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Quantic Dreamの最新作「BEYOND: Two Souls」。デモプレイの内容と,エグゼクティブプロデューサーのインタビューをお届け
セッションは,両作品の魅力を開発者がプレゼンテーションするという内容で,デモプレイも行われた。本稿では,「BEYOND: Two Souls」にスポットを当てて,セッションの内容をお伝えしよう。また,記事の後半にはGuillaume de Fondaumiere氏へのインタビューも掲載してあるので,チェックしてほしい。
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「BEYOND: Two Souls」は,「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」(以下,HEAVY RAIN)で数々の賞を受賞したQuantic Dreamの最新作だ。「HEAVY RAIN」は人間の内面にスポットを当てた奥深いストーリーや,実写と見紛うほどのグラフィックスが高い評価を受けた作品でもある。「BEYOND: Two Souls」には「HEAVY RAIN」と共通した部分があるものの,すべてのクオリティが格段にアップしている。
Quantic DreamのCo-CEO兼Executive Producerを務める,Guillaume de Fondaumiere氏 |
セッションの最初には,Quantic DreamのCo-CEO兼Executive ProducerであるGuillaume de Fondaumiere氏が登壇。「『HEAVY RAIN 』のあと,我々はデイヴィッド・ケイジ(Quantic Dream創立者)と共に,新規IP『BEYOND: Two Souls』を開発することに決めました。本作では最新のエンジンを取り入れることによって,大幅に向上したグラフィックスとアニメーションを実現しています。」と挨拶をした。
続いて本作のプロローグを描いたトレイラーが上映された。トレイラーは,主人公のジョディが警察官の取り調べを受けているシーンから始まった。穏やかな口調でジョディに質問をする警察官に対し,ジョディは何も答えようとしない。時間だけが過ぎ去っていく。
しかし次の瞬間,机に置いてあったコーヒーカップが宙に浮き,そのまま壁に激突。カップはバラバラに割れてしまった。どうやらエイデンがやったようなのだが,はっきりしない。動揺を隠せない警察官は部屋の外に出て行き,ジョディの調書に目を通す。
と,その時,SWATが警察署にやってきた。ジョディを追っている様子で,警察官に案内され,ジョディのいる取調室へ近づいていくSWAT達。ドアを開けるとそこには……。と,ここでプロローグ部分は終了した。
続いては,3分の2ほどストーリーが進行したセーブデータを用いたデモプレイが公開された。
舞台はとある列車の中。22歳になったジョディは,警察から追われる身となっていた。デモでは最初にエイデンを操作するシーンが公開。PlayStation 3のコントローラにあるジャイロセンサー機能を用いてエイデンを操り,車内を自由に動く様子が確認できた。ちなみにエイデンは霊体なので,障害物などお構いなしで,まさに自由に移動できる。
エイデンを操作しているときは,ほかのキャラクターの周りに光が表示される。これは,エイデンがキャラクターに対して干渉できることを意味しているという。例えば,電車内にいるお客さんのカバンを落とすといったイタズラ的な行為から,憑依して自在に操り,ほかの人を攻撃させるといったことまでできてしまう。また,エイデンとジョディは青い光でつながれており,エイデンは光がつながる範囲でしか行動することはできない。
列車の外にはたくさんの警察が張り込んでおり,ジョディを待ち伏せしていた。デモではエイデンに列車の外を偵察させるシーンなども確認でき,エイデンがジョディの頼もしいパートナーであることが分かる。
しかし,そうこうしているうちに警察官が車内に入ってきた。目的はもちろんジョディの身柄確保だ。エイデンはしゃべることができないらしく(デモではまったくしゃべっていなかった),カバンを落としてジョディに警察官の存在を気づかせる。
しかしタイミングが悪かったのか,警察官に見つかってしまうジョディ。必死に車内を走って逃げようとする。トイレに駆け込んだジョディは,エイデンに出口を開けてもらい,発見してそこから逃げようとするも,うまく開かない。そんな時に役立つのがエイデンだ。エイデンに出口を開けてもらい,なんとか外に出ることに成功。
このように,ゲーム中はジョディとエイデンを両方操作することになる。基本はジョディを操作するらしいのだが,ピンチの時など,所々でエイデンの出番がやってくる。とくにバトルシーンなどは,エイデンなしには切り抜けられないことが多そうだ。
その後,警察官の追撃をなんとか振り切り,森に逃げ込んだジョディ。しかし安心したのもつかの間,今度は警察犬がジョディを追いかけてくる。必死の思いで警察犬を切り抜けたジョディは,1人の警察官を発見。ジョディはエイデンを警察官に憑依させ,バイクで暴走させる。その混乱に乗じて,別のバイクを盗んで先に進むジョディ。しかしSWATが待ち伏せしており,攻撃を受けたジョディはバイクから転げ落ちてしまう。森を抜けてなんとか市街地に出られたものの,ここにもSWATが待ち受けていた。そんな時はもう一度エイデンの力を借りるしかない。ジョディは,エイデンをSWATに憑依させ,同士討ちをさせる。
さらに,エイデンをヘリの操縦士に憑依させて自滅を誘うなど,徹底的に戦う姿勢を見せる。最後はガソリンスタンドを爆発させ,SWATを殲滅。なんとか生き残った隊員の1人に,ジョディは「私のことは放っておいて。じゃなきゃ,皆殺しにする」と冷たく言い放ち,その場を去って行った。と,ここでデモは終了。
デモ終了後は,モーションキャプチャを使用した撮影シーンが紹介される。ここでは,ジョディを演じるエレン・ペイジさんや出演陣が撮影に臨む様子が映し出された。ペイジさんに演技指導をするようなシーンも見られ,女優・ペイジさんの魅力が詰まった,一つのドキュメンタリーを観ているようだった。
Quantic Dreamは,大人にとって意味のあるゲームを作ろうとしている
