イベント
[Gamescom]2012年のParadoxで最大の注目作「Crusader Kings II」は,妻子や部下,政敵との人間関係を重視した異色のストラテジー
今回,Paradoxブースにおいて,このCrusader Kings IIのプロジェクトリーダーであるヘンリック・ファラエウス(Henrik Fahraeus)氏に,具体的な要素について話を聞くことができたので早速レポートしていきたい。
これらのキャラクター達は,それぞれのパーソナリティや国家に対する忠誠心などがこと細かに設定されており,例えば,今は国王の妻の身分ながら,2代前の祖父の国が政変で乗っ取られたことを恨みに思っている女性が,夫の国家の転覆を画策しているといった,複雑な歴史や対人関係が描かれている。
Paradoxゲームの中には単に領土を拡張していくスタイルのゲームが多いのだが,Crusader Kings IIのゲーム展開は,国家の体制を400年間にわたって上手く切り盛りできるかということにかかっているというわけだ。
当時,ヨーロッパ地域で最大の領土を持っていたのは,ドイツを基盤にした神聖ローマ帝国であるが,その国王の傘下にはゲーム開始時点で32人もの領主がおり,彼らをマネージしていくだけでも相当難度が高そうだ。そこで,ファラエウス氏には,手ごろな大きさということでスウェーデン王国でプレイしてもらった。
スウェーデン国王の妻は4人の子をなしているが,国王が子供に領土を与えていないことに不満を持っているらしく,ファラエウス氏(国王)は離婚を決意。もっとも,普通に離婚してしまうと,このゲームでの成功の指標となるPrestigeポイントが低下してしまうので,教皇に手紙を書いて許可書をもらうというのが,プレイヤーの立場にあるファラエウス氏の当面の目標だ。しかし,当時のスウェーデン国王は,教皇にいきなり手紙を書いても認めてもらえるほどの信仰心がないらしく,まず教会の信頼を得なければらならない。
そのため,領土の各地から兵士を集めて,対岸にあるスウォーミ(のちのフィンランド)へと進軍を開始。領土拡張が最終目的ではないといえ,領土はPrestigeポイントを増やすよい方法であり,さらにスウォーミは,まだキリスト教化されていない地域であるため,教皇へのアピールに最良というわけである。
支配下の領主達から兵士を募るときも,領主達とどれだけ信頼関係が築けているかで差し出される兵士の数も変わるようだ。また,兵士を長期間借りていると,領主は不満を持つようになるなど,キャラクター達はちょっとしたことで気分が変わってしまうのだ。まだまだ絶対王政にはほど遠く,対人関係に悩む国王の姿を想像すると,なんとも慎ましいゲームに思えてくる。
1096年から始まる十字軍の,遠征への呼びかけに応えて,見事イスラエルを制圧することができると,Prestigeポイントも一気に上昇するとファラエウス氏。ただし,現時点では,同じキリスト教国家であれば,遠征に向かう他国の軍団が自由に往来できるようになるのかどうかは調整中とのこと。リチャード獅子王などは,遠征からの帰りにフランスの農村を荒らした史実もあるが,ゲーム中でヨーロッパのど真ん中にいきなりイギリスやフランスの領土が出現するのはリアリティがなさ過ぎるため,例えばスウェーデン王国の場合であれば,現状では海路による遠征というオプションしかないようだ。
子供の能力は,王や妻のDNAだけでなく,子守役のアドバイザーのスキルや政治的立場にも影響を受けるなど,とにかくリアリティのあるゲームになっているところは,まさにParadoxらしい“考えるゲーム”である。32人までのマルチプレイヤーモードで政治の駆け引きを楽しめるなど,かなり長く遊べるゲームになりそうだ。
- 関連タイトル:
クルセイダーキングスII【完全日本語版】
- この記事のURL:
キーワード
(C) 2012 Paradox Interactive. All rights reserved.