プレイレポート
MMORPG「黒い砂漠」の世界は,プレイヤーの遊び方次第で無限の広がりを見せる。プレオープンテスト実施に先がけたプレイレポートをお届けしよう
本作については,4Gamerでも韓国で触れたものを中心に情報をお伝えしてきたが,プレイ時間が短く,しかも韓国語のユーザーインタフェースという条件のため,実際のところ「黒い砂漠」という作品がどんなMMORPGなのか,まだまだお伝えしきれていないというのが正直なところだ。そこで,日本でのサービスに向けて開発中のバージョンを,ゲームオンにて一足先に触ってきたので,プレイレポートを交えながらあらためて紹介していこう。
「黒い砂漠」プレオープンテスト(CBT相当)
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「黒い砂漠」公式サイト
生活系コンテンツからアクションバトルまで
「こんなものが欲しい」というコンテンツが詰まったMMORPG
「黒い砂漠」は,ゲームをひとつの世界に見立て,そこに降り立ったプレイヤーが自由に世界を満喫し,遊び方をシステム主導ではなく,プレイヤー側に委ねるようなタイプの作品で,いわゆるサンドボックス型のタイトルだ。
未踏の地を探索する冒険系コンテンツはもちろん,ノンターゲティングシステムを採用したアクション性の高いバトルコンテンツ,料理や薬,家具といったアイテムの生産が楽しめる生活系コンテンツ,そして大規模な対人戦が楽しめるPvPコンテンツと,プレイヤーがどんな遊びをメインにするのかは自由だ。そして,その自由さに対応できるように,本作に用意されたコンテンツ量はかなりのもので,さらにそれぞれ“深い”ことが「黒い砂漠」の特徴だと言えるだろう。
アイテムの生産ひとつにしても,素材を集めるためのさまざまな手段,生産したものをお金に換えるための貿易網の開拓と構築,そして相場状況といったように,本格的に儲けようと思ったとき,作成から利益を得るまでにプレイヤーが取れる戦略は,なかなか奥が深そうに思えた。さらに“馬”というコンテンツも乗るだけではなく,スキルを覚えさせたり,調教や交配まで可能な育成コンテンツになっていたりと,ほかのMMORPGではなかなか見られない魅力的なコンテンツが揃っている。
街も洞窟も海もひと続きの世界
シームレスにつながる広大なマップがゲームの舞台
また黒い砂漠では,スクリーンショットを見て分かるように,MMORPGとしては,かなり高いクオリティのグラフィックスで世界を表現している。そして,この高クオリティなグラフィックスのフィールドは,すべてシームレスでつながっているのだ。
ローディングは最初にキャラクターを選んだときのみで,それ以後は広大なフィールドを歩き回っても,ダンジョンや街に入ったときもローディングが入ることはない。インスタンスダンジョンすら存在しないのだ。山の上から見える風景や水平線の向こうにある島,大陸などはすべてひと続きのフィールドなので,見える範囲の場所(もちろん実装されているエリアになるが)はほぼどこへでも行くことができるようになっている。
断崖絶壁はちょっと厳しいが,高い岩山や城壁の上など,高いところを見たらとにかく登りたくなる“登山部”なプレイヤーが,十分に満足できるフィールドが待ちかまえている。
見上げんばかりの巨大なトレントが歩き回っている森林地帯もある。この巨大トレントはレイドボスなのだろうか……? |
海岸沿いの暗い岩窟で難破船を発見! その近くには宝箱も。あえて,その場所は隠しておこう。森や岩石地帯にもこのように宝箱が隠されているところがあるので,それらを探し回ってみるのも面白そうだ |
また,本作には昼夜などの時間経過の演出もある。というと,そこまで珍しいものではないと思うかもしれないが,本作では時間によってモンスターが凶暴になったり,天候や地域の温度,湿度が変化したりといったリアルタイムでの環境変化が存在する。そうした変化は,マップ画面でもデータとして確認できるのだ。
一般的にマップ画面と言えば,街やフィールドの情報を確認するものというイメージだが,本作では先述した環境変化や太陽の動き,さらには地下水量や資源情報までも確認できるようになっている。これだけを見ていると,MMORPGというより,環境シミュレーションのような印象を受けてしまうほどだ。もしかしたら,ある地域で魚を捕りすぎて水産資源が激減したので,プレイヤー同士が話し合って漁獲量を制限しよう……といった話し合いが起こるかもしれない。
さて,高クオリティなグラフィックスで,世界の有り様を楽しめることが魅力の本作だが,それだけにスペックの高いPCが必要になる。3月19日にティザーサイトで公開された必要/推奨動作環境は以下のとおり。
必要動作環境 | 推奨動作環境 | |
OS | Windows7以上 | |
CPU | Intel Core i3 | Intel Core i5 |
メモリ | 4GB RAM | 6GB RAM |
グラフィックカード | GTS 250 / GeForce 9800 GTX Radeon HD 3870 X2 | GTX 650 / GTX 550Ti Radeon HD 7770、6770 |
HDDの空き容量 | ダウンロード時に約17GB、インストール後に約18GB(合計約35GB)が必要です。 | |
Direct X | Direct X 9.0c以上 |
