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[TGS 2012]日本市場参入から1年。Turtle Beachに手応えなどを聞いてみた
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印刷2012/09/28 15:26

インタビュー

[TGS 2012]日本市場参入から1年。Turtle Beachに手応えなどを聞いてみた

 2012年9月22日の記事でお伝えしたとおり,米Voyetra Turtle Beach(以下,Turtle Beach)は東京ゲームショウにブースを構え,新製品の展示などを行っていた。

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Jim Adams氏(Head of International, Voyetra Turtle Beach)。ビジネスデイ2日めとなる21日に話を聞いた
 北米市場ではゲーマー向けヘッドセット市場において約9割のシェアを押さえていると豪語するTurtle Beachだが,日本市場参入から1年経って,その認知度が高まったとは,正直,言いづらい状況だ。
 もちろん,1年で爆発的にその名が知られるようになったらそれはそれですごい話なのだが,ちょうど1年という節目を,Turtle Beachはどう見ているのか。昨年の東京ゲームショウで話を聞いたFred Romano(フレッド・ロマノ)上級副社長に引き続き,今年「Head of International」という肩書きを持つJim Adams(ジム・アダムス)氏にブース内でインタビューする機会が得られたので,その内容をまとめてみたいと思う。


日本でも店頭に体験台を設置

パートナーとのタイアップも積極的に


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まず,対象を日本市場に限定せず,この1年,Turtle Beachがどういう展開を行ってきたのかを聞かせてください。

Adams氏:
Wii U用であり,Laシリーズの新製品でもある「Ear Force NLa」。詳細は22日の記事を参照してほしい
画像集#002のサムネイル/[TGS 2012]日本市場参入から1年。Turtle Beachに手応えなどを聞いてみた
 我々の戦略は,まず第一に,オーディオ機器メーカーとして長年培ってきた経験を活かして,革新的な製品を開発し,ゲーマーの皆様に届けていくということです。
 2つめは,すべてのプラットフォームに対応したヘッドセットを作るということです。これまでもXbox 360用とPC用,PlayStation 3用を開発してきていますが,ブースでご覧いただいたように,今回新たにWii U用の製品も開発しました。

 3つめは,すべての価格帯で製品をお届けするというものです。2012年には30ドル(※北米価格,以下同)という手頃な価格のEar Force Laシリーズも新たに市場投入しましたし,プロゲーマー向けとなるEar Force SEVENシリーズも発売しています。
 SEVENシリーズは6月のE3 2012で発表したものですが,これは米国でプロリーグとして認知度の高い「Major League Gaming」の協力を得て開発したものです。

4Gamer:
 日本ではLaシリーズもSEVENシリーズも発売されていなかったりしますが,参入から1年,日本市場の手応えはいかがでしょう。

Adams氏:
 まだ1年ですから,「始まったばかり」という認識です。販売チャネルがまだ少ないことが課題で,もっと多くのショップに置いてもらえるような動きをしていかなければならないと考えています。まず買える場所を増やすことが大事で,その活動が,参入から1年経って,ようやくようやく動き出したかなという印象ですね。

4Gamer:
 具体的にはどういった動きを国内で始めているのでしょうか。

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ちょっと分かりにくくて申し訳ないが,ブースに設置されていたキオスク。画面に表示されるゲーム画面を見ながら,Turtle Beachのヘッドセットを試せる
Adams氏:
 販売している場所で実際に体験してもらえることというのが大事ですから,Turtle Beach独自の販促活動として,今年からキオスクプログラム)を世界的に導入しました。もちろん日本においてもです。
 日本ではヨドバシカメラにキオスクを置いていただいて,お客様が実際に音を体験してから購入できるようにしています。世界中どこの市場でも,キオスクプログラムを導入したところから順に大きく売り上げが伸びていますから,日本でも同じような効果が出ることを期待しています。

Kiosk Program。Kioskというのは小さな売店という意味だが,ここではTurtle beach製品の試聴ができるミニブースのことだ。東京ゲームショウ2012の会場にもキオスクは置かれていた。

4Gamer:
 日本ではいつ頃キオスクを導入したのですか。また,反響はいかがでしょう。

Adams氏:
 日本では始めて2か月ですが,売り上げは上がっていますね。

4Gamer:
 期待どおりの滑り出しというわけですね。
 では次に,向こう1年の戦略を聞かせていただけますか。

Adams氏:
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 まずは,キオスクプログラムをもっと積極的に広げていく予定です。さらに,メディアへの露出にも,もっと投資していきたいですね。PlayStation NetworkやXbox Liveといったソーシャルメディアに広告を出したり,東京ゲームショウのほか,International CES,E3,Gamescomといった大きなイベントに出展したりする計画もあります。
 また,パブリッシャとのパートナーシップも予定しています。たとえば「Call of Duty」といった大型シリーズなど,世界25社のパブリッシャと組んで,共同マーケティングプログラムを仕掛けていくといった感じですね。

