「A列車で行こう9」に
新たな建物を追加する拡張パックが登場

　鉄道会社の社長となって，鉄道網を張り巡らせ都市を発展させ，利益を上げていく鉄道経営/都市開発シム「A列車で行こう」シリーズ。すでに20年以上も続く長寿シリーズで，現在ではコンシューマ機や携帯ゲーム機にも移植されており，直接遊んだことはなくても名前くらいは聞いたことがあることだろう。
　そんなA列車シリーズの最新作，2010年2月に発売された「A列車で行こう9」（以下，A9本編）で，10月8日，初の拡張パックとなる「A列車で行こう9 建物キット」（以下，建物キット）が登場した。


　建物キットという名前からも分かるとおり，本作はA9本編で使用できる建物の種類を追加する拡張パックだ。この建物キットを導入することで，標準では収録されていない日本家屋を始め，ホームセンターや病院など，住宅/店舗/ホテル/娯楽施設/運動施設/文化施設/工場施設/ランドマーク/公共施設の各ジャンルに合計62種類の建物が追加される。
　もちろん，新たな建物も地域の活性化に影響を及ぼす効果を持っているが，何より嬉しいのが，一段とバリエーションに富んだ都市景観が作れるところだろう。


　念のために書いておくと，この建物キットは“拡張パック”ということで建物データのみの収録となっており，ゲームをプレイするにはA9本編が別途必要だ。A9本編と建物キットがセットになった「A列車で行こう9 with 建物キット」が同時発売されているので，これからA9を始めるという人は，こちらのセットのほうがバラで買うよりも少しお得である。
　ちなみに4Gamerの週刊連載記事「できるョ！ はじめての10兆円会社社長」を見れば，A9本編を遊ぶうえで必要な基礎知識が身につくので，これから遊ぶ人は役立ててほしい。

　また，A9本編で遊んでいるが建物キットを導入しないという人も，建物キットに合わせてリリースされた最新パッチ「アップデートパッチ Version 1.00 Build 150」は導入しておこう。というのも，いくつかのゲームの改善と不具合修正が行われるほか，建物キットがインストールされた環境で作成されたセーブデータを扱えるようになるのだ（建物キットの建物はグレー表示）。


　というわけで，さっそく建物キットの内容を見ていこうと思うが，導入してもA9本編のゲーム性に大きな影響を与えるものではないため，今回は「どんな建物が追加されるのか」に絞って紹介していこう。

「A列車で行こう9 建物キット」公式サイト

「A列車で行こう9」公式サイト

建物キットで追加される
62種類の建物を一挙に見ていこう

　建物キットで追加される建物について，実際に建設した状態の画像を多数用意したので，まずはじっくりと眺めてほしい。なお，各建物の敷地サイズ（建設に必要な土地），消費資材，建設費用などのデータは掲載していない。

★住宅

　田舎の風景を作るのに必要な日本家屋。一般的な民家＆住宅である瓦屋根の“瓦葺家屋”，蔵があるお金持ち風の“土蔵付家屋”，軒下に干し柿がぶら下がっていそうな“藁葺農家”が，それぞれ二種類ずつ追加された。やはり，日本家屋は田んぼや畑などと組み合わせて使いたい。適当に並べても良い雰囲気を醸し出してくれる。

瓦葺家屋 1
瓦葺家屋 2
土蔵付家屋 1
土蔵付家屋 2
茅葺農家 1
茅葺農家 2



★店舗

　日常生活においてよく目にする，“弁当屋”“牛丼屋”“ドラッグストア”“ブックストア”“スポーツ用品店”“家電ショップ”“紳士服店”“ホームセンター”といった店舗が追加になった。ズバリ実在する店舗ではないものの，どこかで見た覚えのあるようなデザインとなっているところが面白い。“大衆食堂”“土産物産店”（2種類）を組み合わせて，道の駅みたいなものを作っても面白いかも。

大衆食堂
弁当屋
牛丼屋
ドラッグストア
土産物屋 1
土産物屋 2
ブックストア
スポーツ用品店
紳士服店
家電ショップ
ホームセンター



　横浜中華街を彷彿させる“中華街”は，横浜っぽい景観などを作る際に役立つだろう。意外と良かったのが“下町商店街”で，配置が異なる5種類の商店街パーツを繋がるように並べていくことで，さまざまな味のある商店街を作れるのが面白い。

中華街
下町商店街 1
下町商店街 2
下町商店街 3
下町商店街 4
下町/商店街 5



★ホテル

　宿泊施設は“民宿”“モーテル”“オーベルジュホテル”“デザイナーズホテル”“山小屋”“キャンプ場”が追加された。コテージ風の民宿は意外と民宿らしくなく，ほかの建物に比べてスケール感がまったく異なっているのが気になったが，オーベルジュホテルとデザイナーズホテルは景観作りのワンポイントとして役に立ちそうだ。山小屋とキャンプ場は，山や森林の中などに配置するのがいいだろう。

民宿
モーテル
オーベルジュホテル
デザイナーズホテル
山小屋
キャンプ場



★娯楽施設

　店舗と同様，身近にある“カラオケ”“遊技場”“釣堀”のほか，“サーカス”“ミニサーキット”“フィールドアスレチック”が追加された。カラオケ，遊技場，釣堀あたりはマップ中の各所に点在させると華やかになりそうだが，ミニサーキットは広大な建設用地が必要になるので，おいそれとは作れないかも。

サーカス
カラオケ
遊技場
釣堀
ミニサーキット
フィールドアスレチック



★運動施設

　スタジアムなどは本編にも収録されていたが，スタジアムよりもう少し身近にありそうな“野球グランド”が登場した。“ゲートボール場”は小さな運動場に見えなくもないので意外と活用できそうだ。あと“スケート場”“乗馬クラブ”も登場。

