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GeForce GTX 400
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  • 発表日:2010/03/26
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1スロット仕様のGTX 460カード「KATANA」検証。サイズと動作音,価格に納得できるかがカギとなる
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印刷2011/01/21 00:00

レビュー

1スロットの仕様のGTX 460カード「刀」は,価格分の価値を提示できるか

GALAXY
GF PGTX460/1GD5 KATANA

Text by 米田 聡


GF PGTX460/1GD5 KATANA(GALAXY GeForce GTX460 Razor)
メーカー:GALAXY Microsystems
問い合わせ先:info@galaxytech.jp
実勢価格:2万3000〜2万4000円程度(※2011年1月21日現在)
画像集#002のサムネイル/1スロット仕様のGTX 460カード「KATANA」検証。サイズと動作音,価格に納得できるかがカギとなる
 香港に拠点を置くグラフィックスカードメーカー,GALAXY Microsystems(以下,GALAXY)から,2010年末に,1スロット仕様のグラフィックスメモリ容量1GB版「GeForce GTX 460」(以下,GTX 460)搭載カード「GF PGTX460/1GD5 KATANA」(海外製品名:GALAXY GeForce GTX460 Razor,以下 GTX 460 KATANA)が登場した。
 拡張スロット配置や,そもそもPCケース側の制約があるといった人達の間で,「一定以上の3D性能を持ちつつ,1スロット仕様で収まっているカード」のニーズは常にあるわけだが,今回の新製品は,そのニーズに応えられるものなのか,そして市場でどのように位置づけられるべきか。GALAXYの販売代理店であるエムヴィケーからサンプルを入手したので,気になる騒音や冷却能力といったポイントを中心にチェックしてみよう。


1スロット仕様に収めるべくクーラーを大型化し

いきおいカード長も長く


GTX 460 KATANA(左)とGTX 460 Ref.(右)を並べたところ。同じGPUを搭載しているとは思えないほど長さが異なる
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 1スロット仕様ということもあり,GTX 460 KATANAの厚みは実測約14mmと薄くなっているが,それだけに目を引くのが,その長さである。写真からも,細長いカードであることは容易に見て取れるが,実際,カード長は実測約267mmで,「GeForce GTX 580」などといったハイエンドのグラフィックスカードと同等だ。GTX 460リファレンスカード(以下,GTX 460 Ref.)だと同208mmなので,6cmも長い計算となる。

カード前方から吸気し,後方(=PCケース内)へ排気する仕様のGTX 460 KATANA。6ピンのPCI Express用外部給電コネクタ2つは,マザーボードに差したとき,マザーボードに対して垂直になるよう配置されている。SLIブリッジコネクタが用意されていない点も要注目
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GPUクーラーを完全に取り外したところ。DVI-IとDisplayPortの両出力端子と,GPUを中心とした主要コンポーネントとの間に大きな空きスペースがある
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 もちろんこれは,限られた厚みのなかで,GPUクーラーの大きさ,ひいては放熱フィンの面積を稼ぐ必要があるためだ。GPUクーラーを取り外してみると,主要コンポーネントがカード後方へ極端に寄った設計になっているのが分かるが(※GPUクーラーの取り外しは自己責任です),とにもかくにも,PCケースは,267mmクラスのカード長に対応したものが必要になる。

 ちなみにGTX 460 KATANAが搭載するGPUクーラーは,熱交換用の液体をヒートシンク内に封じ込めることで,効率的な熱の移動を実現しようという技術,「Vapor Chamber」(ヴェイパーチャンバー)をベースとしたもの。GALAXYのKATANAシリーズ伝統,と述べてもいいだろう。Vapor Chamberベースの銅製ヒートシンク部がかなりの重さを持つためか,GTX 460 KATANAの重量は実測約667gと,GTX 460 Ref.比で200gほど重くなっているのも特徴だが,667g程度であれば,取り付けに支障が出るほどでもない。持ったとき「あ,ちょっと重いかも」と感じるくらいだ。

