インタビュー
セガ初の本格的なブラウザゲーム「MLBマネージャーオンライン」プロデューサーインタビュー。世界に通用するIPとブラウザの組み合わせで世界に進出
北米のメジャーリーグベースボール(以下,MLB)を題材として,実在するメジャーリーグ30球団から,900名を超える実名選手が登場する本作。これまで,ソーシャルゲームなども手がけていたセガだが,本格的なブラウザゲームとなると本作が初めての作品となる。
その1作目として,なぜセガはMLBという題材を選んだのか。「プロ野球チームをつくろう!ONLINE 2」をベースにしたと思われるシステムを採用した理由は? そして,クローズドβテストの反応はどうだったのか。
4Gamerでは,本作のプロデューサー 瀬川隆哉氏に,そうした企画・開発の経緯やオープンサービス以降の予定などを聞いてみた。
「MLBマネージャーオンライン」公式サイト
ワールドワイドに展開するために選ばれた“MLB”という題材
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,MLBマネージャーオンラインは,セガが初めて開発/運営を手がけるブラウザゲームですよね。
ええ。大型の本格的なブラウザゲームとしては,弊社初の取り組みです。
4Gamer:
では,その1作目の題材として,なぜMLBを選んだのでしょう?
瀬川氏:
僕は,ずっと「プロ野球チームをつくろう!ONLINE」(以下,野球つくONLINE)を手がけてきました。野球つくONLINEは今や日本だけでなく,名称を変えて韓国などでもサービスを展開しており,大成功を収めています。
加えて弊社には,こうしたスポーツシミュレーションを強化していきたいという狙いがあります。そこで,これまでのように日本,あるいは韓国とリージョンを限定するのではなく,ワールドワイドに展開できるタイトルをリリースしたいと考えていました。
4Gamer:
なるほど,日本のプロ野球をベースに,ワールドワイドで展開していくのは難しいですね。
瀬川氏:
ええ。そう考えたとき,MLBは北米を中心に世界中で人気の高いIPなわけです。つまり,世界中の人達と競い合えるオンラインゲームには最適ですから,今回,MLBマネージャーオンラインとして企画・開発したわけです。
4Gamer:
ワールドワイドに展開するというと,世界のどこからでもゲームを楽しめるのですか?
瀬川氏:
いえ,MLBとの契約の関係で,当面はアメリカ,カナダ,日本,韓国の4か国で展開します。
4Gamer:
画面を見たところ,基本的なゲームシステムは,野球つくONLINEと同じに見えます。
瀬川氏:
ええ。自動進行型という部分では,同様のものに仕上がっています。
もっとも大きな違いは,ブラウザゲームであるという点ですね。ブラウザゲームは,何といっても手軽に遊べます。
というのも,これまで弊社では,スポーツシミュレーションとして野球つくONLINEと「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!ONLINE」(以下,JサカONLINE)を展開してきていますが,やはりクライアントをダウンロードしてインストールするという過程で,頓挫してしまうプレイヤーさんの割合が非常に多いのです。
4Gamer:
たしかに,他社さんのタイトルでもそういった話を聞きます。
瀬川氏:
そこで,ダウンロードやインストールが基本的に必要ない,ブラウザゲームに注目したわけです。
また,弊社のスポーツシミュレーションは「1回10〜15分程度のプレイで,1日何回かログインすれば楽しめる」という手軽さをコンセプトにしていますので,もともとのゲーム自体がブラウザゲームの特徴とマッチしているんですよ。
4Gamer:
もともとのコンセプトと,昨今のブラウザゲーム台頭のタイミングが見事に一致したという感じですね。
瀬川氏:
そうなります。もう一つの大きな違いは,世界一のプレイヤーを決めるという部分ですね。今までの「リーグでトップになる」「各リージョン(各国)でトップになる」という目標を越えた,高い頂点を目指していただけます。
4Gamer:
具体的には,どういった形式で世界一を決めるのでしょうか。
各プレイヤーは,野球つくONLINEと同じように,まずルーキーリーグクラスからスタートし,A,AAAなどのマイナークラスを経てメジャーリーグを目指します。そして各国のメジャーリーグの頂点に立ったプレイヤーが,「ワールドチャンピオンズトーナメント」(以下,WCT)で世界一をかけて戦うんです。つまり,リアルの野球でいうなら,WBCのようなことをやるわけですね。
4Gamer:
ワールドチャンピオンを選出するまでの1シーズンは,リアルでいうとどのくらいの期間になるのですか?
