インタビュー
4Gamer×ゲーマガ連動企画第1弾! 今だから話せるサウンドノベル「428 -封鎖された渋谷で-」の秘密を,総監督イシイジロウ氏に直撃!
今回は4Gamer×ゲーマガ初の合同企画として,両編集部にもファンの多い本作の総監督・イシイジロウ氏にゲーマガ編集長のウメがインタビューを敢行。Wii版発売から1年が経過した今だから話せるゲーム発売後のエピソードや,開発時の裏話,そして伝説の名作「街」との関連秘話などを直撃した。
究極のネタバレ話もあるので,ゲームをまだクリアしていない人は,ぜひクリアしてから読んでみてほしい。
「428 〜封鎖された渋谷で〜」公式サイト
「極限脱出 9時間9人9の扉」公式サイト
また,2ページめのTipsも併せてお読みください。
“ゲーム業界のテキスト”を目指して制作した「428」
最初のWii版のリリースから約1年が経過しまして,2009年中には現行のPS3とPSPでも発売となりました。ゲーマガ誌上の読者ランキングでは3機種ともベスト10にランキングされるという,非常に高評価を得ていますね。
イシイ氏:
ありがたいことですよね,本当に。もしこれが売り上げランキングだったらビルが建つよね!なんて話をしていました(笑)。
ウメ:
PS3版とPSP版への,ユーザーさんの反応はいかがでしたか?
イシイ氏:
さすがにWiiのときよりも反応が返ってくるのが早かったです。店頭などでは発売直後に声をかけていただくことも多くなりました。
それと業界の方からも,PS3版とPSP版を出してからも,いい評判をよく聞くようになりましたね。某大型RPGシリーズのシナリオチームが,428をシナリオ勉強会の材料として参考にしてくださっていたり,ほかにも某専門学校さんから,教材として百本単位で買いたいというお話をいただいたり,業界からの高い評判を特に聞くようになりました。
ウメ:
業界に一石を投じた作品だと思いますよ。
イシイ氏:
シナリオの書き方については,“ゲーム業界のテキスト”になりたい,ということは多少なり意識していましたからね。クリエイターが喜ぶゲームを作りたい気持ちがあって,PS3版とPSP版の発売後にそれが実現できたということを実感しましたね。
ウメ:
ゲーマガでの2009年末のクリエイターインタビューで,3人の方が今年の1本として428を挙げていました。KONAMIの内田さん,レベルファイブの日野さん,コーエーの杉山さんです。
イシイ氏:
ありがたいですね。「ラブプラス」の内田さんとはお互い褒めあってる感じですけど。「おまえら付き合ってんじゃないか!?」って言われるぐらい(笑)。
ウメ:
そんな428の企画が立ち上がった経緯をお聞きしたいのですが,やはり実写のサウンドノベルとしては1998年に「街」という作品がありましたよね。
制作の直接の経緯としては,2006年にセガさんとチュンソフトの共同プロジェクトが立ち上がって,何か面白いことをやりたいと考えていた頃で,その中の選択肢の一つとして,街に続く“実写のサウンドノベル”があったんです。
「街2」という案も出たんですが,当時から10年近くが経過して作り方も難しくなっているし,せっかくの機会なので完全新作を,という発想で428へと流れていったんです。
ウメ:
街2,というわけではないんですね。
イシイ氏:
実は制作予定だった街2向けのシナリオの第一稿はチュンソフトにいくつか現存しているんです。その中でも一番完成型に近かったものを,PSP版の街の追加シナリオとして2本入れたんですが,現存するものではそれ以上のものを作るのが難しかったんです。
それらを使わずして,渋谷を舞台にした実写の作品を街2として出したとしても,ファンの人は嬉しいかもしれませんが,真の街2ではないんですよね。
そこで考え方を180度変えて,街のファンにも新しいユーザーさんにも納得いただけるような,渋谷を舞台にした完全新作のサウンドノベルを作ってみようということになったんです。
ウメ:
なるほど。では428の企画自体が渋谷を舞台にすることは,最初決まっていたんですね。
イシイ氏:
そうですね。舞台が渋谷ということはぶらさずに決めたことです。
ウメ:
東京にもたくさん街がありますが,今回も渋谷を選んだ理由は?
イシイ氏:
まず一つめにあったのが,街のファンに喜んでいただきたかったことですね。僕らが街2とは違う形で挑戦するからには,街と同じ舞台を選んで期待に応えたかったんです。
それともう一つは,舞台を選ぶうえで全国区に通用する街が実はあまりないというのが理由でした。
ウメ:
数えてみると銀座,新宿,六本木……そんなもんですかね?
