イベント
声優・藤原啓治さんも登場した「パペッティア」制作スタジオ潜入ツアーをレポート。開発スタッフが数々のサプライズでおもてなし
このイベントは,同社のコミュニティサイト「プレコミュ」の会員を対象としたもので,応募者の中から抽選で選ばれたユーザーが,実際のゲーム制作現場を見学し,ゲームの試遊や,開発者とのトークを楽しめるというもの。
「魔法劇場で繰り広げられる人形劇」という凝った世界観が特徴の本作だけに,イベントの各パートが始まるごとに開演ブザーが鳴り響くなど,ゲームの雰囲気を活かした数々の仕掛けが用意されていた。このツアーの模様をお届けする。
受け付けをすませた参加者は,制作スタッフのインタビュー映像を鑑賞した後に,第一幕「制作ルームツアー」へと案内された。制作スタジオに向かうために乗ったエレベーター内では,ゲームでナレーションを担当する声優・藤原啓治さんによる,この日だけのスペシャル音声が流れる。ゲーム同様に芝居がかった大仰な言い回しで「魔法劇団へようこそ。本日はその舞台裏である美術工房へとご案内します」と説明があり,参加者達の期待はおのずと高まっていったようだった。
「制作ルームツアー」では,実際にゲーム開発を担当したスタッフが,モーション,イメージボード,ライティング,リハーサルという4つの要素ごとに,本作がどのような工程で作られていったかを説明。
一般ユーザー(というか,我々メディアも)足を踏み入れることの難しい開発現場で,ゲームを作っている人達から直接説明を受けられるという貴重な体験に,参加者達はすっかりのめりこんでいたようだ。
ゲームのことを知りつくしているスタッフなだけにその語り口は実に軽妙で,短い時間ながらも非常に密度の濃い内容となっていた。
第二幕「制作スタッフ おもてなし試遊」では,参加者全員分が用意された試遊機にて,発売前の本作が1時間ほど楽しめた。しかも,開発スタッフが参加者ひとりひとりの隣に座り,遊び方を1対1でレクチャーしてくれるというおもてなしぶり。
さらに,会場に用意された試遊機は,会場限定バージョンとなっており,事前に登録したユーザー名を,藤原啓治さんが読み上げてくれるというサプライズが実施された。わざわざ製作現場にまで足を運ぶ熱心なファンにとっては,一生忘れられない思い出になったことだろう。
第三幕「制作スタッフとパペッティアについて語ろう」では,ゲーム制作の中心スタッフたちのトークショーと,質疑応答が行われた。プロモーション担当の北尾泰大氏により,クリエイティブ・ディレクターのギャビン・ムーア氏,リードゲームデザイナーの佐藤一信氏,シナリオライターの岩片 烈氏が紹介され,穏やかなムードで開発秘話の数々が語られていった。
ムーア氏は,本作が作られたきっかけを「今までは,SIRENなどのリアルなゲームに関わってきたけど,自分の子供と楽しめる,(これまでとはまったく逆の)ファンタスティックなものが作りたくなった」と語る。
主人公クウタロウの名前は,同氏の息子・クラウド君に由来するとしつつ,欧米でのミーティングで名前を説明する際に「Cut-rowって意味なんだろ?」と勝手に勘違いされ,クウタロウが,日本以外のバージョンでも共通の名前になったというエピソードを披露した。
「ひとりで遊んでもしっかり遊べるアクションゲームで,一見,子供向けに見えますが,大人がギョッとしたり,クスッとしたりするシーンやナレーションを用意した」と語ったのは佐藤氏。
その言葉を受けて,岩片氏は「最初はまじめに作っていたが,“普通”といわれるあまり,ブラックユーモアを詰め込みました。誰か止めてくれるだろうと思っていたら,みんなが『大丈夫!』というので(笑)」と,製作時期が後半になるにつれて,どんどん調子を上げていったという。
そのため,あやうくCERO区分がAではなくなりそうになり,慌てて表現をマイルドにする一幕もあったのだとか。ちなみに,こうしたテイストは,イギリスのコメディ集団「モンティ・パイソン」を意識してほしいという,ムーア氏のオーダーによるものだそうだ。
このほかにも,ピカリナが関西弁な理由が「イギリス英語を基準とすると,ピカリナは方言をしゃべるから」,クウタロウの武器をハサミにした理由を「剣では普通すぎるし,モノが自由に切れるハサミは,チョキチョキとしたリズムの良さがあるから」,「舞台がガラリと変わる演出は文楽がヒント」,「クウタロウのヘッドの数は100種類ある」など,とっておきの秘話を次々と披露していた。
さらには,本作は常に画面内のキャラクターやナレーターがしゃべり続けていること,そしてこのイベント用に音声を収録したことに話題が及ぶと,「70人分の名前を呼ぶのはとてもたいへんだったんだぞ〜。品川にお集まりの紳士淑女の皆様……今日は熱いねぇ(笑)」という声とともに,特別ゲストの藤原啓治さんが姿を現した。
藤原さんをナレーターに起用した経緯を「英語版は重厚なおじいさんの声なんですけど,日本語ではしっくりハマらず,藤原さんの声を聞いて,その瞬間に惚れました」と山本氏は説明。「品があって色気が合って,なのに軽薄(笑)」とも語りる。そのため海外版とはナレーターのキャラクターを変えているとのことだ。
藤原さんは「このお芝居は,人を惑わせるような切り替えが多くて,演じていて面白かったです」とコメント。セリフの数が非常に多かったことで「古めかしくて慇懃(いんぎん),芝居がかった言い回しだったので,自分の芝居心をくすぐられました」と,収録時の気持ちを振り返っていた。
なお,シナリオは後半にいくにつれ,おふざけ度が増していくようで,藤原さんいわく「収録を重ねる毎に,キャラクターの印象が変わっていった(笑)」とのことなので,発売を楽しみにしている人は,その辺りも意識してみるといいかもしれない。
トークの後には,制作スタッフの手作りのグッズや,特製の絵本が当たる抽選会が行われた。手作りグッズは,開発作業の手が空いたスタッフが自主的に作り始めたものだそうだ。イベントの最後には,制作スタッフと参加者全員が集まっての記念撮影が行われ,この日だけの特別な,そしてサプライズ満載の魔法劇場は幕を閉じた。
「パペッティア」公式サイト
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パペッティア
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