氏:
コンサートをやるのなら,絶対にそうしたかったんです。全員共通なのはカウボーイハットとバンダナで,できればベストも着用して,ホーンセクションに限ってはポンチョを身にまとってもらいました。あれも前々日ぐらいにやっとそれっぽい布が見つかって,当日の朝までミシンをかけて作っていましたからね(笑)。
4Gamer:
そんな手作り感あふれる衣装だったんですか?
なるけ氏:
そうなんです。西部劇っぽいポンチョにこだわっていたので。ボーカリストにもちょっと凝って作り込んでもらいました。麻生さんにはガンベルトとかアクセサリーを付けてもらいました。織田さんは西部の酒場の派手な女というコンセプトです。スイングドアをばーんと開けると羽をつけた赤いドレスの跳ねっかえり娘がいるんです。
4Gamer:
今回も皆さんはあのスタイルになるんですか?
なるけ氏:
はい,現在相談中なのですが,メンバー全員に揉んでもらっている最中です。世界観を知っているなら,見た目も楽しんでいただけるようなものを目指していますね。
4Gamer:
ステージに置かれたたき火のオブジェなどもありましたね。
なるけ氏:
あれはLEDで赤い光を出してそこに水蒸気を発生させるという大道具で,それを置いてみたんです。夜にたき火を囲むという雰囲気のある演出ができましたので,今回も用意する予定です。
また今回,見た目的な演出をもう一つ加えていますので,そちらは当日を楽しみにしていただきたいですね。
4Gamer:
ネタバレにならない程度に,選曲がどんなものになるかも教えてください。
なるけ氏:
前回の選曲も外せない曲ばかりで,オープニング曲に関しては演奏する予定です。あとはサウンドトラックにしか入っていない曲とかもあります。
4Gamer:
このコンサートで初めて演奏される曲もあるそうですね。
なるけ氏:
はい,前回が終わって,また次にコンサートがあるならやりたいと思っていた曲を中心に考えていたんですが,ちょっと方針を変えて,短期間ですがTwitterでやってほしい曲を募ってみたんです。そうしたら,思いがけない曲を挙げてくれる方が多くて,そちらを優先してやろうということになりました。
前回来ていただいた方にも,「やっとやってくれた」と思えるような曲も用意していて,インストの曲も演奏させていただく予定です。
4Gamer:
嬉しい構成ですね。コンサートの制作は順調でしょうか。
なるけ氏:
いえ,これがけっこう大変なんです。再演といっても追加曲がありますから,新規でスコアを作るものもありますし。
アレンジに関しても一辺倒ではなく,アレンジャーが本当に頑張ってくれて,いろいろと工夫しているので,演奏するのも大変だと思いますね。
来場者が“渡り鳥”の一員となれる演出を,公演前にも用意
4Gamer:
前回のコンサートを聴いて思ったのですが,「WILD ARMS」シリーズはボーカル曲も含めて非常にたくさんの曲がありますよね。
なるけ氏:
そうですね,約20年前のタイトルとしては,かなり多いほうだと思います。オープニング,エンディング,中断曲や挿入曲なんかもありますからね。「WILD ARMS 2nd IGNITION」なんかは歌だけで6曲とかありますし。
4Gamer:
音楽ゲームではなく,RPGですもんね。だからこそ今回のようなボーカルコンサートも成立するのでしょうけど。
なるけ氏:
確かにそうですよね。楽曲も2枚出している「ヴォーカルコレクション」からの選曲なので,そちらを聴いていただければ予習もできると思いますよ。
4Gamer:
前回は岩垂徳行さんが裏方として参加されていましたが,今回も引き続き参加されるのでしょうか。
なるけ氏:
はい,岩垂さんは今回もアレンジと,サウンドディレクションの担当で,バンドの面倒を見てもらっています。
4Gamer:
前回は,アレンジャーの穴沢(弘慶)さんと一緒にステージに出てきて,物販グッズのトークを始めたのが面白かったです(笑)。
なるけ氏:
ステージでは邪険にして申し訳なかったです(笑)。
岩垂さんも穴沢さんも,いつも本当にすごい現場でお仕事をされていて,今回の大所帯をまとめていただく役目として,このコンサートになくてはならない存在です。
4Gamer:
その物販なんですが,今回はどんなものを用意されるんでしょうか。
なるけ氏:
今回は新しく有料のパンフレットを作らせていただきました。そのほかは,追って発表させていただきます。
それともう一つ,来場される方にお願いがあるんですが,入場時に渡り鳥の形をしたステッカーをお配りしますので,渡り鳥の一員としてそこにメッセージを書いていただいたいと思っているんです。
4Gamer:
ステッカーということは,どこかに貼ったりするんですか?
なるけ氏:
ええ,ホールのホワイエに大きなスペースを用意しますので,そこに寄せ書きのようにして記念に貼っていただければ嬉しいです。
4Gamer:
「Score Re;fire」としての公演は,今後も何か構想などはあるんでしょうか?
なるけ氏:
公演としては1タイトルに縛りたくないという思いもあって,私が仕事で手がける機会のあった曲を,喜んでくれた方に生演奏でお返ししたいというコンセプトで,今後も続けていきたいと思っています。
4Gamer:
ちなみに,このタイトルにはどんな意味が込められているんですか?
これはWILD ARMSの20周年のときに付けたタイトルで,そもそも「Score」には諸説あって,“得点”や“譜面”という意味に加えて,ヨーロッパの言葉で“羊飼いが羊を数えるのに手足の指を使って20を数えた”という「20」という意味もあって,それと20周年をかけたんです。
「Re;fire」は「fire」の部分に“灯火”という意味を込めています。WILD ARMSは今の「ワイルドアームズ ミリオンメモリーズ」(iOS / Android)まで10年以上新作が出ていなかったんですが,その間も突然サントラの売上げが上がったり,ファンのイベントがあったりとか,どこかで誰かが盛り上げてくれているんです。
常に忘れられずにいる存在感に対し,灯火という言葉を使わせていただいて,「Re;fire」にはその情熱をお返しするという気持ちを込めました。
4Gamer:
WILD ARMSという作品に向けた意味合いが強いんですね。
なるけ氏:
まずはそこですね。今後はさまざまな灯火にご恩返しという意味で,いろいろ活動していければと考えています。
4Gamer:
最後にコンサートを楽しみにされている方に一言お願いします。
なるけ氏:
この規模のコンサートは,私の力では恐らくしばらくできないと思いますので,渡り鳥の皆さんには聴き逃さないでいただきたいという気持ちが強いです。
また再演ということで,もう一度演奏ができることをとても幸せに思っています。喜んでくれる皆さんのおかげです。本当に感謝ています。
4Gamer:
コンサート本番も期待しています。ありがとうございました。
「Score Re;fire #2 〜WILD ARMS Vocal Songs Concert 2019〜」公式サイト
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