インタビュー
戦場でシャアやアムロ,カミーユに会える「大規模任務」が楽しみな,「ガンダムネットワークオペレーション3」開発&運営スタッフインタビュー
GNOシリーズの最新作に当たる本作は,アニメ「機動戦士ガンダム」の“一年戦争”と「機動戦士Zガンダム」の“グリプス戦役”を,プレイヤー自身が部隊を率いて戦うという内容だ。
4Gamerでは,正式サービスの開始に先駆け,バンダイナムコオンラインのオンライン事業部 プロデューサー 丸山和也氏と,開発を手がけるヴァンガードの企画セクション ディレクター 磯川 豊氏にお話をうかがった。
「ガンダムネットワークオペレーション3」公式サイト
シリーズを踏まえ,初心者に優しくベテランもやり込める集大成的な内容になった
プレイヤーは,まずパイロットとモビルスーツを選んで自身の部隊を編成し,「フォーメーション」で配置と基本戦術を決定。そして「任務」を受けると,あとはログイン中であるかどうかを問わずゲームが自動的に進行する。戦闘も設定に基づいて進行するので,見ているだけだ。
なお,ログアウト中に行われた戦闘の結果は,次回ログイン時に確認できる。
「GNO2でも“1日10分”というフレーズを使ったのですが,今回のほうがそれを実現できていますね」(丸山氏)
「シミュレーションゲームですから,そもそもルールの理解に難しさは含まれてしまうんです。とくにGNO2では理解しなければならない情報が多くて,お客様が個人で解説サイトを作るようなことにもなっていました。そういった奥深い部分を楽しんでくださっている方も多いのですが,GNO3では初めての方にも分かりやすくなるよう,ハードルを下げることを意識しました。例えば,部隊編成で新たに採用したフォーメーションがそうですね」(磯川氏)
部隊は,そうした任務と戦闘を通じて成長していく。部隊パイロットは用意された六つのタイプに沿って成長していくが,プレイヤーの分身である部隊長だけは成長のさせ方を細かく設定できる。
また,並行してモビルスーツの新たな機体を開発し,必要に応じて部隊を再編成していく。
「クローズドβテストの結果,シリーズをずっとプレイされている方からは,部隊をもっと細かく設定したいという意見も挙がっています。しかし,まずはより多くの方に遊んでいただきやすい形にしようと考えているんです。ただ今後は,拡張要素として徐々に自由度を高めていこうと思っています」(丸山氏)
「ステップアップを求める方に向けた要素として『改造パーツ』を用意しました。改造パーツは機体の能力を上昇させるもので,フォーメーションの中にどう組み込むかといった攻略性を楽しめます」(磯川氏)
その一方,ユーザーインタフェースの改善や,任務で協力プレイをした場合のサブリーダーの設定や報酬の配分といった,細かい利便性の向上が図られている。
磯川氏をはじめ,開発スタッフはGNOシリーズや他社のタイトルのプレイ感を踏まえ,オンラインゲームとはこうあるべきという確固たる考え方のもとに,GNO3の開発を進めてきたという。
「プレイ時間の差が有利不利に繋がらないよう,従来シリーズからシステムを変更しています。例えばトレードに関しては,今回,マーケットを用意しましたので,オフラインの間でも取引ができます。ゲームを進めていく中では,きちんとプレイヤー同士で協力した方が有利になるケースもありますが,基本的には拘束時間が少なくなるように考えています」(磯川氏)
「オンラインゲームは大変というイメージがありますが,GNO3は違います。というのも我々はGNO1を作るときに,自分自身の経験に対する反省から『プレイ時間が長くないと楽しめない仕様は良くない』と考えたんです。そんなに時間をかけなくとも,コミュニケーションを取ったり,競い合ったりできるようになっているので,オンラインゲームは初めてという方も安心してください」(磯川氏)
人気キャラと共闘したり敵対したり。毎週土曜日はイベント「大規模任務」を施
GNO3の最大の目玉となるのは,毎週土曜日に発生する「大規模任務」だ。これは,アニメシリーズにおける大きな見せ場をイベント化したもので,プレイヤーの投票によって侵攻ルートが決定され,そのルートに応じたマップとキャラクターが登場する。
大規模任務では,まず予選ともいうべき3回の戦闘を行い,その戦績から最終戦に参加するプレイヤーが選ばれる。最終戦では,シャアやアムロといった人気キャラクターと交戦できるので,ガンダムファンならぜひ参加したいところだ。
「ランキングの上位を狙うには,長時間プレイをしたり,詳しい分析をしていたりといった,ある種の努力が必要です。そういった方は,仕様を全部知っているはずの開発者を上回る知識を持っていたりもします。それはたいへんありがたいことではありますが,皆が皆,それをできるわけではありません。それを踏まえてシステムを設計していますので,お客様それぞれの楽しみ方をしてほしいですね」(丸山氏)
大規模任務に代表されるように,GNO3は基本的にガンダムファンが喜びそうな要素を大きくフィーチャーしている。
両氏に,その魅力をあらためて語ってもらったところ,「ガンダムを知らなくとも,こういうゲームが好きな人は多いはず」という前置きをしたうえで,やはり世界観を知っているからこそ楽しめる部分を意識しているとの答えが返ってきた。
「大部分の方は,自分の部隊を作って,ガンダムの世界観の中で遊ぶという楽しみ方をしておられると思います。ジャンルとしてはシミュレーションやストラテジーに分類されますが,その一方ではガンダムの世界でロールプレイができるRPGのような遊び方ができるんですよ。自分のプレイヤー名に“大佐”や“軍曹”といった階級が付く,という部分も大きな魅力として捉えていただいているようです」(磯川氏)
