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[GDC 2012]Googleが説明する「Androidのゲーム開発者が知っておくべき10の事柄」
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印刷2012/03/07 17:49

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[GDC 2012]Googleが説明する「Androidのゲーム開発者が知っておくべき10の事柄」

Daniel Galpin氏(左)とTrevor Johns氏(右)
画像集#002のサムネイル/[GDC 2012]Googleが説明する「Androidのゲーム開発者が知っておくべき10の事柄」 画像集#003のサムネイル/[GDC 2012]Googleが説明する「Androidのゲーム開発者が知っておくべき10の事柄」
 GDC 2011の「Google Day」「Android Day」に引き続き,GDC 2012でも,Googleは2日にわたるサブイベント「Google Developer Day」を開催している。
 今回取り上げるのは,2日めの午前中に行われたゲーム開発者向けのセッション「10 Things Every Android Game Developers Should Know」(Androidのゲーム開発者が知っておくべき10の事柄)。米GoogleのDaniel Galpin氏Trevor Johns氏が掛け合いのように語りながら進めていったセッションの内容をまとめてみたい。


意外と? 基本的な「10の事柄」


 というわけでまずは「10の事柄」だが,これは以下のとおりとされている。

  1. アプリのターゲットを正しく絞り込もう
  2. ボタンを正しく使おう
  3. 音楽を止めよう
  4. 着信などの割り込みを正しく処理しよう
  5. 省電力にしよう
  6. しっかりテストしよう
  7. Androidのエコシステムを守ろう
  8. In-App Billings(IAB)を使うにあたっての注意点を押さえよう
  9. Marketにおける見栄えを考えよう
  10. 海賊版やコピーなど不正対策をしっかりしよう

Androidバージョンの絞り込みには「minSdkVersion」「maxSdkVersion」「targetSdkVersion」という3つのタグがある。SDKバージョン10がHoneycomb(Android 3.x)で,スライドのように指定するとIce Cream Sandwich(Android 4.x)以上がフィルタされてMarketのリストから外される
画像集#004のサムネイル/[GDC 2012]Googleが説明する「Androidのゲーム開発者が知っておくべき10の事柄」
 全部をピックアップする必要もなさそうなので,いくつかピックアップしたいと思うが,1.は「ターゲットとなるAndroidのバージョンを正しく絞り込もう」ということになる。
 Android端末は画面サイズや解像度が異なるだけでなく,OSのバージョンも細かく異なる。そのため,「Marketからダウンロードしたアプリが動かなかった」というケースが生じ得るが,「対象となる端末を絞り込み,それ以外の端末ではMarket上で検索結果に表示されなくなるようにする」機能が備わっているのだ。
 だから,「当該アプリが対応するAndroid OSのバージョン」を,アプリ側の「Manifest」ファイルへ埋め込んでおかなければならない……という,割と基本的な内容なのだが,これが最初のポイントに挙げられるということは,それだけ,基本がおろそかになっているアプリが多いということなのだろう。

 1.に関連するポイントとしては,これまた当たり前といった感じの6.も重要だと強調されていた。
 リリース前にテストが重要なのは何もAndroidアプリに限った話ではないが,Androidアプリのテストを難しくしているのは,機種のスペックが多岐にわたっている点だ。とくに難しいのがドライバスタックやGPU部分のテストだが,Johns氏は「Adreno」と「PowerVR」,「Tegra」(≒ULP GeForce),「Mali」,「Vivante」を5大GPUとして挙げ,「この5つでテストしておけば99%はカバーできる」と述べている。

画像集#005のサムネイル/[GDC 2012]Googleが説明する「Androidのゲーム開発者が知っておくべき10の事柄」
入力デバイスやフォームファクタの互換性テストは比較的容易だが,ドライバスタックやGPUのハードウェアの互換性テストが難しいとJohns氏
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QualcommとImagination Technologies,NVIDIA,ARM,VeriSilicon。5社のGPUでテストしておけば,とりあえずは大丈夫というわけだ

一番分かりにくく,使われ方も混乱しているのが[戻る](Back)ボタン
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 2.は「ボタンの意味をしっかり理解する」という意味だが,これは複数のAndroid端末を使っている人なら頷けるに違いない。とくに[戻る]ボタンの挙動がアプリによってまちまちだったりすることは経験している人も多いだろう。

 Galpin氏は「[戻る]は[ESC]と同じ意味を持っている」と述べたうえで,ゲーム中に[戻る]がタップされた場合には「オプションメニューを表示するのが正しい」と説明していた。一番まずいのは「終了しますか」というダイアログを表示することだそうだ。[戻る]ボタンが持つ本来の意味から外れてしまうのはよくないのである。

