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ARM,ミッドレンジ向けの新CPUコア「Cortex-A17」と新GPUコア「Mali-T720」を発表。採用製品は2015年以降に登場の予定
Cortex-A17
製造プロセスは28nmで,最大動作クロックは2GHz以上とのこと。Cortex-A7と組み合わせて,「big.LITTLE」技術に対応することも可能という。
さて,こうしたCortex-A17の仕様とターゲットとする市場を見ると,2013年6月に発表された「Cortex-A12」とほとんど同じように見える。ただし,Cortex-A12の性能は,対Cortex-A9比で20〜50%程度の性能向上と言われていたのに対し,Cortex-A17は60%となっており,より高い性能を備える製品に位置付けられているようだ。
Cortex-A17がターゲットとする製品は,ミドルレンジのスマートフォンやタブレットはもちろんのこと,スマートTVや「Over-the-top device」※1,車載電子機器など多岐に渡っている。ARMの想定どおりに事が運ぶのであれば,非常に多くの製品で採用されるCPUコアとなりそうだ。
なお,Cortex-A17の発表に合わせる形で,台湾MediaTekからはさっそく,Cortex-A17採用のスマートフォン向けSoC(System-on-a-Chip)「MT6595」が発表されている。MT6595はCortex-A17とCortex-A7を4基ずつbig.LITTLE構成で集積し,H.265/HEVCベースの4Kビデオをエンコード&デコードできるハードウェアも統合するとのことだ。MediaTekによれば,MT6595搭載デバイスは,ARMの見込みよりも少し早く,2014年後半にも登場する予定になっているという。MT6595の登場は少し速く,搭載製品は2014年後半に登場する予定である。
※1 テレビと接続してIPベースのコンテンツを利用するセットトップボックスや,小さなメディア再生デバイスのこと。
Mali-T720
統合されるシェーダコアは最大8基で,L2キャッシュ容量は32〜256KBからベンダーが選択可能(※1コアでは32KB,2コアでは64〜128KB,3コア以上では128〜256KBが推奨される)。CPUコアなどとの接続用インタフェースが,Cortex-A17やCortex-A12と同じ世代の「AMBA 4」にアップグレードされているので,ミドルクラス市場向けCPUコアの強化に合わせて改良されたGPUコアと考えてよさそうだ。
日本のスマートフォン市場では,ハイエンドのSoC――とくにQualcommのSnapdragonシリーズ――を採用する製品が現状は主流のため,Cortex-A17を搭載するスマートフォンが大量に出回るということはないかもしれない。しかし,Androidデバイスの主戦場が次第に低価格帯へと移行しているのも確かであり,その意味では,大変興味深い製品が出てきたといえるだろう。
Cortex-A17とMali-T720に関するプレスリリース(英語)
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Cortex-A
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Mali,Immortalis
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