インタビュー
“一撃多殺!!77匹狩り”の爽快アクションとなって帰ってきたMMORPG「エターナルブレイド」,新規参入の運営会社に聞く,生まれ変わったゲームの中身
IL:Soulbringerは,2011年6月に日本サービスが開始されたが,同年11月にはリニューアルを行うとしてサービスが中断されていた(関連記事)。その後,エターナルブレイドとしてゲームポータルサイト「ゲームハート」にて運営されることが発表されている(関連記事)。
IL:Soulbringerからエターナルブレイドへとタイトルが変わるにあたって,どういった部分が変化したのか。本作の運営を担当するアドバンスメント 代表取締役社長 青島喬彦氏に話を聞いてみた。
「エターナルブレイド」クローズドβテスター募集はこちら
本日はよろしくお願いいたします。
エターナルブレイドは,アドバンスメントとしては初のオンラインゲーム運営への取り組みになると思いますが,オンラインゲームではどういった部分が重要になると考えらておられますか?
青島喬彦氏(以下,青島氏):
弊社は,これまでスマートフォンやフィーチャーフォン向けの着せ替えサイト「キセカエコーデ」や,モバイル広告,WEBサイトのコンサルティングといった,主に携帯電話向けのインターネットメディア関連事業を行ってきましたが,サービスを行ううえで一番大切なのはユーザビリティだと考えています。それはオンラインゲームでも同じで,まずはプレイヤーさんありきで,いかに人が集まれる場を作るかに重点を置いてサービスを行っていきたいです。
4Gamer:
携帯電話用サービス中心でやってきたということは,今後はスマートフォンでのオンラインゲーム展開なども考えておられるのでしょうか。
青島氏:
はい。将来的にはスマートフォン向けのMMORPGも手がけていきたいですね。
4Gamer:
まずは,PC版で運営ノウハウ蓄積といったところでしょうか。
ところで,エターナルブレイドが提供されるゲームポータル「ゲームハート」では,2012年10月に「プレイヤーさんから運営してほしいタイトルを募集する」というユニークな試みを行われたのが印象的でした。
そこで挙がったタイトルとして,今回のエターナルブレイドのサービスが決まったわけですよね。運営するタイトルを決めるときに,プレイヤーさんの意見を募集するというのは,なかなか聞かない話ですが。
青島氏:
どのタイトルを運営するかというのは,運営会社にとっても大きなテーマです。無難なタイトルにするのか,資金を投入して売れ線とされるタイトルを持ってくるか。ある程度の予想はつくとしても,実際にどれくらいヒットするかは,サービスを始めてみないと分かりません。プレイヤーさんも,運営会社からのリリース情報に基づいてゲーム選びをされますが,蓋を開けてみればイマイチだったということもあると思います。
加えて,ゲーム業界がちょっと停滞気味だという事情もあります。それなら,皆さんが本当にほしがっておられる,やりたいと思うものを,我々とプレイヤーさんで一緒に作っていきたい……という思いがあり,投票企画を行いました。
投票とともに熱意のこもったメッセージもいただきましたし,中には「これだけの仲間を集めてゲームを遊びます」というお声もありまして,こちらとしては感謝の気持ちで一杯ですね。
4Gamer:
プレイヤーさんの生の声を聞かれたということですね。
青島氏:
目指すのは「一撃多殺」のMMORPG
では改めて,エターナルブレイドを初めて知るという読者に向けて,ゲームの概要などを説明していただけますか?
青島氏:
エターナルブレイドは,神々への復讐の物語で,プレイヤー達は神々に滅ぼされた最後の人間という設定です。それというのも,ゲームの舞台となる世界では,神の娘二人が互いに争い,大きな戦いが起こったからなんです。神の娘の一人は人間に助けを求めたため,人間界を巻き込んでの大きな戦いとなり,とうとうプレイヤー達が最後の生き残りとなってしまいました。そこでプレイヤー達は復讐に立ち上がった……というのが物語の背景となります。プレイヤーはクエストなどを進めていくことで,徐々に神の力を手に入れ,神々に対抗できる力を身につけます。復讐のための冒険を進めていくんです。
ゲーム内容としては,一対多の爽快感ある戦いをフィーチャーしているのに加え,大型モンスターなど歯ごたえのある相手とも戦っていくことになります。
4Gamer:
IL:Soulbringerからエターナルブレイドとなって,どういった部分が変化しているんでしょうか。
青島氏:
以前のIL:Soulbringerでは,ゲームバランスの問題やコンテンツ不足から,プレイ速度が予想以上に速くなり,すぐにやることがなくなってしまっていました。とくに日本サービスではプレイヤーさんのレベルアップが速く,これは開発元にとっても予想外の事態だったようです。
また,課金アイテムの価格が,プレイヤーさんにとって少し厳しめなところがありました。こうした問題点から中長期的な展開が難しいのではないかということになり,いったんサービスを中止していたんです。中止したうえで,コンテンツを充実させ,ゲームバランスを見直そうということですね。
その結果としてできたゲームですので,エターナルブレイドは,単なるサービス再開ではありません。サービス中断後に,ゲームの調整や大掛かりな改修などを行ってきたんです。
4Gamer:
先ほど「コンテンツ不足による,コンテンツの消費速度が問題だった」という話があました。コンテンツの消費速度を抑えるためにはゲームを難かしくする必要があると思うのですが,ユーザーフレンドリーさと難度アップを,どう両立させていくのでしょうか。
青島氏:
誤解を恐れずに言うと,IL:Soulbringerは簡単にレベルが上がりすぎたんです。ゲーム展開に起伏がなく,淡々とレベルだけが上がっていくという,プレイヤーさんにとっては飽きやすい進み方だったんですね。
