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[CJ 2011]海外展開を前提にして作るとこうなる? MMORPG「War of Glory」に見る炎龍科技の方法論
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印刷2011/07/29 14:02

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[CJ 2011]海外展開を前提にして作るとこうなる? MMORPG「War of Glory」に見る炎龍科技の方法論

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 ChinaJoy 2011の成都炎龍科技ブースでは,MMORPG「War of Glory」が展示されていた。
 ゲーム自体の説明の前に,このタイトルを開発した会社についてちょっと説明しておきたい。成都炎龍科技(以下,炎龍科技)は,もともとネットワーク周りのセキュリティツールなどを作っていた会社だが,数年前にゲーム市場に参入。第1作としてオンライン横スクロールアクション「東遊記」を制作し,今回のWar of Gloryは2作目となる。開発期間は約2年と,3D MMORPGにしては比較的短めだ。70名ほどのスタッフが制作に関わっているという。

 出自自体もちょっと変わっているが,まあ,ソフトウェア会社からゲーム会社への転身はたまに聞く話ではある。ゲーム開発そのものの実績は少ないものの,すでに子会社COGを上海に持っており,その会社では主に海外へのタイトル輸出,ゲーム運営などを行っている。
 第1作の東遊記もすでに海外進出済み。自社タイトルのみならず,中国内のゲームを海外に紹介するといった業務にも携わっている。要するに,かなり海外志向の強い会社だと考えてよさそうだ。

 それでは,ゲーム自体の説明に移ろう。
 War of Gloryは,西洋ファンタジーもののMMORPGだ。イラストを見ると可愛い系かと思ってしまうが,ゲーム内のグラフィックスはどちらかというとリアル系。かといって,イラストとかけ離れているわけでもない。
 ちなみに,ファンタジー世界とはいっても,蒸気機関程度は存在するので,ある程度メカっぽいものは登場してくる世界観となっている。

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 プレイヤーキャラクターは4種族から選択可能で,

精霊
獣人
人類
ブラー

が用意されている。「ブラー」というのが分かりにくいが,上のイラストでいうと,右端のダークエルフっぽいおねえさんがそれに当たる。動きの素早い種族だそうだ。
 ついでに書いておくと,人類は左から2番目と右から2番目,精霊は左から3番目と4番目,そして獣人は左端のキャラだ。



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 職業は基本職が以下の8種類で,それぞれが3種類に分岐し,最終的に24種類となる。

戦士
法師
牧師
刺客
遊侠
魔騎士
召喚師
錬金術師

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 さて,プレイヤーキャラクターは,4つの国のいずれかに所属することになる。本作では種族と国は無関係であり,どの国にもいろんな種族が混在している。だいたい想像できるように,4か国での大規模戦闘が,このゲームのエンドコンテンツの一つだ。
 戦闘の場は多数用意されており,一般的なボスモンスター討伐やインスタンスダンジョンといったPvE,国境を越えてのPvPやPKといった個人戦,国内での王の座を争う王座戦,国と国が中立地域の取り合いをする国戦,そして4か国が混在して戦う4大王国大混戦といった大規模なPvPもある。
 なお,8月のアップデートでは騎乗戦闘が追加されるそうだ。



 このほか,クエストでの自動移動やチュートリアルなどのサポート機能も充実しているとのこと。このように,だいたいの構成を見ると,どこか「ありがち」な感じのゲームに落ち着いているようにも思われるのだが,今回話を聞いた炎龍科技の副総経理である陳 敏秀氏が強調していたのは,「一般的な中国産タイトルとは違う」ということ。
 その「違い」とは,ゲームのシステムや内容ではなく,作り方やコンセプトにあるようだ。
 まずは,ストーリー。中国産のゲームには,取ってつけたようなストーリーになっている作品も多く見られるが,炎龍科技はそれでは海外に通用しないと考え,細かい部分にまでこだわっているそうだ。
 また,プレイヤーの離脱ポイントはどこかなどを分析し,興味をひきつけ続けられるように制作しているという。この点について,ちょっと詳しく説明しておこう。
 まず同社では,プレイヤーの成長ステップを以下の4段階に分けている。

