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印刷2010/01/18 11:38

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海外ゲーム四天王 / 第29回:「Serious Sam HD: The First Encounter」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第29回:「Serious Sam HD: The First Encounter」
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 久々にサムが帰ってきた! といっても,スニークが得意なシニカルな中年男のサム・フィッシャーではなく,全人類の運命を肩に背負っている割には白のタンクトップとジーパンがやたらと似合う脳みそ筋肉男,シリアス・サムのことだ。2001年,複雑になりつつあったFPSの風潮に反旗を翻し,シンプルな「DOOM」へのオマージュとして作られた「Serious Sam: The First Encounter」が最新のグラフィックスをまとい,HD化された「Serious Sam HD: The First Encounter」になって帰ってきたというわけだ。
 その間,FPSはさらに複雑になっていったので,あんまり同調者はいなかったようだが,それだけに今や唯一無二ともいえるゲーム性を持つに至ったシリアス・サム。2010年しょっぱなの今週は,そんな一本をライターの朝倉哲也氏が紹介する。

数千体のモンスターをたった一人で全滅させる男 シリアス・サムの大活躍が今,始まる。「サム,アイアーム!」

 

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 異星人Mentalによる人類絶滅計画を前に,地球の運命は風前の灯。残された人々は,Mentalに敵対する異星人が地球に残したタイムマシン技術を使い,数千年前から続くMentalの地球への干渉を根本的に排除して,新たな地球の歴史を創り出そうという壮大な計画を実行することになった。そしてその計画の遂行に選ばれた男が,これから紹介する「Serious Sam HD: The First Encounter」の主人公,シリアス・サムその人だったのだ。
 数千年の時を超えて古代エジプトの地に降り立ったサムは,たった一人でエイリアンの大軍団に立ち向かい,新たな地球の歴史を生み出さねばならないのだが,どうも彼はそれほど心配している様子もない。なんて頼もしいんだ!

 

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 ご存じのように,本作は2001年に発売された「Serious Sam: The First Encounter」のリメイク版。タイトルに「HD」と付けられているのは,オリジナル版のグラフィックスを現在の最新技術でパワーアップしたためであり,ストーリーの変更やゲームモードの追加といった要素はない。
 そんなわけなので,この記事の説明の多くはオリジナル版とかぶってしまうことになるわけだが,たとえあなたがSerious Sam: The First Encounterを熱烈にプレイした経験があるとしても,知らない顔で「ほほお,なるほど」と納得したふりをするのが大人の礼儀というものである。もちろん,オリジナル版をプレイしたことがないという人にとっては,新鮮なタイトルとして映るのではないだろうか。
 ともあれ本作には,クロアチアのデベロッパであるCroteamが独自開発したゲームエンジンの最新版「Serious Engine 3」が使用されており,これによるグラフィックス面のパワーアップはかなりのものだ。

 

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 さて,FPS史上に残る男と呼んで過言ではない主人公のシリアス・サムは,考えるより先に行動する筋肉ムキムキのマッチョマン。リアルさを追求するあまり,慎重な行動をプレイヤーに求める最近のFPSに対し,本作は真正面から敵に突っ込んで撃ちまくって血路を開くという古き良きFPSのテイストを色濃く残している。スニークや謎解き,部下への命令などはまったく必要ない。
 使用できる武器はショットガンやロケットランチャーといった普通のものから,SF風のレーザーガン,そしてアメコミチックな荒唐無稽な大砲まで多種多様だ。弾薬は豊富にマップ上に落ちているので,プレイヤーは各種ヘンテコ武器を使った撃ちまくりの爽快感にどっぷり浸れる。

 

