インタビュー
「Jリーグファンが盛り上がれるコミュニケーションツールにしたい」。「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!ONLINE」が目指すところを開発陣に聞いた
コストと戦力のバランスを考える遊びを楽しんでほしい
DD:
YTOでもお聞きしたことですが,JサカONLINEの選手の能力値やコストはどのようにして決めているんですか?
瀬川氏:
基本的にはシーズンの成績です。
ただ,野球の場合は個人成績が細かく出ていますが,サッカーの場合はそれが難しいです。そこで選手データの基本は,Stats Stadium様からご提供いただいたものを使っています。
それを元に,こちらのデータ班のスタッフが実際の試合を見たりしながら反映させるという形です。
DD:
Jリーグの場合,クラブの数も多いですし,例えばJ1とJ2だとチームとしての能力も違うわけで……。そのあたりは,ゲームでどのように取り扱っているんですか?
佐藤氏:
例えばJ2の下位にも中心となる選手はいると思います。そういう選手の場合,個人で見るとJ1にいても適切と思われるパラメータ,最終的にはそれなりのコストがつくパラメータになるような割り振りをしています。
これはStats Stadium様のデータでも,ある程度そうなっている部分なんです。
瀬川氏:
やはりコストがゲームバランスにおける中心だと思います。
YTOの場合,トレーディングカードのレアリティのあり方などを研究してバランスを考えましたので,JサカONLINEでも,ある程度これに準拠した形でバランスを分けながら考えています。
DD:
実は自分,まだレアを出したことがないんです。レジェンドは出るんですけど。主にドーハ世代を中心に。
瀬川氏:
高木琢也選手,澤登正朗選手,柱谷哲二選手などですか。
DD:
ええ。あのあたりのレジェンド選手のコストは,だいたい7に設定されているような気がするんですが……気のせいですか?
佐藤氏:
YTOでは最高コストを10に設定していたんですが,JサカONLINEでは9に設定しています。最高コストの選手からみたバランスとして,コスト7に設定しています。
DD:
レジェンド選手は,全盛期の頃の能力というイメージなんでしょうか?
佐藤氏:
はい。それで能力値を決めています。
DD:
レジェンド選手に限った話ではないですけど,それぞれの選手のファンから「この選手はこんなに低くない!」みたいな声は届きませんか?
瀬川氏:
あります。やはりプレイヤーの皆さん,選手に対する思い入れってそれぞれありますので,その気持ちはよく分かります。ある程度,皆さんに納得していただけるように考えてはいるんですが……。
DD:
落としどころが難しそうですよね。
瀬川氏:
ただ,オンラインゲームの特性として,皆さんからいろいろな意見を聞きながら調整できる部分はあります。明らかに我々が間違っている部分なら,それは修正するべきですし。
DD:
もちろん,各種バランスをとりながらということにはなると思うんですが,そのあたりは柔軟な姿勢で行こうということですよね。
瀬川氏:
そうですね。
それとレジェンド選手については,今後も続々と投入していく予定です。中にはコスト9の選手もいるかもしれません。
そうなれば,「この選手と比べたら,確かにこの選手はコスト7だな」みたいに納得していただけるとは思います。
DD:
ああ,なるほど。まだまだいろいろな選手が出てくるんですね。そう考えると,確かに最初からコスト9の選手だらけというわけにはいかないですよね。インフレを起こしちゃいますし。
そうですね。
攻略のヒントというわけではないですが,同じコスト7ならば現役の選手に比べてレジェンド選手のほうが使い勝手はいいです(笑)。
DD:
やっていると分かりますよね,そのあたりも。
コスト9が必ずしもいいかというとそういうわけではありませんし,とくに序盤なんてコスト9の選手を入れたら,ほかがボロボロになっちゃいますから。
瀬川氏:
そのあたりでコストと戦力のバランスを考える遊びを,皆さんには楽しんでいただきたいですね。
チーム編成時に重視すべきはコストと連携,そして調子
DD:
ところで,JサカONLINEにおいてチームを編成するときに重視すべきは,コストでしょうか? それとも連携でしょうか?
