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GeForce GTX 600
  • NVIDIA
  • 発表日:2012/03/22
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「GeForce GTX 660 Ti」の2-way SLIテスト結果報告。ミドルクラス型番の2枚差しにはメリットとデメリットが同居する
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印刷2012/08/21 00:00

テストレポート

「GeForce GTX 660 Ti」の2-way SLIテスト結果報告。ミドルクラス型番の2枚差しにはメリットとデメリットが同居する

SLI動作のイメージ
画像集#007のサムネイル/「GeForce GTX 660 Ti」の2-way SLIテスト結果報告。ミドルクラス型番の2枚差しにはメリットとデメリットが同居する
 2012年8月16日に掲載したGPUレビュー記事および,17日に掲載した搭載グラフィックスカードのレビュー記事でお伝えしているように,NVIDIAから新しく登場したGPU「GeForce GTX 660 Ti」(以下,GTX 660 Ti)は,1920×1080ドット――いわゆるフルHD程度の解像度までであれば,直接の上位モデルである「GeForce GTX 670」に迫り,競合製品に対してもかなり優位な立場を確保できる製品だ。
 しかも,北米市場における299ドルという想定売価をまずまず踏まえる形で,デビュー当初から2万円台後半の設定がなされたカードも登場していたりするので,「年末商戦期まで待って,価格が下がったところで買いたい」という人も多いのではなかろうか。また,2枚購入してSLIというのも,2〜3か月後の店頭価格次第では十分選択肢になってくると思われる。

 GTX 660 Tiは,グラフィックスメモリ周りに大きな負荷がかかると性能を落とす傾向にあるが,そんな“弱点”はSLIで払拭できたりするのかどうか。今回は2-way SLIの動作検証を行ってみたい。


テスト環境は過去2回のレビュー記事と統一

GTX 670&580 SLI,HD 7950 CFXと比較


 GTX 660 TiというGPUのスペックや特徴,搭載カードにどういった製品があるかといった話は先に掲載した記事を参照してもらうとして,さっそくテスト環境の話から始めよう。具体的にはのとおりで,端的に述べると,グラフィックスカードは,過去2回のレビュー記事で用いたものとまったく同じものである。

画像集#008のサムネイル/「GeForce GTX 660 Ti」の2-way SLIテスト結果報告。ミドルクラス型番の2枚差しにはメリットとデメリットが同居する

 テスト対象として用意したGPUは,上位モデルとなるGTX 670と,前世代のFermiアーキテクチャを採用するシングルGPU最上位モデル「GeForce GTX 580」(以下,GTX 580),そしてNVIDIAが「GTX 660 Tiで十分戦える」と位置づける「Radeon HD 7950」(以下,HD 7950)の3製品だ。3製品の搭載カードを,SLIもしくはCrossFireX(以下,CFX)構成にしてテストを実施する。
 中で上に示したほうがプライマリであり,かつ,シングルカードのテストに用いたものである。今回新しく用意したカードのうち,「GTX670-DC2-2GD5」はASUSTeK Computer(以下,ASUS)から,「GV-R795WF3-3GD」はGIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,GIGA-BYTE)の販売代理店であるCFD販売からそれぞれ貸し出しを受けたものだ。

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GTX670-DC2-2GD5
「DirectCU II」クーラー搭載のGTX 670カード
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
実勢価格:4万3000〜4万8000円程度(※2012年8月21日現在)
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GV-R795WF3-3GD
「WINDFORCE 3X」クーラー搭載のHD 7950カード
メーカー:GIGA-BYTE TECHNOLOGY
問い合わせ先:CFD販売(販売代理店)
予想実売価格:3万2000〜4万円程度(※2012年8月21日現在)