そこで,プレイヤーさんには満足感を味わっていただきつつ,ゲーム展開には緩急をつけるバランス調整を行っています。例えば,序盤にも少しやりごたえのある部分を盛り込んでいくなどですね。
ですので,“ユーザーフレンドリーさ”と“ゲームの遊びごたえ”は両立できるものだと考えています。すでにエターナルブレイドは韓国でサービス中ですが,ゲームを始めてから3週間後まで遊んでいただいているプレイヤーさんの数が,IL:Soulbringer時代から3〜4倍に増えているというデータが出ていますね。
4Gamer:
これはリニューアルで爽快感に注力したことが功を奏したんでしょうか。
青島氏:
そうですね。IL:Soulbringerでは方向性がブレていたところもあったんですが,エターナルブレイドは「敵をたくさん引きつけ,一気に狩る」という打撃感と爽快感に焦点を当てており,アクション性も,これまでよりアップしています。サービス休止後のバランス調整により,バリバリ敵を倒していくハックアンドスラッシュ系,よりスピード感と爽快感のある方向へシフトしていったというところですね。ストーリーも,復讐を軸とした重厚なものとなっています。爽快なプレイと重厚なストーリーの両方を楽しんでいただきたいですね。
4Gamer:
この方向性を象徴しているのが,「一撃多殺!!77匹狩り」というコピーなわけですね。
青島氏:
実際には,100匹前後のモンスターを集めて一気に狩ることもできます。ただ,キリがよくて(?)縁起のいい数字ということで「77匹」にしてみました。
ほかの作品ではモンスターのAIの関係もあって,頑張って引きつけても十数匹前後なんですが,エターナルブレイドではガッツリと大量のモンスターが襲いかかってきますよ。あまり集まりすぎても,MPK(モンスターにほかのプレイヤーを襲わせること)ができてしまいますのでバランス取りが難しいんですが,たくさんのモンスターに襲われて,それを切り抜けていくのはなかなか熱いです。
4Gamer:
そんなにたくさんのモンスターが出ると,マップ内がもの凄いことになりそうですね。
青島氏:
狩り場はいわゆるオープンフィールドですが,インスタンス的なダンジョンも用意されています。こちらは難度が高いですね。ゲームバランスに関しては,プレイヤーさんにご意見をいただき,適切に調整できればと考えています。そのために,オープンβテストではアンケートを実施し,いただいた声をゲームに反映させていきたいです。例えば,新しいコンテンツを希望されるご意見が多ければ,開発元と協議したりといったことですね。
4Gamer:
みんなで多数狩りをすると,サーバーの負荷が大変そうですが。
青島氏:
確かにクローズドβテストではそこが一番の懸念点ですね。ただ,韓国ではとくに問題なくサービスが行われていますし,弊社も万全の体制で臨むつもりです。開始直後こそ初期の狩り場が混雑するでしょうが,安定稼働のタイミングに入ればプレイヤーさんもうまく分散するのではないかと考えています。
4Gamer:
PVには大型モンスターの姿も見えますね。
青島氏:
このモンスターは,ストーリーを左右するような重要な存在です。詳細は遊んでいただいてのお楽しみということで,現時点では秘密にさせてください。
4Gamer:
分かりました。ところで,本作は基本無料+アイテム課金形式でのサービスとのことですが,どういったアイテムが販売されるのでしょうか。
青島氏:
中心となるのは,ゲームを円滑に進めていただくためのアイテムとコスチュームですね。アイテムに関してはIL:Soulbringer時代よりも安価で提供させていただきます。コスチュームは季節のイベントにちなんだものなどいろいろご用意してあります。
4Gamer:
「これからは,こんな風にエターナルブレイドを運営していきたい」という意気込みなどをお聞かせ願えますか?
青島氏:
プレイヤーさんに,より近い運営をしていきたいです。プレイヤーさんの目線に立ち,プレイヤーさんのことを第一に考えていく,より多くのプレイヤーさんに遊んでいただけるような,親しみやすい体制を作っていきたいですね。
4Gamer:
では,4Gamerの読者に向けて,ひと言メッセージをお願いできますか。
青島氏:
IL:Soulbringerからエターナルブレイドに名前が変わりますが,今後もコンテンツを拡充して,プレイヤーの皆さんに「このゲームを遊んでいてよかった」と感じていただけるようなゲームにしていきたいですね。爽快感のあるゲームになっていますので,ぜひ一度触れていただきたいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
IL:Soulbringerからエターナルブレイドへ。ゲームタイトルの変更に伴って,ゲームのプレイフィールもかなり変更されているようだ。オンラインゲーム運営は初めてというアドバンスメントだが,他分野ではユーザビリティにこだわったサービスを追求してきたとの言葉どおり,プレイヤーの意見を重視するといった言葉が何度も聞かれたインタビューだった。
生まれ変わったエターナルブレイドは,爽快感に焦点を当てて「1対多数の敵との戦い」が中心となる。MMORPGとしては珍しいテーマとなるぶん,その仕上がりが気になる人もいるのではないだろうか。夢の「一撃多殺」,そして77匹狩りを目指し,クローズドβテストの開始を待ちたいところだ。
「エターナルブレイド」公式サイト
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エターナルブレイド
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