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  • XLGAMES
  • 発売日:2013/07/23
  • 価格:基本プレイ無料+アイテム課金
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ArcheAge
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「ArcheAge」の紆余曲折を新旧プロデューサーが振り返る。ゲームオン野田氏と石元氏インタビューを掲載。特別な称号が手に入る読者プレゼントも用意
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印刷2016/08/01 12:00

インタビュー

「ArcheAge」の紆余曲折を新旧プロデューサーが振り返る。ゲームオン野田氏と石元氏インタビューを掲載。特別な称号が手に入る読者プレゼントも用意

 ゲームオンがサービス中のMMORPG「ArcheAge」は,2016年7月23日で正式サービス開始から3周年を迎えた。サンドボックス型のMMORPGであるArcheAgeは,船を建造したり,農業をしたりと自由な遊び方ができ,2016年には“国家を作る”というスケールの大きなコンテンツも実装され,ほかのMMORPGでは味わえない楽しみを提供してくれている。

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 やりこむほどに面白さが分かるゲームではあるのだが,一方でパッと見では何が面白いのか分かりづらいところもある。そのため運営は,サービス開始前からどうアピールしていこうかと悩んでいたようだ。
 今回4Gamerでは,今だからこそ言える苦労話や今後の運営方針などを,現在ArcheAgeのプロデューサーを務める石元一輝氏と,サービス立ち上げから1年間プロデューサーを務めた野田真央氏に聞いてみた。ゲーム中で使える特別な称号がもらえるプレゼントも用意している(※2016年8月24日に締め切られました)ので,ぜひ一読してほしい。

前プロデューサーの野田真央氏(左)と,現在プロデューサーを務める石元一輝氏
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「ArcheAge」公式サイト



口コミ効果を狙ったファミリーテストが上々の評価。しかし,CBTでは一転して?


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。ArcheAgeの正式サービスが始まったのは,2013年7月23日で,間もなく3周年となります(※インタビューは7月8日に収録)。今回は,この3年を振り返っていきただきたいと思うのですが,そもそも本作の日本サービスが発表されたのは2009年9月10日でした。

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石元一輝氏(以下,石元氏):
 「風の王国」「リネージュ」などのゲームを開発し,MMORPGというジャンルを誕生させた一人でもあるジェイクさん(開発元XLGAMES CEOのジェイク・ソン氏)が新作MMORPGを制作するということで,構想のかなり初期段階から日本国内での独占ライセンス交渉をしていたようです。

4Gamer:
 当時は,その3年後にサービス予定ということでしたが,実際のサービスインはさらに1年が過ぎたあとですから,予定よりも遅れてのスタートになったんですよね。

石元氏:
 ゲームづくりへのこだわりがすごくて,韓国では何度もクローズドβテスト(以下,CBT)を行っていましたからね。私は当時,別のタイトルのGMを担当していたのですが,そのCBTでArcheAgeをプレイして,「うわ,これは(調整が)大変そうだな」と思っていました。
 最終的にCBTを5回実施したので,日本でのサービスが予定よりも遅れましたが,こだわったモノづくりを行ったからこそ,サービス開始から3年経っても多くのプレイヤーさんに愛していただける,そんなタイトルになったと思います。

野田真央氏(以下,野田氏):
 開発の遅れといえば,実はとある日本の著名なイラストレーターに,イメージイラストや,ヌイアンやハリハランのデザイン原画などを依頼していたのですが,かなり描き込まれる方だったために,スケジュールが遅れてしまったということもありました。しかも,せっかく素晴らしいイラストを仕上げてもらったのに,その遅れが原因で結局はお蔵入りになってしまって。

4Gamer:
 いきなりそんな裏話が(笑)。しかし,もったいないですよね。そのイラストなどは,ゲームの中で活かされたりしなかったんですか?