もちろん快適に遊びたいと思えば,推奨動作環境を満たしたPCをオススメしたいところだが,今回掲載しているスクリーンショットは,推奨動作環境に若干届かないレベルのものだった。それでも本稿で掲載したスクリーンショットのようなグラフィックスでのプレイは可能だ。
ただ,最高レベルのグラフィックス環境で本作を堪能してみたくなるのも正直なところ。その場合,フレームレートが下がることを承知でオプションを調整するか,推奨動作環境以上のスペックを持つPCを用意する必要がでてくるだろう。プレオープンテスト,そしてその先の展開に向けて,自身のPC環境をチェックしておきたいところだ。
ゲーム序盤はチュートリアルでしっかりフォロー。独自システムの「知識」と「行動力」が新鮮な楽しみをもたらす
かつての古代文明を栄えさせたとも滅ぼしたともいわれている「黒い石」。資本と商業の国「カルフェオン」と,絶対王政の国「バレンシア」は,両国の間の砂漠に数多く眠る「黒い石」を巡り,争いを続けていた――。
そんなバックストーリーの世界で,プレイヤーは記憶を失った冒険者として目を覚まし,彼に取り憑いている(?)謎多き存在「闇の精霊」の導きで古代文明の謎を追っていくこととなる。この「闇の精霊」は,本作のストーリー上で重要なキャラクターとなっているようだ。
「黒い砂漠」をサンドボックス型のMMORPGとして説明したが,本作にもちゃんとストーリーは用意されていて,とくに序盤はストーリーに沿ったチュートリアルクエストが展開されていく。基本的な操作や各コンテンツの遊び方を学ぶことができるので,最初はできるだけ街の人や闇の精霊の忠告に従ってプレイすることをお勧めしたい。
チュートリアルは地面に描かれたルートに沿っていけば,迷わずに進められ,目的地への自動移動にも対応している。当初は自分の足(操作)で歩きたいと思っていたのだが,移動しながら周囲の美しい景色を見わたすのもアリじゃないだろうかと思えてきた |
前述のマップ画面もそうだが,システムグラフィックスやリングコマンドは,ファンタジーベースのゲームとは思えないスタイリッシュさでカッコイイ |
このチュートリアルを通して,ゲームの操作方法からバトルの手ほどきまでしてもらえるのだが,そのときに「黒い砂漠」ならではのシステムも浮かび上がってくる。それが「知識」と「行動力」だ。
「知識」は本作のキーとなるシステムで,プレイヤーキャラクターの行動がすべて「知識」として蓄えられていく。村で交流した人たちの「知識」は人脈として残り,誰かの知り合いであれば,共通の話題が生まれるかもしれないわけだ。戦ったモンスターから得た「知識」で相手の弱点が判明し,HPバーを視覚化したりといった形にゲーム上で表現されていく。
このように初めて訪れた土地で得た知識は,後々に影響していく大きな資産になるわけだ。この「知識」を蓄積し,どう活かしていくかはプレイヤー次第というのが本作のキモになっている。
もうひとつの特徴である「行動力」は,その名のとおり「特別な行動をする」ときに消費するものだ。分かりやすい例としては採集作業で,草を刈ったり,木を切ったりする際に行動力が減少する。行動力は時間によって回復するが,そのスピードはあまり速くないので,すぐに頭打ちになってしまうだろう。
では,行動力そのものの上限を増やすにはどうしたらいいかというと,ここでも「知識」が関わってくる。というのも,特定条件の「知識」を増やしていくことで,行動力の上限を上げることが可能になっているからだ。
充実した生活感が得られそうな濃密な箱庭世界
今回のプレイでは時間の都合もあり(それでも6時間以上,じっくりと遊んでいる),ある程度のコンテンツに軽く触れることはできたのだが,まだまだその深さを体験できるまでには至らなかった。
というのも,冒険を進めて村や街を訪れ,NPCと話をしているうちに「こんなことができそう」「あれはどうだ」「あそこには行けるのか」など,試してみたいことがいくつも見つかってしまうからだ。ひとつひとつの深さを確かめる以前に,遊びの幅がどこまで広がるのだろうかというボリューム感なので,時間がいくらあっても足りないという印象を受ける。
たとえば,乗馬一つとっても,実際に馬に乗るためには,まずロバを手に入れてからプレイヤーの「調教レベル」をある程度まで上げなくてはならない。次に,ロープを手に入れて野生の馬の生息地まで行き,カウボーイのごとくロープを馬に引っかけたうえでミニゲームをクリアして初めて捕獲に成功する。と,何段階ものステップがあるのだ。それこそ「ここまでやるか」と思ってしまうほど,その作り込みに奥深さが感じとれるだろう。
一方で,良くも悪くもプレイヤーに多くの自由を提供する作品だけに,次に何をすればいいのか迷ってしまうこともあるはず。それぞれのコンテンツの本当の楽しさが体験できるところまで,しっかりとした導線は必要になるだろう。
ともあれ,そうした深ささえ理解してしまえば,「黒い砂漠」は豊富なコンテンツが用意されていて,どれかひとつを極めるようなプレイをしてもいいし,まんべんなく少しずつ楽しんでいってもいい。すべてを遊び尽くすにはいくら時間があっても足りない作品になるが,箱庭のような仮想世界で思うがままに,好きなことをしたいというMMORPGファンには,何ものにも代えがたいタイトルになるのではないだろうか。
「黒い砂漠」プレオープンテスト(CBT相当)
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