インタビュー
アマツ/工画堂スタジオが語る女性向けソーシャルゲームの作り方と可能性。iOS向け幕末恋愛ソーシャルゲーム「幕末恋愛録〜花魁道〜」インタビュー
誰もが気軽に楽しめるシンプルなゲーム性/ゆるいソーシャル性や,「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズのゲーム内ビジュアルを手がけた工画堂スタジオが協力していることなどが好評の理由と思われるが,はたして実際のところはどうなのだろうか。
今回,そんな「花魁道」について,配信元であるアマツの取締役 澤 紫臣氏と,ビジュアル面を統括した工画堂スタジオ 百瀬 寿氏にインタビュー。興味はあるけれど,まだ「花魁道」をプレイしていないという人はもちろん,すでにプレイ済みという人も,ぜひ読んでみてほしい。
「幕末恋愛録〜花魁道〜」ダウンロードページ
工画堂スタジオのイラストを活かすため
あえて挑んだ女性向けソーシャルゲーム
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まず「花魁道」は,工画堂スタジオ初となる,本格的なスマートフォン向けアプリだと思うのですが,参入のきっかけは何だったのでしょうか。
4Gamerの読者さんはご存じだと思いますが,工画堂スタジオという会社は,もともとPCゲームをメインに作っていた会社です。しかし近頃は,PCゲーム市場も厳しくなってきているんですよね。工画堂スタジオではPSP向けソフトも開発していますけど,さらに新たにスマートフォン向けゲームにも参入してみようと考えたのが,「花魁道」企画のきっかけとなります。
4Gamer:
工画堂スタジオは100年近い歴史を持つ会社(「図案と版画谷工画堂」として創業したのが1916年)ですが,ついにスマートフォン向けゲームに参入したというのは,PCゲーマーとしては感慨深いものがありますね。
百瀬氏:
その歴史の中でいろんなことをやってきましたが,弊社には,オンラインサービスを提供するノウハウがほとんどないんです。そんななか,弊社の社長(谷 逸平氏)からアマツさんを紹介してもらったんです。そこで色々と話をしていたら,これは何か一緒にできそうだなっていう雰囲気になり,一緒に企画を動かすことになりました。
4Gamer:
ちなみに百瀬さんは,現在工画堂スタジオで,主にどのような仕事をされているのですか?
百瀬氏:
僕自身,もともとはゲームを作っていたんですけど,今は“カード”の需要が増えてきているので,ゲーム開発部からデザイン部に移り,主にイラストを扱う仕事をしています。
4Gamer:
いわゆる,キャラクターデザインやアートディレクションですね。私の把握しているところだと,オンラインゲームでは「グラナド・エスパダ」「HELLGATE」のコラボデザイン,リアルカードだと,「カードファイト!! ヴァンガード」にも関わられていたと思います。
百瀬氏:
そうですね。グラフィックスという意味では,ソーシャルゲームの某大型タイトルにも関わっていました。
4Gamer:
あと,忘れてはならないのが,「うたの☆プリンスさまっ♪」(以下,うたプリ)シリーズのゲーム内ビジュアルも担当されていますよね。
百瀬氏:
はい。うたプリでは,ゲーム内の立ち絵やイベントCGをメインにやっていました。私個人ではなく,あくまでチームで制作していた形です。
4Gamer:
「うたプリ」に関わっていた経験があるからこそ,ターゲットが比較的近しい作品である「花魁道」にも,スムーズに関われたというところでしょうか。
百瀬氏:
そのとおりです。ただ我々としても,スマートフォンにどのようなお客さんがいるのか,正直分かっていなかったんですよ。なので「うたプリ」っぽい感じを意識しつつデザインして,「花魁道」を形にしていった感じですね。
4Gamer:
分かりました。ちなみにアマツとしては,最初から女性向けのタイトルを想定していたのですか?
アマツとしては,工画堂スタジオさんのIPでソーシャルゲームを作れないか,というのが一番最初の企画だったんですよ。実を言うと企画当初は,ミッション&バトル系のカードゲームのようなものにしようかな,とも考えていたんです。子供の頃にプレイして,あまりの難しさに泣かされた「覇邪の封印」のカードゲームを出そう,という構想もありましたよ(笑)。
4Gamer:
「RASETSU 〜羅刹〜」シリーズなら何となく分かりますが,まさかの「覇邪の封印」ですか!