野田氏:
 著名な方の作品でしたので,逆に中途半端な形では使えません。ですから,そこは泣く泣く断念しました。

4Gamer:
 その後,2013年の2月にプレサイトがオープンして,始まりが近づいてきたという感じでしたが,その頃,韓国ではどういった状況だったのでしょうか。

野田氏:
 2013年1月にサービスインしたばかりで,とても盛り上がっていました。開発者が想定していないような遊び方をする人も多くて,「そんなことができるの!?」と皆で驚いていましたね(笑)。この熱気を,どうやってうまく伝えようかと必死に考えて,4Gamerさんに開発元へお越しいただいて,ジェイクさんにインタビューしてもらったりもしました。

4Gamer:
 あー,担当編集者が「ソウルの2月は寒かった,というか肌が痛かった……」と話してましたね!

一同(笑)

野田氏:
 それから,日本でのサービス開始を韓国のサービス開始から半年後の2013年7月に定めて,その前の4月にファミリーテストを実施して,いかにArcheAgeの面白さを分かってもらうかに注力することにしたんですよ。

4Gamer:
 いわゆる生活系のMMORPGですから,実際にある程度遊ばないと,その面白さは分かりづらいですね。

野田氏:
 ですから,MMORPGの経験が豊富で,SNSなどの発信力が高い方を「最初の遠征隊」という名称で100名募集させていただき,ArcheAgeの自由度の高さを情報発信していただくという取り組みを行いました。実際にゲームをプレイして発せられる「こんなことができるんだ!」という生の声は,説得力がありますからね。

4Gamer:
 いわゆる口コミ効果ですね。しかし,100人限定というのを最初聞いたときには驚きました。もっと大規模にやるのかと思っていたので。

野田氏:
 ファミリーテスト自体は,全国5か所のネットカフェで参加権を配布していましたし,参加した方々から招待された方もプレイできたので,実際には結構な数のプレイヤーさんがテストに参加されていました。参加権を配布した当日は,長蛇の列ができて近隣の店舗にご迷惑をおかけしたこともあり,スタッフが謝罪して歩いたりもしましたね。

4Gamer:
 そんなハプニングもあったんですね。

野田氏:
 ですが,お陰様でプレイされた方からは,「船が造れる,家が建てられる,泳げる,モンスターと戦える,戦争ができると,多彩なコンテンツが絶妙のバランスで組み上がったArcheAgeはすごく面白い」と上々の評判だったんです。しかし,CBTを開始する前に問題が発生してしまいまして。

4Gamer:
 どのようなことが?

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野田氏:
 先行してサービスを開始した韓国で,プレイヤーのコンテンツ消費スピードが想定よりもはるかに早く,バランス調整が入ることになったんです。日本でCBTを実施するにあたって必然的にその調整が入り,ファミリーテストとは異なった仕様で,CBTを実施することになりました。
 その結果「ファミリーテストでは絶妙なバランスだったのに,家を建てたりするのに苦労が多くなった」という,厳しいご意見を多数いただくことになったのです。

4Gamer:
 あー,ありましたね。

石元氏:
 開発や運営として,通貨などのゲーム内のバランスで守らなくてはならないラインがあるのですが,そこを重視するとプレイヤーからは遊びづらくなったように感じてしまうんです。

野田氏:
 オンラインゲームにおけるプレイヤーさんの動向は,当初の想定と実際の運営とで差異が発生することがあるため,ゲームのバランスは常に注意を払わなくてはいけません。そして,バランス変更の際には,丁寧なコミュニュケーションを行わなければならないと改めて痛感しました。


月額1750円を発表したArcheAge。ファンの好反応を受けて正式サービスがスタート


4Gamer:
 ArcheAgeは当初は月額課金制でしたが,月額1750円を発表したのは,オープンサービス中でしたよね。

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野田氏:
 秋葉原でジェイクさんを招いて行われたオフラインイベント「ArcheAge 進水式〜いざこの果てしなき大海原へ〜」のときですね。ここで金額を発表しました。あのときは,まだCBTしか行っていないのに,300人ぐらいの方に集まっていただけたことにすごく感動したのを覚えています。そこで「1か月1750円です」と発表したときに,会場に来てくださった皆さんから「うぉー」という大きな反応があって。