「ガンダムの世界観を,ガンダムファンのプレイヤー同士で共有できるところが大きいと思います。チャットでガンダムネタを盛り込むと,皆が食いついてくるような特異な空間になっていますね。ガンダムを軸にした一つのコミュニティになっているというか」(丸山氏)
偉大な原作が築いてきたイメージを,ゲームとしてどう表現するか。その葛藤やいかに
GNO3に限らず,原作付きのゲームに対する評価は,どうしても原作が持つイメージに左右されてしまう部分が大きい。つまり,ゲームとしての出来不出来だけでなく,イメージを壊さずに原作の雰囲気をきちんと再現できているかが採点されるというわけだ。
まして30年の歴史を持つガンダムシリーズでは,筋金入りのファンによる厳しいチェックが待っている。
「ガンダムファンは詳しい方が多いですから,ちょっとおかしな部分があるとすぐに指摘してくださるんですよ。必然的に我々もきちんと考証して,これまでに作られてきたガンダムの歴史とのズレがないようにしています。とはいえ,お客様それぞれがイメージをお持ちですから,全員を満足させるのは本当に難しいですね。アニメに忠実にしてしまうと,アムロには絶対勝てませんから(笑)。また機体の開発期間がおかしいという意見もいただくのですが,ゲームとしての快適さを提供できるよう調整してるので,やむを得ない部分もあります。これも厳密にしすぎると,ゲームとして面白くありませんので」(丸山氏)
GNOシリーズにプレイヤーが寄せる意見の中には,常に敵陣営の強さに関するものがあるという。すなわち連邦のプレイヤーはジオンが,ジオンのプレイヤーは連邦が強すぎるのではないかと思っているわけだが,それはまさに「隣の芝生は青く見える」状態だと両氏は説明する。
「どの陣営が強いかというのは,お客様の間でいつも議論になっていますね(笑)。開発のスタンスとしては,連邦とジオン,あるいは今回から登場するエゥーゴとティターンズそれぞれの味付けができるようバランスを取っています。例えば,連邦は宇宙でも地上でも戦える汎用機体が多いですが,ジオンはそれぞれ専用機体が多い,というような特徴を生かせるように考えています」(磯川氏)
「連邦とジオンでは,若干ジオンの人気が高いかな,という感じですね。GNO3では,これが三勢力になります。クローズドβテストでは,一番人気はエゥーゴでしたが,これは連邦からもジオンからも行けるからでしょう。次がジオン共和国で,ティターンズは全体の一割くらいと意外に人気がなかったです」(丸山氏)
「とはいえ,人数が多い陣営が必ず勝てるというものでもないですから,そこはご安心ください。好きなところに入ってプレイしていただくのが一番です」(磯川氏)
「むしろ,人数が少ない陣営だとランキングに入りやすくなりますから,それだけ大規模任務で活躍できるチャンスも増えるんです。なので,あえて少人数の陣営を選ぶのも一つの手ですよ」(丸山氏)
「ZZ」「逆シャア」,そしてOVAシリーズ。最終的には宇宙世紀全体を網羅するGNO3
ストーリーは,上記の通り,まずは一年戦争とグリプス戦役が舞台となるが,追って「機動戦士ガンダムZZ」や,劇場版「逆襲のシャア」の内容も実装される。さらには,その間を補完するOVAシリーズなどの要素も随時追加されていくとのこと。
丸山氏によれば,宇宙世紀を全部描ききるくらいの勢いで開発を進めているそうだ。また,こうした一年戦争後のストーリー展開は,GNO2開発の時点で既に構想中だったと,丸山氏は述べる。
「常に時間が流れているゲームですので,3か月かけて一年戦争をやって,続けてZガンダムの内容に入るとかなりスパンが長くなってしまいます。それを考えると,単純な追加要素にはできなかったという事情があります。また一年戦争は2陣営ですが,Zガンダムの時代は3陣営になりますから,根本の設計を見直さなければならなかったことも大きいです」(磯川氏)
ここで気になるのが,なぜGNO3を昨今流行のブラウザゲームとして開発しなかったのか? という点だ。ガンダムという強力なIP,プレイヤーに負担をかけないゲーム進行,おまけに低スペックPCでも動作するとくれば,まさにブラウザゲームにうってつけではないだろうか。
丸山氏は,そうしなかった理由を従来シリーズとの兼ね合いがあること,そして課金形態の変更に伴う大きな仕様の変更が必要になるからと説明する。
「確かに,ブラウザゲームやソーシャルアプリにできないか,という議論はありました。ただ今回は,GNOの集大成というイメージで企画していますので,従来シリーズ同様に,クライアントをインストールするタイプにしました。また,月額料金制を採用したのも同じ理由です。有料アイテム前提のビジネスモデルを採用してしまうと,ゲームの仕様が全く変わってしまいますから」(丸山氏)
「これまではディスクメディアで提供していたのですが,今回はネットブックでも遊んでいただきたいと考えてUSBメモリにしました。そして,どうせやるなら面白いことをやりたいと,バンダイさん,バッファローさんとお話をしたんです。その中で,Zガンダムといえば変形だから,USBメモリにも変形ギミックを持たせようという案が出ました。ところが肝心のZガンダムは,SDにしてしまうとあまり格好よくならないんですよ。そこでいろいろ試してみて,一番現実的なサイコガンダムに落ち着いたというわけです」(丸山氏)
それでは最後に,両氏からGNO3に期待している人や4Gamer読者にメッセージを頂いたので掲載しておこう。
「万全を期して公開いたしますので,安心して遊んでいただきたいです。これまでシリーズを遊んでこられた方も,今回が初めてという方も,ガンダムの世界で一緒に楽しんでいただけると幸いです」(磯川氏)
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