プレイレポート
宇宙でニンジャごっこを楽しむオンラインTPS「Warframe」は,今イチ押しのハック&スラッシュだ
一見すると単なるイロモノ作品で,日本ではパブリッシャなども付いていない,いわゆる“洋ゲー”だが,一体なぜ日本ユーザーからの支持を集めているのだろうか。“強化外骨格”を身に着け,刀を振り回しながら銃を撃ちまくるゲームと聞いただけで胸が躍る人に説明は不要かもしれないが,この記事では,そんなWarframeの魅力を伝えていこう。
Warframeを使いこなす戦士「テンノ」となり,太陽系で起きる様々なミッションを進めよう
本作品のタイトルにもなっている「Warframe」とは,様々な能力を持った強化アーマーのことで,「テンノ」と呼ばれる戦士のみが扱うことができる代物だ。プレイヤーは,そのテンノの1人となり,ソロ,あるいは4人までのパーティを組んで,太陽系で起こる多彩なミッションを攻略し,レアアイテムを集めてWarframeや武器を強化,そしてより厳しいミッションを攻略する。本作は,これを淡々と繰り返す,ファンタシースターオンラインやDiabloのような,いわゆるハック&スラッシュの要素を持ったゲームだ。
ミッションを受けるには,まずロビーで目的地となる惑星を選択するのだが,その前に装備やWarframeの確認をしておこう。武器はメイン火力となる「プライマリ」,メイン武器の弾が尽きたり,リロードできない時の補助をする「セカンダリ」の2つの銃火器に加え,刀や斧を振り回して攻撃する「近接」を装備することができる。
ミッションは,惑星ごとに発生するものが異なる。囚われたNPCを助け出し,共に脱出する「救出」,指定のオブジェクトを敵の猛攻から守る「防衛」,指定のNPCをあらゆる手段を使って倒す「抹殺」など,それらは惑星選択時に確認が可能だ。また,ミッションを選ぶときは,出現する敵のレベルに注意しよう。最初は出現レベル1〜5までの惑星でミッションを回して,レベルを上げていくことをお勧めする。
ほかにも,稀に発生する「アラートミッション」があるが,こちらは通常ミッションより報酬が良い。またロビーでは,フレンドリストに追加している友達を誘って最大4人までのパーティが組めるほか,マッチング機能を使えばほかのプレイヤーと合流することもできる。準備ができたらいざ出発だ。
目的地に辿り着くと,ダクトの蓋をあけて天井からゆっくりと降り立つ演出が入る。このシーンは,着ているWarframeや付けている武器によってちゃんと見た目が変わるため,何度見ても飽きない。4人で潜入した時の演出は,さながら敵地に乗り込む精鋭部隊といった感じだ。
和太鼓に合わせてスタイリッシュに暴れまわる,これがテンノ流ニンジャスタイルだ
目を引くグラフィックスや世界観など,特徴的な部分が多い本作だが,初めてプレイした瞬間に分かる最大の特徴は,BGMが和太鼓オンリーというところだろう。和太鼓が鳴り響く中,刀を振り回し,銃で敵をなぎ倒すその姿は,まさにスペースニンジャそのもの!?
また,これはちょっと操作に慣れればすぐ気付くことだが,Warframeは驚くほど簡単に玄人めいた動きができてしまうところが良い。敵の懐にスライディングで潜り込み一発ブチかましたり,刀で弾をはじきながら敵に突っ込んで一刀両断したり,スタイリッシュな動きが簡単にできてしまうのだ。
なお,本作には最近のTPSによく見られる,遮蔽物に身を隠して敵の銃撃を避けるカバーアクションが存在しないので,敵の攻撃を食らわないためにも常にステージを駆け回っていることが大切だ。というより,物陰に隠れてコソコソ撃ってるスペースニンジャなんて,カッコ悪くて見ていられない。
もし自分のPCが,NVIDIAのGPUを積んでいてスペックに余裕があるならば,PhysX効果をオンにすることをオススメしたい。これをオンにすることで,スキルを使用したり,敵が消滅したりする際,花火のような派手なエフェクトを見ることができ,画面が一気に華やかになる。
Warframe PhysX トレイラーがNVIDIAから公開されているので,Physxをオンにした際の華やかさを確認してみよう
武器は種類が豊富すぎて,何を使えばいいかは悩むところだ。敵を壁に磔(はりつけ)にできる弓やBOLTERのエグさはドSの人にはたまらないだろうし,遠距離から敵を一撃で葬る快感はスナイパーでしか味わえない。アグレッシブに動き回ってインファイトを仕掛けたいなら,ショットガンや近接武器が活躍する。武器に迷ったら,とりあえず初期装備の「MK-1 BRATON」を使い込んでみるのも一つの手だ。
また,破格の攻撃力をもったハンドキャノンやクナイなど,セカンダリでしか味わえないロマン溢れる武器もある。ちなみに筆者のお気に入りはクナイだ。構えのモーションがとてもクールなうえ,メイン火力としても十分運用できる扱いやすさが魅力的なのだ。
武器は,ゲーム内の通貨であるクレジットで設計図を買い(敵がドロップすることもある),必要な材料を集めることで入手できる。材料はミッション中に敵を倒したり,アイテムボックスを開けることで手に入れることが可能だ。ほかにプラチナ(課金ポイント)を使って購入する方法もあり,こちらの場合は設計をせず,そのままミッションに持ち込むことができる。
Warframeごとに能力やスキルが違う。自分に合ったWarframeを見つけよう
Warframeは現時点(2013年6月26日)で13種類あり,それぞれステータスやスキルも違う。チュートリアルを終わらせると,バランス型で万能な「EXCALIBUR」,トリッキーに戦場を駆け回る「LOKI」,敵に状態異常をかけてかく乱させる「MAG」の中から1つだけ選ぶことができる。あまり慣れていないプレイヤーであれば,クセが少なく攻守ともに安定している「EXCALIBUR」がオススメだ。そのほかのWarframeは,武器と同様,設計図を使うか,プラチナで購入する必要がある。