そこからの選択肢として,銀座はあまり若者がいない印象ですよね。六本木もちょっと個性が強すぎる。新宿はセガさんがすごく一生懸命やられているソフトがありますから(笑),そこは被りたくなかった。秋葉原という声もあったけど,これも色が付いちゃう。
そうなると意外に無色で,老若男女が行き交い,住んでいる人もいる,そういうところで舞台にしやすかったのが渋谷でしたね。
ウメ:
街の開発陣も,当時渋谷を選んだ理由をそう話されてましたね。
イシイ氏:
ただ,渋谷はやはり撮影がすごく難しいということを,撮影専門のプロダクションさんから聞いていて,実は悩みどころでもあったんです。
ウメ:
撮影はかなり苦労したそうですね。
イシイ氏:
街のときに一番苦労した撮影は,正志の109前での逆さハリツケのカットだったらしいんですが,428はそれよりも大変なカットが山ほど必要だったんですよね。
ジャンルがサスペンス・アクションだったので,ハチ公前で拳銃を出したり,スクランブル交差点を走ったり,バンを爆破したりして,渋谷で実現するには相当難易度が高かったんです。
ウメ:
バンの爆発シーンはすごかったです。
あのシーンはもともと渋谷パンテオンの前の予定だったんですが,シナリオを書いているときにパンテオンがなくなっちゃいまして(笑),それで公園通りになったんです。場所も本当は渋谷のApple Storeの前だったんですけど……。
ウメ:
それはなぜ変わったんです?
イシイ氏:
あそこのほうが場所としてはメジャーなので挑戦したかったんですが,合成の都合でNGになったんです。あの爆発のシーンは早朝にエキストラを集めて撮影したんですが,Apple Store前だと朝日が入って影が出ちゃうんです。影があると合成がしづらくなるので,仕方なくもっと上のユナイテッドアローズ前での撮影になったんです。
そういったことも含めて,とにかく撮影が難しいので,渋谷ではない場所での撮影をもっと混ぜていけないかと撮影プロダクションから何度も言われました。
ウメ:
でも実際はちゃんと渋谷で撮影なされていますよね。
イシイ氏:
助監督の毛利さんがその昔黒沢清監督のもとにいて,とある映画で銀座が無人になるシーンを撮っているんです。CGで合成して車や人を消しているのかと思っていたら,実は合成していなかったらしいんです。早朝の銀座で人や車を一瞬だけ止めて奇跡的に成功したそうなんです。
そんな撮影経験豊富な毛利さんに,428のシナリオを見せて相談してみると,「難しいけど,挑戦しがいがあるよね」という返答があったんです。現場を知る人がそう言ってくれたので,この人に賭けてみようと思ったのが,渋谷であれほど無茶な撮影に挑戦するきっかけでしたね。
ウメ:
映画でもあそこまで大胆な撮影はないですよね?
イシイ氏:
実は映画って2時間なので,ピンポイントなら案外撮れちゃったりするんですよ。428の場合,動画で撮るとTVドラマの1クール以上,2クール以下ぐらいのボリュームで,総合で10時間近い映像をずっと渋谷で撮りまくるというのはかなり難しいことなんです。
ウメ:
よくリアルでの撮影を決断なされましたね。
ハチ公前のシーンも合成で作れないことはないんですが,その毛利監督っていうのが,「映画は作り物じゃない」という発想をされる方で,そこにゲーム屋として影響を受けてしまったんです。
映画を作っている現場というのはすごくライブで,たとえばロケ地で雨が降ったらそのシーンは雨にするとか,現場で何かトラブルがあったらそれを取り込みながら作っていくそうなんです。とくに渋谷のような街中では大量の人の流れがあって,何が起こるか分からないわけですよね。
常に変化し何が起こるか分からない状況の中で,役者は自身の想像力で新たな芝居を作りだしていく。そういうときこそ役者が輝いて,それを撮るのがカメラマンであり,美術であり,照明であり,それに対応できるように演出するのが映画監督なんです,……という話を聞いて目から鱗が落ちたんですよ。ならば僕も現場でやってみようか,ということになりました。
ウメ:
メイキング映像を見ると,極力ロケという印象でした。
イシイ氏:
そう。本当に渋谷の街でやる。そのときの渋谷の街の雰囲気や空気をすべて取り込んでいるんです。
ウメ:
ゲームではどうしてもCGで合成すればいいや,というイメージがありますもんね。
イシイ氏:
ゲーム屋さんで実写映画を撮った人はいないと思いますが,アニメの監督が実写映画を作ろうとすると失敗することがあるじゃないですか。それは頭の中の映像をできるかぎりそのままやろうとするのが原因だと思うんです。揺らぎが大きい部分を,クリエイターとしてコントロールできる力を持たないと,実写映画はよいものが撮れないんじゃないかということを実感しました。
ウメ:
街の頃はフィルム撮影だったことで非常に苦労したとのことでしたが,428では完全にデジカメに移行したことで撮影の苦労は減ったんでしょうか?
