インタビュー
ロックスター・ゲームスが目指した理想のオープンワールドゲームとは? 10月7日に発売が決定した「RED DEAD REDEMPTION」,プロデューサーのリッチ・ロサド氏にインタビュー
本作は「グランド・セフト・オート(以下,GTA)」シリーズを開発したことで有名な,ロックスター・ゲームスが手がける最新作で,1911年のアメリカ西部地方やメキシコを舞台に,元義賊である“ジョン・マーストン”の死闘が描かれる。同作の海外版については,「こちら」や「こちら」の記事でも紹介しているので,ゲームの詳細が知りたいという人は参考にしてほしい。
今回4Gamerでは,そんな「RDR」の北米版プロデューサーを務めたリッチ・ロサド氏に,本作の詳しい内容について直接話をうかがう機会を得た。以前から「RDR」が気になっていたという人はもちろん,すでに海外版をプレイ済みの人も興味を引かれるはずの内容なので,ぜひ目をとおしていただきたい。
「RED DEAD REDEMPTION」公式サイト
「GTAIV」を凌駕する広大なオープンワールドは
いかにして生まれたのか
ソフトの発売後は,西部開拓時代をモチーフにしたゲームが珍しかったという点も追い風になり,成功と言っていい成果を出したという「レッド・デッド・リボルバー」だが,ロックスター・ゲームスとしては満足しておらず,いずれまたこの時代に焦点を当てた“本当の意味でのロックスター的な作品”を作ろうと決意していたらしい。
なお,ロックスターといえば「GTA」シリーズでもお馴染みのオープンワールドだが,「レッド・デッド・リデンプション」では,少なくとも「GTAlV」に匹敵,あるいは凌駕するほど広大なフィールドを作ろうと,当初から計画していたそうだ。
また当時の武器といえばリボルバーが定番だが,「RDR」ではリアリティを追求するために,その時代に存在していた銃しか登場させず,さらにそれらの銃に関しても,ディテールにまでこだわり忠実に再現している。照準もあえて,この時代の実物にあわせ不正確にしたのだというから驚きだ。ゲームの間口を広げようと考えた場合,照準は正確であるに超したことはないのだが,ロサド氏は「これは当時の銃撃戦を忠実に再現した結果です」とコメントした。
その後,話題は主人公 ジョン・マーストンへと移る。ロサド氏が言うには,マーストンはロックスター・ゲームス作品の中で最もディテールにこだわった主人公とのこと。ライフルを背負い投げ縄を携帯しているという,ガンマンの王道を貫くファッションはもちろん,言動や歩き方などにも相当気を使って制作したらしい。ロサド氏曰く「ジョン・マーストンは,ただカウボーイハットを被らせただけのキャラクターではありません。我々は実際のカウボーイについても時間をかけて調査し,「RDR」の世界に十分マッチするようなキャラクターを創るべく努力してきました」とのことだ。海外版をプレイしていない人で日本版の購入を考えている人は,そういった部分にも注目してプレイしてみると,また違った発見があるかもしれない。
さて,ここからは4Gamer的に気になる部分をロサド氏に質問してみた。気になる規制に関しても聞いてみたので,日本版RDRに興味がある人は,ぜひご覧あれ。
4Gamer:
日本版の発売日が意外と早かったことに正直驚いたのですが,ローカライズは当初から決定されていたのでしょうか?
はい。僕らにとって日本はとても大切な市場です。なのでこの2〜3年の間は,どうしたら良質なローカライズ作品を素早く日本の皆さんにお届けできるか,ということをずっと協議してきました。現在,Rockstar New Yorkには,スクウェア・エニックスでもプロデューサー経験のあるローカライズスタッフが所属しています。そして,彼らには「RDR」の膨大な量の台本すべてに目を通してもらい,ただ内容を伝えるだけじゃなく,実際の雰囲気もきちんと表現されているかどうかなどを,入念にチェックしてもらっています。これからはより一層,海外の発売日と日本の発売日の間隔を縮めていきたいと思っています。
4Gamer:
海外版ではゴア表現がはっきりと描かれていたのですが,日本語版に関しての規制はどのような感じになっているのでしょう?
ロサド氏:
もちろん修正した箇所はありますが,それは本当にライトな修正だけに留めています。僕も日本版をプレイしたのですが,正直言って修正があったということに気づかないほどでした。
4Gamer:
何かコンテンツが削られているわけではないんですね?
