インタビュー
2014年の「ブラウザ三国志」はどんな展開を見せるのか。5周年を前に,「天覇争乱」アップデートの進捗と今後の展望を運営開発チームに聞く
ブラ三では,2013年5月に開催されたオフラインイベント「公開君主会議」(関連記事)にて,ゲームプレイに新たな要素をもたらす連続アップデート「天覇争乱」を発表しているが,2014年5月現在,同アップデートはまだ完了していない状況だ。
そこで今回,4Gamerではブラ三のプロデューサーを務めるマーベラスAQLの五味一郎氏とディレクターの勝木洋輔氏に,天覇争乱アップデートの進捗を確認するとともに,今後の展開についても聞いてみた。
「ブラウザ三国志」公式サイト
「争の章」で登場した新兵種により
プレイヤー達は新たな戦略/戦術を模索中
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
さっそくですが,2013年から展開している天覇争乱アップデートの進捗を教えていただけますか?
「争の章」と「乱の章」(ワールド統合)は適用済みです。一部,まだ実装できていない部分がありますが,プレイヤーの皆さんにお届けしたい部分は無事に完了できたかなと。
4Gamer:
新兵種を追加した争の章について,実装後のプレイヤーの反響はいかがですか?
五味氏:
プレイヤーの皆さんには,実装前にテストワールドで実際にプレイできる環境を提供し,そこでいただいた意見をもとに本実装の仕様を調整しました。それもあって,実装後に大きな問題が指摘されることはありませんでしたね。
4Gamer:
具体的は,どんな調整を施したのでしょう?
勝木洋輔氏(以下,勝木氏):
重盾兵と大剣兵が強すぎるというご意見が多かったので,従来の兵種も含めてバランスを調整しました。さらに細かいバグなどもご指摘もいただいたりと,プレイヤーさんと一緒に作り上げたという実感が強いですね。
五味氏:
私も「五味です」と表明してテストワールドに参加したんですけど,プレイヤーの皆さんとのコミュニケーションは,非常に参考になりました。テストワールドには,多くの休眠プレイヤーの方にもご参加いただけたのも嬉しかったですね。
勝木氏:
実装後のプレイヤーさんの動向を見ていると,重盾兵と大剣兵をこれまでの兵種とどう組み合わせるか悩みつつ,うまく活用されている印象を受けます。
4Gamer:
サービスイン以来,固定化していた戦略/戦術を打破したいという目的は果たせた感じでしょうか。
五味氏:
そうですね。今のところ,これといった必勝法は確立されていませんから,いい感じで新たなすくみを構築できていると思います。
「装具」の開発は完了
実装時期と提供方法は慎重に検討中
4Gamer:
その一方,「天の章」と「覇の章」は,実装が遅れていますよね。
五味氏:
はい。皆さんにコミットした内容を守れていないことについて,非常に重く受け止めておりますし,たいへん申し訳なく思っています。
4Gamer:
遅れている理由を教えていただけますか?
五味氏:
まず天の章では,「装具」というアドオンシステムを導入します。実はもう,装具の開発は終わっているのですが,品質チェックの段階で「仕様的なボリュームがありすぎるのではないか」という懸念が指摘されたんです。
そこで現状は,再度チューニングを施しつつ,実装のタイミングを見計らっているところなんです。
天覇争乱アップデート発表時のインタビューでも,装具については「ゲームバランスに配慮して,慎重に進めなければならない」とおっしゃっていましたよね。あのときの想定以上だったということでしょうか。
五味氏:
そうなんです。単なるアドオンと言うよりも,むしろ武将カード育成に加えて,まったく新しい要素をもう一つ導入するくらいの重たい仕様になってしまったんです。
現在,プレイヤーさんは武将カードの育成を楽しんでいらっしゃるわけですけれども,そこにもう一つ育成の軸が加わるとなると,「それは本当に楽しいのか,困惑するだけじゃないのか」という疑問が生まれたんです。
4Gamer:
具体的に,どんな感じで仕様が重くなったのでしょう?