何を使えばいいか迷った時は,とりあえず“見た目”で決めてしまおう。とはいってもどれもカッコいいので結局悩むことになるのだが……。
近接武器をうまく使いたいなら「ASH」や「RHINO」がいいだろう。パーティのサポートに徹したいなら,回復スキルを持つ「TRINITY」や戦場のコントロールが得意な「NYX」がオススメだ。ド派手なスキルが目を引く「EMBER」や,氷を操る「FROST」なんかもクールで良い。
ちなみに筆者が最初に選んだのはLOKIだ。テレポートやデコイを使って敵を翻弄しながら戦うWarframeで,敵にデコイを攻撃させて,自分は安全な場所から一方的に攻撃することができる。公式には上級者向けと書かれているが,そんなことは無く,初期3つの中では操作していて一番楽しいWarframeだと思えた。
ミッションが終了するとWarframeや武器に経験値が入り,レベルが上がると装備できるMODコストの許容量を増やすことができる。MODとは,武器やWarframeに装着することで能力を上げられる追加パーツのようなものだ。敵を倒したときに弾や素材などと一緒にドロップすることがあるので必ず拾っておきたい。
MODを装着して,武器やWarframeに個性を出そう
そのMODだが,攻撃に火や電撃のダメージを追加したり,弾倉を拡張したり,ジャンプ力を上げたりと種類がかなり多い。しかもそれぞれにコストが設定されていて,総コストに上限があるため,装着できる数にも上限がある。どのMODをどう組み合わせて付けるかを考える必要があるので,その「自分のキャラを作り上げていく作業」がまた楽しかったりもする。
「この組み合わせは,もしや最強なんじゃ……」と思ったものが,試してみたらかなり微妙だったり,逆に今まで苦戦していたミッションがあっさりクリアできるくらい思わぬ火力が出たりと,“自分で考えた組み合わせの結果”が出る瞬間はとても面白い。
また,MOD同士を合成させることでMOD自体を強化することも可能だ。ベースとなるMODと素材となるMODを合成させることで,MOD自体に設定された経験値が蓄積され,最大値まで溜まるとレベルが上がって効果が強化される。
合成する際,同名のMOD同士やフュージョンコアという合成専用MODを使えば経験値の蓄積量が多くなる。MODは,武器タイプさえ合えば使い回すことができ,無駄になることはない。余らせるくらいなら,気軽にどんどん合成してしまう方がいいだろう。
……とまあ,ここまで本作の特徴を紹介してきたわけだが,意外にも(失礼!)真っ当に作られたハクスラ系のTPSだというのがお分かりいただけただろうか。
Diabloに端を発するハクスラ系(オリジナルはRogueだが)は,基本的にはサクサク感とアイテム集めという,ベクトルの違う“楽しさ”がウリのジャンルだ。派生系はいろいろあるが,まぁ正直大半の作品は“Diablo”の枠から抜け出せず,薄暗いダンジョンや荒廃した街の中を黙々と進んで,雑魚Mobを延々と倒しつつアイテム集めとレベルアップに励むわけだ(その作業感が楽しいわけだが)。
この「Warframe」はちょっと違う。
FPSにも通じるアクション性と,とはいえ難度をほどほどに仕立てた操作性で,ハクスラの本質的な楽しさをスポイルすることなく,違うゲーム性の演出に成功しているばかりか,SFともファンタジーともつかない(とくに日本人的にはなんともいえない)突き抜けた世界観で,一度プレイした人の心をつかんで離さない。
むろん,世界観重視のネタゲーというわけでなく,ゲームシステムにも新風が吹き込まれている。MODシステムがその代表的なもので,これのおかげで,見た目が好みの武器を持っていても,それより性能が良いものを拾ってしまったら,(やはりプレイヤーとしては)渋々交換せざるを得ないという,ハクスラ系のゲームで感じるストレスからも解放されている。
MODを使った装備の強化は比較的自由度が高く,オリジナリティを出すことも容易で,そこもまたゲームの魅力になっているのだが,現時点では「強化限界にすぐ到達する」のがちょっと残念なポイントだ。
例えば「リロード速度を倍にして,マシンガンのごとく弓を撃ちたい」と思っても,リロード速度の強化上限は30%(つまり1.3倍)までなので,そんな望みを持てるべくもなく,本気でやり込みを始めると,すぐに「上」が見えてしまう。
とはいえまだまだ本作は開発段階の作品なので,これからのアップデート次第でシステムが一変する可能性もある。MODシステムにしても,元々はスキルツリーシステムだったものが大きく仕様変更されて導入されたということだし,何が起こらないとも限らない。
記事の冒頭でちらっと言及した,大型アップデート“8.0 Rise of Warlord”では,クランメンバーだけが門を叩くことが許される「DOJO」が追加され,クランの仲間同士で決闘をしたり,共同で武器の研究ができるようになるなど,それまで寂しかったコミュニティ周りが一気に改善された。
同じように,再度何かの仕様変更や追加によって,十分楽しいこのプレイフィールが,さらにさらにグレードアップされ,さらなる楽しさを与えてくれることは想像に難くない。
まだオープンβテスト中であり, 開発元も(日本を含めた)ユーザーの動向を注意深く見守っている節があり,今後の発展にも十二分に期待できる。正式サービス移行後も基本プレイが無料であることは明言されており,ちょっと変わったゲームを探しているのなら,いま始めない手はない,オススメの作品だ。
「Warframe」公式サイト
「Warframe」Steamストアページ
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