楽になった部分と大変だった部分があります。フィルムの写真は当然撮り直しが大変なぶん,写真の上がりに対してある程度のところで妥協することもできるんですが,デジカメはその場でチェックできるぶんミスはなくなるけど,妥協もできなくなるので非常に時間がかかってしまうんです。
それともう一つ大変なのが,データの取り込みとチェックですね。1日で2GBのメモリカードを20枚ぐらい撮るので,40GBぐらいのデータをすべてをPCに取り込まなければならないんです。
フィルムの場合,すべて撮り切らなくても翌日に回せばいいんですが,メモリカードの場合は複数枚を何日かで回せないとコストが合わないんです。そしてその膨大な写真をその場で全部チェックするんですよ。
撮影時は映画と同じ現場なので,僕のような監督以上の権限を持った人間が割り込むと,現場のコントロールが乱れてしまうので,その場でチェックができないんですよね。撮影が終わった夜に渋谷で借りたオフィスで,夜中1人で写真の取り込みとチェックを黙々とやるのは,本当に辛かったです(笑)。
「街」から学んだ,新しい実写サウンドノベルの作り方
街のときの撮影などの制作コストに対して,リターンのリスクについてはどうお考えでしたか? そこはやはりチャレンジでした?
イシイ氏:
確かに撮影にコストはかかるんですが,フルCGのゲームを作ることを考えると,逆に安くつくという考え方でした。さらにもし実写で売れるものが作れるなら,新しいジャンルとして成立するのではないか,という想いもありましたからね。
428では,とかく面白さが伝わりにくい群像劇の欠点を潰しつつ,「24」のようなスピード感のあるリッチな内容を目指して,見た目に映える顔の役者さんを起用したり,ストーリーも分かりやすいサスペンスというテーマにしたんです。
ウメ:
スピード感という意味では,街での5日間は長かったので,今回は1日にしたということですね?
イシイ氏:
サウンドノベルのシリーズって,全般的にスピード感がないという弱点がありましたからね。だから今回はできるだけスピード感を出すことに努めました。
428の感想を聞くと,最初の3時間が長いっていう方も多いのですが,それでもかなりスピード感は上げたつもりなんですけどね。
ウメ:
街も1日めはとくに長いですよね。
イシイ氏:
導入部については,街の雰囲気を残した意図もありました。最初はギャグやのんびりした空気を入れたかったんですよね。加納も刑事ドラマだけどギャグ多めで,タマは完全にコメディですからね。
ウメ:
これまでの弱点を補った究極のサウンドノベルというわけですね。
イシイ氏:
それがセールスに結びついていれば「このつくりで正解だったでしょ?」って言えるんですけどね。
結果としてはそれだけではなかったようで,まだまだ詰めるべき点はあったということですよね。
ウメ:
発売まではどうなるかと思われていましたが,実際蓋を開けてみると街のファンからも評判が非常に良かったようですが,それは読みどおりでしたか?
イシイ氏:
もちろん制作に気は遣っていましたが,街と428は別物なんだと理解してくれればいいなって思ったんです。別物としてクオリティは互角というところを目指していました。そこについては幸い評価いただけたようです。
アンケートなどを見ると,街のファンの方のほうが遊んでいない方よりも,評価が高かったんですよね。それを考えると,先ほどの冒頭3時間の部分の街っぽさはとくに意識せずに,もっと最初からスピード感を出してもよかったかもと,今だからこそ思うところです。
ウメ:
街のファンというのは,絡み合う複数の主人公の物語を読みほぐしていくというゲーム性に惚れていると思うんです。そこさえぶれていなければ,評価をしてくれると思いました。
街はまずシナリオありきで,それをゲームでリンクしていく作り方だったんです。それがどういうことになるかというと,“誰も他人に関わらないほうが人生は変化しない”という考え方になってしまうんです。つまり人助けができないんですね。428では逆の作り方をしていて,誰かが他人に関わるほどいい方向へ向かっていくので,人助けができちゃう。
そういう意味で街はすごく孤独なので,孤独な中に人々の微妙な繋がりを感じるというテーマで見ると圧倒的に面白いんです。428はその真逆,つまりは“世の中は一つ”だっていうベタな本質がある。
虚無的でシニカルな街と,楽観的で暑苦しい428,それがこの二つのゲームのまったく違うところなんですよね。
亜智のセリフの中で,「死にそうな人がいたら牛丼ぐらいおごってやる」というセリフがあって,ここにシナリオを書いた北島さんが本作で目指した方向性がすごく出ているんです。
“愛は負けても親切は勝つ”というテーマで,愛してくださいと言われても困りますけど,牛丼をおごる親切は誰でもできますからね。428はそういうつながりがすごく出ていて,人間関係だけを見ているとすごく牧歌的ですよね。
ウメ:
街は絡まったシナリオをほぐして8本の物語をまっすぐにする感じでしたが,428は5人の物語を紡いで1本にまとめていく感じでした。
イシイ氏:
まさにそういうイメージですね。そこを理解してくれた人は,ちゃんと別物と意識してくれたんですよ。
ウメ:
街のときは複数の作家さんが8人分のシナリオを書いていましたが,今回は北島さんがお一人で書かれているんですか?