五味氏:
装具は,武将カードに付いたスロットに,剣/弓/鎧/馬などから装備するものを選び,さらにそれぞれを合成できるというシステムです。開発チームとしては,「こんなことができると面白い」と,いろいろ夢を盛り込んだのですが,最終的に仕上がったものは奥行きがすごいものとなってしまいました。
正直なところ,装具を合成しているだけで1日が終わってしまうくらいのボリュームなんですよ。
五味氏:
そんな状態ですから,さらに仕様を精査し,よりシンプルな機能に出来ないかとか,仕様の一部を制限した状態で実装して皆さんが装具の遊びに慣れた段階で,徐々に解放していく手法で提供することなども検討しています。
4Gamer:
なるほど。装具の実装時期はもう決まっていますか?
五味氏:
今はまだ,お話できない段階です。そこはもう,以前お話したとおり慎重に。
勝木氏:
プレイヤーの皆さんがこれまで育成してきた武将カードを台無しにするようなことはできませんからね。
お待たせすることにはなってしまいますが,ひとまずは争の章をしっかり楽しんでいただけると嬉しいです。
「覇の章」は基本方針をもとに開発中
武将イラストラフを公開
4Gamer:
覇の章の実装も当初の予定より遅れていますが,これまでのお話からすると,まだ先になりそうですね。
勝木氏:
はい。現在は,仕様の方向性を定めて,開発を進行中です。
4Gamer:
新たに覇の勢力が登場するということでしたが。
勝木氏:
細かい仕様に関しては,まだお伝えできないんですが,スキル合成などに新しい広がりが生まれることを狙っています。
4Gamer:
育成の方向性に多様性が生まれそうな感じですか?
勝木氏:
ええ。例えば,これまであまり活躍の場がなかったスキルも,活用できるようになるかもしれません。
4Gamer:
2013年の段階では,覇の武将カードにどのような武将が登場するのかなどの情報もありませんでしたが,何か出せる情報はありますか?
勝木氏:
う〜ん。それでは,まだラフの段階ですが,新しく登場する武将のイラストをお見せします。
4Gamer:
おお。これは呂布と董卓ですね。どんな形で実装されるのか,楽しみにしています。
2014年夏に,武将デュエルをリニューアル
カードの育成状況が反映される内容に
4Gamer:
事前にお聞きした情報によると,武将デュエルをリニューアルする予定もあるとか。
五味氏:
繰り返しですが,現状のブラ三では,まったく新しいシステムと遊びを提供することに慎重になっています。
その一方で,常々,既存のシステムに新しい要素を追加できないかと考えているのですが,今回のデュエルのリニューアルはその一つです。
今の武将デュエルは,セットして放っておけば結果が出るというものでしたが,より積極的に遊べるようなコンテンツとなるよう改修を進めています。
現在実装されているデュエルは,武将カードを5枚セットしたデッキの総合力で勝負する形です。それに対して改修中のデュエルでは,6枚の武将カードを使い,それぞれのカードが攻撃と防御を行います。つまりカードの個性や育成度合いが反映されるわけです。
4Gamer:
プレイヤーの戦略や戦術,あるいはやり込みや資産が,より勝負に影響する内容になると。
勝木氏:
そのとおりです。また現在のデュエルは,ランキング1位になっても報酬に結びつかないオマケのコンテンツのようになっていますが,改修後は経験値を得られたり,結果に見合った報酬がもらえたりと,繰り返し遊べるようなコンテンツを目指しています。
五味氏:
部署を問わず,社内のブラ三好きやカードゲーム好きを40〜50名ほど集めてテストも行ったですが,相当盛り上がりましたね。ブラ三のカードやスキルの構成に対して「こんな使い方がある!」という意外な発見の面白さがあるんですよ。
勝木氏:
組み合わせの妙で,意外なデッキが強かったりするんですよ。攻撃や防御とは全然関係ない内政のスキルを入れたデッキが強かったり。
五味氏:
内政スキルでパラメータを上げることができるんですよね。ですから,ブラ三に精通している人ほど楽しめる改修だという手応えを感じています。
4Gamer:
改修したデュエルは,いつ頃の実装を予定していますか?