GPUクーラーのカバーを取り外したところ(左)と,GPUクーラー自体を取り外したところ(右)。GPUパッケージと銅製ヒートシンクが接していることと,後方排気であることと,電源部用に単体のヒートシンクが用意されていることが見て取れる。ファンの直径は実測約75mmだった
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「GPU-Z」(Version 0.5.0)実行結果(※サムネイル画像をクリックすると,別ウインドウで全体を表示します)
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 ちなみに動作クロックはコア675MHz,シェーダ1350MHz,メモリ3600MHz相当(実クロック900MHz)で,グラフィックスメモリ1GB版GTX 460のリファレンスどおり。クロックアップやクロックダウンは行われておらず,動作クロックという観点ではグラフィックスメモリ1GB版GTX 460のリファレンス仕様とまったく同じだ。
 搭載するメモリチップはSamsung Electronicsの「K4G10325FE-HC05」(4Gbps品)だったので,若干の動作マージンがあることになる。

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搭載するGTX 460チップ。刻印は「GF104-325-A1」だった
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搭載するメモリチップのスペックもGTX 460カードとして標準的


GPUクーラーの冷却能力はまずまず良好

ただ,動作音への覚悟は必要だ


 冒頭でも触れたとおり,GTX 460 KATANAで最も気になるのはGPUクーラーの実力だろう。今回はに示したテスト環境で,GTX 460 Ref.と比較したい。

画像集#015のサムネイル/1スロット仕様のGTX 460カード「KATANA」検証。サイズと動作音,価格に納得できるかがカギとなる

 負荷の高いDirectX 11世代のゲームタイトルを想定し,今回は「Heaven Benchmark 2.0」(Version 2.1)を30分間連続実行して,その間のGPU温度変化を見ることにした。温度測定には,MSI製オーバークロックツール「Afterburner」の公式β版たるVersion 2.1.0 Beta 5に用意されたログ機能を利用。テスト環境は,約22℃の室内で,PCケースに組み込まない,いわゆるバラック状態に置いてある。

 その結果をまとめたものがグラフ1だ。グラフ左端がアイドル時のGPU温度で,GTX 460 Ref.が29℃なのに対し,GTX 460 KATANAは34℃。違いは5℃だが,面白いのは,この関係がHeaven Benchmark 2.0実行後も維持されることだろう。もっとも,GTX 460 KATANAのGPU温度はピークでも67℃なので,多少高めではあるものの,実用上問題のあるレベルではない。例えば側板に空気孔が用意されているPCケースなど,吸気側(=ファン側)に外気を送れるような環境であれば,冷却周りに心配はほぼ無用と思われる。

画像集#016のサムネイル/1スロット仕様のGTX 460カード「KATANA」検証。サイズと動作音,価格に納得できるかがカギとなる

 気になるテスト時の動作音は下にリンクで示したとおり。テスト対象となる2枚のカードそれぞれで,ファンから約15cm離れたところにマイクを設置し,アイドル時と,Heaven Benchmark 2.0を連続実行し,約30分経過した時点とを含む,連続した20秒強にわたってそれぞれ録音したデータになる。あくまでも相対評価のためのものなので,絶対評価には向かないが,違いは十分に聞き取れるはずだ。

GTX 460 KATANA:アイドル時
音声ファイルを再生する

アイドル時はまずまず静か。気になるような周波数帯域もない。ファンの回転数はセンサー読みで2400rpmだった

GTX 460 KATANA:Heaven Benchmark 2.0実行時
音声ファイルを再生する

ファン回転数はピークで4300rpm前後に達し,高めの周波数帯域で音が大きくなり,かなり耳につく

GTX 460 Ref.:アイドル時
音声ファイルを再生する

非常に静か。アイドル時の回転数はセンサー読みで1710rpmだった

GTX 460 Ref.:Heaven Benchmark 2.0実行時
音声ファイルを再生する

アイドル時より気持ち大きいかな? という程度の音。それもそのはず,ファン回転数は1800rpm台で推移していた


ファン回転率を手動で100%に設定すると,回転数はセンサー読みで4830rpmになった
画像集#013のサムネイル/1スロット仕様のGTX 460カード「KATANA」検証。サイズと動作音,価格に納得できるかがカギとなる
 ある意味当然ながら,GTX 460 KATANAが搭載するGPUクーラーのファンは,GPU負荷が高まり,GPU温度が高くなってくると,かなりの音を出す。センサーのデータによれば,回転数はアイドル時2400rpm前後,Heaven Benchmark 2.0実行時のピークで4300rpm前後だったので,さすがにこれだけ高回転だと,音もそこそこ出てしまうのが避けられない。

