プレイレポート
「初音ミク -Project DIVA- 2nd」のプレイレポートを掲載:すべての要素がパワーアップした本作は“ボカロファン”要チェック
「2nd」はリズムアクションゲームで,基本的システムは前作と同様。3DCGで描かれた,初音ミクをはじめとしたボーカロイド達が歌って踊るPVを見ながら,画面に表示されるターゲットと,画面外から飛んでくるメロディアイコンが重なった瞬間に,タイミングよくボタンを押すというものだ。
なお「2nd」では,十字キーでも○/×/△/□ボタンと同様の入力ができるようになったほか,「ボタン同時押し」「ボタン長押し」といったシステム面での新要素が追加されている。
また,二人のボーカロイドが同時に登場してのデュエット曲をはじめとした新曲を多数収録,着せ替え要素の“モジュールコンバート”では新作デザインが大量に追加されるなど,ボリュームも相当アップしている。
ここでは,「2nd」をプレイした感想とともに,その概要をあらためて紹介していこう。
「初音ミク -Project DIVA- 2nd」公式サイト
「2nd」はメディアインストールに対応
前作のデータ引き継ぎももちろん可能
ちなみに,8月31日にはPlayStation Storeで本作のダウンロード版の販売が開始されるので,ロード時間などのタイムラグを極力減らしたい人は,約1か月遅れとなるが,ダウンロード版の購入を検討するのもアリかもしれない。
そしてもう一つ,前作をプレイした人には嬉しいお知らせとなるのが,データの引き継ぎが可能という点だ。
オプション画面から前作のシステムデータを引き継げば,前作で入手したモジュールがすべて利用可能になるほか,後述するDIVAポイントやDIVAルーム用アイテムといった,ボーナスも追加される。
なお,「1st」のモジュールはすべて「2nd」に収録されているのだが,これらはすべてDIVAポイントで入手可能となっている。つまり,前作で未開放のモジュールがあっても,「2nd」では前作分を含めたすべてのモジュールを(しかも前作より楽に)開放できるのだ。この点が気になっていたファンは安心してほしい。
メニュー構成は,前作から多少変更されている。「フリープレイ」では,リズムゲームを遊ぶだけでなく,モジュールコンバート(=着せ替え)も行えるようになった。また,PV鑑賞は後述するDIVAルームで行うようになった。
より楽しく&美しくなったリズムアクション
アクションが苦手な人向けの救済アイテムも
リズムゲームのシステム面では,先にも触れたように,十字キーによる入力,ボタンの同時押し/長押しといった要素が追加がされた。
十字キーの入力では,たとえば○のターゲットアイコンなら,○ボタンか十字キーの右,△のターゲットアイコンなら△ボタンか十字キーの上というように,いずれかのボタンを押せばいい,というスタイルになっている。
つまり,素早いボタン連打が要求される曲については「右手と左手で交互に押す」といった対処も可能になるわけだ。
矢印型ターゲットアイコンは,ボタン同時押しの合図。たとえば↓のターゲットアイコンなら,十字キーの下と×ボタンを同時に押せばいい。
ボタン長押しでは,ターゲットアイコンが,通常のものよりも薄いグレーになっているのが目印。繋がった二つのメロディアイコンの出現時には,始点のメロディアイコンがターゲットアイコンに重なった瞬間にボタンを押しっぱなしにし,終点のメロディアイコンが重なるタイミングでボタンを離せばいい。
ボタン同時押し/長押しは,リズムゲームの難度を高めることになる要素だが,そうそう頻繁に出てくるわけではない。中でも長押しは,サビで語尾を伸ばすようなところで出現することが多い(気がした)ので,曲とのシンクロ感をより感じられる,ナイスな仕掛けだと思う。
なお,前作からの再収録曲についても,同時押し/長押しアリの新譜面にリファインされている。前作をやり込んだ人も,新鮮な気持ちでプレイすることができるだろう。
そしてゲームの難度については,「EASY」「NORMAL」「HARD」に加えて,新たに「EXTREME」が追加されている。
HARDを超える難しさは,まさに人類への挑戦状といったところ。一応,前作をHARDまで一通りクリアした筆者だが,「初音ミクの激唱」をEXTREMEでプレイしてみたら,途中で演奏がストップしてしまうという体たらく。
思い出すだけで意識が遠のきそうな難しさだった……のだが,サビの部分までは進めたので,前作の「金の聖夜霜雪に朽ちて」「初音ミクの消失」以上の連打仕様だったということだけは分かった。
ちなみに,セガのスタッフに聞いたところ,着せ替え用モジュールの獲得条件に影響するのは,曲の難度までで,「GREAT以上」といったクリア時の評価はかかわらないそうだ。なお,曲&難度ごとのハイスコアやクリアの有無などは,「プレイレコード」で確認できる。
