イベント
長島☆自演乙☆雄一郎選手がプロレスデビュー戦で勝利! ブラック★ロックシューターが戦ったり,ミルキィホームズが歌ったり泣いたり……と事件続発の「ブシロードレスリング」レポート
この大会は,「ヴァイスシュヴァルツ」や「カードファイト!!ヴァンガード」といったカードゲーム,さらにはアニメやゲームなどでマルチな展開を見せる「探偵オペラ ミルキィホームズ」といったコンテンツを有するブシロードを中心とした,ブシロードレスリング実行委員会の主催。そこに,オゾンネットワーク,プロレス団体ZERO1を運営するファースト・オン・ステージも協力者として名を連ねていた。
ちなみに,大会の模様はニコニコ生放送で生中継された。つまり,ゲーム,プロレス,そしてネットに関わる大人達が,子供の日にガッチリと手を組んで実現させたのが,ブシロードレスリングというわけだ。
さらに「PRIDE」などでも選手コールを行っていたレニー・ハートさん(ナァガァシィマァァァーーーーー! ジエン・オツーーーー! ……というようなハイテンションかつ巻き舌で有名)のコールにより,全選手が入場。選手達が歓声に答えたのち,いきなり4Gamerでもおなじみの男色ディーノ劇場といってもいい内容の第1試合がスタートしたのだった。
第1試合
飯伏幸太,美月凛音,平田一喜
vs.
男色ディーノ,中澤マイケル,DJニラ
入場式には登場しなかったディーノ選手だったが,入場曲「スリル」に合わせてステージに立つや否や,客席を狂気の目でぐるりと見渡す。自身が所属するDDTプロレスとは,ちょっと違う客層に興奮したのか,次から次へと男性客に襲いかかっていく。
さらにセコンドを務めていた故・橋本真也氏の愛息である橋本大地選手を発見すると一気に襲撃! 憧れだったはずのレスラーの息子という,このうえない獲物をその毒牙にかけることにも成功した。
これに怒ったのが対戦相手の平田一喜選手だ。「黙って聞いてればこの野郎,ミルキィホームズをバカにすんな! ミルキィをホームズできるんだったらやってみろ!」と真っ向から反撃。
ミルキィホームズを守るべく立ち上がった格好の平田選手だったが,ディーノ選手がリングアナや実況席の矢野 武アナウンサーへ放つ無差別の男色テロから観客をかばい,さらに自分自身へ放たれる攻撃をガードすることに四苦八苦。
そうこうしているうちに,ディーノ選手は平田のパートナーである美月凛音選手へ目をつける。男色ナイトメアをはじめとする各種男色攻撃でいたぶったかと思えば,ディーノ選手のパートナーであるDJニラ選手も,ロケットパンチやツバ攻撃を繰り出す。
その後,平田選手がニラ選手へキックをお見舞いし,あと一歩のところまで追い込んだものの,ここでぼろぞうきんのようになったニラ選手が命乞い。さらに「そんなに人を殴ったり蹴ったりして楽しいのか! お前にはもっとやるべきことがあるんじゃねぇのか! それが若人達のつとめだろうが! 考えれば分かることだろ! 考えろ,もっと考えろ!」と,突如説教を開始。思案しはじめた平田のすきをついて,ニラ選手はロケットパンチ。続いてディーノ選手がファイト一発! からの男色ドライバーで勝負に出る。
これはあと一歩のところで飯伏選手がカットしたが,とうとうディーノ選手がリップロックで平田選手を捕獲。会場からの「落とせ」コールが響く中,ディーノ選手がゴッチ式男色ドライバーでフィニッシュを決めた。
試合後は勝利でテンションMAXとなったディーノ選手が,ふたたび会場へなだれ込み,勝利後のハイタッチさながら,会場の男性ファンへ次々とリップサービス。実況の矢野アナをもう一度味わった上で,女性客をはたきながら去っていったのだった。
飯伏幸太,美月凛音,平田一喜●
(15分4秒,ゴッチ式男色ドライバー→漢固め)
男色ディーノ○,中澤マイケル,DJニラ
第2試合
田中将斗(ZERO1),柿沼謙太(ZERO1)
vs.