 GTX 460 Ref.が搭載するGPUクーラーは,動作音という観点から述べると相当に優秀。それだけに,GTX 460 KATANAにとっては相手が悪かったということにもなるのだが,1スロット動作の代償としては,カードサイズともども致し方ない,というところなのだろう。
 高い周波数の音はPCケースで遮蔽されやすく,PCケースに取り付ければ,この録音の音よりもくぐもった印象になるはずなので,実使用環境だと,音が耳につく印象は多少薄れるはずだ。

 ところで,もう1つ,GTX 460 KATANAの特性として述べておきたいのが,高負荷時の消費電力が多少高めに出ることである。
 今回は4Gamerのベンチマークレギュレーション10.2から「3DMark06」(Build 1.2.0)「Battlefield: Bad Company 2」(以下,BFBC2)「Just Cause 2」をピックアップし,「高負荷設定」の解像度1680×1050&1920×1200ドットに絞って,実行時の消費電力値を,アイドル時ともども,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」から取得してみることにした。その結果がグラフ2だが,アプリケーション実行時は,いずれのテストでも10W以上の違いが,2枚のカード間に生じている。

画像集#017のサムネイル/1スロット仕様のGTX 460カード「KATANA」検証。サイズと動作音,価格に納得できるかがカギとなる

 この違いを生んだ原因は,もちろん特殊なカードの設計にも求められるが,大きな要因の1つとして挙げられそうなのがファンである。GTX 460 KATANAのGPUクーラーは,ゲームなどを実行するとすぐに回転数が4000rpm台まで上がるようになっているので,この高回転ファンが,消費電力を押し上げていても不思議ではない。

 なお,3DMark06とBFBC2,Just Cause 2のベンチマークテスト結果は一応グラフ3〜5に示すが,搭載するGPUが同じで,動作クロックも同じため,有意な差は生じなかった。

画像集#018のサムネイル/1スロット仕様のGTX 460カード「KATANA」検証。サイズと動作音,価格に納得できるかがカギとなる
画像集#019のサムネイル/1スロット仕様のGTX 460カード「KATANA」検証。サイズと動作音,価格に納得できるかがカギとなる
画像集#020のサムネイル/1スロット仕様のGTX 460カード「KATANA」検証。サイズと動作音,価格に納得できるかがカギとなる


貴重な選択肢なのは間違いない

この希少性に2万円超のコストをかけられるか


製品ボックス
画像集#014のサムネイル/1スロット仕様のGTX 460カード「KATANA」検証。サイズと動作音,価格に納得できるかがカギとなる
 というわけで,GTX 460 KATANAというカードをチェックしてきた。動作音,そしてカード長という分かりやすい弱点はあるのだが,これは1スロット化の代償なので,やむを得ないだろう。むしろ,いまや1万6000円程度から購入できる例も出てきているグラフィックスメモリ1GB版GTX 460カード市場にあって,2万円を軽く超える価格設定になっている(※2011年1月21日現在)ことのほうが,購入のハードルになるような気もする。人によっては,SLIブリッジコネクタが用意されていない点が引っかかるかもしれない。

 GPUの温度は実用的なところに収まっているので,1スロット仕様のGTX 460カードに魅力を感じていて,かつ,いま挙げたマイナスポイントが気にならない人にとっては,悪くない選択肢になるのではなかろうか。
 ただ,いろいろなタイミングを勘案するに,年末ではなく,せめて秋頃登場していれば,もう少し注目を集めたのではないかと思われ,その点は惜しいと言わざるを得まい。

GALAXYの日本語公式サイト

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