 なお,GTX 660 Tiのプライマリで用いたASUS製カード「GTX660 Ti-DC2T-2GD5」はメーカーレベルで動作クロックが引き上げられたクロックアップ品のため,今回はEVGA製のオーバークロックツール「Precision X」(Version 3.0.3)から,GPUベースクロックをリファレンス相当にまで引き下げている。
 セカンダリ側に用いたカードのなかにも,ZOTAC International製の「ZOTAC GeForce GTX 660 Ti 2GB」(型番:ZT-60801-10P)やASUS製の「ENGTX580/2DI/1536MD5」,それに前出のGV-R795WF3-3GDといった具合にクロックアップ品は含まれているが,SLIやCFXの仕様上,動作クロックは低いほうに揃うため,とくに手動でクロック設定を落としたりはしていない。

画像集#002のサムネイル/「GeForce GTX 660 Ti」の2-way SLIテスト結果報告。ミドルクラス型番の2枚差しにはメリットとデメリットが同居する
GTX660 Ti-DC2T-2GD5
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
メーカー想定売価:3万7000円前後(※2012年8月21日現在,発売は9月以降予定)
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ZOTAC GeForce GTX 660 Ti 2GB(型番:ZTGTX660Ti-2GD5R0 / ZT-60801-10P)
メーカー:ZOTAC International
問い合わせ先:アスク(販売代理店)
実勢価格:3万〜3万2000円程度(※2012年8月21日現在)

 注意してほしいのはドライバだ。GTX 660 Tiの発表に合わせてNVIDIAは「GeForce 305.68 Driver」を公開しており,AMDからは北米時間8月15日に「Catalyst 12.8」が登場しているが,今回は,シングルカード動作のスコアを流用し,なるべく早く掲載する目的から,GTX 660 Tiのレビュワー向けに配布された「GeForce 305.37 Driver」と「Catalyst 12.7 Beta」をレビュー記事から引き続き利用することにした。
 もっとも,305.68は305.37のWHQL版という色彩が濃く,またCatalyst 12.8はWindows 8 RTMへの対応が主なアップデート内容なので,ベンチマークスコアという意味では,それほど大勢には影響ないと考えている。

 なお,シングルカード動作のスコアを流用するので,当たり前といえば当たり前だが,テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション12.2準拠,テスト解像度が1920×1080&2560×1600ドットで,CPU「Core i7-3960X Extreme Edition/3.3GHz」の自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」を無効化している点は,先のレビュー記事2本と同じだ。
 ただし,いつもならSLIテストはアンチエイリアシングと異方性フィルタリングを適用する「高負荷設定」(もしくは「Ultra設定」)のみで行うところ,今回はGTX 660 Tiの持つ「高い描画負荷に弱い」という傾向がSLIでどう変化するかを見るべく,アンチエイリアシングとテクスチャフィルタリングをいずれも適用しない「標準設定」(もしくは「低負荷設定」)でもスコアを取得することにした。


低負荷環境で勢いよくスコアが伸びるGTX 660 Ti

メモリ周りのネックはあるが,ある程度は隠蔽可能か


 以下,文中,グラフ中ともSLIおよびCFX構成時は,GPU名の後ろにSLIもしくはCFXと付記して区別することをお断りしつつ,テスト結果を見ていこう。
 グラフ1は,「3DMark 11」(Version 1.0.3)の「Performance」と「Extreme」,両プリセットにおける総合スコアをまとめたものだ。シングルカード動作時に対するGTX 660 Ti SLIのスコアは,Performanceプリセットで約67%,Extremeプリセットで約90%高く,高負荷状況に強いSLIらしい結果となった。ちなみにこの「Performanceで約67%,Extremeで約90%」というのは,偶然かどうか,GTX 670 SLI対GTX 670と同じだ。

 GTX 660 Ti SLIが,GTX 580 SLIに対して17〜21%程度,HD 7950 CFXに対して9〜12%程度高いスコアを示しているあたりは,シングルカードにおける力関係をおおむね踏襲していると述べていいだろう。ただ,シングルカード時のスコア差と比べるとそれぞれ若干縮まっているのが気になるところではある。