五味氏:
2014年夏までには,と考えています。
2014年は,プレイ上の不満点を
一つ一つ解消していくことを目標に
4Gamer:
それでは,そのほかの今後の予定についても教えてください。2014年7月には,サービスイン5周年を迎えますが,そこに向けた計画などはありますか?
オフラインイベントを,またやりたいんですよね。4周年記念で開催した「公開君主会議」では,プレイヤーの皆さんと触れ合う機会を設けられなかったので,今回は小規模の飲み会のようなことを。名付けて「非公開小君主会議」とか(笑)。
4Gamer:
これまた前回とは対照的ですね。
五味氏:
まだ,私が勝手に考えている段階なんですけどね。その背景には,2013年は天覇争乱のアップデートプランに引っ張られたこともあって,プレイヤーさんの不満の解消などが疎かになってしまったという反省があるんです。
そこで2014年は,そういった不満の解消を重点的に行っていきたいな,と。サービスインから5年経つのに,ずっと改善されていない部分──たとえばインタフェース周りなどにもメスを入れて,改修していこうと考えています。
4Gamer:
アップデートの遅れなどで,ブラ三の将来に不安を抱いていたプレイヤーもいるでしょうし。
五味氏:
ええ,そこは本当に反省しています。2014年は,皆さんの不安を払拭するような展開をしていきます。先ほどお話したテストワールドでも,さまざまなご意見を直接いただきましたしね。
勝木氏:
一応,メンテナンス情報の告知を分かりやすくするなど,地味な改修はしてきたんですが,もっといろいろとやっていきますよ。
五味氏:
あとはスマートフォンやタブレットのタッチ操作でもプレイしやすいよう,意識してインタフェースを改修していたりも。
ともあれ,それらは,ほかのタイトルが当たり前にやっていることではあるので,できる限りのことはしたいな,と。やはりプレイ中,本来なら気にかけなくてもいい部分で,プレイヤーさんがしんどい思いをされているというのは,いいことではないですから。
2013年に天覇争乱アップデートを大々的に発表したことと比較すると,かなり地味な決意表明ではありますけど(笑)。
4Gamer:
分かりました。そのほか,2014年の展開で,今お話いただけることはありますか?
勝木氏:
2014年は,年明けからさまざまなタイトルとコラボして,スペシャルカードの提供などを行っているのですが,今後もそういった展開は継続していきますので,ご期待ください。具体的なタイトルは追って発表しますが,「えっ?」と思うようなコラボも予定しています。
4Gamer:
それでは最後に,今後のブラ三に期待する人に向けて,メッセージをお願いします。
五味氏:
お話してきたとおり,ブラ三はこれからもガンガンやっていきます。私はこの先一生,ブラ三に携わっていたいですね。一人でも運営できる体制を模索しています(笑)。
テストワールドの公開も含め,この1年間,プレイヤーの皆さんとの距離を縮めるべく,いろいろやってきました。それはブラ三としては大きな前進でしたが,まだ十分とは言えません。2014年は,よりプレイヤーの皆さんとの距離を縮めようと考えています。
勝木氏:
いろんな改修項目や,新しい施策を考えるときは,必ずプレイヤーさんの声を汲み上げるようにしています。自分の声が届いていないんじゃないかと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが,間違いなくこちらには伝わっています。
現実問題として実現が難しかったり,ビジネス的な障壁があったりすることもありますが,ものを作るという立場としてはプレイヤーの皆さんの声が一番という姿勢で真摯に向き合っています。ぜひ今後の展開にも,ご期待ください。
4Gamer:
ありがとうございました。
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