ゲートボール場
スケート場
野球グランド
乗馬クラブ



★文化施設

　文化施設では，現実では駅前などに集中して乱立している感のある“塾”が登場。これこそ何種類か欲しかったところだが，一種類のみなのが残念なところだ。また，公園と組み合わせると良い感じの“プラネタリウム”“植物園”のほか，あまり身近にはないと思うが“能楽堂”“歌舞伎劇場”も使えるようになった。

塾
プラネタリウム
植物園
能楽堂
歌舞伎劇場



★工業施設

　筆者の身近にはないのだが“陶芸工房”と“家具工房”が追加された。“材木置場”は家具工房の近くに配置すると雰囲気抜群だ。また“ワイナリー（葡萄酒醸造所）”が登場したが，並べて配置したい葡萄畑は，田んぼや畑と同様に自動で配置されるアイテムとなっており，プレイヤーには葡萄畑を自由に並べられないのが悲しいところだ（マップコンストラクションなら可能）。また，大きさが異なる4種類の“工場”が用意されたので，A9本編の工業施設と併せて使えば，A9本編のみとはひと味違う工業地域が作れそうだ。

陶芸工房
家具工房
ワイナリー（葡萄酒酒造所）
工場 1
工場 2
工場 3
工場 4
材木置場



★ランドマーク

　都市のシンボルともなるランドマーク。建物キットでは札幌の時計台がモチーフになったであろう“時計台”，何がモチーフになっているのか分からなかった“通信タワー”，そして，かなり視点を引かないと全体が見えないのが，東京スカイツリーならぬ“ネオタワー”だ。

時計台
通信タワー
ネオタワー



★公共施設

　個人的に公共施設の数は増やしてほしいと思っていたが，この建物キットで“郵便局”“信用金庫”“病院”が追加された。どれも一種類ずつしか用意されておらず，できれば数種類のバリエーションが欲しかったところ。また，“電話局（小）”“電話局（大）”“テレビ局”“リサイクルセンター”も追加されている。

郵便局
信用金庫
病院
電話局（小）
電話局（大）
テレビ局
リサイクルセンター

ヨドバシカメラ，ビックカメラ，ソフマップで
購入して特典データをゲットだ！

　実は，全国のヨドバシカメラ，ビックカメラ，ソフマップにて，「建物キット」か「A列車で行こう with 建物キット」を購入すると，購入特典としてヨドバシカメラならば「ヨドバシカメラ マルチメディア Akiba」「ヨドバシカメラ 新宿西口本店」，ビックカメラかソフマップで購入すれば「ビックカメラ　有楽町店本館」「ソフマップ 秋葉原本館」の建物データが購入特典としてもらえる。


　秋葉原を本気で再現するならば，ヨドバシカメラ マルチメディア Akibaとソフマップ 秋葉原本館が必要になるので，特典データのだめだけに最低でも建物キットを両店で購入しなければならない。とはいえ，いずれも気合いの入った見事な再現度なので，両方手に入れたくなってしまうだろう。さぁ，どうする？

ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba
ヨドバシカメラ 新宿西口本店
ビックカメラ 有楽町店本館
ソフマップ 秋葉原本館

追加される建物データを使って
新たな都市開発に精を出そう

　というわけで，建物キットで追加される62種類の建物について見てきたわけだが，建物キットを導入してゲームをプレイすると，自分以外のNPC社長も追加になった建物を建設するので，同じマップでもA9本編のみのときとは少し異なる都市景観になる。最近はA9本編で遊んでいなかったというプレイヤーは，建物キットを導入して再び鉄道経営/都市開発に挑戦してみるのも悪くないだろう。


　ただ本音を言わせてもらうと，住宅などの中には，もっと早くに無料データとして配布してほしかったなーという基本的なものもある（アップデートパッチに付属させるとか）。また，価格は日本のPCゲームとしてはかなり押さえられているとは思うが，建物データがもう少し多めに収録されていても良かったんじゃないかなーという気持ちもある。
　世界的に人気のシムシティシリーズの近年の作品では，建物設計ツールによりプレイヤーが建物を自由に設計して世界中のプレイヤーに向けて配信可能となっており，事実上，建物データは無限だ。それがタイトルを活気づかせる大きな要素になっているように思われる。人気を牽引する要素として，データの配布だけでなく，こうしたツール類の配布にも期待したい。


　なお，建物セットで追加された建物を拡大して眺めていたら，気になって仕方なくなってしまったのが，建物ごとの比率が全く異なっている点だ。実は前々から気になっていたことなのだが，例えば今回追加された一戸建ての民家は敷地サイズを目いっぱい使って建物が表現されており，同じく追加された山小屋やキャンプ場と比べると明らかに比率がおかしく，並べて設置すればするほど違和感が大きくなる。

　ほかにも同じ敷地サイズなのに建物比率がおかしいものが数多くあって，スケール感が統一されておらず，乱立状態でパッと見る限りでは違和感はないが，部分的に拡大して眺めたりすると「あれ？」と気になってしまうのだ。このあたり，スケール感を意識した建物データに調整は必要だったところだろう。


　少々厳しい意見も出してしまったが，建物データが増えて今までよりも現実みのある都市が作れるようになったのは素直に嬉しいところ。新たな建物を使って自分の都市を充実させたいという人は，建物キットを導入して楽しんでみてはいかがだろうか。

「A列車で行こう9 建物キット」公式サイト

「A列車で行こう9」公式サイト