瀬川氏:
連携は同じ選手を使い続けていると太くなっていくので,重要ではあります。が,元々のポテンシャルが高くないと,パスが通らなかったり……といったことはあります。
佐藤氏:
難しいところです(笑)。
イメージ的には連携が上がるとパスが通りやすくなってチャンスシーンは増えます。しかし,最後に相手のディフェンダーと1対1になったときにドリブルで抜けるか? となると,個々の能力が重要になってきます。
DD:
ああ,なるほど……。
瀬川氏:
なので,コストと連携のバランスを見つつ,調子を重視してみるといいと思います。調子がいい選手は,能力にもボーナスがかかりますので,最後の1対1でドリブルで抜きやすくなったり,ピンポイントでパスが通りやすくなったりします。
DD:
ああ,そういえば実際のJリーグの試合で勝利したクラブの所属選手は,調子が良くなりますよね。
佐藤氏:
はい。そういう意味では,今年は今のところ浦和レッズの選手を多く抱えていると,いい感じかもしれませんね。
DD:
調子の概念って,YTOにはありませんよね。
瀬川氏:
実はYTOでも考えていました。
ただ,プロ野球は,ほぼ毎日のように試合があるため,その結果と調子を連動させようとすると,ゲーム内において調子のパラメータの存在が大きくなりすぎてしまいますので。
DD:
確かに特定のチームの選手が,ずっと調子がいい状態になってしまいそうですよね。
JサカONLINEに話を戻しますが,選手によって連携が繋がりやすいかどうかみたいな設定はあるんですか?
佐藤氏:
裏パラメータのようなもので,性格……というかタイプが選手ごとにあるんです。そのタイプの組み合わせによって,最初から連携がいいか,悪いかという違いがあります。
さらに,実際のJリーグで同じクラブに所属している選手同士だと,連携が良くなるという仕組みです。
DD:
ああ,同じクラブの選手同士が最初から連携していたりするのは,そういう仕掛けだったんですね。
佐藤氏:
なので,実際のクラブに準拠した形で選手を集めれば,連携にボーナスが付きますし,同じクラブの選手を集めたときに発生するチームカラーもありますので,攻略法の一つにはなっています。
DD:
チームカラーは何種類ぐらいあるんですか?
佐藤氏:
実際のクラブチームに準拠したものだけで,37クラブ×2の74種類があります。さらに,パラメータや配置などの要素に絡んで出現するものも,けっこうな数があります。これは,ぜひ探していただければと思います。
DD:
実は,チームカラー「キング・オブ・キングス」の出現条件が分からないんですよ……。
それは隠しパラメータに関係しています(笑)。
表に出ているパラメータは,オフェンス,ディフェンス,テクニック,フィジカル,メンタル,戦術の6種類に分かれているのですが,トレーニングで上がるのは,オフェンスの決定力,オフェンスのドリブルといった形で,さらに細分化しています。これらを基準にしたチームカラーがあります。
DD:
なるほど……。
佐藤氏:
例えば,オフェンスのパラメータが60の選手でも,ドリブルがうまい,シュートがうまい,フリーキックがうまい,といった形で違いがあります。
こういったところは,Jリーグを詳しく見ている人ならば,おそらく気付くであろう部分なので,それを意識してトレーニングを使って選手の能力を伸ばしていくと,理想に近い選手に育てられる,ということです。
DD:
ああ,Jリーグファンがちょっと得する要素ですね。
佐藤氏:
はい。逆に知らない選手でも実際に何が得意なのかを調べたり,ほかのプレイヤーとチャットで情報交換したりといったことを楽しめるような仕組みにしたかったんです。
DD:
そういったことに気付かないと,キング・オブ・キングスは出せない,と。
佐藤氏:
クローズドβテストのときにも,このチームカラーについての問い合わせは多かったんですが,選手カードには書かれていないパラメータが条件に組み込まれているんです。
ワールドカップの時期に,経営要素を含む大型アップデートを予定
DD:
JサカONLINEを開発していくにあたって,一番苦労したポイントはどこですか?
瀬川氏:
まだ苦労している真っ最中ですが,やはりゲームのバランスですね。ゲームの要素に関しては,ある程度実装が済みましたが,保有ポイント,スキルの価格,合成率などさまざまなバランスやパラメータと,それらを試合のAIに通したときの効き具合,結果など,まだまだ調整できるところが山ほどあります。
それぞれが影響し合っているので,試行錯誤を繰り返すことになると思いますが,きれいにはまったときにようやくバランスのいいゲームになると信じています。
DD:
そういった部分は,プレイヤーからの声を拾い上げつつ調整していくんですか?