澤氏:
ただ,せっかく工画堂スタジオさんに作画していただくわけですから,安易に「カードバトルは売れる!」というところを起点にしたくはなかったんです。やはり今回の企画(花魁道)では,独自の新しいIPとしてお互いの良さを引き出す,という狙いを優先すべきだと考えました。
4Gamer:
なるほど。
澤氏:
企画の初期段階から,一人遊びとして進める部分と,自分のお店を経営して友達と楽しむ,いわゆるソーシャルゲーム要素の2軸を盛り込む形で検討していました。そして内容を詰めていく段階では,ゲームの世界観をどのように作り上げていくかに注力しました。
こういう言い方は良くないのかもしれませんけど,いわゆるゲーマー受けするものにしすぎても,一般の方は引いちゃうと思うんですよ。工画堂スタジオさんと,いろいろなタッチのキャラクター絵をマトリックス状に並べた表を前に話し合いながら,結果的に今のデザインに落ち着いた感じですね。
4Gamer:
ところで,本作は“幕末”をテーマにしたゲームですが,戦国時代や三国志ではなく,なぜ幕末にしたんですか?
ゲーム業界ではそれほど目立ってはいませんが,幕末には有名な人物がたくさんいるので,扱いやすい題材だと思ったんです。戦国武将を取り扱ったゲームは数多く出ていますが,それを後追いで制作しても面白くないですし。
加えて,幕末テーマでは「これ!」という大ヒット作が出ていないので,新たなイメージを提案しやすいというところもありますね。
4Gamer:
ゲームというジャンルでいうと,確かにそうかもしれませんね。
澤氏:
なので,キャラクターデザインに関しては,のびのびとやれたんじゃないかと思います。例えばペリーって,教科書なんかに出ている見慣れた写真だと,「ハリー・ポッター」のスネイプ先生を演じている俳優のアラン・リックマンに似ているから,渋くてかっこいいオジサンになるのかなと思ったら,全然違うイケメンになっていたり(笑)。
百瀬氏:
確かに,僕の知っているペリーとは別人ですね(笑)。
多くの女性ゲーマーは,男性ゲーマーほどマゾくない
4Gamer:
そういえば,ソーシャルゲームを運営しているメーカーの方から,「女性向けのソーシャルゲームは難しい」という話を何度か聞いたことがあるのですが,そのあたりについて,何かお考えはありますか?
確かによく聞きますね。たぶん女性向けのソーシャルゲームをヒットさせるのは難しい……というよりは,ストレスが生じる展開を努力で打破していくタイプのゲームが,女性向けではないということなんじゃないかと思います。
4Gamer:
といいますと?
澤氏:
例えばファーム系のゲームって,作物を枯れさせちゃいけないから,頻繁にアクセスする必要が生じますよね。でも最近のライトなプレイヤーさんって,ネガティブ要素があるならほかのゲームをやればいいやって思う人が多いと思うんですよ。
4Gamer:
なんでわざわざ,ゲームの中で嫌な思いをしなければならないんだ……ということですね。
澤氏:
はい。アマツでも,最初は“枯れる”要素のあるゲームを出してたんですけど,運営中にそれを学んで,最近は枯れないものを出すようにしています。
ちなみに,「花魁道」には“接客”というミニゲームがあるんですけど,この仕様には“失敗”というものが明確にはないんですよ。
4Gamer:
失敗と成功があるというよりも,成功と大成功がある……という仕組みですね。
澤氏:
そのとおりです。先ほども言いましたけど,女性向けのゲームがヒットさせにくいというよりも,我慢やガッツを強いるような仕様が,女性だけでなくライトなゲームファンに向いていないだけなんだと考えています。
4Gamer:
なるほど。そう考えると,女性向けのソーシャルゲームが苦戦している理由は,もしかしたら「それがカードバトル系だから」ということなのかもしれませんね。
澤氏:
もちろん,有名IPを採用したタイトルは別でしょうけど,そういうことだと思いますよ。カードを取ったり取られたりって,男でも結構しんどいじゃないですか。勝負事って真剣になりがちですし,基本的に疲れますもん。
そういったところを踏まえて,「花魁道」では失敗という要素を極力廃し,直接的なバトル要素を省いたんです。女性向けに限定するのであれば,これはある程度確度の高いやり方だと思いますね。
ポジティブなゲーム性を志向したのは
工画堂スタジオとタッグを組んだからこそ
4Gamer:
ところでアマツとしては,工画堂スタジオとタッグを組んだのは,今回が初めてですよね。澤さんとしても,やはり特別な想いみたいなものがありますか?
