レビュー
iOSゲームの人気シリーズがソーシャルゲーム化
Infinity Blade Cross
グラフィックスは,iOS用ゲームでも屈指の美しさだ |
iOS用ゲームの人気タイトルが,ソーシャル要素によってどのように進化したのか。さっそくその内容とプレイ感をお伝えしよう。
「Infnity Blade」と共通の世界観ながら
演出面を大胆に削ぎ落としたつくり
クエスト名はエリア名と番号の組み合わせ。物語性は感じられないが,どのクエストを選ぶか迷うようなこともない |
だが,プレイ中ストーリーを意識することはほとんどないだろう。Infinity Bladeにあったムービーによる演出はなく,メニュー画面でクエストを選べばすぐに戦闘が始まり,戦闘が終わればまたメニューに戻って次のクエストを選ぶ,という流れでゲームが進むからだ。
そのクエストには「ソロクエスト」「ボスクエスト」「マルチクエスト」の3種類が用意されている。最も難易度が低く,数も多く用意されているのがソロクエストだ。敵を3分の制限時間内に倒せばアイテムが入手できる。
ソロクエストをクリアしていくと出現するのがボスクエストで,名前の通りそのワールドのボスが登場する。強敵だが,倒せば新たなワールドが開放されるのだ。
マルチクエストにはボスクエストよりもさらに強い敵が登場する。制限時間1分の戦闘を何度も繰り返し,クエスト開始から1時間以内に敵を倒すのが目的だ。挑戦しなくてもゲームは進められるが,成功すればほかのクエストよりも良い報酬を受け取れる。
このクエストでは他プレイヤーとの共闘も可能だが,その詳細については後述しよう。
画面右上にある銀色のゲージがソロ行動値で,金色のゲージがマルチ行動値 |
行動値を回復する薬を買うには,1枚1円で250枚から購入できる「クロスコイン」が必要 |
また,マルチクエストで4回戦闘しても敵を倒しきれなかったときなどは,残り時間を気にしながら行動値の回復を待つ,ということになる。
有料の行動値回復アイテムもあるが,無料で遊ぶことを前提とした場合、本作のプレイヤーは「プレイしたいのに行動値が足りない」という飢餓感にさいなまれるかもしれない。
戦闘システムは「Infinity Blade」譲り
装備を強化する「スピリット」が勝利へのカギ
スワイプした指を追いかけるように,太刀筋のエフェクトが描かれる |
剣による攻撃は画面のスワイプ(タッチしながら指を滑らせる操作)で行い,スワイプの方向が太刀筋として反映される。
右,左,右など,決まった順番の方向に攻撃を繰り出すことで,より大きなダメージを与えられるコンボ攻撃も可能だ。
相手からの攻撃を防御する方法には,相手の攻撃を盾で防ぐ「ブロック」,回避する「ドッジ」,自分の武器で相手の攻撃を受け流す「パリィ」の3つがある。
ブロックは,画面下部中央にあるシールドのアイコンを長押しして行う。最も確実性は高いが,回数に制限があるうえ,攻撃によっては防ぎきれずにダメージを受ける場合がある。
ドッジは画面下部の左右にある矢印のようなアイコンをタッチして,右か左に回避する。相手の攻撃を見ながら,より避けやすい方向を選ぶのがコツだ。中にはフェイントのような動きを織り交ぜてくる敵もいるので,タイミングも計りたい。
相手の攻撃が読めないときは,ブロックでやりすごすのも手だ |
右か左の2択でとっさに回避できるドッジは使い勝手がよい |
パリィでのブレーク発生時は,ブレークの時間が長いように感じた。自信があれば狙ってみてもいいだろう |
防御が成功すると,一定のタイミングで,相手に大きな隙ができる「ブレーク」が発生するので,ここで一気に攻撃をたたき込むのが効果的だ。逆に言うと,ブレーク状態でないときの攻撃は「浅手」となることが多いうえ,相手はひるまずに反撃してくるので,大きなダメージは期待できない。
このように攻撃や防御を繰り返していると,体力ゲージの下にあるアイコンが光りだして「スーパーアタック」や「魔法」が使用可能になる。
スーパーアタックは相手を強制的に気絶させる特殊攻撃で,発動後の一定時間は好きなように敵を攻撃できるようになる。魔法には攻撃や回復など,さまざまな効果を持つものが用意されている。どちらも,発動可能な状態をクエスト終了後も維持できるので,難関クエストのために温存しておくのもいいだろう。
敵が攻撃態勢に入っていても,スーパーアタックを発動させれば強制的に気絶させられる |
魔法は,まずアイコンをタッチしてから,画面にシンボルマークを描くことで発動 |
激しい攻防を経て見事戦いに勝利すれば,クエストの報酬として,装備品や「スピリット」というアイテムが入手できる。スピリットは装備品に装着して攻撃力や体力などのステータスを強化するもので,スピリット自体の能力も,ほかのスピリットと合成することで強化していくことができる。