また,難度の高い楽曲をプレイする際の救済措置として,ヘルプアイテムの導入もなされている。たとえば,入力タイミングが「SAD」「WORST」でも「SAFE」にしてくれる(その代わり評価は「CHEAP」になる)ものや,コンボのミス(タイミング「SAFE」「SAD」)を3回まで「FINE」にしてくれるものなど,6種類が用意されている。
これらは,リズムゲームをクリアすると得られるDIVAポイントを使って購入する消費アイテムで,リズムゲームをプレイする前にセットしておけば,効果を発揮してくれる。
以下にプレイ時に確認した収録曲を掲載しておこう。
「初音ミク -Project DIVA- 2nd」収録曲一覧
(★は再収録曲)ロミオとシンデレラ | magnet | 愛言葉 |
サウンド | ココロ | ★packaged |
右肩の蝶 | ★マージナル | ★The secret garden |
Just Be Friends | ★ストロボナイツ | クローバー・クラブ |
from Y to Y | ★ラブリスト更新中? | Yellow |
★いのちの歌 | Change me | ぽっぴっぽー |
カンタレラ | 初めての恋が終わる時 | ★荒野と森と魔法の歌 |
★Dear cocoa girls | 巨大少女 | Dear |
ジェミニ | VOiCE -DIVA MIX- | ★ワールドイズマイン |
★ミラクルペイント | ★moon | ★天鵞絨アラベスク |
Innocence | 炉心融解 | ほんとは分かってる |
★メルト | 恋色病棟 | ファインダー(DSLR remix-re:edit) |
Promise | ★みくみく菌にご注意♪ | ハジメテノオト |
★ハト | サイハテ | こっち向いて Baby |
カラフル×メロディ | ダブルラリアット | ★みくみくにしてあげる♪【してやんよ】 |
初音ミクの激唱 |
DIVAポイントを使って入手する
100種類以上のモジュールは集めごたえあり
ビジュアル面では,やはり着せ替え要素であるモジュールコンバートに注目である。前作のモジュールはすべて収録したうえで,さらに新規モジュールを多数追加。合計で100種類以上が用意されている。なおモジュールは,ゲームをプレイしてDIVAポイントを使用して購入する形になる。
本作では,「magnet」「カラフル×メロディ」「カンタレラ」といったデュエット曲が収録されており,リズムゲームをプレイ中に二人のボーカロイドが登場するなど,演出が大きく進化している。さらには,PV出演のモジュールと衣装を自由に組み合わせられるので,モジュール集めには前作以上に力が入りそうだ。
また,新たなセガ社内のコラボ衣装の存在を確認したので,セガファンは頑張ってモジュールを集めてほしい。
「DIVAポイント」を使ってモジュールを獲得
「DIVAルーム」も大きく進化
先ほど少し触れたが,本作ではリズムゲームをプレイすると,「DIVAポイント」が手に入る。このDIVAポイントを使って,モジュールやアイテムなどを入手する,という仕組みだ。
DIVAポイントは,プレイする楽曲で難度やクリア評価が高いほどたくさん獲得できるのだが,途中で曲が終了してゲームオーバーになってしまっても,ポイントを獲得できる(クリアしたときに比べると雀の涙程度だが)。
本作の収録モジュールの中には,“○○という曲をHARDでクリア”というように,アンロックの条件が難度に依存するものもあるが,「2nd」ではヘルプアイテムを併用可能。リズムアクションが苦手でも,根気さえあればいつかは全モジュールを入手できそうである。
前作では,ルームにいるキャラクターを眺めるという,おまけ的要素にとどまっていたが,「2nd」では,プレイヤーとのコミュニケーション要素が導入された。
ショップで購入したアイテムをプレゼントすると,さまざまな反応を見せてくれる。さらにはキャラクターごとに“機嫌”があり,プレイヤーのプレイスタイルで変化することがあるとのことだ。しかも,この“機嫌”はDIVAルーム以外にも影響して,機嫌が悪いとメインメニューでプレイヤーのほうを向いてくれないこともあるのだ。
そのほか,部屋の模様替えについても,前作より大幅に進化した。部屋の中に配置できるアイテム数に上限こそあるが,壁や床などに配置するアイテムは,レイアウトをある程度自分で決められるようになった。ちなみに,ルームアイテムの入手条件はランダムではないのでご安心を。
そして,PV鑑賞モードはDIVAルームの機能となった。一度に複数の曲を選んで連続で再生できるプレイリスト機能が用意されたほか,ボタン操作で「最初からもう一度」「繰り返し再生」などができる。お気に入りの曲を再生するメディアプレイヤーのような使い方も可能になった。
そのほか,スリープ/ナビゲート/ウェイクアップといった,各種タイマー機能も搭載している。
