プレイレポート
PlayStation 4版「Prey」のメディア向け体験会をベセスダ・ソフトワークスが開催。広大な宇宙ステーションで繰り広げられる,記憶を失った主人公の奮闘を体験した
ベセスダ・ソフトワークス / ゼニマックス・アジアは,2017年5月18日の発売を予定しているアクションアドベンチャー「Prey」(PC/PlayStation 4/Xbox One)のメディア向け体験会を開催した。
話題作「Dishonored」シリーズで知られるフランスのArkane Studiosが開発を進める本作では,正体不明の侵略者に支配された宇宙ステーションを舞台に,プレイヤーは失った記憶を取り戻すために戦う主人公モーガン・ユウとしてゲームを進めることになる。体験会では,製品版とほぼ同じバージョンのPlayStation 4版の序盤をプレイできた。本稿でそのプレイレポートをお届けしたい。
「Prey」公式サイト
体験会が行われた4月初頭の時点では,本作に関する情報はあまり出ておらず,いささか謎めいたタイトルでもあった。筆者もトレイラーなどを見ただけで試遊に挑むことになったのだが,ある意味,そのことが記憶を失って何が起きているのか分からないモーガンに,より強く感情移入できる結果にもつながった気がする。そのため,ここでもストーリーやイベントの内容については可能な限り触れないつもりだ。
……と言いつつも,この序盤で,公式サイトに書かれた内容以外のストーリー展開はなかったりする。ある実験の被験者となったモーガンだが,その最中に異変が発生。宇宙ステーション「タロスI」に一人残された彼に,正体不明の地球外生命体の危機が迫る。ジェットコースターのような急展開に,わけが分からないというのが正直な印象で,劇中のモーガンも同じ心持ちだろう。
操作についてのチュートリアルはあるが,そういうわけで,序盤の行動は手探りで進んでいく。目的地は画面に表示されているが,そこまでまっすぐ行けばいいのか,それとも,しっかり周囲を探索したほうがいいのか,つい考え込んでしまう。とくに,今回のようにプレイできる時間が限られている場合はなおさらだ。
それでも少しずつゲームを進めてみると,しっかり探索していくほうが確実だということが分かった。のちに武器を手にして,地球外生命体と戦うのだが,そのために必要な武器弾薬や,減った体力を回復するアイテムには限りがあり,これらを確実に見つていくためには探索が重要となるのだ。また,記憶を取り戻すための手がかりも,探索をすることで少しずつ明らかになっていく。
巨大なタロスIの中で,右も左も分からないまま動かなければならないモーガンを導くのが「ジャニュアリー」だ。
これは,通信機から聞こえる声だけの存在で,モーガンの境遇やここで何が起きているのかをよく知っているらしい。まずは,その指示に従っていこう。声の正体も,本作の解き明かすべき謎の一つだ。ちなみにジャニュアリーの声は,モーガンを男として選ぶと男の声となり,女を選ぶとその声も女のものとなる。これに何か意味があるのか,あるいは単なる演出なのかはよく分からない。
タロスIの内部は,オープンワールドというほどではないものの,かなり自由に動き回ることができる。無機質なハイテク施設があったり,木材の暖かな質感のオフィスエリアがあったりなど,独特のレトロフューチャー感があり,探索好きな筆者としては,かなり楽しめそうな予感に震えてしまう。特定の場所に入るためにはキーカードや暗証番号を見つける必要があり,また,今回は体験できなかったものの,トレイラーでは「変身能力」を使って侵入するシチュエーションも確認できる。
タロスIで,モーガンの敵として現れるのは,「ティフォン」と呼ばれるエイリアンだ。彼らは黒光りする不定形の生物で,序盤では「ミミック」と「ファントム」の2種類が登場する。ミミックはタロスI内部の無機物に「擬態」している小さなティフォンで,それほど強敵ではないが数が多く,同時に複数現れると,序盤の装備が整わないモーガンにとって厄介な相手になる。
ファントムは人型で,瞬間移動と腕からビームを放つ能力を持つ強敵だ。
そうした敵に対しては,拾ったレンチやサイレンサー付きピストルなどで対抗することになる。レンチは直撃すれば強力で,弾薬などを気にせず戦える。とはいえ,敵にある程度は接近しなければならず,当てるにはちょっとしたコツが必要だ。ピストルは弾薬の数が限られており,撃ちまくるわけにはいかない。
きつかったのは,入手できた回復アイテムの数がかなり少なかったことだ。チキンである筆者は,積極的に戦うことは極力控え,ステルス効果のあるしゃがみ移動などを駆使してやり過ごすことをメインとしていた。それでもゲームは進められたので,そういう選択肢もありということだろう。
敵との攻防で新しい手応えを感じられたのが,序盤で入手できる「グルーキャノン」の存在だ。これは銃口から放出した泡状の物質が瞬時に固まる特殊なツールで,ティフォンを固めて動けなくするという効果を持っている。
強敵ファントムさえも一時的に動きを止められるので,追い詰められたときに使える。さらに,グルーキャノンで足場を作ってそこを上がっていくなど,特殊な使い方ができることも確認しており,普通は行けないところでも探索できるようになる。
そしてもう一つ重要なのが,モーガンが次第に身につけていくアビリティだ。途中で手に入れられる「ニューロモッド」というアイテムを使用して,「サイエンティスト」「エンジニア」「セキュリティ」という3つのカテゴリに分けられたアビリティを獲得できる。例えば,サイエンティストの「ハッキング」なら,タロスIのコンピューターやロボットをハッキングして制御できるようになり,エンジニアの「レバレッジ」なら,重量のあるオブジェクトをどかしたり,投げたりできるようになる,といった具合だ。
そのほか,モーガンの身体能力や攻撃力の向上,あるいはタロスIの修理能力など,探索を助けるものが揃っていて,これらをどの順番で得ていくかはプレイヤーに委ねられている。
冒頭に書いたように,本作はベセスダ・ソフトワークス傘下で,「Dishonored」シリーズを手掛けたArkane Studiosの作品であり,一人称視点で展開する自由度の高いゲームシステムも共通している。
凄腕の暗殺者が主人公となるDishonoredに対し,本作の主人公モーガンは技術者であり,敵と対峙した場合でも,上記の動画のように華麗な戦闘を繰り広げられるようになるのは,ゲームにある程度慣れてからのことになるはずだ。探索やアビリティの開放によって複数のルートを発見できる部分もよく似ており,Dishonoredシリーズをプレイしていた人は比較的すんなりゲームに入り込めるだろう。
また,探索を重視したこの序盤の展開は,その昔プレイしたPC向けのSFアドベンチャーゲームに近い感触だった。コマンド入力や画面のクリックこそないものの,隅々まで歩き回って調べることで進む道が開け,プレイヤーが有利になるというゲームだ。もちろん,現代の最新作なので,攻略の自由度の高さやアクション部分なども現代的に,しっかり作り込まれている。なにより,巨大な宇宙ステーションの中に1人で取り残された孤独感と,いつ敵が襲ってくるか分からない緊張感は相当なものだ。
素材を集めてのアイテム制作(実は今回の流れでも体験できたのだが,時間の関係であまり触れられなかった)や,無重力空間での活動など,そそる展開もあり,製品版が楽しみだ。
「Prey」公式サイト
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