工画堂スタジオさんはものすごい実績を持つ100年企業なのに対して,アマツは(当時)まだ1年目くらいの会社だったんですよ。
スタッフは一応ゲーム開発の経験者ではあるんですけど,工画堂スタジオさんから見たら新入りもいいところっていう感じですよね。僕もゲーム業界は2代目(編注:澤氏の父親は,「くにおくん」シリーズなどの作曲家として知られる澤 和雄氏)ですけど,それでも追いつけない歴史がある。なので本当に,光栄の極みという感じです。
百瀬氏:
ありがとうございます!
澤氏:
谷社長から「一緒にやりましょう!」と言っていただけたときは,嬉しさと同時にプレッシャーも感じましたよ。僕は小学生の時に「覇邪の封印」を何度も投げ出しそうになりながらがプレイしていましたから(笑)。なので,「これは大変な会社とお付き合いさせていただくことになった!」という感じでしたね。
だからこそ,せっかく工画堂スタジオさんと一緒にゲームを作るなら,お互いの良さを生かさないともったいないと思ったんです。
4Gamer:
なるほど。
澤氏:
あと,結果的に「花魁道」をオリジナルのIPにしたのも良かったと思っています。例えばこれが「『覇邪の封印』でカードゲームを作りましょう!」ということになっていたら,個人的な思い入れが強過ぎちゃって,逆に良いものは作れない気がするんですよ。
4Gamer:
思い入れが強すぎると,プレイヤーのことよりも,自分の想いを優先してしまう場面が出てしまうかもしれませんね。
「花魁道」はApp Storeでの評価もかなり高いようですが,作り手としてはいかがですか。
澤氏:
正直なところ,僕らもビックリしています。
百瀬氏:
たとえルールに乗っ取ったごっこ遊びであっても,嫌な思いをする要素はほとんどないですし,気持ちよく遊べる部分が好評なんだと思います。
4Gamer:
女性向けという方向性を決めた時点でゲーム性が固まり,それがうまい具合に刺さった感じですね。
澤氏:
そうですね。実際,企画が固まってから方向性がブレることは一度もありませんでした。ソーシャルゲームなのでソーシャル要素は強化すべきなのかもしれませんが,リリース時に友達リストと,「イイネ」ボタンに相当するものしか実装しなかったのも,良い方向に働いたのかもしれません。
4Gamer:
やるべきことが多くなると,それを苦痛に感じるプレイヤーが出てきてしまう……ということでしょうか。
澤氏:
はい。いくらソーシャル性を高めるものだとしても,最初からゴチャゴチャと色々な機能を付けてしまったら,それだけでゲームのハードルが高くなってしまいます。
最初の1か月は,イベントCGを含む色々なシーンをアピールするのが急務でしたし,友達とは「コメントを付け合うくらいのゆるいつながり」でいてほしかったんです。
乙女ゲームを作る上で一番重要視したのは,女性スタッフの意見
4Gamer:
「花魁道」はスチル(イベントCG)が好評ですよね。App Storeの評価を見ても,キャラクターに対する評価がものすごく高い。
そうですね。おかげさまでいい評価をいただいています。ただ我々としては,「花魁道」を“課金ランキング”ゲームにはしたくないんですよね。
4Gamer:
リアルマネーを投入すれば圧倒的に有利になれる,というゲームデザインにはしていないと。
澤氏:
ええ。なので,ほとんどのスチルは無料プレイで閲覧可能ですし,もし進めなくなっても,ほかのプレイヤーとアバターを交換したり,マーケット機能で銅貨(ゲーム内通貨)を貯めて,そこでアイテムを買ったりすればいい。無料でも十分遊べるという設計は,今後も変えないつもりでいます。
4Gamer:
確かに,こちらが心配になってしまうほど,無料で遊べる範囲が広いですよね。ユーザーレビューでも「無課金で長い時間遊べる」と書いている人が多いですし。
澤氏:
すごく嬉しいんですが,「無課金で頑張ります!」と言われると,ちょっと微妙な気持ちになりますね(笑)。
4Gamer:
ちなみにスチルの評判を聞いて,百瀬さんはどのような印象を持たれましたか?
大変嬉しいですね。「花魁道」に関わって本当に良かったなと思います。本作がカードゲームじゃないところが,お客さん達にマッチしていたんだなぁと。
4Gamer:
といいますと?