瀬川氏:
およそ1か月です。ペナントレース1回が10日程度,それが3回で1サイクルですから,ほぼ1か月に1回のペースで各国のトップが決まり,WCTが始まる計算になります。
4Gamer:
なるほど。ちなみに,サービスが行われている国であれば,どの国のサーバーでも遊べますか? 例えば,アメリカのサーバーからWCTを目指したいという,日本に住んでいるアメリカ人もいるかもしれません。
瀬川氏:
いえ,アカウントの登録時にはリージョンの制限があります。例えば,日本で作ったアカウントは,最終的にWCTで各国の代表と戦えますが,基本的には日本のサーバーでしか遊べません。
4Gamer:
つまり,アカウントを作成した国からWCTを目指すことになるわけですね。そのほか,MLBマネージャーオンラインで新たに登場した機能を教えてください。
瀬川氏:
メジャーリーグの各球団と言えば,地域との結びつきが強いですよね。そこで,ホームタウンを育てていくという要素を加えました。優勝を目指すだけでなく,そういった二次的な部分でも楽しめるような要素を散りばめています。
4Gamer:
ホームタウンは,どうすることで発展していくんでしょう?
瀬川氏:
最初は何もない平地に,ポツンと球場だけが建っているんです。それが,ゲームをより深く遊んだり,友達とのコミュニケーションを図ったりすることによって,発展していきます。
イメージとしては,球団が強くなっていくにつれ,人が集まって街が発展していく,という感じです。具体的には,選手カードを数枚引くとビルが建つ,練習をさせると商業施設が建ったり,道路が整備されたりしていきます。
4Gamer:
というと,プレイヤーが自分のチームを育成/強化していくだけで,同時に街も発展していくわけですか。
瀬川氏:
そういうことです。街が発展すると,ポイントをはじめ,練習カードやサポートカードをもらえるというメリットがあります。またフレンドを増やしたり,試合をしたりすることで,街が発展していきます。
このゲームは,選手を引いて,それを組み合わせて試合をするだけでも遊べますが,それ以上のことをやると街が発展していき,さらにお得なこともあるわけです。
4Gamer:
街の発展度合いは,そのプレイヤーのやり込み度を反映していると言えますね。
瀬川氏:
ええ,そうですね。決められた期間に,どれだけ街を発展させられるか試していただけるようにもしています。
また,せっかくのオンラインゲームですから,オンラインゲームの特性も生かして,何をすれば街がどう発展していくのかという部分には,随時手を加えていきます。毎シーズン一緒では面白くありませんよね。
ワールドワイドでスポーツシミュレーションを展開する上での留意点と課題
4Gamer:
ところで,MLBマネージャーオンラインは,いわゆるカードゲームをベースとしていますよね。
ええ。ちなみに本作では,カードではなく「スカウティングレポート」と呼んでいます。
4Gamer:
そうなんですか。スカウティングレポートゲーム……というのは,分かり辛いので,申しわけありません,ここではカードゲームとしてお聞きしますが,このような形式を取るメリットを教えてください。
瀬川氏:
オンラインの野球ゲームでは,トレードなどを通じて同じ名前とデータを持つ選手が複数のチームに所属する状況が生まれます。
しかしそれでは,実在の選手名を使ってリアルさを追求したアクションタイプの野球ゲームであれば,どうしても違和感が生じてしまいます。本来なら,実在選手は一人ずつしか存在しない仕様にして,それをプレイヤー全員に分配すべきなんです。
でも,カードゲーム形式なら,実在選手が複数存在していてもおかしくないですよね。システム上,プレイヤーのみなさんそれぞれに,イチロー選手や松坂選手のスカウティングレポートを入手できる機会が与えられているわけですから。
また,この形式にはコレクション要素を持たせるという側面もあります。自分のチームを強化するだけでなく,自分が応援しているリアル球団の選手をコンプリートするといったような楽しみ方もできるのではないでしょうか。
4Gamer:
カードゲームによって当然ルールも異なると思いますが,たしかに同じ選手が並んでいても違和感は生まれませんし,カードの奪い合いにならないので,自分が考えるドリームチームは作りやすいですよね。
瀬川氏:
そもそもMLBを題材にしている時点で,当然ながら北米のプレイヤーをメインターゲットに据えています。彼らはスポーツに対するリテラシーがかなり高いので,各種スポーツのトレーディングカード文化が日本以上に発展しています。そういった意味でもこの形式はマッチしていると言えます。