中西 学(新日本プロレス),キング・ファレ(新日本プロレス)
表情には出さずとも,大歓声をうけた中西選手は序盤から激しい攻撃を(対戦相手に)大サービスしていく。2010年デビューの柿沼謙太選手に対し,いきなり地獄突きからクロスチョップ。柿沼選手のキックに対しても身じろぎ一つせず,エルボーで吹っ飛ばすとビッグフット。さらには強烈な逆水平チョップをたたき込むなど,まるきり子供扱いしていく。
気持ちでは負けないとばかりに,むきになってやり返す柿沼選手は,コーナーに立った中西選手の足を押さえ,田中選手の雪崩式ブレーンバスターへつなげることに成功。さらに合体ブレーンバスターを狙うが,中西選手は逆に2人まとめて投げ返すと,柿沼選手へ強烈なラリアット。最後はアルゼンチンバックブリーカーに柿沼選手をとらえ,野人のパワーを存分に見せつけて勝利を得た。
田中将斗,柿沼謙太●
(13分29秒,アルゼンチンバックブリーカー)
中西 学○,キング・ファレ
第3試合
ブラック★ロックシューター
vs.
デッドマスター
ちなみに,B★RS選手の“中の人”として名乗りを上げたのは,自身も大のプロレスヲタとして知られる中野腐女シスターズの浦えりかさん。対するデッドマスター選手は正体不明……のはずだったが,ゲーム好きとして知られる菊タロー選手にうり二つ。
そんなデッドマスター選手は,B★RS選手ではなく,今大会を特別協賛し,この試合のゲスト解説を務めていたグッドスマイルカンパニーの安藝貴範代表取締役社長へマイクで呼びかける。
B★RS選手がキックでけん制すると,デッドマスター選手はゴングが鳴る前に反撃して試合開始。場外でB★RS選手をいたぶり「おらー,ねんどろいど出すって言え!」とグッドスマイル社長を恫喝していく。
客席から飛んだ,「出ても買わないぞー」という冷静なツッコミに気を悪くしたのか,デッドマスター選手はB★RS選手にセクハラ攻撃! フォールとみせかけていやらしく身体をすりつけるデッドマスター選手に対し,ロックシューターは串刺しエルボーからボディアタック。
最後は急所蹴りからブラックトルネードを放ってとどめを刺し,ねんどろいど菊タローの発売という暴挙から,フィギュア業界を守ったのだった。
ブラック★ロックシューター○
(3分28秒,ブラックロックトルネード)
デッドマスター●
第4試合
大谷晋二郎,崔 領二
vs.
ヴァイス,“帝王”シュヴァルツ
大会開催発表記者会見で,ブシロードの木谷社長は「僕達は世界一のカードゲーム会社を目指しています。いまや日本のマーケットは,アメリカの2倍。そのくらい,プロレスや格闘技にも頑張ってもらいたいなと思います。いつまで,アメリカのWWEやUFCにやられっぱなしなのかなと思う」と発言。日本のプロレスを批判したこの一言に,プロレスラー大谷は「正直,社長の発言は僕にも面白くはないですね」と,チクリと反撃。
微妙な関係となった両者に対し,横から割って入ったのが木谷社長の親友(そっくりさん?),キッダーニ男爵だった。
宇宙のどこかにあるといわれる惑星ブシロード,その星のどこかにある悪の秘密結社のボス,キッダーニ男爵。
「私の親友であるブシロードの木谷社長をコケにするようなことを!」……あくまで私怨ではなく,親友を侮辱された怒りとして,キッダーニ男爵はヴァイス・シュヴァルツを対戦相手としてさしむけたのである。
「本当にこれがシュヴァルツか?」と問いかけた大谷へ,キッダーニ男爵は「こんばんは。今日はブシロードレスリングへいらしていただいてありがとうございます」と観客に挨拶。「帝王はお一人様で入場するのがお望みなんだ。悪いけどこいつは影武者さ!」と言い放つと,真の帝王をリングへ呼び込む。
黒いコスチュームとマントに身を包み,堂々の入場を行った帝王は,2m近い大男。ロープをひとまたぎして,リングインする。まさに帝王の名にふさわしい体躯を誇る“帝王”シュヴァルツ選手と,軽快な身のこなしを見せるヴァイス選手という,対照的なタッグチームだったというわけだ。