4Gamer:
 実際,月額なら2000円以上,3000円もありえると思っていたので,頑張っている値段だと感じました。

野田氏:
 当時,韓国のタイトルを日本に持ってくる場合,月額課金ですと2980円から3000円ぐらいが相場でしたから。そこを30日1750円で遊べて,それに加えてアバターを買っていただく。そうして楽しんでもらうという流れをArcheAgeで作りたかったんです。最終的な価格を決定するまで社内では何度も議論がなされ,発表までに時間もかかってしまいましたが,プレイヤーの皆さまからは一定の評価をいただけて安堵しました。

4Gamer:
 なるほど。ほかにサービス開始の前後で印象に残っているエピソードはありますか。

石元氏:
 ArcheAgeはとくにサーバーにお金がかかったことが印象に残っています。現在はもっと性能の良いサーバーがありますが,当時としては世に出ている一番良いぐらいのサーバーを採用しました。開発元の強いプッシュがあったのですが,サービスの運営に万全を期したかったのではないかと思います。

4Gamer:
 やはり,サンドボックス系のMMORPGとなるとデータ量も膨大になるんでしょうね。

石元氏:
 ええ。ArcheAgeで使うサーバーには,かなり大容量のストレージが必要で,メモリも大量に消費します。さらに,最初に僕らが用意しようとしたサーバーでは,ログのデータ処理が追い付かないだろうと。

4Gamer:
 では,実際に開発元から求められたサーバ構成を見たときは……?

石元氏:
 もう,僕らの想定をはるかに超えたハイスペックな構成で,社内が騒然となりましたね。「うわ,これ用意できるのかな……」と。お陰様でそれらを準備し,サービス開始してから大きなサーバートラブルもなく,3周年を迎えることができました(笑)。

4Gamer:
 お金の話で一喜一憂してたのは,プレイヤーだけじゃなかったわけですね(笑)。ところで,3か月間プレイ内容を配信する「ArcheAge移住計画」がありましたが,これもよくゴーサインが出ましたよね。

石元氏:
 あの企画には,僕らの方がびっくりしました。弊社のマーケティング担当が広告代理店に「他社では絶対に通らない企画をやりましょう!」とはっぱをかけたようです(笑)。そうしたら,チャレンジングな企画がたくさん出てきたようで。協議した末に「これをやらせてください」と提案された企画がこれでした。「え,マジっすか」と思わず口にした覚えがあります。

4Gamer:
 いきなり言われたら,同じことを答える自信があります(笑)。

石元氏:
 ちなみに,もう1つ最後まで残った企画がありまして。それは,渋谷の街中で甲冑をつけた騎士達が戦うという企画だったのですが,(警察の)許可が下りなくてボツになりました。

4Gamer:
 場所が場所だけに難しそうです。でも,街中での戦いは絵になりそうですね。

石元氏:
 そうですよね! ティンタジェルさんの甲冑ファイトをArcheAgeのイベントで行ったのはその企画の名残りです。安全性を考慮して作った金網の闘技場の制作費に思ってたよりもコストがかかったようで,担当は頭を抱えていましたが(笑)。


4Gamer:
 ああ,そんな経緯があったんですね。

野田氏:
 最初のファミリーテストの時もそうなのですが,ArcheAgeのリアルなゲームの世界を面白く理解してもらうにはどうしたらいいんだろうかと,マーケティング担当と話していて,そこは徹底的にこだわりましたね。あと,ほかでは絶対にやらないことをやろうと。

4Gamer:
 なるほど(笑)。

石元氏:
 でも,こうした企画がきっかけで,これ以降のオフラインイベントで尖った企画を出すことにもなりましたから。

4Gamer:
 たしかに……ArcheAgeは変わった取材が多いですよね。

石元氏:
 「ここまでやっていいんだ」という基準ができて,ならばここまでいける,ということになっているんだと思います(笑)。

野田氏:
 実際のゲームから外れた企画が出るようになったのは,これ以降かもしれませんね。


プレイヤーを飽きさせない細かなアップデート。基本プレイ無料化によるプレイヤーの反応は?