またMLBを題材にすることにより,リージョンを意識せずに展開していけるメリットがあります。弊社としては,このように,ワールドワイドで遊んでいただけるゲームを作っていきたいと考えています。
4Gamer:
というと,第2弾,第3弾も考えているわけですか。
瀬川氏:
まあ同様のシステムとエンジンを使って,題材となるスポーツを差し替えて……といったことは企画できますよね。
4Gamer:
例えば,JサカONLINEの欧州版とか。あるいはアメリカンフットボールのNFL,バスケットボールのNBA,アイスホッケーのNHLといったような北米のプロスポーツなども候補に挙がりそうですね。
瀬川氏:
ええ,そうですね。国や地域ごとに人気のあるスポーツが異なりますから,それに合わせた展開を視野に入れています。いずれにせよ,第2弾以降については,まだ企画段階です。まずは,MLBマネージャーオンラインを成功させなければなりません。
4Gamer:
分かりました。ところで,ワールドワイドでの展開について,いろいろと課題もあると思います。
瀬川氏:
今回はシーズンの最後にWCTがあるので,どうしても「あの国には負けたくない!」というような,国家間の競争意識は強くなるかもしれません。それを踏まえて,平等なサービスを心がける必要があります。
例えば各国それぞれに異なった法律がありますから,それに合わせてゲームの仕様と,マネタイズの部分を変えなければなりません。そのときに,「この国では,あまりお金を使わなくとも強くなれる」「あの国では,おいしいキャンペーンを頻繁に実施している」といったようなことが発生しないよう,きちんと世界レベルでの平等性を保つ必要があります。
CBTは日米とも好評。北米では,これまでになかったゲームとして受け入れられた
4Gamer:
今年1月から2月にかけて行われたクローズドβテストの反響はいかがでしたか?
クローズドβテストは,日本と北米で実施しましたが,非常に好評でした。日本では,主に野球つくONLINEやJサカONLINEを遊ばれていたプレイヤーさんが多かったようです。僕ら開発チームも「絶対勝てる!」と思ってゲームに参加していたのですが,全然勝てなくて(笑)。みなさん,かなり分析しながらプレイしている様子がうかがえました。
またDAU(Daily Active Users,デイリーアクティブユーザー)の数も計測していたのですが,初日から4週間,ほぼ下がらずに最終日を迎えられました。普通だと右肩下がりになるのですが。
4Gamer:
それは,期間中にイベントなどが行われたから,といった理由なのでしょうか?
瀬川氏:
小規模の大会は行いましたが,それ以外はとくに大きなことはやっておらず,ずっとサーバー負荷の検証などに費やしています。それでもDAUが下がらなかったので,今回は非常に楽しんでいただけたのではないかと手応えを感じています。
またゲームシステムでは,ホームタウンの育成要素や,スクラッチを使った練習などの評価が非常に高かったです。
4Gamer:
北米に関してですが,プレイヤーの反応はどうでしたか。
瀬川氏:
北米では,実在選手を使ったゲームというと「ファンタジースポーツ」が有名なのですが,それはスポーツに詳しいマニアが“リアルのデータに基づいて予想を立てていく”ような内容なんです。
それに対してMLBマネージャーオンラインは,自分の好きな選手を揃えて打順を決めるといったように“自分の夢を叶える”もので,これまで北米にはなかったスタイルのゲームでしたから,非常に反響が大きいものでした。
またMLBのゲームというと,これまではプラットフォームホルダーとTake-Two Interactiveさんがライセンスを取得していましたので,家庭用ゲームを中心としたリアルアクションゲームがメインで,オンラインゲームは種類もあまりありませんでした。そういった意味でも評価は高かったですね。「こんなに面白いゲームがあるとは」「プライベートな時間をすべて注ぎ込んでしまった」というような感想が相次ぎました。
4Gamer:
日本ではお馴染みのシステムでも,北米では非常に新鮮なものだったわけですね。
瀬川氏:
ええ。4週間のクローズドβテスト期間中に,北米ではフォーラムなどでさまざまな議論が交わされていました。遊び方は日本のプレイヤーさんがまだ一歩先を行っていますが,そうしたフォーラムで,僕達が敢えて指摘しなかった部分についても議論がなされていましたので,日米の差はかなり縮まっていると思います。