レベル 〜20:印象
レベル 〜40:試す
レベル 〜50:迷う
レベル 〜60:定着

 そして,それぞれの段階に対応したシステムや目標を用意し,それぞれの遊び方を示すことで離脱率を下げているという。

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 レベル20までのコンテンツでは,「2時間でゲームの面白さを体験させる」ため,ゲームの面白さをひととおり体験できるようにしている。
 例えば,4か国による戦いのようにゲームのウリとなるエンドコンテンツがあっても,レベル60にならないと参加できない(ないし参加する意味がない)ようでは,面白さに触れる前に多くのプレイヤーが遊ぶのをやめてしまうかもしれない。

 War of Gloryでは,レベル6から国戦の雰囲気をつかめるようになっている。ある場所でアイテムを集めてこいとだけ指示されるクエストがあるのだが,その場所というのが,まさに国戦の真っ只中。クエストを通じ,大規模戦争が繰り広げられる様子を目の当たりにできるのだ。
 ちなみに国戦では,NPCの傭兵を大勢雇ったり,大きな攻城兵器などを使ったり,防御用のモンスターを雇ったりできるとのことで,なかなかインパクトの強いものに仕上がっているようだ。



 また,本作の特徴の一つに装備品の変形機能があるのだが,それも低レベル(レベル12以上)のうちに体験できるようになっている。
 この機能は文字どおり,武器などの形がガラリと変わるというもの。ただ,現状は急に切り替わるだけで面白みに欠けるため,今後,実際に武器の形が変わっていく様子を表現できるように機能を強化していくという。



 最初の段階でゲーム全体の概観を示し,次の段階では,キャラクターの育成やPvEにバリエーションを持たせ,プレイの楽しみを広げていく。その後,ペット育成や装備強化,PvPなどのコンテンツを提供し,ゲームに慣れ親しんできたプレイヤーに明確な目標を提示する。
 そして,すっかり定着したプレイヤーに対してコミュニティへの参加を促し,国戦をはじめとする大規模戦闘コンテンツへと誘導していくという流れが想定されているようだ。

 パブリッシャ側が思い描く青写真どおりに事が運ぶかはさておき,それぞれのレベル帯に応じたコンテンツを意識的に用意しているという点で,ありきたりの作品にはない「何か」を持っていることを期待させてくれる。

 また炎龍科技は,一般プレイヤーにはあまり関係はないものの,システム関係の会社だったこともあって管理用ツールが充実していることもウリだと説明していた。
 例えば,イベントを自動的に実施できるツールや,プレイヤーの行動などを分析するためのツールなどが用意されている。

 ところで本作は,もともとは“2.8D”(いろいろな方向は向けるが,空を見上げられない)の仕様だったが,それでは中途半端ということで,完全3D仕様が追加されたそうだ(2.5D,2.8D,3Dのいずれかを選択可能)。

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 そもそも,なぜ中国産のゲームには2.5Dの作品が多いのだろう。筆者は,以前は2Dのゲームが多かったので,いきなり3Dにするのではなく段階を踏んでいるという話をどこかの会社で聞いたことがあるが,実際のところはどうなのだろうか。
 今回,炎龍科技のスタッフに聞いた話では,中国でもすでに,2Dの作品は特定のタイトルしかプレイされていない状況で,3Dへの移行は進んでいるという。それでも2.5Dが多いのは,きっちりと3Dのゲームエンジンを作るのが難しいためなのだそうだ。

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 War of Gloryのエンジンは大規模戦闘などを前提としたものになっているが,必要動作スペックはかなり低い。CPUは1GHz以上,GPUはDirectX 9.0c対応で,64MB以上のグラフィックスメモリがあればOKだ。推奨スペックにしても,CPUが2GHz,グラフィックスメモリが256MBと低めになっている。

 最初から海外市場をターゲットにしていることや,プレイヤーの行動などに基づいた作り方をしていることなど,確かに「ちょっと違うぞ」と思わせるところはあり,なかなか興味深いタイトルといえそうだ。
 なお,War of GloryはE3でお披露目されているが,欧米のゲーム会社から良好な反応を得ているという。日本サービスは未定だが,同社としては日本市場も念頭に置いているとのことで,もしかしたら今後,日本サービスの話も出てくるかもしれない。

「War of Glory」公式サイト

  • 関連タイトル:

    War of Glory

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