4Gamer:
 本作では,正式サービスがスタートしてから,毎月のようにアップデートが行われていますよね。かなりのハイペースでしたが,これは韓国で半年先行していたからこそ可能だったのでしょうか。

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野田氏:
 それもありますが,日本と韓国のプレイヤーさんの特性の違いも考慮しています。例えば韓国では,複数のコンテンツが一気にドカっと入るんですが,日本ではそれを小分けにして段階的に入れていたんです。

4Gamer:
 アップデートの内容を見ると,戦闘系と生活系,そのほかの系統のものが順に入っているような感じを受けます。

野田氏:
 そのあたりは石元のセンスですね。

石元氏:
 その頃はまだプロデューサーじゃなくて,いちGMだったんですけどね(笑)。

4Gamer:
 これは,やはりプレイヤーを飽きさせないためでしょうか?

石元氏:
 そうですね。アップデート直後は初動こそ遊んでもらえますが,しばらくすると離脱してしまう人が結構いるんですよ。そういった方たちを飽きさせないためには,アップデートをこまめにして,新しいものを見てもらったほうがいいんです。だから,アップデートが終わったらすぐに次の予告を出して興味を引き,プレイを続けてもらいたかったので,こういった手段をとりました。

野田氏:
 ArcheAgeは当初から,戦闘と生活の両方をケアしていきたかったんです。ですから,コンテンツをどう分割して,どの順番で実装するのか……パズルみたいな感じでしたよ。そんなことをずっと話してました。

4Gamer:
 2013年8月の「第一章 旧大陸への帰還 〜神々の生きた大陸へ〜」から,2014年2月の「第六章蒼く深き大海」までは,1か月刻みで途切れることなくアップデートを重ねていたので,すごいなと思っていたんです。

石元氏:
 そこは,正式サービスを開始してから半年が勝負だと思っていたので。

野田氏:
 それに,ガツっと一気にコンテンツを実装すると,何から手を付けて良いのか分からないとか,いっぱいありすぎて困るという反応も多いですから。

4Gamer:
 それはありますね。

野田氏:
 先日,休眠しているプレイヤーさんに,なぜ休まれたのかというアンケートを取ったのですが,「やることが多すぎて分からない」「戻ってきたはいいけど何をしていいか分からない」という答えが多かったんです。
 もともと攻略情報があまり表に出ないタイトルではありますが,以前に比べれば気軽に遊べるタイトルに進化しているので,今こそ戻ってきてほしいと思いますね。

4Gamer:
 しかし,プレイヤー同士が情報をコントロールしているような作品ですから,戻る人が情報を探すのも大変なのでは?

石元氏:
 以前に比べて情報も探しやすくなっているはずです。コンテンツが実装されてから時間が経っていますから。もちろん,敵勢力にメリットがあるような情報はなかなか出てきませんけどね。
 逆に3年間もプレイしていると,現役プレイヤーには当たり前のことが,新規さんや復帰された方々からすると当たり前じゃなくなってることもあります。3周年の記念イベントでは,その辺りのケアをしっかりとやっていきたいですね。

4Gamer:
 ちなみに,話しづらいかもしれませんが,サービス開始からアップデートが続いた半年間で,プレイヤーの離脱などはどの程度だったのでしょうか。

野田氏:
 月額制の強みかもしれませんが,僕が知る限りこのサービス形態は,基本プレイ無料タイトルと比べると,比較的に離脱は少ない傾向にあります。ArcheAgeもその例に漏れず,安定的に推移していました。