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 「S.T.A.L.K.E.R.:Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)の公式ベンチマークソフトから,最も描画負荷の低い「Day」と描画負荷の高い「SunShafts」,2つのテストシークエンスにおけるスコアを抜き出したものがグラフ2〜5となる。
 まずグラフ2,3のDayから見ていくと,標準設定の1920×1080ドットでは180fps程度でCPUボトルネックによってスコアが頭打ちになってしまった。2560×1600ドットでも頭打ちの影響は見て取れる。
 そこで高負荷設定のスコアを見てみると,GTX 660 Ti SLIはGTX 660 Tiシングルカードから70〜92%程度スコアを伸ばした。2560×1600ドットでより高いスコアを示しているのはSLIらしい。対GTX 670 SLIで83〜88%程度を示し,GTX 580 SLIやHD 7950 CFXをも安定的に上回っている。

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 そこでSunShaftsシークエンスのスコアをまとめたグラフ4,5に目を移すと,GTX 660 Tiは対シングルカードで62〜95%程度高いスコアを示している。とくに,負荷が上がるほどスコアの上昇率も上がるあたりは,実にSLIらしい結果だといえそうだ。
 ただ,比較対象となるGTX 670 SLIやGTX 580 SLI,HD 7950 CFXとの力関係は,シングルカード同士で比較したときとそう変わっていない。2560×1600ドットでGTX 670 SLIに約14%,HD 7950 CFXに約8%差を付けられるというのは,GTX 660 TiとGTX 670,あるいはGTX 660 TiとHD 7950を比較したときの結果そのままだ。

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 「Battlefield 3」(以下,BF3)の結果がグラフ6,7となる。GTX 660 Tiは高負荷設定の2560×1600ドットでメモリ周りのボトルネックを露呈してスコアを大きく落とすものの,高負荷設定の1920×1080ドットでGTX 670 SLIに対して約91%のスコアを示している。GTX 660 TiはGTX 670に対して同条件で約83%のスコアしか示せなかったので,高負荷条件に強いSLIで,メモリ周りの弱さが多少なりとも隠蔽されたとはいえそうだ。
 なお,HD 7950が解像度2560×1600ドットでCFXが正常に機能しないというのは,以前から確認されていた問題だが,少なくともCatalyst 12.7 Betaでは依然として修正されていない(※付け加えると,Catalyst 12.8の修正内容に本問題は含まれていなかった)。

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 マルチGPU環境でスコアが伸びやすい「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)の結果がグラフ8,9だ。GTX 660 Ti SLIはGTX 660 Tiに対して最大で102%高いスコアを示すなど,スコアを大きく伸ばしている。古い世代のタイトルで,メモリ周りの負荷が低いこともあり,高負荷設定の2560×1600ドットで,他のマルチGPU構成に対してスコアを大きく落としたりしていない点も注目したいところだ。

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 デベロッパ公式の高解像度テクスチャパックを導入したことで,グラフィックスメモリ周りの負荷が極めて高くなっている「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,Skyrim)の結果がグラフ10,11となる。

 HD 7950 CFXではCFXがまったく機能していないため,GeForceの3製品で比較するが,テスト結果はBF3と似たものになっている。シングルGPU同士で比較した場合,GTX 660 Tiは高負荷設定の1920×1080ドット以上でGTX 670に大きく引き離され,その差は最大で22%にも達するのに対し,GTX 660 Ti SLIがGTX 670 SLIに二桁%離されるのは高負荷設定の2560×1600ドットのみだ。このときのスコア差も16%なので,やはりSLIがメモリ周りの不利をカバーしているといえそうである。
 ちなみに,高負荷設定の2560×1600ドットにおいて,GTX 660 Ti SLIのスコアはGTX 660 Tiより約85%高い。それ以外の条件でも10〜45%程度は高いスコアを示している。

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 グラフ12,13は,「Sid Meier's Civilization V」(以下,Civ 5)の結果となる。
 4Gamerのベンチマークレギュレーションでは,3D性能だけでなくGPGPU性能もチェックする「Leader Benchmark」を採用するため,KeplerアーキテクチャのGPUはスコア的に不利なのだが,それはGTX 660 Ti SLIのスコアからも見て取れよう。スコアはHD 7950 CFXが“ぶっちぎり”。GTX 660 Ti SLIは,標準設定でなんとかGTX 580 SLIを上回るものの,高負荷設定では逆転されてしまう。