ロサド氏:
はい。ゲームプレイに関しては,海外版そのままのボリュームを楽しんでいただけます。流血や暴力表現に関しても同様ですね。やはりオープンワールドゲームですから,過度に修正してしまったら世界観が崩れてしまいますので,そこは十分気を使っています。
4Gamer:
映像に関してはほぼ規制なしということですが,テキストに関してはどうでしょう。当然,汚い言葉などもあると思うのですが,その辺はどのようにローカライズされているのか気になります。
ロサド氏:
言葉に関しても問題はありません。ローカライズスタッフは日本語版で,英語と同じニュアンスを出すために努力しています。汚い言葉だからといってカットするのではなく,洋画の字幕のように,セリフのニュアンスはそのままにして,自然な感じで日本語に直しています。テキストに関しても,かなり時間をかけて取り組んでいますので,ご安心ください。
4Gamer:
海外ではダウンロードコンテンツがすでに配信されていますが,日本語版DLCの配信予定について教えてください。
ロサド氏:
当然,日本版のDLCも配信を予定しています。すでにローカライズ作業も始まっていますよ。ただ日本では発売日が決まったばかりですので,具体的な配信日や内容に関しては,現時点ではまだ何とも言えません。ちなみに欧州では,発売日から3か月が経っていますが,ダウンロードコンテンツに関しては,まだ一つしか配信されていません。日本でもしばらくは同じ展開になると思います。
4Gamer:
マルチプレイをするとき,サーバーは全世界共通のものになるのでしょうか。それとも日本のみのサーバーになるのでしょうか。
ロサド氏:
「GTAIV」と同じく,サーバーはワールドワイドになります。世界中のプレイヤーと,刺激的なマルチプレイで遊べる日を楽しみにしていてください。
4Gamer:
本日はお忙しい中,ありがとうございました。
インタビューはここで終了となったが,ロサド氏は「RDR」の世界観について,まだ,どうしても伝えたいことがあるという。最後に本稿の締めとして,ロサド氏からのメッセージをまるごと掲載しよう。
「RED DEAD REDEMPTION」公式サイト
「RDR」は本当に膨大な時間をかけながら各地域を調べ,地域ごとにどういう要素を入れればいいか,ということを考えて制作しました。このゲームをプレイした人達が,実際にその場所に行ってみたいと思うくらい,各地域の再現度が高いのです。そういう意味では,「RDR」は「GTAIV」よりも,さらに進化したといえます。
「レッド・デッド・リボルバー」も高い評価をいただきましたが,僕らは満足していません。というのも,当時は僕らが本当に表現したかった世界を作るためには,ハードの性能が十分ではなかったのです。
しかし現在は,PlayStation 3とXbox 360が登場したことで,僕らが本当に作りたかったものがようやく作れるようになった。今だったら僕らの作りたいゲームが制作できると思ったんです。それが今から4年前ですね。
「GTAIV」も,もちろん誇れる作品なのですが,あらゆる部分で「RDR」が「GTAIV」よりも進んでいるということが分かってもらえるはずです。世界もさらに大きくなっていますし,マルチプレイもより面白くなっていますしね。
「RDR」の世界では,ランダムにいろんなことが起こりますし,同じことは二度と起きません。それは僕らが,徹底してリアリティのある世界を創っているからなんです。プレイヤーは,プレイするたびに新しい体験や発見が楽しめることでしょう。
現在,ゲーム市場には素晴らしいゲームがたくさんありますが,その中でも「RDR」をとくに目立つ作品にするべく,我々は頑張ってきました。僕らは,ただゲームを作っているだけではなく,ゲームの可能性がより大きく広がっていくような作品づくりを目指しているんです。ほかのゲームクリエイターの方々が,僕らの作品から影響を受けて,自分達も新しいことをやろうとチャレンジしてくれたら,とても嬉しいですね。
今回,「RDR」を日本市場に送り出す機会をいただいて嬉しく思っていますし,日本のゲームファンの方々や,メディアの皆さんに応援していただけるのも非常にありがたく思っています。これからもロックスター・ゲームスは,素晴らしいゲームをどんどん日本市場に送り出したいと考えています。皆さんよろしくお願いします。
- 関連タイトル:
Red Dead Redemption
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(C) 2005-2011 Rockstar Games, Inc.
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