イシイ氏:
シナリオチームもサポートはしましたが,基本は北島さん一人です。
ウメ:
お一人というのはすごいですね。具体的にはどうやって書かれたんですか?
イシイ氏:
今回は縦ではなく横,つまり時間ごとに書いていくんですが,時間ごとの大まかなプロットをこちらで膨らませていって,それをベースに北島さんが書き直していくという作り方でした。
プロットの時点では,どの程度内容は固まっていたんですか?
イシイ氏:
最初から固まっていたのではなく,アイデアをシナリオチームで転がして固めました。
メインテーマはサスペンスとテロで,導入はハチ公前から始めようとか,アタッシュケースのリレーをしようとか,じゃあなんでアタッシュケースのリレーをするのか……といった感じで,いろいろな設定を転がしながら決めていきました。
最初は監視カメラから見えない殺人レーザーが出て人が死ぬとか,とんでもないアイデアもありました。
ウメ:
凄いアイデアですね!(笑)
では,街とは基本的にシナリオの作り方も違うんですね。
イシイ氏:
そうですね。街ではキャラクターごとに複数の脚本家が縦軸でシナリオを書いていったのに対して,428は時間ごとの横軸をゲームシステムに合わせて密にしているので,ゲームに組み込んでいくのが比較的楽だったんです。
ウメ:
となると,街にあったシナリオや写真のバグみたいなものはなさそうですね。
イシイ氏:
もちろんいくつかはありましたが,最終的にすべて潰しました。
面白かったのは,11時のどこかで,道玄坂から亜智とひとみが杖の男に追われて下りてくるシーンがあるんですが,109の前で杖の男が追ってこなくなるんです。これは加納が109の前で電話をしていたからなんですが,バッドエンドによって加納がここに出てこない場合があるんです。そのためにうちの中村が電話をしている画面を合成で作ったんですよ。
これは加納がバッドエンドなのに109前にいるのはおかしいということで画面を作ったんですが,よく考えると杖の男が追ってこなくなった厳密な理由が存在しなくなっちゃう。そういうごく細かいシナリオバグみたいなものは,もしかするとまだあるかもしれませんね。
ウメ:
中村社長がそこで出ているんですか!? 気付きませんでしたね。
イシイ氏:
実はエキストラ周りは気をつけないといけないんですよ。「この刑事,爆発のシーンで自転車に乗ってたぞ」とか,そういうのが結構ある(笑)。
さすがにエキストラ全員の顔を覚えて撮影はできませんから,もしかするとそういうところでの写真のバグは残っているかもしれません。
エキストラといえば,僕も呼んでいただいてありがとうございます。
イシイ氏:
そういえば出てらっしゃいましたね……しかもかなり早めの時間帯に(笑)。
ウメ:
ゲーム全体の難易度的には,どのように設定したんでしょうか?
イシイ氏:
エンディングまでの難度は,かなり易しくしたつもりです。
ウメ:
街のときにあった,2人の選択肢を正しく選ばないと進めない難度の高いギミックが,加納と亜智の導入部分から早くもあって,これは大変そうだなと思ったんですが……。
イシイ氏:
確かに最初から複雑ではあるんですが。そのぶんヒントやチャートの見やすさを充実させて,ゲームの難度的には分かるようにしたつもりです。
サターン版の街の難度と比べたら,本当に易しいと思いますよ(笑)。
ウメ:
確かにサターン版と比べると易しい(笑)。
イシイ氏:
サターン版ぐらいの難度のゲームは一度は作ってみたいんですが,そういうのが許されない世の中になっちゃいましたからね。428に関しては,見た目が難しいという印象があったのかもしれません。そこは反省すべき点で,もっと簡単に見えるように作れなかったのかと今は思っているところです。
ウメ:
タイムチャートなどのインタフェースは直感的で,すごくよくできていたと思いましたよ。
イシイ氏:
画面が縮小してタイムチャートに入る演出は,全部が一体化しているイメージで作ったんですよね。別画面に切り替わるのではなく,タイムチャートの柱に時間が凝縮している感じで。あそこは凄くこだわって作りました。
演技よりも,写真写りを重視したキャスティング
役者さんのキャスティングはどのタイミングで行ったんですか?
イシイ氏:
プロットが終わって,シナリオが5割程度できたところで行いました。
ウメ:
役者さんを選ぶための選定基準などはあったんでしょうか?