瀬川氏:
はい。プレイヤーの皆さんからのご意見は,凄く参考にしています。
コンシューマゲームの場合,パッケージ同梱のアンケートはがきに意見を書いて送るのを面倒に感じる人も多いですし,いざ書こうと思っても遠慮してしまい,思い切り書けない人もいると思います。
その点,ネットからの書き込みは率直なものが多いので参考になりますし,オンラインゲームなのでそこから拾い上げた声を反映させられるのがいいですね。
DD:
でも取捨選択は難しいですよね。
瀬川氏:
さすがに全部の声に応えることはできませんから。
全部無料で遊びたいという声もありますし,その気持ちはよく理解できるんですが,ビジネスとして成立させなければいけないという事情もありますので。
DD:
ボランティアではありませんし。
佐藤氏:
ときには厳しいご意見を目にすることもあって,そういうときには落ち込んだりもしますが,それでもありがたいです。
無反応が一番悲しいですから。
DD:
きっといろいろな意見があったんだろうなぁと思うことの一つに,STOのサービス終了というものもありますが……。
瀬川氏:
いろいろなご意見をいただきました。
STOはサービス終了となりましたが,完全になくなるというよりも,STOの3年間の運営で我々が得たノウハウは,JサカONLINEにもYTOにも生きています。欧州リーグは好きだけど,Jリーグには興味がないという方もいらっしゃるかもしれませんが,ぜひ一度,JサカONLINEに参加していただきたいと思います。
DD:
シリーズとして常に進化し続けていくために,STOは一つの役割を終えたということですね。
それでは,JサカONLINEの今後のアップデート予定についても教えてください。試合のシーンなんかは,さらに豪華になったりするんですよね?
佐藤氏:
もちろん,試合シーンは今後もアップデートしていきます。現在は今は得点が入るシーンや,得点に結びつかなかったシュートのシーンなどが中心に再生されていますが,今後は中盤のシーンも増やしていこうと考えています。
瀬川氏:
オンラインゲームならではの特性として,徐々に進化していく過程をお見せできるというものがあります。
なので,試合のシーンもただ種類を増やすだけでなく,選手のモーションを増やしたりといったことも,随時やっていきます。
DD:
ほかに大きなアップデートの予定はありますか?
瀬川氏:
今年はやはり6月……になりますが,大きなイベントの開幕時期に合わせて,新要素を追加する大型アップデートを予定しています。
投資をするとサポートカードが手に入るといった,ちょっとした経営要素を考えています。もちろん,“1日10分で遊べる”というコンセプトは変わりません。詳しい情報は,もうしばらくお待ちください。
DD:
Jリーグでは,地域に根ざしたクラブ運営が行われていますよね。そういった部分を,JサカONLINEに反映させる仕組みなどは考えていますか?
佐藤氏:
はい。サポートクラブをもとに,何らかの機能を入れていきたいと思っています。
瀬川氏:
JサカONLINEは,サッカーやJリーグが好きな方達に向けたゲームなので,やはり好きなチーム,応援しているチームが人それぞれにあると思います。
競争というか,ほかのプレイヤーと連携しながら,ゲーム内のチャットで盛り上がれるような要素は,早々に入れていきたいと考えています。
DD:
楽しみにしています。
では最後に,JサカONLINEをまだ遊んでいない人に向けたメッセージをお願いします。
先ほどもお話ししましたが,とにかくサッカーが好きな方達にたくさん集まっていただきたいです。ゲームはよく分からないという方にとっても,楽しいコミュニケーションツールになっていると思います。ぜひJサカONLINEを楽しんでください。
佐藤氏:
Jリーグが好きならば,より楽しめるゲームです。Jリーグの結果を見ながらゲームをしたり,チャットで盛り上がったりしていただけると,Jリーグのサポーターの一人としても凄く嬉しいです。
DD:
JサカONLINEもJリーグも,相乗効果で盛り上がっていくといいですね。ありがとうございました。
「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!ONLINE」公式サイト
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