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「極限脱出 9時間9人9の扉」ディレクターの打越鋼太郎氏,ノベル版作者の黒田研二氏も参加した「東京リアル脱出ゲーム 廃倉庫からの脱出」レポートを掲載
「リアル脱出ゲーム」公式サイト
これは,ototoyが主催し,SCRAPが企画制作して行われたイベント。さまざまなアイテムや暗号/パズルの隠された部屋に閉じ込められた参加者達が,制限時間内に謎を解いて“脱出”するのが目的の参加型謎解きイベントである。
リアル脱出ゲームは,これまでも京都/大阪/東京など各地において,さまざまなシチュエーションで開催されており,今回の「東京リアル脱出ゲーム 廃倉庫からの脱出」では,1“脱出”定員が78名の27公演が開催された。
また今回は,スパイクから発売されたニンテンドーDS用ソフト「極限脱出 9時間9人9の扉」(以下「999」)が協賛しており,同作のプロデューサーであるイシイジロウ氏,ディレクターの打越鋼太郎氏が謎の監修に加わっている。
なお「999」は,見知らぬ場所に連れてこられた9人の男女の脱出劇を描いたアドベンチャーゲーム。プレイヤーは謎の人物“ゼロ”が仕掛けた「ノナリーゲーム」を突破するべく,さまざまな謎解きやトラップに挑戦していくという内容だ。
本稿では,「999」公式サイトで行われた発売記念キャンペーン応募者の中から抽選で20組が招待された,1月9日の公演の模様をお届けしよう。
「999」の緊張感がリアルに体験できる?
歯ごたえ満載のリアル脱出ゲーム
ここが今回の脱出ゲームのキモともいえる部分で,それぞれの部屋に用意されている謎解きのヒント(の多く)は,自分達とペアとなるチームのいる部屋に隠されている。つまり,別々の部屋に閉じ込められた2チームで力を合わせないと,すべての謎は解けないというわけだ。
しかし,参加者達は部屋を移動することはもちろん,携帯電話などを使っての情報交換も禁止されている。そこで役立つのが部屋に設置してあるポストだ。伝達事項を書いた紙を封筒に入れてポストに投函すると,“郵便局員”が別部屋のチームメイトに届けてくれるという仕組みだ。ただし制限時間は55分なので,のんびりしてはいられない。
ちなみにこのイベントでは,打越氏と小説版「999」の作者である黒田研二氏が,プレイヤーとして謎解きに挑戦した。
今回,同行した編集者もプレイヤーとして参加したのだが,別部屋のチームメイトからの情報提供がないと解けない謎があったり,何気なく読み流したメッセージが,実は別部屋のチームメイトにとっては謎解きの重要なヒントだったりしたとのこと。しかも,別部屋のチームメイトとの情報交換は“文通システム”による封筒でのメモのやりとりのみだったので,かなり制限時間が短く感じられた模様。できる限り多くの情報を,いかに効率良く共有できるかどうかが脱出のカギとなったようだ。
そして55分が経過すると,すべての参加者は,すべての謎が解けたかどうかに関わらず,次の密室へと強制的に移動させられた。
次の密室では,別々の部屋のチームメイトが合流し,10分の制限時間内にチームメイト全員で脱出を目指した。
最後に,司会者から謎解きの“答え合わせ”が行われるとともに,脱出に成功したチームの発表が行われた。ちなみに脱出に成功したチームは全参加者中2チームのみという難度の高いものだった。
イベント終了後,打越氏と黒田氏に合同インタビューの機会が設けられたので,その概要を最後に掲載しておこう。
――本日は,お二人ともリアル脱出ゲームにプレイヤーとして参加したということで,その感想を聞かせてください。
打越氏:
こちらからご提案させていただいたこともあるのですが,一つ一つの謎とかについては僕も知らないことだらけだったんですね。なので,自分自身のことも知れてすごく楽しかったです。まあ,僕は最終的には脱出できなかったんですけど,今後も機会があればこういうリアル系脱出ゲームも作っていきたいなと思いました。
黒田氏:
僕は何の予備知識もなしに参加させてもらったんですけど,すごく楽しかったです。ほとんど一緒にいた方が解いていたので,僕は何もしてませんでした(笑)。謎を作る才能と解く才能は違うんだなと思いました。合流後はあと一歩のところでタイムオーバーとなってしまったので,悔しいなと思いましたね。
でも普段初めてあった人とこんなに話す機会は今までなかったので,すごく楽しかったです。手紙でやりとりしていた人達と合流して会った瞬間の感動もすごかったですね。
――お二人のチームはどれくらいの正解率だったのですか?
打越氏:
最初の部屋の問題は1問だけ解けなかったですね。ペアのチームは5問中3問の正解でした。最後の部屋での謎解きは,ヒントが足りなくてもなんとなく分かったのですが,最後の扉は分からなくて正解までたどり着けなかったという感じです。
黒田氏:
僕のチームは3問正解でした。ペアのチームも3問でしたね。最後の謎解きも終了の30秒くらい前に仕掛けに気がついたんですけど,時すでに遅しという感じで。最終的に脱出できなかったのは悔しいですけど,みんなで盛り上がれてよかったです。
――今回のイベントでは,「999」をプレイした人ならニヤリとしてしまう要素が非常に多かったと思うんですが,その感想を聞かせてください。
打越氏:
主催者の加藤さんが「999」をすごく気に入っていただいたということもあり,随所に「999」の要素を入れていただいたんです。すごく嬉しかったですね。
黒田氏:
ゲームをプレイした人ほど今回のイベントは楽しいし,イベント終了後にまたゲームをプレイしていただいても楽しいと思います。
――脱出ゲームを作る側から参加する側になって,刺激を受けたことはありますか?
打越氏:
「999」は一人用のゲームなのですが,今回のイベントで,通信機能を使って皆で解いていくっていうのも面白そうだなと思いました。
――ノベルには生かされそうですか?
黒田氏:
脱出系って,一人でやる感じになっちゃいますよね。なので皆で脱出する楽しさを書けたらいいなと思いました。まあ,もう「999」の小説は書き上げちゃったんですけど(笑)。
――ゲームと小説版「999」で内容の違いなどはありますか?
黒田氏:
根本的な部分は同じですが,基本的には途中からパラレルワールドのアナザーストーリーだと思ってもらったほうがいいかもしれません。ゲーム内での回収されていないような伏線を,僕なりに解釈して書きました。中心の話は同じですが,分岐していってる話はゲームとは違ってきますね。キャラクターの性格なども若干変えています。
――小説版をご覧になっての感想はいかがですか?
打越氏:
すごく綺麗にまとまっているので,僕のシナリオよりもエレガントな感じに仕上がっていると思います。僕自身,読んでいてすごく面白かったですね。
――最後に,「999」をまだプレイしていない人や小説版を楽しみにしている人に向けてメッセージをお願いします。
打越氏:
「999」は脱出ゲームファンの方もノベルゲームファンの方も,両方が楽しめる作品です。機会があればぜひプレイしてください。
黒田氏:
自分の書いた作品だとあまり褒めることができないのですが,今回は打越さんの話が中心となるので,傑作に仕上がったと思います。
ゲームファンでなくても十分楽しめる話ですし,ゲームをプレイした方は違った楽しみ方ができると思います。上巻は2月1日,下巻は3月1日に発売されるので,ぜひ読んでほしいですね。
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極限脱出 9時間9人9の扉
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リアル脱出ゲーム
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