4Gamer:
MLBのゲームということもあって,研究にかなり熱が入っていたのかもしれませんね。では,日本のプレイヤーはもちろん,そういったフォーラムからもクローズドβテストを通じて,さまざまな意見や要望が出たかと思いますが。
瀬川氏:
やはり,一番多かったのは選手のパラメータに関するものでした。僕達もMLBから提供された成績表をベースに選手データを作っているのですけれども,プレイヤーさんそれぞれの思い入れがあるので,どうしても食い違いが出てしまいます。そこの折り合いをどうつけるかに,いつも苦労しますね。
4Gamer:
例えば,日本で開発しているからといって,日本人選手をひいきするわけにはいきませんよね。
瀬川氏:
ええ。そこは平等でなければいけません。ただ,見方を変えると評価が変わるのも事実ですから,何をもって平等と判断するかについては今後も引き続き検討していかなければならない課題ですね。
打率などの数値だと,ホームランバッターであるとか,勝負強いかどうかは数値がはっきり出ているので比較的反映しやすいのですが,肩の強さや足の速さはなかなか数値化できないんですよ。例えば,盗塁が多いからといって足が速いわけではないんです。どんなに足が早くとも,3番バッターや4番バッターは盗塁回数が減ります。そういった数字をどう表現するかが難しいですね。寄せられる意見を参考にしながら,調整を図っていきます。
CBTからさまざまな面が完全されたオープンサービス
4Gamer:
3月1日から,MLBマネージャーオンラインのオープンサービスが開始されますが,クローズドβテストからの変更点を教えてください。
内部的な数値は全面的に見直しを図っています。動作がぎこちなかった部分や,ビジュアル面にも手を加えています。使いづらい,存在すら気づかなかったというご指摘の多かったチャットシステムも,大幅に改善しました。
4Gamer:
ちなみに,オープンサービス以降のスケジュールは決まっていますか。
瀬川氏:
はい。4月1日から,正式サービスを開始する予定です。
4Gamer:
ちょうど1か月間,1シーズン分のテストが行われるわけですね。ビジネスモデルについては,おそらく基本プレイ無料のアイテム課金だと思いますが,どういったアイテムを販売する予定ですか。
瀬川氏:
基本的には,みなさんの欲しがるものを提供していきます。時間をかけて分析しながら遊べば誰でも十分に強くなれるというのが理想で,その上で時間をかけられない方は多少のお金を使って強化を図れるようなゲームを目指しています。
4Gamer:
というと,成長が少し早くなるような,“時間を買う”アイテムが中心になりそうですね。
瀬川氏:
そうですね。でも,自動進行型のゲームですから,そこまで時間を短縮する必要性はないんですが。生活サイクルに合わせて,1日数回ログインして,セットし直したりしていただくだけで,それなりに強さは保てるんですよ。それに加えて,毎日ログインしていただくとメリットが発生するような仕組みを用意しています。
またゲーム内のポイントで選手をスカウトするわけですが,そこには運が関係してきます。どんなに多くのポイントを持っていても,運が悪ければ,いつまで経っても望みの選手が手に入らないかもしれません。
4Gamer:
当然,選手のトレードも可能ですよね。
瀬川氏:
はい。今回,各国のプレイヤーともトレードできる「ワールドトレードシステム」を用意しました。実際に稼動してみないと何ともいえませんが,結構,面白い傾向が出るんじゃないかと予想しています。やはり日本人プレイヤーは日本人選手を集めたがる,とか。
とはいえ,イチロー選手のような優秀な選手は確率的になかなか入手できないんですが。
4Gamer:
なるほど,やはりランク付けのようなものがあるんですね。
瀬川氏:
10段階で評価させていただいています。トレーディングカードのレアリティに近いイメージで,評価が高くなるほど入手確率は低くなります。といっても「1ボックス買わないと,この選手は入手できない」みたいなことはありません。あくまでも確率なので,ランク10の選手が3回連続で出るようなケースもクローズドβテストではありました。
また選手の評価は固定ではなく,オンラインゲームの特性を活かして,シーズンの途中でランク変更を行う場合もあります。
4Gamer:
ところで本作は,短い時間で楽しめることをウリの一つにしていますが,逆に長時間やり込めるような要素はないのですか?