スピリットによるステータス強化はなかなか強力だ。初期装備の「スティールソード」が持つ攻撃力は100だが,序盤のワールド1でごく普通に入手できる「劫火の石」を装着するだけで,200に倍増する。筆者も,ある敵に2回続けて倒さてしまったので,スピリットを使った強化を試したところ,ほんの十数秒で勝利してしまったという体験をしたので,スピリットはかなり重要な存在といえるだろう。
ちなみに,スピリットは1日に1回だけ無料で回せる「ガチャ」でも入手可能だ。確実にレア以上のスピリットが入手できる有料ガチャも用意されている。
武器に設けられたスロットにスピリットを装着して能力を強化する |
無料のガチャでも,低確率ではあるがレアスピリットの入手は可能だ |
手軽に仲間を作れるが
共闘している時でも存在感は薄め
友達のIDを検索して仲間にすることもできる |
共闘は,他のプレイヤーへマルチクエストへの参戦を求めることができるシステムだ。仲間が参戦してくれれば,自分が敵に与えたダメージに加えて,仲間が与えたダメージも自分のクエストに加算される。自分だけでは行動値を使い果たして倒せないような敵も,倒せる可能性が出てくるというわけだ。
共闘するには,まず一緒に戦ってくれる「仲間」を作る必要がある。ゲーム内の「マイページ」にある「仲間閲覧」ページに入り,「仲間を探す」というリンクをタッチすると,おすすめのプレイヤーが表示されるので,その中から仲間にしたいプレイヤーを誘う。その誘いを相手が許可すれば仲間になるという仕組みだ。
いきなり見ず知らずの人を誘うのは抵抗があるかもしれないが,ゲーム内にはメッセージ機能もなく,仲間との接点は共闘だけなので,気軽に誘ってみるのがいいだろう。相手も仲間が多くて困ることはないはずだ。
共闘の状況を確認できるのはこのクエスト情報画面だけ。少々味気ない |
参戦した仲間は自分と同じように戦闘を行い,そこで仲間が与えたダメージが自分のクエストに加算されるのだが,その戦闘の様子を見ることはできない。自分が行う戦闘もシングルプレイ時とまったく同じで,敵と1対1で行っているように見える。
仲間の参戦状況が確認できるのは,クエスト情報画面だけだ。この画面に,参戦した仲間のIDと,敵に与えたダメージ数値が表示される。
仲間の参戦を知らせるメッセージのようなものはなく,クエスト情報画面を更新したときに初めて参戦を知ることになるので,どうしても「知らないうちに仲間が参戦していた」という感じを受けてしまう。
また,クエスト情報画面に仲間の残り行動値は表示されないので,ここからさらに頑張ってくれるのか,それとももう終わりなのかは分からない。全体的に「共闘」といいつつも,各自勝手に戦っているような印象を受けるシステムというのが正直な印象だ。
仲間からの参戦依頼は突然届く。ゲーム内の状況は問題ないのに,プレイヤーの個人的な問題で参戦できないという場合も |
共闘してマルチクエストをクリアすれば,依頼側,参戦側どちらも報酬アイテムが入手できるので,依頼があったら参戦しておいて損はないはずだ。もちろん,残り時間と敵の体力を見てクリアが難しいと判断したら,行動値温存のために戦闘を行わないという選択もアリだろう。
ソーシャルゲームのイメージを覆すタイトルだが
「仲間」を感じられる演出がほしい
他のプレイヤーが戦闘画面に映っているような演出はほしいところ |
とくにバトルシーンでは「相手の攻撃を見切る」という楽しさが存分に味わえる。相手の攻撃モーションを見て防御方法や回避の方向を変える必要があるなど,一瞬の判断力が試され,普段コンシューマゲーム機でアクションゲームをプレイしているようなプレイヤーであっても十分に楽しめるのではないだろうか。
また,有料アイテムに頼らず「ゲームプレイの腕」で勝負できそうなところもゲーマーとしては好印象である。Infnity Bladeのプレイ経験がある人なら,シングルプレイでもマルチクエストを楽にクリアしていけるだろうと感じた。
しかし,演出面を大胆に削っている影響で,いまひとつゲームに感情移入できない点はやはり気になる。クエストの開始ボタンを押すと,いきなり敵と対峙するシーンから始まり,言葉もなくバトルがスタートするので,毎回「ここはどんな場所で,相手はどんな奴なのか」という疑問をぼんやりと感じながらプレイしていたように思う。
また,今回実装された共闘システムも,正直に言ってしまうとプレイ感覚はシングルプレイ時と変わらなかった。「余計な物を削って気軽にプレイできる仕様」を狙っているのかもしれないが,「仲間が戦っている姿」はやはり欲しい。一緒に戦っている仲間の姿を見れば,プレイへのモチベーションも高まるのではないだろうか。
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