4Gamer:
 なるほど。というのも,月額制から基本プレイ無料化へと舵を切る発表が2014年3月に行われました。短絡的で申しわけないのですが,プレイヤー数が減ったから踏み切ったのではないかと当時は思ったんです。

野田氏:
 月額制から基本プレイ無料へ代わるまでのトラフィックは,僕らとしても満足いくものでしたよ。ですから,基本プレイ無料化に踏み切ると同時に新サーバーを増やしたくらいです。
 実際のところ韓国では,もっと早い時期に月額制から基本プレイ無料に変更されていました。長期的な開発体制を考えると,国別にサービス体系を変えるのは開発の工数が増してしまうので,どこかのタイミングで日本でも基本プレイ無料化に踏み切る必要があったんです。

4Gamer:
 つまり基本プレイ無料化は,日本のサービス状況に関わらず,必然的なものだったわけですね。

野田氏:
 韓国では基本プレイ無料のタイミングで,その効果をより高めるために大型アップデート「エアナード」を実装したという流れがありました。ですから,日本でも切り替えのタイミングは,そこが最適だろうと判断しました。

4Gamer:
 たしか,その発表をしたのは,正式サービス後初のオフラインイベントでしたね。

野田氏:
 そのときに基本プレイ無料化,エアナード実装,そしてプロデューサーが僕から石元へ移行することを発表しました。「タイトルの立ち上げはものすごくパワーが必要ですが,これからはパワーよりもお客様とともにタイトルを育てるのがすごくうまい石元へバトンタッチします」と,プレイヤーさんの前で発表させてもらったんです。
 基本プレイ無料の発表をしたときは,その前年の進水式で月額1750円を発表したときと同じ雰囲気だったので,「よかった」と感じました。それまでは卵でも投げつけられるんじゃないかと思ってたぐらいですから。

石元氏:
 ああ,それもありえるかなと僕も思ってました(笑)。本当にお客様に恵まれたと思います。

4Gamer:
 そこまでですか(笑)。でも,おそらくそれは,運営側じゃないと分からない心境でしょうね。さて,このオフラインイベントで,野田さんから石元さんにプロデューサーというバトンが手渡されたわけですが,そのときの心境はいかがでしたか。

石元氏:
 嫌でしたよ(笑)。

一同(笑)

石元氏:
 でも,この交代は当初から予定されていたものでした。結果的にはこのイベントで交代となりましたが,いずれどこかのタイミングで交代する予定はあったんです。

野田氏:
 ArcheAgeは,サービス開始までに多大な投資を行った,いわば社運を賭けたプロジェクトでしたので,チームにプロデューサー級の人間を何人か集め,プロデューサーは事業部長であった私が務めることになりました。そして,本来ならプロデューサー級の石元はGMとして本作に携わることになり,ゆくゆくは石元にプロデューサーを譲ることは決まっていました。

4Gamer:
 なるほど……そんな流れだったんですか。

石元氏:
 それで,「ついにこの時がきたか。もう逃げられない」と腹をくくりました。これまで以上に,もっともっとプレイヤーさんのことだったりとか,数字的なところだったりも含めて,見るようになりました。配信でも大々的に発表することになりましたが,こんなプロデューサーの交代は見たことないというコメントがありましたね。

野田氏:
 僕らも社内の人事のことを生配信で伝えるのはいかがなものだろうか? と考えたんですが,プロデューサーの交代劇もプレイヤーさんに喜んでもらえる要素であるならやろうか,ということだったんです。


「牧場」「屋形船」そして「島」。ゲームらしくないけど,ArcheAgeらしいオフラインイベント


4Gamer:
 運営2年めに入っても,毎月アップデートをするといった方針は継続していましたね。

石元氏:
 エアナードで遊び方が変わったとはいえ,調整がカッチリしているかというとそうでもないところもあったので,細かな調整を入れつつ新しい試みを導入するという形でした。

