連載
【西川善司】「グランツーリスモ5」立体視プレイにあたっての設定指南
西川善司 / グラフィックス技術と大画面とMAZDA RX-7を愛するジャーナリスト
(善)後不覚 |
確かにSCEJは2010年6月から立体視対応ゲームを配信したりしていますし,パッケージタイトルでも,PlayStation Move(以下,PS Move)と3D立体視の両方に対応した「Me&My Pet」を出していたりします。本気度はかなりのもののようです。
2011年2月24日に発売予定の「KILLZONE 3」もPS Moveと立体視両対応のようですが,2010年内発売されたタイトルで最も注目度の高い立体視対応ソフトといえば,なんといっても「グランツーリスモ5」(以下,GT5)になるでしょうね。
「え,そうなの?」なんて声も聞こえてきそうで,もしかしたらあまり知られていないかもしれませんが,GT5は3D立体視テレビに完全対応しているんです。なので,PlayStation 3(以下,PS3)と3D立体視テレビを接続すれば,特別なアドオンソフトなどを組み込まずとも,“素の状態”で立体視レース体験が楽しめます。
今回は,このGT5の立体視について見ていきたいと思います。
PS3と3D立体視テレビを接続したときの注意点
「3D立体視テレビを購入してPlayStation 3とつないだのに,3D立体視対応テレビとして認識されない」なんて困っている人がいるようですね。これはテレビの買い替え派に多く見られる“症状”ですが,PS3に立体視対応テレビを認識させるには,PS3に用意された「設定」メニューの「ディスプレイ設定」−「映像出力設定」から「自動設定」を選択してみてください。これで,「前につながっていたテレビと違って,今度のテレビは3D立体視に対応してるんだ」と,PS3が気づいてくれます。
なので,有効化してやりましょう。GT5の「オプション」メニュー内,「デバイス」設定の右のほうに「3DTVモードの設定」というのがあるので,これを選びます。このあたりはゲーム付属のマニュアル冊子には一切書かれていないので,見つけにくいかもしれません。
GT5の「視差」設定とは
ところで,GT5の「3DTVモードの設定」には,オン/オフの切り替え設定以外にも,「視差」「輻輳点」という設定項目が用意されています。
おそらく,大半のユーザーがなんのことか分からないと思いますし,「輻輳点」に至っては,読み方が分からない人のほうが多いかもしれませんね。順番に解説していきましょう。
これは漠然としていてイメージがしにくいですが,実際には,奥行き方向のダイナミックレンジ設定,という意味です。
設定値は1〜10で,値が大きければ大きいほど,最遠部の情景が遠くに見えるようになります。つまり,値を大きくするとテレビの表示面から奥に向かって深い奥行き感が得られるようになるのです。
なお,「視差」設定で大きな値を設定すると,飛び出して見えるオブジェクトがより手前まで飛び出てくるように描かれるので,飛び出し表現が多い3D映像では目が疲れやすくなります。GT5は奥行き方向の表現を重視した映像作りになっているので「5」くらいに設定してもそれほど目前がガチャガチャすることもないですし,値を小さくしすぎると,コーナーまでの距離感が掴みにくくなったりもしますから,見にくくならない程度で,最も大きな値に設定するのがよいでしょう。
ちなみにこの設定,テレビ画面の大きさに依存するので,デフォルト設定が必ずしも奨励されないということは覚えておきたいところです。
GT5の「輻輳点」設定とは
「輻輳点」は,「ふくそうてん」と読みます。
漢字が難しいので,3D立体視の世界では「交叉点」という用語に置き換えて使うことも多いです。
これは左右の目の視線が交差する点を意味していまして,立体視においては「飛び出てもいないし,引っ込んでもいない位置」――いわゆる原点的な位置を指します。
つまり,デフォルトでは飛び出し表現をしていなかった映像までを飛び出し表現として描けるようになるわけです。値を大きくすると飛び出し感重視の3D映像になりますが,実際のプレイ時には目がガチャガチャした感じになって遊びづらくなりますから,その点は要注意。
基本的には「うまく立体視できない」といったときにいじればよいでしょう。ただ,リプレイ映像を見せるとき,この値をやや大きめにして来客に見せると「おお〜飛び出してるね〜」という歓声が上がりやすく,3Dテレビの評判もよくなります(笑)。
立体視プレイがゲーム性を増強してくれる
立体視でプレイすると敵車の遠近感が捉えやすくなり,さらに車と車が創り出している隙間もイメージしやすいため,オーバーテイク(追い越し)するときに,「どう敵車の間を抜けていけばいいか」の動線を立体的に思い描けるようになります。
また,コーナーまでの距離感も分かりやすくなります。平面表示だと,背景情報や路肩情報だけで,図形処理的に反応しがちだったブレーキングのタイミングを,実際の車の運転のように,コーナーまでの実感距離で反応できたりするのです。タイムアタック時は,確かに「図形処理的な判断」のほうがクールに走れますが,レース時の混走状態におけるコーナリングでは,この実感距離がとても有用な情報になるんですよね。
GT5における立体視は「ただ物珍しさを誘うだけの演出要素」ではなく,ゲーム性を盛り立てる要素として機能していると思います。
GT5ファンの皆さん。ステアリングコントローラを買ったら,次にゲットすべきは3D立体視対応テレビですよ!
■■西川善司■■ テクニカルジャーナリスト。4Gamerの連載「3Dゲームエクスタシー」をはじめ,オンライン/オフラインのさまざまなメディアに寄稿したり,バカゲーを好んでプレイしたり,大画面にときめいたり,観切れないほどBlu-rayビデオを買ったり,オヤジギャグを炸裂させたりして毎日を過ごしている。 |
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グランツーリスモ5
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