前作で欲しかった機能の多くを搭載
格段に進化した「エディットモード」
前作のエディットデータをコンバートすることも可能なので,自作のデータをより凝ったものにリメイクすることも可能だし,追加楽曲集のリズムゲーム用データを,「2nd」で使うことも可能だ。
そのほか,手動ではあるものの「BPM測定」機能が用意されたので,リズムゲームデータと楽曲のタイミングが合わないことも減るはずだ。
エディットモードは,作成時の基本的な手続きこそ前作と変わらないものの,映像イメージが小節単位で確認できたり,プレビューがワンタッチでできたりと,かなり使い勝手は増している。また作り手には“あると嬉しい”機能が多数盛り込まれている。
エディットモードにおいて,最初に書いておきたいのが,リズムゲームエディットにおける「素材容量」と「配置容量」が別扱いになったことである。
エディットを始める前には,「素材容量」の範囲内で,利用する背景や効果などの素材をあらかじめ選択しておく。
続いて,実際のエディットに入ってから,「配置容量」の範囲内で,キャラクターのモーションや表情,ステージやカメラアングルなどを入力していく。
「この効果を入れると容量オーバーになる」といったことが事前に分かるので,エディット途中で容量がいっぱいになってしまうようなことが,起こりにくくなっているわけだ。
ちなみに,筆者が一番嬉しかったのは,画面エフェクトの増加。中でも,フェードイン/アウト(白と黒)や,白/黒の背景画といったあたりは,PV作りに大いに役立ってくれるのではないだろうか。
ほかにも,集中線などのマンガ的なものから,雷や桜吹雪といった自然系まで,さまざまなエフェクトが用意されているのも嬉しいところだ。
もちろん,画面効果だけでなくモーションの種類も増加している。ざっと見たところ,前作の2倍くらいはありそうで,使い勝手のよさそうなキメポーズも多数確認できた。男性用のモーションも用意されていたので,しなしなした動きのレンやKAITOに頭を抱えることも減りそうだ。
なお,モーションについては,一連の動きの中から再生開始位置を指定できる。ワンループ強制なので終点は選べないが,オプションにはモーション補完も存在するので,表現の幅は格段に増しそうである。
カメラアングルについても自由度は増していて,キャラクターの頭頂部を見下ろす位置まで動かせた(極端なローアングルは設定不可能だが)。
また,キャラクタ−をステージ中のどの場所に配置するかも設定可能なので,より“狙いどおり”の絵作りができるだろう。
そのほかにも,歌詞を表示できるようになったり,歌詞に合わせて自動口パク機能が付いたり,視線制御などなど,表現の幅は非常に広がっており,実に“かゆいところに手が届く”ものに仕上がっている。
おっと,うっかり書き忘れるところだったが,リズムゲームのターゲット配置においても,より本編に近いものが作れるようになっている。同時押し/長押し対応はもちろん,チャンスタイムの設定も可能。楽曲を聴きながらのリアルタイム入力,ターゲットのプリセット配置,PVを見ながらのターゲット位置調整といった要素も存在する。
なお,楽曲を除くエディットデータは,アドホック通信などで交換が可能である。1曲完成させるには,それなりの時間と手間が必要だが,クリエイター魂に火が付いた人は,ぜひ挑戦してみてほしい。
セガスタッフの愛情が炸裂した「2nd」
ミクファンなら買って損なし
ゲーム制作者もボーカロイドファンの視点,いわば“セガP”となって,何がゲームになったら一番嬉しいのかが十分に考えられているように思う。また,前作で不満に感じていた点もその多くが「分かっている」形で改善されているという印象である。
まだあまりやり込んではいないが,とても良いデキだと感じられたというのが,正直な感想である。
最後になったが,本作はダウンロードコンテンツに対応しており,追加データを読み込むことが可能な設計となっている。発売記念でDIVAルームのアイテム2点がダウンロードコンテンツ第1弾として配信が発表されたが,今後の配信にも期待したいところ。とくに,ダウンロード版が発売される8月31日は,初音ミク3度目のバースデーだしね!
では最後に,先日公開された「Dear cocoa girl」に乗せて,女性ボーカロイド達のスペシャルモジュール(=水着)バージョンのPVを掲載しておこう。よーく見ると「おっ!」っと思うシーンもあるので,細かい部分まで見逃さないようにしてほしい。
「初音ミク -Project DIVA- 2nd」公式サイト
- 関連タイトル:
初音ミク -Project DIVA- 2nd
- この記事のURL:
キーワード
(c) SEGA / (c) Crypton Future Media, Inc. VOCALOIDはヤマハ株式会社の登録商標です。