ここからは,Guillaume de Fondaumiere氏のインタビューを掲載しよう。「BEYOND: Two Souls」の魅力はもちろん,Quantic Dreamの作品に対する想いが詰まった内容になっている。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。ではまず,「BEYOND: Two Souls」の企画の発端,および作品のコンセプトをお聞かせください。
「BEYOND: Two Souls」も「HEAVY RAIN」と同じなのですが,脚本家であり監督でもあるデビット・ケイジ(Quantic Dream創立者)は個人的な経験をベースに脚本を書くことが多いのです。
彼は近しい親戚を亡くしているのですが,それがものすごくショックだったらしくて,それから死後の世界について考えるようになりました。「BEYOND: Two Souls」はその経験が元になって生まれました。
4Gamer:
Quantic Dreamの作品は,テーマが重いものが目立つような気がします。それはやはり,デビット・ケイジ氏の経験が影響しているからなのでしょうか。
Guillaume de Fondaumiere氏:
そうですね。彼ら(Quantic Dreamのメンバー)は大人にとって意味のあるゲームを作ろうとしています。自分の下した決断が,その後どう影響して,どのように形作られていくのかなど,そういう部分ですね。それは,デビット・ケイジ自身の体験を取り入れているという部分が非常に大きいのです。
4Gamer:
「BEYOND: Two Souls」は「HEAVY RAIN」の精神的な続編とお聞きしていますが,「HEAVY RAIN」からのフィードバックは,「BEYOND: Two Souls」にどれくらい生かされているのでしょうか。
Guillaume de Fondaumiere氏:
もちろん「HEAVY RAIN」のフィードバックは取り入れているのですが,開発スタッフは常に新しいことに挑戦しています。アクションが少ないのでQuantic Dreamのタイトルに今まで興味なかったという人達もいるようですが,彼らも「BEYOND: Two Souls」を見たときに,ビックリするくらいアクションがあって驚いたと言っています。
ただそれは,マーケットから「アクションを入れてほしい」と言われたから入れたのではなく,「次はアクションを取り入れよう」という方針があったからなんです。
4Gamer:
ではゲームの中身についてお聞きします。「BEYOND: Two Souls」では,15年という年月を描くことはもともと決まっていたことなのでしょうか。
Guillaume de Fondaumiere氏:
はい,最初から決まっていました。それは,プレイヤーがこのゲームをプレイしてエンディングを迎えたときに,「本当に15年間生きてきたんだ」という風に感じてもらいたかったからです。映画でも人生を2時間で描いていたりするので,ゲームでも十分可能だと思っています。
4Gamer:
確かに,人の一生を描いている映画もありますしね。では次の質問なですが,「BEYOND: Two Souls」では主人公が女性ですよね。これも,もともと決まっていたのでしょうか。
Guillaume de Fondaumiere氏:
よく聞かれますね(笑)。これまでにも女性の主人公はいたのですが,少しステレオタイプのキャラクターが多かったような気がします。なので「BEYOND: Two Souls」では,少し違った表現をしています。
ジョディは特別な能力を持っているのですが,それは彼女にとって呪いのようなものでした。ストーリーでは,彼女がそのことを乗り越えて成長していく過程を描いています。普通の男の子を描くより,女性を採用したほうが,そういうものを描きやすかったというのが,女性を選択した理由の一つですね。
4Gamer:
今回のデモでジョディは,エイデンの能力を使ってSWATを相手に戦っていますよね。かなり気の強い性格でないとできないと思うのですが,ジョディはもともとこういう性格なのでしょうか。特別な能力を持ってしまったことによって,変わってしまったということも考えられそうですが。
Guillaume de Fondaumiere氏:
ジョディ自身,ストーリーの中でものすごく変化していきますが,最初は能力を持っていることを受け入れられなくて,常に何かに対して怒っています。ただある日,彼女の人生の中ですごく大きな事件が起こります。それによって,彼女自身が成長していかなければならない状況になるんですね。ですので,プレイヤーの方には,常に変化していくジョディを見てほしいと思います。
4Gamer:
分かりました。ちなみに本作のキーでもあるエイデンの能力というのは,ゲーム開始時から使えるのでしょうか。
Guillaume de Fondaumiere氏:
ジョディもエイデンも,物語の過程でいろいろなことを学んでいきます。ジョディも最初は普通の女の子だったんです。でも彼女自身,体力的にだけではなく,精神的にも成長しなくてはいけなくなります。あと,実はエイデンも最初はそんなに強くなくて,できることも少ないんですよ。なので「BEYOND: Two Souls」では,ジョディだけではなく,エイデンの成長も非常に重要な要素なんです。
4Gamer:
エイデンの能力というのは,ストーリーが進むにつれて自然と上がっていくのでしょうか。
Guillaume de Fondaumiere氏:
いわゆるRPGのような作品ではないので,能力はストーリーが進むにつれて上がっていきます。
4Gamer:
分かりました。それではそろそろお時間ですので,ファンの方にメッセージをお願いします。
Guillaume de Fondaumiere氏:
日本のプレイヤーはゲームのことをとても理解していますし,我々にとっても非常に大切です。ですので,ぜひ「BEYOND: Two Souls」をプレイして,楽しんでいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
「BEYOND: Two Souls」公式サイト
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BEYOND: Two Souls
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(C)Sony Computer Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.
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