イシイ氏:
コンセプトが二つあって,一つはテレビや映画で見られないキャスティングにしようということでした。有名無名は関係なく,モデルさんやアーティストといったところで固めようと。
もう一つは,写真がメインなので写りのいい人を選びました。芝居の上手さはあまり出ないので,とにかく絵の写りをリッチにしたかった。そのために彫りの深い方を意図的に選んで起用しています。
ウメ:
例えばですけど,主人公全員を“月9”に出ているような役者にするという案はなかったんですか?
イシイ氏:
それはなかったです。ハチ公前でキムタクやガッキーを走らせるのは無理ですから(笑)。渋谷の街でライブで撮ることを前提にしたキャスティングにしないといけませんよね。
「ユナイテッド93」という,9・11テロの題材にしたドキュメンタリー風の映画があるんですが,それに出ているのが比較的無名の俳優さんで,実際に見てみると本当にドキュメンタリーに見えるんです。
428もそれにならって,役者としてのイメージはあまりついていないけど,華があって格好良くて,このゲームで初めて出会った様に感じる,そんなイメージで抜擢しました。
ウメ:
街で映像がちょっとチープに見えたというのは,役者だけでなく衣装もそうでしたよね。確かに10年前ではあるんですが,ちょっとダサめな印象でした。
イシイ氏:
そうなんですよ。当時は衣装にコストがかけられなかったというのもあると思うんです。主人公が8人いて5日間だから,全員が毎日着替えると単純計算で40着必要になりますからね。
当然脇役にも衣装が必要なんだけど,428は1日なので全員1着分で済んじゃう。
ウメ:
なるほど,うまい!
イシイ氏:
そのぶん衣装のグレードにコストをかけたかったんです。今回はスタイリストさんをつけて,いろんなブランドから借りた衣装を使えましたからね。
ウメ:
それと外国人の役者さんも多かったですね。
そうですね。とくにカナン役の子は本当にヒットでした。出会えてよかったですよ。
ウメ:
彼女はモデルさんですか?
イシイ氏:
ティーン向けファッション誌のモデルですね。すごく背が高くて,身長190cm近くある建野役の工藤俊作さんと銃を向けあって勝てそうな雰囲気でしたよ。12歳なのに(笑)。
ウメ:
外国人の役者さんの起用も,やはり絵作り的な役割で?
イシイ氏:
そうですね。これも写真だからいけると思ったんです。日本語で流暢な芝居ができる外国人の役者って日本にそんなにいないですからね。動画だったら成立しなかったと思いますよ。ジャックなんか日本語でセリフ言わずに,全部英語なんです。だから加納役の天野さんとのやり取りが日本語と英語が入り交じってる(笑)。
ウメ:
そういえば撮影時はすべて役者にセリフをしゃべらせたそうですね。それらをゲームに使わなかった理由はなぜなんでしょう?
やっぱり一部でも声が出てしまうと,急にイメージが変わってしまうんですよ。「忌火起草」で,キャラクターが声でしゃべるというアイデアは中村が出してくれて採用したんですが,428ではどうするか悩みました。
実際に声優さんの声を入れたシーンを作ってみたんですが,顔が出ている状態で声があるとやっぱり違和感があるんです。
ウメ:
声を出すとやっぱり違うんですか?
イシイ氏:
忌火起草は顔が隠れていたので,絵に対する時間軸があまり見えないんです。だから挿絵っぽく見えて,声が入っていても違和感を感じない。
でも428は表情が出ているから,笑い顔に普通の声が入ってしまうとどうしても違和感がある。映像が記号化してないんです。実際に検証してみて,結局声は入れないことにしたんです。
ウメ:
演技しているシーンの一部だけムービーならアリかな,とも思うんですが。
イシイ氏:
声って結構イメージのギャップが大きいですからね。もともとムービー自体あまり入れたくなかったこともありましたから。
ウメ:
それはなぜでしょう?
イシイ氏:
写真とムービーのクオリティの差ですね。写真は高い画素のデジカメといいレンズがあればハリウッドみたいな1枚が撮れるんですが,それに合わせた動画を撮ろうとすると,とんでもない機材が必要になっちゃう。写真と動画の差が出ることで,急に映像全体のクオリティが下がってしまうんですよね。
エンディング近くのどんでん返しに隠された秘密……!?(大ネタバレあり!)
後半でジャックと建野のシナリオが新たに開いていくというギミックは,最初から考えていたんですか?