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 敵として登場するのは,オリジナル版と同様,いかにもエイリアンといった雰囲気のヤツや,「あ〜!!」と叫びながら迫ってくる上半身裸で首のないヤツ(首がないのにどうやって叫んでいるのだろう?)など,独特なデザインセンスがキラリと光って笑いがもれる。
 こういう連中が,地平線のかなたから雲霞のごとく襲いかかってくるので,プレイヤーは敵の攻撃をかわしつつ,ひたすら撃ちまくって撃退していく。しかも,各マップに登場するボスは巨大なヤツが多く,中にはピラミッドをはるかに超える巨体の持ち主もいて,そんなのがレーザービームや火の玉などを雨のように降らせてくるのだから,サム同様,プレイヤーもあれこれ考えているヒマなどはないわけだ。

 

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 上記のように,ゲームの舞台となっているのは古代のエジプトで,マップとしてピラミッドや神殿,そして見渡す限り砂また砂の砂漠などが登場する。どうしても似たような場所が多めにはなってしまうが,マップの構成が良いため,同じような場所だからといって飽きることなく,最初から最後まで緊張感を持ってプレイできる。

 マップは全体的に明るく,ゲームの雰囲気はサムの脳ミソのようにカラッとしている。空は抜けるような青空で,地上には日差しが燦々と降りそそぎ,夜になると,都会ではもはや見られなくなってしまった満天の星空が見られる。ダークでシリアスなFPSはちょっと食傷気味,という人はぜひこの陽気な雰囲気を試してほしいと思う。

 

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 “Co-op(協力プレイ)のサム”(命名,筆者)といわれるだけあり,マルチプレイは最大16人が参加できるCo-opモードがメイン,というか,ほかのモードはサポートされていない。2001年の発売当時,ほかのFPSタイトルが次々とCo-opを捨て去る中,一人で頑張っていた感じのオリジナル版だったが,「Left 4 Dead」の登場などで最近Co-opは再注目されている。良かったな,サム。

 さすがに人気はL4Dなみとはいかず,マルチプレイの人数やサーバーは少なめで,時間帯によっては仲間が少なくて寂しい思いをするかもしれない。とはいえ,大人数でモンスターの大群に突っ込んで思う存分に撃ちまくる楽しみは,シングルプレイにはないエキサイティングな体験なので,本作を購入したなら,ぜひ一度はマルチプレイを試してみたい。いずれにしろ,最近の難しいFPSには飽きた,頭を空っぽにしてただただ撃って撃って撃ちまくりたいという人にとって,今や唯一無二の新作タイトルといっていいだろう。

 

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コラム:サムの,これまでとこれから
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 本文にも書いたように,シリアス・サムシリーズの第一弾となる「Serious Sam: The First Encounter」は2001年に発売されている。
 2002年には続編「Serious Sam: The Second Encounter」が発売されたが,ストーリーは前作の直後から続くもので,今度はマヤ文明の栄えた中央アメリカや古代ヨーロッパなどを舞台としながら,エイリアンを追いかけていくという物語が展開する。
 そして2005年には,シリーズ第三弾の「Serious Sam II」が発売された。これは,地球を遠く離れた惑星を舞台に,サムがさらなる大暴れをするという内容で,地球を滅ぼそうとするエイリアンを相手にした最終決戦にふさわしく,従来作を上回るスケールの大きな作品になっている。

 シリーズの今後だが,現在のところ完全新作の話こそ聞こえてこないものの,シリーズ第二弾の「Serious Sam: The Second Encounter」が,HD版となって2010年に発売されることが決定している
 このリメイク第二弾では,Serious Engine 3によるパワーアップしたグラフィックスは当然として,二つのチームが互いに競争しあう「Co-op Tournament」という新マルチプレイモードが追加されるという。現在のところは,これ以上の詳細は不明だが,サムファンには待ち遠しいタイトルである。

 

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■■朝倉哲也(ライター/四天王)■■
 新年最初の「海外ゲーム四天王」を担当した朝倉氏。三人の四天王の一人として,2010年の活躍が一部マニアの間で期待されている同氏であり,今後もジャンルを問わない「雑食系ゲーマー」としてがんばっていくとのことだ。無理にとはいわないが,ぜひ期待しよう。
  • 関連タイトル:

    Serious Sam HD: The First Encounter

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