4Gamer:
 そのなかでも日本で重視するものは。

Adams氏:
 日本ではとくに,キオスクの導入へ注力していきたいですね。

4Gamer:
 ところで,東京ゲームショウにいらしたのは今回が初めてですか。

Adams氏:
 ええ。

4Gamer:
 ではお分かりになったと思うのですが,日本では,非常にローカルタイトルが多く,かつ強いです。Call of Dutyはたしかにビッグネームですが,しかし日本には独自の,より大きなタイトルもあったりします。そういった,日本ローカルのタイトルと組む計画はありますか。

Adams氏:
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 そうですね,欧米市場向けのタイトルを手がけている日本のゲームパブリッシャとはタイアップのお話があります。その会社は日本のローカル市場向けのタイトルも手がけていますから,そのタイトルとのタイアップということも視野に入ってくるとは思います。


SEVENシリーズとBlack Ops 2

タイアップシリーズの詳細


4Gamer:
 次に,新製品について聞かせてください。先ほど名前の出たSEVENシリーズですが,これはどういった特徴がありますか。

Adams氏:
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 SEVENシリーズはワイヤードモデルです。ゲーム機向けの「Ear Force XP SEVEN」(以下,XP SEVEN)と,PC向けの「EAR FORCE Z SEVEN」の2モデルあります。(Xbox 360用の現行フラグシップとなるワイヤレスモデルである)「Ear Force XP500」(以下,XP500)が持っている機能を,(ワイヤレスという部分を除いて)すべてSEVENシリーズに導入しました。コントローラで各種機能を制御できるようにしています。
 また,70mm径のスピーカードライバーを採用して,高い音質を実現したのもポイントと言えるでしょう。

4Gamer:
 Ear Force XP500ベースでありながらワイヤード仕様なのは,プロゲーマー向けだから,ということですか。

Adams氏:
 そうです。プロゲームのトーナメントでは,ワイヤレスモデルだとノイズが入ってしまうことがありますから。また,不正を働くために使われる可能性があるという理由で,そもそも許可されないことが多いですからね。

4Gamer:
 ブースにはパートナーシップの結果となる,「Call of Duty: Black Ops 2」タイアップモデルも展示されていますね。

Adams氏:
 スペシャルエディションの最上位モデルとなる「Ear Force Tango」は,従来のフラグシップだったXP500よりさらにワンランク上のモデルとなります。XP500との違いは,電池が充電式になっていることと,ワイヤレスが2.4GHzと5GHzのデュアルバンドになっていることです。

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Ear Force Tango。トランシーバーユニットとワイヤレスヘッドセットの組み合わせになる

4Gamer:
 デュアルバンドというのは,2.4GHz帯がマイク入力用,5GHz帯がヘッドフォン出力用ということですか。

Adams氏:
 いえ,(Xbox 360の仕様上,2.4GHz帯を使うことになるマイク入力を除いて)Turtle beach独自の技術により,ノイズなどの影響を検出して,最適なバンドへ自動的に切り替わります。

4Gamer:
 下位モデルはいかがですか。

 「Eea Force Sierra」(以下,Sierra)ですが,これはSEVENシリーズのXP SEVENをワイヤレス接続化したモデルです。XP SEVENのほうを先に発表しているのですが,先に発売されるのはSierraとなります。
 「Ear Force X-ray」と「Ear Force Kiro」は,それぞれすでに市場導入済みの「Ear Force XP300」「Ear Force XL1」と共通の仕様です。Call of Duty Black Ops 2のイメージに合うデザインを採用しました。
 Call of Duty: Black Ops 2は世界的にメジャーなタイトルですから,我々としても力を入れています。

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X-ray(左)とKiro(右)。Sierraは(少なくとも筆者がブースを訪れた21日時点では)展示がなかった

4Gamer:
 ミーティングなどでお忙しいなか,時間をいただきありがとうございました。


 ……というわけで,ブース内という慌ただしい雰囲気のなかでAdams氏に話を聞いてきたわけだが,面白かったのは,インタビューが終わって製品写真を撮っていると,Adams氏が近づいてきて,「日本のローカルタイトルだと,どれと組むべきか」「日本でゲーマーの支持がとくに厚いのはどのプラットフォームか」と,逆にこちらが質問されたことだ。
 Turtle Beachに限らず,欧米のゲーマー向け周辺機器メーカーはたいてい,「ローカルタイトルとのタイアップ」という話がピンと来ないことが多いようで,インタビューで触れても,なかなかその重要性は伝わらなかったりするのだが,その意味でAdams氏の質問は新鮮だったし,また,日本におけるTurtle Beachの今後に期待を抱かせるものだった。

 キオスクプログラムの導入を実際に始めたり,Wii U用ヘッドセットをこれから投入予定だったりと,日本市場参入から1年が経ち,Turtle Beachは依然として本気だ。今後の動向も楽しみに追っていきたいところである。

Adams氏にはWii U用ヘッドセットの話も聞いているが,それは22日掲載の記事のほうでまとめている
画像集#014のサムネイル/[TGS 2012]日本市場参入から1年。Turtle Beachに手応えなどを聞いてみた

Turtle Beach公式Webサイト(英語)

  • 関連タイトル:

    Turtle Beach,Ear Force

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