イシイ氏:
プロットの段階からありましたね。ちょうどあのタイミングで,キャラクターが減っていくので,その分を増やしているんです。
それともう一つは,「かまいたちの夜」のゲームバランスを組み込みたかったんです。「かまいたち1」のミステリー編って,ほとんど犯人に殺されちゃうじゃないですか。あれと同じ難度で,とにかく残った3人で徹底的にやっても,どうしてもバッドエンドになっちゃう。
そこに建野とジャックの2人が協力者になってくれたら助かるんじゃないか,という希望を見せる意味も含めて,サプライズを用意したんです。
ウメ:
まさかの展開ですよね。敵だと思っていた人間がプレイヤーキャラクターになるんですから。
イシイ氏:
それをやりたくて,先に2人終わらせたというのもあります。キャラクターが減って,少し寂しくなりつつスピードアップしていく中で,また分厚くなるという演出ですね。
ウメ:
大沢もマリアもここで終わり? とも思うけど,納得のいく終わり方でしたからね。
イシイ氏:
個人的には「さらば宇宙船艦ヤマト」的などんでん返しで,普通なら誰もがここで終わりだと考えてしまうんです。とくに街を遊んだ経験がある人なら余計にそうですよね。
桂馬のシナリオみたいに,最後にちょっと出てくることがあったとしても,まさか増えることなんてありえないって。
ウメ:
最後のカナンの正体にも本当にビックリさせられました。
カナンが偽物だという仕掛けも,最初から構想していたものです。実は当初のプロットではカナンもカナン本人で書かれていて,彼女がアルファルドかもしれないということは僕の頭の中だけで仕込んでいたことなんです。彼女がアルファルドになることで,建野やジャックが仲間になろうが,もうどうしようもない四面楚歌になりますからね。
そのことをシナリオに関わるスタッフにもずっと言わないでいて,シナリオ執筆がある程度進んだところでそのアイディアを出したんです。「カナンの正体がアルファルドだったどうだろう?」って。もちろんそんなどんでん返しをしても破綻しないように,途中のシナリオ作りでも僕自身が気をつけていましたからね。
シナリオライターが騙されていたんだから,プレイヤーも騙される。だってライターも最後まで彼女がカナンだって思って書いていたんですからね。
ウメ:
まず身内から,というわけですね。
イシイ氏:
そういうことになりますね。これって24でも同じ手法を使っていて,あるヒロインが突然敵になるんですが,最終話近くまで演じている役者もそれを知らないんですよ。そうなるともう,見てるほうは分かるわけがないですよね。
カナンもシナリオの段階では,書き手全員が彼女はスーパーヒロインだと思って書いているので,どうやってスーパーヒロインに見せるかに徹している。彼女がいればアルファルドを倒せるという希望を持って書いてるから,それがひっくり返ったときにすべての希望が消えるんですよね。
TYPE-MOON制作,「カナン編」のシナリオ
そんな逆転劇を組み立てたあとに,TYPE-MOONさんへカナン編を発注したんですか?
イシイ氏:
そうですね。そこで逆転させちゃったから,カナンというキャラクターが浮いてしまったんです。本編にはカナンはまったく出てこなくなってしまったので,TYPE-MOONさんにお願いしちゃった形です(笑)。
ウメ:
TYPE-MOONさんにシナリオをお願いするきっかけはなんだんたんでしょう?
イシイ氏:
TYPE-MOONのみなさんがサウンドノベルのファンで,弊社の「弟切草」が彼らの原点だそうなんですよ。あるときTYPE-MOONさんからビジネスの提案があって,そのときに「Fate」を遊ばせていただいて,それが大変よくできていて感銘したんです。そこでせっかくなので何かご一緒に,ということがきっかけになって,今回の428でお願いをしたんです。
ウメ:
TYPE-MOONさんもラインをたくさん持っていて,スケジュール的に問題はなかったんですか?
イシイ氏:
最初は1本まるごと作ろうという話もあったんですが,TYPE-MOONさんの作品制作に支障があってもいけませんから,短めのボーナスシナリオならというところで落ち着きました。僕らも新作 の「魔法使いの夜」を心待ちにしていますからね(笑)。
ウメ:
発注するときは,カナンの設定を持っていく感じだったんですか?
イシイ氏:
基本的にはそうです。最初は本編と同一時間軸で,飛行機に乗って渋谷に着くまでの間に,アルファルドが仕掛けた罠を解くという案も考えたんですが,設定に縛られすぎずにしっかり書き込んでもらうために,過去のお話となったんです。
ウメ:
時間軸としては4年前でしたね。
マリアと出会う前の,アルファルドとの因縁話です。実は2人に関わるシャムも当初は渋谷で殺されている設定で,4月28日に渋谷に謎の中東人の死体が上がって御法川がそれを追うという設定でしたが,もう少し奈須さんが自分なりに書けるように,この3人の出会いから因縁までのお話をお願いしました。
ウメ:
なるほど。そこに武内さんの作画と奈須さんのシナリオがあるから,当然アニメーション化という流れになんったですね?
イシイ氏:
そうなります。アニメ前提ということがあったので,中東を舞台にすることもできましたしね。実写ではちょっとできないファンタジー的な内容でやっていただきました。
ウメ:
シャムといえば大塚明夫さんが声をあてていましたが,鈴音編への出演もその関係なんでしょうか?