ゲーム中に[戻る]ボタンがタップされた場合,右のようなオプションメニューを表示するのが正しいとGalpin氏
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やってはいけないのが「終了しますか」というダイアログを表示するというものだ。やってはいけないと強調されたが,このようなダイアログを出すアプリは割とよくあるような気もする
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[戻る]ボタンの要点。ダイアログ表示時に押されたらダイアログを閉じ,一般的なUIなら1つ前の画面に戻り,ゲームプレイ時はポーズかオプションメニュー表示が正しいとされる

スリープボタンが押された後のイベント推移。onStop()が呼び出されたら音楽は止めておき,onResume()が呼び出されてもいきなり音楽が再開しない実装が推奨された
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 もう1つ,3.の「音楽を止める」というのも,ゲーム開発において重要なポイントだとされている。
 もちろんこれは「音楽のないゲームを作れ」という話ではない。ゲームを中断して端末をポケットへ入れていたのに,突然ゲームのBGMが鳴り出してびっくりした経験をした人もけっこういるのではないかと思うが,こういう悲劇を引き起こさないためには,「スリープへ移行したら音楽はいったん止める」という実装が望ましい,というわけである。

 9.の,Marketでどう見えるかを考えるというのも面白い。Marketの表示は画面サイズや解像度によって変わるが,その変わり方を考慮して画像を作成しておくとよりアピールできるというのは当たり前として,「ローカライズ」も重要なポイントとして挙げられていた。Johns氏いわく,「アプリの概要説明をローカライズすると,いい評価がたくさん増えるよ」。なるほど,たしかにそうかもしれない。

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Market上での見栄えを考慮して画像を作りましょうという話。表示スタイルがPCとAndroidでは変わってくるので,それぞれに対応した画像を用意しておく必要がある
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アプリ概要をEFIGS(英語,フランス語,イタリア語,ドイツ語,スペイン語)だけでなくCJK(中国語,日本語,韓国語)でも用意しておくと,高評価が増えるそうだ

 そのほか,ゲームに特化したものというより,Androidアプリ開発の全般に言えることも多かったが,それらについてはスライドの紹介に留めたい。いずれも開発者には参考になるだろうし,ユーザーも「あるある」と思うのではないかと思う。
 いずれにせよ,全体を通じて,「基本的なこと」の確認が主題だった印象を受ける。世界中から開発者の集まるGDCでこういうことが話されるということは,裏を返せばそれだけ,Androidのゲーム開発において基本の守られていないケースが多いのだろう。一定のルールが設けられているAppleのApp Storeでは起こらないような問題も,Androidでは容易に表面化しやすいだけに,Googleによるこういった呼びかけは,今後も頻繁に行われていくのではなかろうか。

ゲームアプリ内で支払いを処理するIn-App Billings(IAB)利用時の注意点も挙げられた。ここではMarketからの反応を待つ必要があるが,サーバー側が混雑している場合には当然遅れるので,遅れを考慮しないと,ユーザー側の購入処理がうまくいかない場合がある(左)。右は,海賊版対策にLVL(License Verification Library)を使いましょうという話だ。LVLはAPKのコピーなど不正を防止する強力なフレームワークである
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突如として導入された「Google Play」も紹介される


 なお,本セッションでは,「Google Play」に関する簡単な紹介も行われたので,こちらもまとめておきたい。

これまで別々になっていたAndroid Marketと,Google Music,Google eBookStoreをGoogle Playが置き換える。Google Playの中で音楽や映画,書籍が購入できるようになるという
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 別途お伝えしているとおり,Google Playは北米時間3月6日に突如として導入された,Googleの新しいサービスである。ポイントは,Android向けのアプリストアサービス「Android Market」と音楽管理サービス「Google Music」,電子書籍配信サービス「Google eBookStore」を1つに統合したものであるということ。これまで別々に管理されていたこれら3つのサービスがGoogle Playという“屋号”の下で統一されるという理解でいいだろう。

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Google Playの狙い。Androidが持つ強力なエコシステムに,映画や音楽といったコンテンツを統合していくのだと盛んに強調された
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Google Playのロゴ
 Google Playに切り替えることで,ユーザーインタフェースをより分かりやすくできるうえ,コンテンツ提供元に対してより良いサービスを提供できるようにもなるとのことだったが,なかでもGoogleがとくに強調していたのは,「Androidのエコシステムに『コンテンツ』を含めていく」という点。カタカナが多くて分かりづらいが,要するに,「マーケット」という場に,アプリ以外も置くことで,Androidのマーケットをより強力にしたい,というわけである。

 残念ながら日本国内ではいまのところGoogleの音楽&電子書籍配信サービスは始まっていないため,現時点でGoogle Playは,「Android Marketの名称がGoogle Play Marketに変わった」こと以上の意味を持たないが,全世界で同じサービスが提供される布石なのだとすれば歓迎といったところだろう。今後に期待したい。

Google公式BlogのGoogle Play紹介ポスト(英語)

Google Play紹介ページ

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