テストレポート
「ゲーム環境」としてのWindows 8完全理解(1)Windows 8の立ち位置とラインナップを整理する
Windowsにとって久々のメジャーアップデートということもあり,PC&IT系メディアはこの数か月,連日のように特集記事を掲載してきているので,「ああ,あちらでは盛り上がっているのだなあ」とぼんやり思っていた読者も多いのではないかと思われるが,そのWindows 8がついに今週,発売を迎えるわけである。
現状,欧米のゲーム開発者などからは否定的なコメントが寄せられたりしているが(関連記事),ゲーマーにとってのWindows 8は,導入すべきOSなのか否か。ゲームプラットフォームとしてのWindows 8が持つ可能性を,何回かに分けて整理していきたいと思う。
第1回となる今回は,基本中の基本,Windows 8の位置づけとラインナップ,入手方法を整理してみたい。
Windows 7の後継となるWindows 8は
タッチ操作に最適化されたUIを採用
言うまでもないことだが,Windows 8は,現行のWindows 7に代わる,新しいバージョンのWindowsである。「過去のWindowsと互換性を保ちながら,新しい要素を盛り込んできた」という意味において,その立ち位置に従来からの変更はない。
さて,このUIについての詳細は稿をあらためたいと思うが,ポイントは,タッチ操作への最適化がなされていることだ。
Microsoftはタブレット機器の市場で出遅れているが,その大きな原因の1つに,従来のWindowsがタッチ操作に向いたインタフェースではないというものがあった。そこで,スマートフォン「Windows Phone」のUIをベースに,タッチ操作できるWindows UIとして導入されたのが,このWindows 8 Style UIというわけである。
「タッチ操作に最適化されたUIを,マウスとキーボードで使ったらどうなるの?」という疑問はもっともだが,そのあたりは次回以降説明するとして,ひとまずは,「タッチ操作を前提とするUIがWindows 8では採用され,それが最大の特徴」という点を押さえておいてほしい。
なおWindows 8にはそのほかにも,システム全体の低消費電力化や,起動の高速化,「DirectX 11.1」の採用といったトピックもある。Windows 7からUIだけが変更になったわけではない。
ラインナップと製品構成は
Windows 7からけっこう変わった
Windows 8でも,主流となるのはPCにプリインストールされる形だが,OSが登場するたびにPCを買い換えるようなサイクルの人はまれだと思われるので,ここでは,いまWindows 7以前のOSを使っている人がWindows 8へ移行すると想定し,話を進めていきたい。
■Windows 8のラインナップは2種類
無印のWindows 8は,従来のWindows 7 Home Premiumに相当する製品だ。Microsoftとしては家庭用のPCに搭載されるのはこちらが主流という考えのようで,実際,Windows 8の発売に合わせて市場投入されるゲームPCのOSは,無印Windows 8がほとんどだ。
●参考:Windows 8搭載ゲームPCの予約受付ページ
(※2012年10月24日00:00現在,リリース到着順)
- マウスコンピューター:G-Tune NEXTGEAR-MICRO,G-Tune NEXTGEAR-NOTE
- ドスパラ(サードウェーブデジノス):GALLERIA XF-A
- Project White(TSUKUMO):G-GEAR GA7J-E43/E
- グッドウィル:REGALIA TEMJIN-i5K Windows8,REGALIA Silencio550-i7k Windows8
Windows 7 ProfessionalやWindows 7 UltimateにあってWindows 7 Home Premiumになかった機能をWindow 8環境でも引き続き使いたいということであれば,Windows 8 Proを選ぶことになるわけである。
■購入できるWindows 8の選択肢は6つ
以上,ラインナップ自体は2種類で,すっきりしたWindows 8だが,実のところ,PCユーザーが販売店で購入できる最終製品は6製品もある。しかも,これがなかなか複雑だ。
冒頭でその名称だけ紹介したDSPというのは「Delivery Service Partner」の略で,本来はPCメーカーや販売店向けの簡易ボックス版という位置づけだ。PCメーカーや販売店が,自社で販売するPCにインストールするための製品なので,厳密にいえば一般ユーザー向けの最終製品ではないのだが,PCには「自作」という選択肢が用意されているので,自作派でも購入できるように,PCパーツショップなどで流通しているというわけである。
Windows 8におけるDSP版では,Windows 7以前から大きく変わったことがある。従来は「あくまでも(PCメーカーや販売店が製造した)特定のPC向け」という建前があったため,何らかのPCパーツとセットでしか購入できなかったのが,Windows 8では単体購入できるようになったのだ。
続いて,ある意味で最も大きく仕様が変わったと言えるのが,製品ボックス版のWindows 8で,なんと,「Windows 8 Proへのアップグレード版」しか用意されない。いま使っているPCから,無印Windows 8へのアップグレードパスは用意されないのだ。
ちなみにこのアップグレード版製品ボックスには32bit版と64bit版のインストーラが用意されているが,インストールして利用できるのはどちらか一方のみになる。当たり前だが,32bit版と64bit版のうち,利用できるライセンスは1本分というわけだ。ちなみにボックスのデザインは5種類あり,ランダムで提供されるという。
Windows 8 Pro Packは,当然のことながらWindows 8無印単体,もしくはWindows 8無印インストール済みのPCを持っている人が対象だ。なお,Windows 8 Pro Packにも32bit版と64bit版が同梱され,現在使用しているOSに応じて,32bit版からは32bit版,64bit版から64bit版へのアップグレードが可能となっている。
■優待期間中はアップグレード版が格安で購入可能
気になる価格もまとめておこう。6製品すべての注文を受け付けているAmazon.co.jpによれば,2012年10月24日現在の販売価格は以下のとおりだ(※リンクはすべてAmazonアソシエイト)。
●クリーンインストールが可能なもの
- 32bit版Windows 8 DSP:1万1249円(税込)
- 64bit版Windows 8 DSP:1万626円(税込)
- 32bit版Windows 8 Pro DSP:1万4843円(税込)
- 64bit版Windows 8 Pro DSP:1万4843円(税込)
●Windows XP〜7からのアップグレード専用
- Windows 8 Proアップグレード:5480円(税込)
●Windows 8からWindows 8 Proへのアップグレード
- Windows 8 Pro Pack:5480円(税込)
Windows 8 Proのアップグレードが明らかに割安だと思ったかもしれないが,これは,2013年1月31日までの期間限定で優待価格になっているためだ。日本マイクロソフトの直販価格は6090円(税込)。Amazon.co.jp以外のショップでも,6000円前後に+10%ポイント還元など,おおむね5500〜6000円程度の価格で販売されるようである。
Windows 8 Proアップグレード ダウンロード版販売予定ページ
こちらも受付は1月31日までだ。
Windows 8優待購入プログラム登録ページ
ちなみに,優待販売期間の終わった2013年2月1日以降の国内価格がどうなるかは公式発表されていない。米国では,優待版の販売が終わったあと,Windows 8アップグレードが新たに119.99ドルで登場し,Windows 8 Proアップグレードは199.99ドルになると報道されていたりするので,日本でも似たような感じになるのではないかと思われるが,いずれにせよ,アップグレード版の購入を考えているのであれば,優待期間のうちに動いておくべし,ということになる。
近日公開予定の第2回では,Windows 8のインストールと,そのときに注意すべき点をまとめる予定だ。
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Windows 8.x
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