イシイ氏:
大塚さんに関しては,やはり普段は見られない役者さんということで出演をお願いしました。声優さんはいろいろな人に出ていただきたかったんですが,なかなかスケジュールが合わなくて,所属事務所にどうしても無理を聞いていただいて,「3年B組金八先生」にも出演いただいた大塚さんに出演をお願いしました。
声のキャスティングについては金八からの流れで,僕自身がとにかく印象の深い人を起用したんです。金八の桐谷先生役だった大塚さんと,委員長役だった沢城みゆきさん,そしてそれとは別に,10年ぐらい前に別のゲームで主演をしてもらった坂本真綾さんにメインの役を演じていただきました。
ウメ:
大塚さんはブラック・ジャック役も有名ですからね。白衣もピッタリで(笑)。
イシイ氏:
そこも狙いだったんですよ。ブラック・ジャック役の大塚さんに白衣を着せようって。デスクの後ろに「ブラックジャックによろしく」を並べようかという話もありましたが,さすがにそれはふざけすぎなのでやめました(笑)。
ウメ:
そのシーンも見たかったですね(笑)。ところでカナン編のシナリオって,出現条件が結構難しかったですよね。
そちらの条件は難しめにしました。本編のエンディングを迎えた時点で,6800円の価値のあるものを作ったつもりなので,カナン編やエコ吉編は見なくても満足していただいていた認識があるので,ちょっと難しくしたんです。
ウメ:
だからあの2本を知らずに終わってる人も多いんですよね。
イシイ氏:
それとネット社会というのもありますね。どんなに難しくしても,ネットで調べれば分かってしまうので,多少難しくしても問題はないだろうなって。
ウメ:
みんなでまとめて攻略しますからね(笑)。
イシイ氏:
君達はデバッガーか!って(笑)。ありがたいことなんですけど。
「428」と「街」のファンへ向けたサービスとは?
ウメ:
カナン編は「CANAAN」というアニメになってかなりのネタバレ要素が含まれていたかと思うんですが,そこに抵抗はなかったんですか?
そこについては,CANAANというタイトルになって,アニメ絵になったことも含めて,あまり気にはしませんでした。ゲームの発売までは,キャラクターが誰なのかもオープンにしてませんでしたし,基本的には428をプレイしてから見てもらうほうが分かりやすい作品でしたからね。だからネタバレも大丈夫かなって。
ウメ:
CANAANと428の関係を知らない人に説明するのが難しいんですよね。どこまで説明していいのか分からなくて。
イシイ氏:
基本的には428をプレイしてから見ていただくのが正解だと思いますよ。最初からファンサービス満点ですからね。逆に単発でみるとよく分からないこともありますから。
ウメ:
ファンサービスといえば,御法川のタバコがジタンだとか,昔チーマーが地下道でのされた話が出てきたりと,街をリスペクトしたネタがけっこう入っていましたね。
イシイ氏:
そうですね,あくまで小さなネタですけど。あまり本筋にからめたくはなかったんですよ。一番がんばったところで,頭山の娘の花が10年前に花火が上がった日に生まれたというところで。一部当時に関係する登場人物もいなくはないんですけど(笑)。
今だから話せる裏話ですが,もともと御法川のシナリオの主人公は桂馬にしようというアイデアもあったんです。彼が警察を辞めて探偵になっていて,御法川みたいな感じでアプローチするという設定で。ただやはり桂馬は街の主人公の一人であり,10年前の街の世界観に近過ぎるということもあって,より新しい作品の金八のゲストキャラからのスピンオフということで御法川を据えたんです。
それともうひとつ話してしまいますが,実はエコ吉シナリオのエンディングテーマに「夜明けのうた」を使おうと考えたこともありました。
ウメ:
それはすごい案ですね!
イシイ氏:
これは僕の案だったんですが,ユーザーにとってそれはちょっと違ううんじゃないかと止められました。権利関係とかの話ではなく,428という作品を終えたあとにメイキング映像に被さった夜明けのうたを突然聞かされたとしても,確かに一般の人は意味が分からないですからね。上木さんの「世界はそれでも変わりはしない」がかかってこそ428のエンディングですもんね。個人的にはちょっとやってみたかったんですけど(笑)。
ウメ:
メイキングについては,今回すごく充実していましたね。特典DVDなどでもたくさん見ることができましたし,スナップ写真もたくさんありました。
イシイ氏:
サウンドノベルのファンの方をエキストラとして集ったときに,メイキングをたくさん見たいという要望があったんです。発売前のアンケートでもその要望が多くて,たくさん用意したんです。
というのが表向きで,実は僕が現場で手持ちぶさただったんで,カメラとDVカムをずっと撮っていたんです(笑)。写真はロケ場所で必ず1枚以上,映像はできるだけ撮って。映像だけでも40時間以上あると思います。それだけ撮ったので,濃いメイキングができたというわけです。どこかで映像を使っていただけるなら,お貸ししますよ?(笑)
個人的にお借りしたいぐらいで……(笑)。ちなみに劇中ですごく印象的なロートレックのロケ地の喫茶店はどうやって見つけたんですか?