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 「DiRT 3」のテスト結果をまとめたグラフ14,15だと,GTX 660 Ti SLIはGTX 660 Tiのシングルカードに対して37〜83%程度高いスコアを示し,GTX 670 SLI比では94〜99%程度に迫り,GTX 580 SLIに対しては9〜20%程度の差をつけた。
 ただ,DiRT 3はAMD製GPUに最適化されていることもあって,HD 7950 CFXのスコアはさらに優秀だ。GTX 660 Ti SLIは標準設定の2560×1600ドットでHD 7950 CFXを上回る一方,それ以外の条件では2〜11%程度の差をつけられている。

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GTX 670 SLIより最大40W低め

2枚差しでの消費電力はHD 7950 CFXに軍配


 SLIではグラフィックスカードを2枚利用するため,どうしても消費電力が上がってしまうが,GTX 660 Ti SLIだとどの程度に達するのか。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を測定し,比較を行ってみよう。
 ここではゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ16のとおりだ。
 まずアイドル時から見てみると,GTX 660 Ti SLIとGTX 670 SLIはほぼ同じ。GTX 580 SLIより確実に低いのも目を引くが,HD 7950 CFXは「AMD ZeroCore Power Technology」によってセカンダリグラフィックスカードへの電源供給を大幅に抑えられるため,GTX 660 Ti SLI&GTX 670 SLIより一段低い値を示している。

 一方の各アプリケーション実行時だと,GTX 660 Ti SLIは433〜464Wで,GTX 670 SLIより3〜40W低い。GTX 580 SLIの消費電力が格の違いを見せつけているだけに,GK104コアで消費電力の大幅な改善が見られたのは評価できそうだ。
 一方,HD 7950 CFXは,マトモにマルチGPU動作しなかったSkyrimを抜きにして比較すると,全体的にGTX 660 Ti SLIより低めだ。マルチGPU動作時の消費電力だけで話をするなら,HD 7950 CFXが一枚上手ということになるだろう。

※そのまま掲載すると縦方向のサイズが大きくなりすぎるため,簡略版を掲載しました。グラフ画像をクリックすると完全版を表示します
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 最後に,3DMark 11の30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともどもTechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.6.4)から各GPUの温度を追ったものがグラフ17となる。テスト時の室温は24℃。システムをPCケースに組み込まない,いわゆるバラック状態に置いて計測を行ったときの結果だ。

 GPUクーラーがバラバラで,GPU温度センサーの挙動も異なるであろうことを踏まえると,横並びの評価には適さない。その点はくれぐれも注意してほしいが,GTX 660 Ti SLIは高負荷時でも70℃前後に収まっているので,熱の問題はあまり気にしなくてもよさそうである。

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GTX 660 Tiのアップグレードパスとしては意義あり

一方「はじめから2枚差し」は微妙か


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 以上,テスト結果の考察を行ってきたが,GTX 660 TiのSLI動作はなかなか評価が難しい。高負荷環境に強いSLIのメリットを活かし,GTX 660 Tiのシングルカードだと厳しいような負荷状況でも十分なフレームレートを叩き出せるというプラス要素と,フレームレートだけ見れば十分かもしれないが,上位モデルを用いたSLIと比べると,メモリ周りが原因となっての性能低下が大きいというマイナス要素が同居しているからだ。

 あえてまとめるのだとすれば,「GTX 660 Tiを差した環境で,あと少し性能が欲しいという場合のアップグレードパスとして見る場合に,GTX 660 Ti SLIには意味がある」ということになるのではなかろうか。一方,たとえば3画面環境など,超高解像度でのゲームプレイを前提にSLIシステムを組みたいというのであれば,素直にGTX 670以上を選ぶほうが得策だろう。

「GeForce GTX 660 Ti」レビュー。Kepler世代初のミドルクラスGPUはGTX 580より速かった

「GeForce GTX 660 Ti」搭載のクロックアップ版カード4製品を比較検討。ASUS,GIGA-BYTE,Palit,ZOTACそれぞれに個性あり


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