瀬川氏:
フレンドといつでも対戦できますし,また「ランキング戦」も用意しています。これらを遊ぶと,その分だけポイントがもらえるので,それだけ有利にはなる可能性があります。
また選手は全部で900名くらい用意していますが,同じようなパラメータなのに,こっちの方がコストが低くてお徳というような選手がいます。ですので,その部分までチェックした上で理想的なチームを作ろうと思ったら,途方もない時間がかかるでしょうね。
そのゲームに相応しい要素にあわせてブラウザとクライアント型を選択
4Gamer:
MLBマネージャーオンラインは,PC用ブラウザゲームとして展開していますが,スマートフォン版などは考えていますか?
ライセンス次第ですが,できたら良いなと考えています。最終的には,さまざまな端末から同じサーバにアクセスして試合ができるような環境を目指しています。
4Gamer:
ちなみに日本市場に向けて,野球つくONLINEとJサカONLINEがブラウザゲーム化される可能性についてはどうでしょうか。
瀬川氏:
そこはなかなか判断が難しいのですが,クライアントダウンロード型だからこそできることがあるのも事実です。Webで動作するゲームだと,どうしてもFlashかJavaScript,あるいはHTML5ベースで作ることになりますので,3Dでの表現力が弱いんですよ。しかしクライアントダウンロード型なら,3Dによる演出も導入できます。
したがって,一試合ごとの結果を分析して次に繋げるようなプレイヤーには,クライアントダウンロード型の方が深く遊べるんじゃないでしょうか。その一方でブラウザゲームは,間口を広げてより多くの方に遊んでいただくものと位置づけています。
4Gamer:
では,ブラウザゲームとクライアントダウンロード型のゲームを並行して開発していくわけですね。
瀬川氏:
ええ。今後はブラウザゲームのタイトル数を増やしていく方向ではありますが,クライアントダウンロード型は演出などの,より深く楽しめる要素を加えて差別化を図っていきます。
4Gamer:
分かりました。セガという企業として,ブラウザゲームを展開することで,どんなメリットがあると考えていますか?
瀬川氏:
正直な話,今回は苦労した点が多かったですね。もともとセガはコンシューマとアミューズメントに強い企業です。したがって今回も,コンシューマ/アミューズメント出身の開発者がブラウザゲームを作ったんです。それまでC/C++を使って3Dゲームやクライアントダウンロード型のゲームを作ってきたデザイナーとプログラマーが,まったく違う言語を使って取り組んだので,大きなジョブチェンジが図れたと言えるのではないでしょうか。
いわば,それまで剣道をやってきた人にフェンシングをやらせるくらいの違いがありました。ですがその分,できることが大きく広がったという実感はあります。
4Gamer:
セガとして,間口を広げるための大きなチャレンジになっているんだなと感じます。それでは,MLBマネージャーオンラインに期待する読者に向けて,メッセージをお願いします。
瀬川氏:
セガ初にして,日本初の本格的なスポーツを題材にしたブラウザゲームです。僕達が今まで作ってきたゲームの進化系になっていますが,今回はとくに,世界のプレイヤーと競い合えるというところに注目していただきたいです。「誰か一人が世界の頂点に立つ」となると,当然,自分自身の目標になりますし,それが無理でも同じ国の人にその座を獲って欲しいという気持ちが生じるのではないでしょうか。これまで一人で遊んできた人も,みんなと一緒になって応援するという新たな楽しみ方ができるんじゃないかと思います。
オープンサービスで実際に遊んでいただいて,ぜひご意見・ご要望をお寄せください。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
セガのスポーツシミュレーション新作で,しかもMLBが題材となると,「北米向けの野球つくONLINEなんじゃないの?」と思ってしまいがちだが,今回のインタビューからは,同社がMLBマネージャーオンラインを通じて,ワールドワイド展開とブラウザゲーム開発という,二つの大きなチャレンジに取り組んだことが読み取れる。
そのどちらもが多くの人に向けて間口を広げる試みであり,大げさに言うなら,同社が今後どういった形でゲームに取り組んでいくかという問いかけに対する,回答の一つになっているのではないだろうか。
ともあれ,3月1日からオープンサービスが開始されるMLBマネージャーオンライン。日本をはじめ,各国での盛り上がりはもちろんのこと,WCTが首尾よく成功することに期待したい。
「MLBマネージャーオンライン」公式サイト
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