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Cooler Masterの片手用キーパッド「ControlPad」は,Cherry赤軸なのにアナログ入力ができる!?
「KEYBOARD? GAMEPAD? WHY NOT BOTH?」(キーボード? ゲームパッド? なぜ両方じゃないの?)と書かれた一画に置かれていたのは,Cooler Master製の片手用キーパッド「ControlPad」という製品だ。「Aimpad Technology」(以下,
ControlPadの見た目は,大きめのパームレストが付いた10キーパッドのようである。天板には24個のキーが並んでおり,D-Padやアナログスティックのような入力装置はない。本体の奥側には,大きなホイール「Precision Wheel」が2つ並んでいる。
10キーパッドのサイズでパームレストが付属するというのはちょっと珍しいが,ControlPadは,キースイッチを天板上に設置したフローティングデザインを採用しているので,キートップの背が高いことに対応するためだろう。
本体の裏側にはスタンドがあり,PCとの接続に使うUSBケーブルが底面側につながっていた。なお,ControlPad側のUSBポートは,USB Type-C形状となっている。
ControlPadはキースイッチとして,Cherry製のメカニカルキースイッチ「Cherry MX RGB Red」か,Huizhou Gateron Electronic Technology(以下,Gateron)製のCherry MX互換メカニカルキースイッチを採用した2種類の製品がラインナップされている。キースイッチ以外の基本的な仕様に違いはないようだ。
しかし,Cherry MX RedにしろGateronの互換キースイッチにしろ,スイッチのオンとオフしか判定できず,当然ながらアナログ入力などはできない。ゲーマー向けキーボードでは一般的なメカニカルキースイッチを使いながら,アナログ入力を実現している仕組みが,Aimpadというわけだ。
筆者がCooler Masterブースを訪れたとき,幸運にもAimpadの開発元である同名の米国企業AimpadでPrincipal Engineerを務めるLance Madsen氏と出会えたので,同技術に関する簡単な説明を受けることができた。
Madsen氏によると,Aimpadとは,キーパッドに組み込んだ赤外線LEDを使用して,キーがどれくらいの深さまで押し込まれたのかをキースイッチ本体とは別に認識する技術であるという。キースイッチ自体には手を加えておらず,キータッチなどにも影響はない。この仕組みにより,Cherry MX Redや互換キースイッチでもアナログ的な入力を可能にしているわけだ。
筆者が説明を受けたのは,ControlPadではなく,Aimpad対応のフルキーボード製品「MK850」によるデモであった。ControlPadは,すべてのキーがアナログ入力に対応しているが,MK850が対応するキーは,[Q/W/E/R]キーと[A/S/D/F]キーだけとなっている。
MK850をPCに接続すると,Windows 10はキーボードだけでなく,ゲームパッドも接続されたように認識する。コントロールパネルでゲームパッドの設定を確認すると,Aimpad対応キーがそれぞれ,ゲームパッドのX軸,Y軸,Z軸のアナログ入力に対応している様子を確認できた。
たとえば,[W]キーをゆっくり押し込むと,割り当てた軸でアナログ入力が行われたようにWindows 10は認識する。そのため,基本的にゲーム側はアナログ入力可能なゲームパッドに対応していれば,Aimpadでゲームを操作できるようだ。
ゲームにおいては,ゲームパッドでアナログスティックや[L/R]トリガーを入力するときのように,軽くキーを押せばゆっくり動き,強くキーを押せば素早く動くといった押し分けが可能になる。スムーズな押し分けには,多少慣れも必要だろうが,FPSやTPS,あるいはフライトシミュレータをキーボードでプレイするときには役立ちそうに思えた。
ただ,大変残念なことに,会場のデモPCではAimpadの設定機能がバグっていて一切操作できなかったので,実際の設定を確認することはできていない。ソフトウェアはCooler Master製なので,Madsen氏もどうにもできず,苦笑いするしかないようだった。
実際にゲームで実力を試すことができなかったのは残念だが,片手用ゲームパッドにアナログ入力を組み込むというのは面白い試みだと思う。
Cooler Masterは,KickstarterでControlPadのクラウドファンディングプロジェクトを行っており,早期申し込みの受付はすでに終了している。一般向けの価格は,Gateron製スイッチ採用モデルが80ドル,Cherry MX Red採用モデルは85ドルからとなっている。
COMPUTEX TAIPEI 2019に出展していたということは,いずれはControlPadの一般向け販売も行われるだろう。日本市場への投入も期待したいところだ。
KickstarterのControlPadクラウドファンディングページ(英語)
Aimpad公式Webサイト(英語)
Cooler Master公式Webサイト
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Cooler Master(旧称:CM Storm)
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