試合が始まると,大谷選手は相手セコンドのキッダーニ男爵へ「あれ,木谷社長だろう!」と,誰もが感じていた一言を放ってしまう。
これを黙らせようと,“帝王”シュヴァルツ選手は大谷選手を持ち上げて落差のあるバックドロップ。さらにカットへ入った崔選手にビッグフット。あっというまに2人をなぎ倒すと,大谷選手を踏んづけた状態で黒いマスクを取り,プロレス界の“帝王”高山善廣選手の姿となる。自身もゲームやフィギュア好きで知られる高山選手だが,いつの間に惑星ブシロードへ魂を売っていたのか……。
終盤には,高山選手を場外へ押しやり,小柄なヴァイス選手をとらえようとする大谷選手だったが,なんとここでキッダーニ男爵が試合へ介入。大谷選手の背を椅子で一撃する。これに一度は動きを止められた大谷だったが,すぐに体勢を取り直してヴァイス選手にスパイラルボム! キッダーニ男爵が「やってやった」とばかりに喜ぶその後ろで,あっさりとヴァイス選手をフォールし,3カウントを奪った。
勝利した大谷選手は,お仕置きとばかりにキッダーニ男爵へスタナー。親友・木谷社長のために立ち上がったものの,まさに“自演乙”といった形で痛い目にあってしまったキッダーニ男爵だった。
大谷晋二郎○,崔 領二
(10分2秒,スパイラルボム→エビ固め)
ヴァイス●,“帝王”シュヴァルツ
ミルキィホームズスペシャルライブ
ミルキィホームズの歌声に,観客はサイリウムを振り回して熱狂。これまでのプロレス4試合ですっかりエンジンがかかった様子の観客を前に,4人は「正解はひとつ!じゃない!!」「熱風海陸ブシロード」の2曲を熱唱。ライブ途中でブシロード木谷社長も登場し,観客とコール&レスポンスを繰り広げた。
メインイベント
長島☆自演乙☆雄一郎(K-1 MAX 2010日本王者)
vs.
佐藤耕平(ZERO1)
昨年(2010年)は,K-1 MAXの日本トーナメントを全試合KOで制したほか,大晦日の「Dynamite!!」でDREAMライト級王者・青木真也選手との異種格闘技戦に挑み,圧倒的不利との下馬評をカウンターのヒザ蹴りで覆した。
そんな長島選手の格闘家としての実力は誰もが知るところだが,長島選手自身,元々は大のプロレスファンだったという。
アントニオ猪木さんを見てプロレスラーを志したのが,格闘技を始めるきっかけだったという長島選手。身長が足りずに断念したはずのプロレスだったが,格闘家として,そしてコスプレファイターとして培ってきた縁が,今回のプロレスデビュー戦に結びついた。
対戦相手は,オタク(というか長島選手?)を「意味分かんない。理解できない。気持ち悪い」と一刀両断に切り捨てる,ZERO1の“ヤンキー鬼武者”佐藤耕平選手。
「僕しかり,オタクしかり。けっこうバカにされてるんで,負けられない」と,オタクの代表として戦いを挑んだ長島選手は,ミルキィホームズとともに,コスプレ姿でリングへ上がる。一方,対戦相手の佐藤選手は会場中から大ブーイングを浴びるも,涼しい顔だ。
試合開始のゴング。“乙”コールの中,193cm,120kgの佐藤選手に対し,175cm,88kg(この試合のために70kgから増量)の長島選手は果敢に体当たりを繰り出すも,まったく反応なし。ならばと,ローキックを仕掛けていく長島選手。さらに掌底の連打で佐藤選手を場外まで追いやる。
ダメージというより面食らったという様子の佐藤選手だったが,徐々にエンジンがかかってきたのか,軽々と長島選手を持ち上げて強烈なボディスラム。そして観客に見せつけるように平手打ち,さらに試合を見守るミルキィホームズの前へ長島選手を連れ出し,目の前の机に叩きつける。