4Gamer:
 1周年記念パーティーは,全国を回ってバーベキューというオンラインゲームらしからぬオフラインイベントが開催されましたが,これはどなたのアイデアだったんですか。

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石元氏:
 僕です(笑)。「ArcheAge移住計画」で壁が取っ払われた結果です。今でもそうなんですけど,生配信を見てるプレイヤーさんから肉食え肉食えってずっと言われてるんですよ。

4Gamer:
 なんでまた(笑)。

石元氏:
 ちゃんと健康的な生活を送ってなさそうだから,と。じゃあ肉食べにいきます,オフラインイベントで,ということで実現したイベントなんです。ゲームのオフラインイベントって,会場でゲームに触ってみんなで楽しくというのが定番ですが,ArcheAgeは戦闘が好きだったり,農業が好きだったり,芸術系が好きだったりと,プレイヤーさんによって好きなコンテンツが見事なくらいバラバラなんですよ。

4Gamer:
 たしかに,プレイヤーによって目的が異なりますね。

石元氏:
 オフラインイベントではそういった方が一堂に会すわけで,全員が楽しめる企画がものすごく難しくて。だったらいっそのこと,ゲームは取っ払って,ゲームを知っているプレイヤーさん同士がゲームの話で盛り上がってもらえる機会を作ったほうが,皆さんもストレスなく楽しめるんじゃないかということなんです。

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2014年7月27日の「1周年記念パーティ」
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4Gamer:
 思い切りましたね……。その伝統は3年めの今年も健在ですよね。昨年は屋形船で,今年は佐渡島と能島の島めぐりという。この場所の選定も石元さんなんですか?

石元氏:
 昨年に屋形船をしたいと言ったのは僕です。1回めは陸で肉を食べたので,次は海っぽいことをできないかと相談して。ですが,どうしても水ものは危ないので企画が難しかったのですが,屋形船ならいけそう……ということで決まりました。

2015年7月26日の「2周年記念パーティー」
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4Gamer:
 ArcheAgeでは海はかなり大きなコンテンツですから,海に関連した何かをやってほしい気持ちはありますね。

石元氏:
 なんとかそっち系もやりたいですけど,事故が怖いので。去年はその結果の屋形船ですが,今年はちょっとレベルアップして「船に乗って島へ」ということになったんです。マーケティング部に言わせると「1年めのバーベキュー,2年めの屋形船と2年間培ってきたなかで,ハードルを上げていかないと」という発想で島めぐりになったらしいですよ。

2016年7月23日の「ルシPと行く!東西島ツアー」東コース:金山の島(佐渡島)
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野田氏:
 来年はどうなるんでしょうねぇ。

石元氏:
 来年やらせてもらうなら,1か所のコストを下げてもいいですから,日本全国を回らせてほしいですね。47都道府県全部ぐらいの勢いで。富士山に登るのとかも面白そうなんですけど,やっぱり事故が怖いからだめかなぁ。

4Gamer:
 ゲーム内で登山部的な活動をするMMORPGプレイヤーも少なくないですから,意外に参加希望者も多いかもしれませんね……というか,そうなっても我々は同行することになるのでしょうか(笑)。

一同(笑)

野田氏:
 ちなみに,こうしたイベントでは一般的に,3割ほど当日キャンセルがあるものですが,ArcheAgeのオフラインイベントは参加率が非常に高くて,当選された方のほとんどが来てくれてます。
 東京で開催されたバーベキューに参加したときに,プレイヤーさんのひとりが手を挙げて「来週に有志で○○サーバーの人間でリアルバーベキューをやるけど,来たい人は手を挙げてー」と,オフラインイベントでプレイヤーさん同士がコミュニティを図ってました。それを目の当たりにできて嬉しかったですね。
 
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