イシイ氏:
あの喫茶店はいろいろな映画でよく使われているんですよ。1度撮影をしていると,「ああこの角度で撮ってんだなー」とかよく分かります。車の通りが多くて,メイキングDVDの撮影時に音を録るのが大変だったことを覚えています。
「428」も10年後まで愛してもらいたい
後にスパイクさんからPSP版とPS3版が発売されましたが,こちらは完全な移植版ということでしたが……。
イシイ氏:
PS3版は忌火起草のときのエンジンがあったので比較的簡単にできました。PSP版はメモリが少ないので,エフェクトまわりなどではちょっと苦労しましたが,それ以外はさほど問題なく進めましたね。
ウメ:
PSPは容量が大変ではなかったですか?
イシイ氏:
確かに難しいと思っていたんですが,画質を多少妥協することでなんとか詰め込むことができました。本当はもう少し圧縮率を下げたかったんですが,UMDを2枚にするのは避けたかったんで,現在の解像度で。
ウメ:
分かりました。それにしてもすごいゲームを作りましたね。今回はとくに「記録ではなく記憶に残るゲーム」という印象でした。
イシイ氏:
ありがとうございます。ハードウェア別にも揃えられましたし,基本的には発売日に買って勢いだけで遊ぶゲームではないので,いつでもいいのでじっくり楽しんでいただきたいですね。
ゲーム業界のテキストということもそうですが,街のように10年後まで愛されるゲームのスタンダードになるといいなと思っています。
ウメ:
次もあるとすれば,また10年待ちそうですか?(笑)
イシイ氏:
10年はお待たせしないようにしたいですよね(笑)。
サウンドノベルのつくりを継承する最新作「極限脱出 9時間9人9の扉」
ここからは最近の話になりますが,イシイさんの最新作として「極限脱出 9時間9人9の扉」が発売されましたね。
イシイ氏:
発売日は売り切れたところもあって,おかげさまで高い評価をいただいています。428と違ってこの999は若手のチームで制作しているんです。金八と同様,いい意味でチュンソフトらしくない要素が入っているんですが,その部分を高く評価してもらっていますね。428で残ってしまった問題点をしっかりと解決できたソフトなので,ファンの人にはぜひ遊んでもらいたいですよね。
ウメ:
DSのサウンドノベルとしては初めてですよね。しかも完全新作で。
イシイ氏:
正式にはサウンドノベルとはうたっていないんですが,DSでこの形は初めてですね。どうしても“ノベル”とついていると,文字のイメージが先行してしまうので,どちらかといえば「逆転裁判」や「レイトン教授」などと同じユーザー層に楽しんでいただきたかったんです。
前半は馴れてないから脱出パートが楽しくて,脱出パートを1時間やってノベルパートを読んでという感じになるんですが,後半になるとコツが分かってきて,ストーリーをどんどん進めるために脱出パートをテンポよくクリアしていくという仕掛けになっているので,いいところのバランスでまとめられたと思っています。
ウメ:
1回めのプレイでは全然話が分からないですよね。
イシイ氏:
そこらへんはチュンソフトっぽいところで(笑),かまいたちのミステリー編の空気も入れています。バッドエンドによって犯人とか全貌が少しずつ見えてくる感じで。
ウメ:
難度的にはどうでしょう?
どこの扉に入るかが大きなフラグになっているので,選択肢だけのかまいたちと比べると難しくはないと思うんですけどね。
ウメ:
ということは細かいセリフ周りの選択肢はフラグに関係しないんですか?
イシイ氏:
ストーリーの分岐には影響しません。基本は扉で,一緒に誰と入るのかが大きな分岐になっています。
ウメ:
殺される予兆があるのがすごく嫌ですよね(笑)。でも戻れなくて,殺されるしかないという。かまいたちっぽいですよ。
イシイ氏:
でも凶器にストックはないですから(笑)。入れておいてもよかったかな? ある意味“DS時代のかまいたちの夜”として,サウンドノベルファンにも楽しんでいただきたいですよね。
428以上の驚きがあると思いますので,ネタバレに気をつけて,ネットを断って(笑)遊んでみてください。
ウメ:ぜひそうします(笑)。本日は長い時間ありがとうございました。
「428 〜封鎖された渋谷で〜」公式サイト
「極限脱出 9時間9人9の扉」公式サイト
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428 〜封鎖された渋谷で〜
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極限脱出 9時間9人9の扉
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