このうえない屈辱を受け,悔しげに佐藤を見上げる長島選手。目の前で繰り広げられた蛮行に,ミルキィホームズの橘田いずみさんが泣き出し,慰める佐々木未来さんと共に退場する事態まで発生してしまったが,残った三森すずこさんと徳井青空さんが,長島選手に声援を送る。
戦いの舞台がリングに戻ると,佐藤選手は執拗な足攻めを長島選手に仕掛ける。さらに佐藤選手の重いミドルキックを1発,2発と受けて身体が浮き上がる。しかし3発めをキャッチしてドラゴンスクリューを繰り出すと,先ほどのお返しとばかりに佐藤選手に対してボディスラム。さらに,スワンダイブ式ミサイルキックを突き刺す。
しかし,ファルコンアローとパイルドライバーの連続で,長島選手はKO寸前に。それでも立ち上がった長島選手は,エルボー,雪崩式ウラカンラナで反撃。佐藤選手がヒザをつくと,武藤敬司選手ばりのシャイニング・ウィザードならぬ,シャイニング“乙”ザードをたたき込む。そこからムーンサルトプレスを披露してダメージを与えるも,3カウントならず。
今度は佐藤選手が長島選手のミドルキックをキャッチし,キャプチュードで弧を描く。続いて,とどめとばかりにジャーマンスープレックスの体制に入った佐藤選手を,長島選手は前方回転エビ固めで丸め込む。これはカウント2。続けて,ラ・マヒストラル。これもカウント2。しかし最後に,飛びつき回転十字固めで,長島選手が佐藤選手から3カウントを奪取し,デビュー戦を勝利で飾った。
喜びながらも,長島選手はデビュー戦の相手を務めた佐藤選手に対してキッチリひざをついて一礼。さらに立ち上がると,握手を求める。佐藤選手は一瞬,ためらいの表情を浮かべるも,長島選手の奮闘を認めたか,その手を握り返した。
長島☆自演乙☆雄一郎○
(14分3秒,飛びつき回転十字固め)
佐藤耕平●
試合後の囲み取材では,ブラック★ロックシューターとして参戦した浦えりかさんが「自分が勝って,メインの乙さんにつなげたいって会見で言ったので,その言葉通りに勝てて嬉しい。B★RSのキャラを崩さないように,これでいいのかってずっと考えていました。傷とか,細部までこだわろうと思って挑みました」とコメント。
中野腐女子スターズの一員として,イベントを数々こなしている中,ハードスケジュールでの参戦だったが「メンバーのみんなも『試合頑張ってね』ってメールくれたりして,力になりました」と語った。
長島選手は,「プロレスのリングにあがれて,感無量です」と,ほっとしたような笑顔を見せていた。オタクとして勝利をあげられたことに対しては「馬鹿にされて,勝ったのは嬉しいです。何より最後に握手をしてもらえたので,オタクとか関係なく“やればできる”というところを認めてくれたんだと思う。それが嬉しい」と,戦いを通じて理解しあえたことに対しても,喜びを隠せない様子。
「やる前は怖かったけど,お客さんが凄く沸いてくれて嬉しかった」と,最後まで歓声を送り続けた観客にも感謝。さらに,「自分で決めて,好きなことに挑戦するって最高です!」と語るなど,子供の日のプロレス初挑戦という“大冒険”に大きな満足感を得られたようだ。
長島選手は,幼い頃のプロレスへの憧れを,めぐりめぐってのデビューという形で具現化。同じく幼い頃からプロレスが好きだったというブシロードの木谷社長は,自分で興行をプロデュースし,自身の作り上げた会社のキャラクター達とコラボさせるという形で具現化した。
そう,ブシロードレスリングは,選手も作り手も,自分達の好きなものを“オトナ買い”ばりに集め,娯楽として観客に提供する……そんなコンセプトだったのかもしれない。
「ブシロードレスリング」公式サイト
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- 関連タイトル:
ブラック★ロックシューター THE GAME
- 関連タイトル:
探偵オペラ ミルキィホームズ
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