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「戦国武将祭」と同時開催の,歴史の魅力満載「戦国楽市楽座」をレポート。メインアリーナとはまた違った豪華な出演者に注目
さて,そんな戦国武将祭が開催されたメインアリーナの隣,コミュニティアリーナでは「戦国楽市楽座」が同時に開催されていた。こちらでは,コーエー作品や,NHKの大河ドラマなどに関連した“アトラクション/展示”,戦国コンテンツが満載の“ステージイベント”,そして各ジャンルのファンにはたまらないアイテムが手に入る“物販/展示”コーナーなどが楽しめた。ちなみに,11時開場の戦国楽市楽座は,16時開催の戦国武将祭のチケットで入場でき,時間にも余裕があったので,両方を満喫した人も多かっただろう。本稿では,この戦国楽市楽座についてレポートしよう。
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「戦国武将祭」公式サイト
3月25日発売の「北斗無双」もプレイできたアトラクションブース
このほか,3月4日にコンシューマ版が発売されたばかりの「信長の野望・天道」(PC/PS3/Xbox 360)や2月18日に発売された「三國志DS 3」,Wii用ソフト「戦国無双3」といったシリーズ最新作も人気だった。ちなみに「三國志DS 3」は,初心者に向けたチュートリアル,基本的な遊び方からプレイのヒントまでゲーム内で確認できる兵法教書といった要素が用意された,「シミュレーションゲームって難しそうだなー」と,なんとなく敬遠している人にぜひ手にとってもらいたい作品となっている。「こちら」の記事でレビューを掲載しているのでぜひご参考に。
また,「信長の野望 Online」(PC/PS3/PS2),「大航海時代 Online」(PC/PS3),「真・三國無双 Online」(PC/PS3)など,コーエーのオンラインゲームが体験できるブースもあり,興味を持った来場者がプレイしている姿が見られた。
ちなみに,「大航海時代 Online」では明日(3月9日),「5th Anniversary」のアップデートが実施されるが,同ブースでは,新たに登場するオープニングムービーの一部が入ったプロモーションムービーが流れていた。これまでのオープニングムービーと比較して,かなり力の入った映像だったので,気になっていた人は明日の実装を楽しみに待とう。
戦国楽市楽座,1日目。「時代考証はつらいよ」小和田哲男氏による戦国トークショー
会場中央に設けられたステージでは,トークショウやアーティストライブなど,さまざまなイベントが行われていた。
1日目(3月6日)には,NHKの大河ドラマで時代考証を担当した,静岡大学名誉教授 小和田哲男氏による戦国トークショーや,声優トークショー,現役女子大生にして読者モデルとして活躍中の水野佐彩さんによるライブ,戦国ゆるキャラが大集合のジャンケン大会などが行われた。
グー? |
ぐ……グーだろうか |
まず,ドラマでは物語を面白くするために,やや大げさな演出や創作部分があることは,大人であれば理解できることだろう。しかし,小学生や中学生といった子供達の場合は,NHKで放映されたものだからと,ドラマの内容が史実なんだと信じることがあるという。そんな子供達からの質問に,学校の先生が困ってしまう,なんていう話があるそうだ。
また,「功名が辻」の原作では,本能寺の変についての記述はわずか4行なのだが,ドラマの脚本家は信長の死はドラマティックだからと,1話分を撮りたいということになり,信長が鉄砲を持ち出して明智光秀と戦ったというシナリオを起こしてきたという。それに対して小和田氏は,信長が鉄砲を持ち出したという資料は見たことがなく「それはやめたい」と進言。しかし,演出として,どうしても鉄砲を持たせたかったようで,逆に,「本能寺の変の日に,鉄砲が一挺もなかったという資料はあるのか」と逆襲されたというエピソードを話してくれた。