百瀬氏:
カードゲームだと,能力値でキャラクターの善し悪しが決まってしまうじゃないですか。でも絵に関わる我々としては,やっぱりキャラクターデザインやイラストそのものを評価してもらいたいんです。
あと,カードゲームよりもストーリー性をアピールできる点も大きいですね。秀逸なシナリオがあるからこそ,キャラクターも光るというものです。
4Gamer:
確かにおっしゃるとおりですね。ちなみに,「花魁道」ではどのキャラクターが一番人気なんですか?
澤氏:
一番人気は土方歳三ですね。
百瀬氏:
彼は人気が出るでしょうね。最初からそのつもりでキャラクターデザインしました。
澤氏:
個人的に,熱い男である坂本龍馬が一番人気だろうと思っていたら,龍馬は3番目でした(笑)。
土方歳三 |
坂本龍馬 |
高杉晋作 |
2番目に人気なのは誰ですか?
澤氏:
2番目はちょっとチャラ系に振った高杉晋作です。僕としては,新撰組がベスト3を占めちゃうかなって思っていたんですけど……。
百瀬氏:
弊社には女性スタッフが多いので,女性の意見をすごく重視しています。高杉も,初期デザインは今よりも目つきがやわらかかったのですが,女性スタッフから「違う,そうじゃない」と。やっぱり,女性向けのゲームを作る際には,女性スタッフの意見に耳を傾けるのが一番だと思いますよ。
澤氏:
それはアマツも同じですね。女性向けの作品を作る際は,女性の意見をすごく重要視します。女性スタッフが「ここはこうしたほうがいい」と言ったら,それを参考に大幅に手を加えることも珍しくありません。
実は企画の初期段階では,UI(ユーザーインタフェース)も今と全然違っていたんです。あるとき女性スタッフが「こういうのはどうでしょう」と持ってきたラフがすごく良かったので,それをベースにUIをデザインし直しましたこともありました。
4Gamer:
ソーシャルゲームを好んで遊ぶ層が「こうあるべき」と考えているUIも,普段ソーシャルゲームを遊ばない女性からしたら,案外使いにくいものなのかもしれませんね。
澤氏:
ええ。結果として,App Storeの評価やユーザーサポートに来るメール,プレイヤーが集まる掲示板などでも,「すごく遊びやすい」という意見を目にすることが多いです。やはり,女性がビビッと来ないものを「女性向けです!」なんてアピールしても,ダメなんでしょうね。
百瀬氏:
工画堂スタジオには,女性向けコンテンツに対する感度が高いスタッフがいるんですけど,何かを決めるとき,僕もその人におうかがいを立てるようにしていますよ(笑)。実際にキャラクターを描いているのは全員女性なので,そこはやはり重視しないといけないですよね。
4Gamer:
プレイヤーさんの多くも女性だと思うのですが,「ここをこうしてほしい」みたいな要望もありますよね。そういった意見も積極的に取り入れていく方針なんですか?
澤氏:
すべてを取り入れることはできませんが,皆さんが何に興味を持っているのかというところは,常に意識しています。実装を検討すべき要望を拾い上げる感覚は,オンラインゲームの開発/運営経験が役立っているところかもしれません。ソーシャルゲームだけで育ってきた会社だったら,KPIツールをチェックして,最大効率を上げるための方針を立てますよね。もちろんそれは,会社にとっては正解かもしれないんですが……ゲーム屋である僕らは,実際にお客さんの具体的な意見に耳を傾けながら,開発を続けていきたいと思っています。
ソーシャルゲームにもストーリーが求められる時代に
先ほども話に出ましたが,「花魁道」はストーリーにも力が入れられていますよね。
澤氏:
実は開発初期の頃,ゲームの仕組み自体は出来上がってるんだから,そんなに細かいストーリーは要らないんじゃないかなって言っていました(笑)。
百瀬氏:
言っていましたね。「澤さん,ストーリーというものを軽く見てるな!」って思っていました(笑)。
澤氏:
すみませんでした! まぁ,僕はコンシューマのゲームが大好きなので,ソーシャルゲームがそこ(シナリオ)に足を踏み入れたら大変なことになるぞって思ってたんですよ。
4Gamer:
削れるものは削り,気持ちいい要素のみを残したゲームがソーシャルゲーム……みたいな暗黙の了解もあるでしょうし。
澤氏:
そうなんですよね。ただ工画堂スタジオさんの絵を見た瞬間に,その考えがガラッと変わりました。この魅力的な絵にこんなセリフじゃだめだと思い,専属のライターにセリフやストーリーを用意させました。
百瀬氏:
シナリオを書くのってコストがかかるんですよね。でも最近は「拡散性ミリオンアーサー」を筆頭に,カードゲームというゲームデザインにも関わらず,良質なシナリオが載っかっている作品が増えてきています。これからはソーシャルゲームにも,シナリオが求められるケースが増えてくるんじゃないかと個人的には思っています。
僕も同感ですね。プレイヤーさんも,ドンドンとリッチなものを求めるようになるでしょうし。あと,細かいところですけど,主人公にセリフを言わせるかどうかも,開発中は相当悩みましたね。
百瀬氏:
ゲームによって,セリフを言わせたほうがいい/悪いというのは変わってくるので,難しい部分ですねぇ。
澤氏:
実は最初,「花魁道」の主人公はセリフのないキャラクターだったんですけど,遊んでいてしっくりこなかったんですよ。個人的な好みもあるのですが,主人公は喋らず無個性で,プレイヤーさんに感情移入してほしいという思いがあったので,できれば喋らないキャラクターでいてほしかったんですけどね。
ただ本作の場合,主人公が喋らないとシーンが回らなくなっちゃうんで,結果的に喋らせるようにしたんです。それによって世界観やストーリーが生きてきたわけですから,結果的には成功でした。
百瀬氏:
あと,スチルの中に主人公を入れるかどうか,という点も悩みました。アバターはプレイヤーごとに違うけど,スチル内にそれを反映させようと思ったら,差分グラフィックスだけでとんでもないボリュームになってしまいます。
4Gamer:
結局,スチル内に主人公を描きこむ形に落ち着いていますけど,解決策はあったんですか?
百瀬氏:
女性スタッフ曰く,「女性プレイヤーはそういうのを気にしない」みたいなんですよ。なので,差分グラフィックスのことは考えずに,主人公を描き込みました。
澤氏:
うん,スチル自体に没入できていれば,アバターが違うとか,主人公の口調が自分と違うとか,気にならないみたいですね。その点,男性よりもゲームをゲームとして楽しめているんだなと,感心してしまいます。
キャラクターの追加も当然検討。声優の実装やコンシューマでの発売も視野に?
4Gamer:
今後,「花魁道」をこうしていきたい,というお考えはありますか?
うまく育てて展開の幅を広げていきたいと考えています。せっかく坂本龍馬とか土方歳三とか,親しみやすいキャラクターが多く登場しているのだから,坂本龍馬といえば「花魁道」が思い浮かぶようになれば最高ですよね。
百瀬氏:
そのテーマの代表的な作品になるって,すごいことですからね。コーエーテクモゲームスさんやカプコンさんはやっぱり偉大です。でも,ゲームにおいて「幕末ならこれ」という作品はまだありませんし,その枠を狙うくらいの意気込みで取り組んでいます。
澤氏:
勝海舟とか西郷隆盛とか,魅力的なキャラクターがたくさんいますからねぇ……。イケメンの西郷隆盛は自分でも想像できませんけど。
4Gamer:
展開の幅というところでは,たとえば恋愛アドベンチャーゲームとして,携帯ゲーム機向けに移植する可能性もなくはなさそうですよね。
ええ,十分考えられますね。工画堂スタジオはコミックマーケットに企業ブースを出しているので,グッズ販売なども可能ですし。
4Gamer:
そこまでいくと,今度はイベントをやりましょうという話にも広がりそうですね。
澤氏:
オンリーイベント的な(笑)。でもpixivで検索すると,「花魁道」のイラストを描いてくれている人もだいぶ増えてきていますからね。なくはなさそうです。
4Gamer:
それでは最後に,プレイヤーの皆さんに向けて一言お願いできますか。
百瀬氏:
「花魁道」は女性ゲーマーの意見を大切にしながら,女性に向けて作ったソーシャルゲームです。キャラクターデザインやイベントCGのクオリティは保証しますので,幕末に興味があったらぜひ一度プレイしてみてください。
澤氏:
「花魁道」は,ソーシャルゲームというよりは恋愛アドベンチャーゲームに近い作品です。ゆるいソーシャル性を楽しむ中で,嫌な思いをすることはまずないと思うので,興味がある人は気軽にプレイしてみてください。
イベントやキャンペーンを積極的に実施していますし,アップデートも定期的に行っていきます。いつかは声優さんを起用したい……とも考えていますので,今プレイしてくれている人は,引き続き応援していただけると嬉しいです。我々と一緒に「花魁道」を育てていきましょう!
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「幕末恋愛録〜花魁道〜」ダウンロードページ
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