これはちょっと“悪魔の証明”とも思える反撃なのだが,歴史のなかで明らかになっていない部分なので,これが正解というものを提示するのは難しかっただろう。また,想像の余地が残された部分だからこそ,面白い演出を織り込みやすいのかもしれない。
後日,春日山城のボランティアガイドから,観光客から案内し終わったあとに「ドラマに出てきた洞窟はどこにあるのか?」と質問されて困ったという話を聞いたそうだ。
たしかに,歴史について詳しくない人であれば,先ほどの子供達の話ではないが,ドラマで見たものがいつの間にか自分の知る史実になってしまうことは少なくないだろう。
そんな小和田氏だが,ドラマの監修にあたって,いつも撮影現場に立ち合うわけではない。そのために起こった失敗談として,「秀吉」で,前田利家が討ち取った首を持って,織田信長の前に持って行くというシーンがあり,スタッフから首おけの大きさや色,材質は何かという質問を受けたときのエピソードを話してくれた。
首おけは小和田氏のアドバイスどおり,ちゃんと完成して放映されることになったのだが……,俳優が首おけを軽そうに振って出てくるシーンを見て,頭を抱え込んでしまったという。
――しまった! 首おけの重さを言うのを忘れていた――
そんなこともあり,小和田氏は聞かれない情報であっても,細かく伝えるようにしているのだそうだ。
このように,史実と演出の違いなどによって,視聴者から苦情などが来ることも多いそうなのだが,それでも大河ドラマとして放映されることは,自分達の研究成果が,世間の目に触れる良い機会だという思いがあるとのこと。それにより,いくつかの間違って広まってしまった武将の名前などが,正しく定着してきたことが,時代考証を任された者としての成果であるとした。
また,本で書かれたものは,いかに売れても10万部といったところであり,自身の考えが世間に広まることはない。しかし大河ドラマは,視聴率から計算して,およそ200万人が見ているため影響が大きく,これを通して,多くの人に新しい知識を認識してもらえれば良い,と語っていた。
ちなみに小和田氏,若い女性の来場者の多さを見て,40年早く歴史ブームがきていれば,結婚相手の選択肢も増えたのにと,冗談も披露して会場を沸かせていた。
さて,4Gamerとして史実と演出という話題を考えるとすれば,史実と比較する対象は,コーエー作品を始めとした歴史ゲームになりそうだ。
これまでコーエーの作品に限らず,さまざまな歴史ゲームが登場しているが,真偽が明らかになっていない伝承や,なんとなく伝えられてきてたイメージを利用して,演出がなされているものも多いと思われる。実際の歴史や資料と照らし合わせれば,その時代にあるはずのないものが存在する……というケースは少なくないだろう。とはいえ,実際に分かっている事実だけでゲームを作れば,それが面白いゲームになるわけでもないはずだ。
ちなみに筆者は,あまり世界の地理は詳しくなかったのだが,「大航海時代 Online」のプレイ以降は,なんとなく(古い呼び方もあるものの)ニュースで流れる地名や海域に反応できるようになっていたし,世界地図を見て,ポルトガルの場所を指さしで確認できる程度にはなっていたのだ(学校で習ったはずなので,“のだ”というほど誉められた話でもない)。
こうした知識は,ゲームをプレイしていて自然と身についていたものだ。特別に意識していたわけではないが,ゲームの一要素として触れた結果,いつしか地理はもちろん,遺跡や世界史に興味を持つようになったことは間違いない。得られる知識のなかには,作品上の演出による,史実とはやや異なった認識が含まれることもあるが,興味を持ち自分で調べていくと,そういった演出に気がつくと同時に,正しい史実にたどり着くキッカケにもなっていたのである。
小和田氏の言うように,こうした知識を得るために,わざわざ史実が書かれた学術書を手に取る機会はなかったかもしれない。しかしゲームという演出により興味を持ったことで,筆者が史実に繋がる知識を得る,第1歩となっていたのだ。
戦国楽市楽座,1日目。“戦国時代”“信長”というコンテンツの魅力とは?
続いて,急激に冷え込んで寒さが戻ってきた2日目(3月7日)は,「信長の野望・天道」プロデューサー北見 健氏と,NHKの歴史番組「歴史秘話ヒストリア」のチーフプロデューサー渡辺 圭氏による戦国トークショーや,とある科学の超電磁砲(レールガン)の新エンディングテーマを歌うアーティスト ELISAさんによるライブ,大河ドラマ「風林火山」で板垣信方役を演じた千葉真一氏と同ドラマのチーフプロデューサー若泉久朗氏による戦国トークショウが行われた。このほかにも,戦国アクション時代劇「ガーネット オペラ」出演者によるトークショウや,前日と同様に声優トークショウや,ゆるキャラによるイベントが楽しめた。
まず,戦国時代の魅力について,ゲーム制作者として聞かれた北見氏は,戦国時代を統一するという,バラバラのものを一つにするというところがゲームとマッチしており,コンテンツとしての魅力があると話していた。
また,織田信長の魅力について北見氏は,この時代を引っぱっていった武将で,激烈で,苛烈なイメージが魅力であると答えた。これに対して渡辺氏は,苛烈な信長の番組は山ほど放映されており,信長を題材にした番組を制作するにあたって,苛烈な信長を今更やっても……という思いがあったという。そこで,共感できる信長とは何だろう? と考えたものの,格好よすぎる,強すぎる,革新的すぎることで,共感に至れる人物ではなかったそうだ。
このように周囲から見れば格好良い信長だが,では,信長の家族にとってはどう見えたのか? という切り口を思いつき「親父!いいかげんにしてくれよ! 〜信長に振り回された家族たち〜」を制作したとのことだ。
なお4月7日には,身近な人々が見た織田信長の最後の素顔を描いた「女中は見た!!」を放映するという。これも,織田信長と本能寺の変という題材の切り口を探すなかで,一度「信長公記」に立ち返り,信長の本当の最後を見た人物が女中だったことから番組を構成したとのことだ。
ドラマなどでは戦場のシーンへの移動は途中経過がカットされるが,実際は,山越えや峠越えや川越えがあり大変だと話す。そんな渡辺氏も,上杉謙信の回では関東に攻め込むための軍用道路を作るシーンを入れたというのだが,それは少しやっただけなので,天道のように“道”という要素を,全面的に展開して作るのは,発想の転換がないとできないと答えていた。
ちなみに,上杉謙信が作ったこの軍用道路は,実は苗場スキー場への道になっているという面白い話も披露してくれた。
出演をお願いされた千葉氏は,以前から大河ドラマに出たいと話していたこともあり,大変嬉しかったという。とくに「風林火山」において,日本の男はこうあるべきだという役柄で「役者冥利につきました」と答えた。
また若泉氏はキャストについて,これまでの大河ドラマを思い返したときに,千葉氏が出ていないというのはありえないとして,千葉氏にはぜひ時代劇の第一人者として出てもらい,すべてを映像に残したいとして出演を依頼。これによって風林火山は,時代劇の教科書になったという思いがあり,それを誇りに思うと話していた。
また千葉氏は,風林火山のキャストは最高だったと話す。とくに市川亀治郎さんからは,踊りのシーンなどで歌舞伎界の所作を教えてもらったとのこと。これが本当にできないと,時代劇役者とは言えないなと,最近では歌舞伎に入れ込んでいるということだ。
千葉氏の,この衰えない向上心とパワーには,本当に恐れ入る思いだ。
信長の野望シリーズ原画展では,イラストレーター長野剛さんのサイン会も。そして天下分け目の焼そば戦!?
会場の一角には,信長の野望シリーズの原画が展示されたスペースがあり,シリーズファンにはたまらない大きさの原画が並べられていた。この原画展には,「信長の野望」シリーズ,「三國志」シリーズの原画を担当した,イラストレーター長野剛さんも来訪し,サイン会が行われた。なかには,展示販売されていた版画を購入し,額の裏にサインをしてもらっていたファンの姿も。
このほか,物販エリアでは,歴史にまつわるさまざまなアイテムが販売されており,歴史ファンを楽しませていた。ブースには,お酒「会津清酒」の試飲ができるコーナーも。(仕事なので)グッと飲んでみたいのを我慢。近くのブースを見てみたら,今度は甲冑ウェディングの写真が貼られていて,歴史ブームに詳しいとは言えない筆者は「こんな世界もあるのか」とちょっと驚いてみたりと,見て回るだけでも楽しめた。
まさにカオスの「戦国武将祭」。声優が語り,プロレスラーが闘い,GACKTが熱唱し,炎の中から信長が復活して天下が統一された
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