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【西川善司】Unite 2015で,馬に乗り,東京を空中散歩して,白猫や美女と戯れてきた話
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印刷2015/04/24 00:00

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【西川善司】Unite 2015で,馬に乗り,東京を空中散歩して,白猫や美女と戯れてきた話

西川善司 / グラフィックス技術と大画面と赤い車を愛するジャーナリスト

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(善)後不覚

blog:http://www.z-z-z.jp/blog/


大盛況だったUnite 2015
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 すでにレポートされているように,2015年4月13日と14日の2日間,東京お台場で,ゲームエンジンUnityのイベント「Unite 2015 Tokyo」(以下,Unite 2015)が行われました。興味深いセッションが数多いカンファレンスでしたが,その展示会場も小ぶりながら面白いブーズがたくさんありました。

 今回は,数あるブースの中から,仮想現実(VR)に注目し,面白VR体験ができる出展をピックアップして,その内容や体験記をお届けしたいと思います。

展示会場の様子。ランチブレイクやアフタヌーンブレイクが長めに取られていたためか,展示会場は多くの来場者で埋め尽くされていた
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VRで乗馬体験「Hashilus」


Hashilusブースの様子。Hashilusはニコニコ超会議2015にも出展の予定とのこと
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 展示コーナーでひときわ異彩を放っていたのは,乗馬のVR体験デモ「Hashilus」(ハシラス)でした。
 もう,ネーミングと機材の見た目だけでその内容が想像できますよね。
 そう,VR対応型ヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)をかぶり,電動乗馬フィットネス器具に乗って馬を走らせる体験……ということで「馬を走らせる」→「ウマヲハシラス」→「Hashilus」というわけです。
 被験者は,VR対応型HMDの代名詞ともいえるOculus VRのRift試作機,いわゆるDK2(Development Kit 2)を装着し,電動乗馬フィットネス器具にまたがります。足を鐙(あぶみ。足を掛ける場所)に乗せ,手綱に相当する器具を手で持って体験準備完了です。

 Hashilusが一般的なVR体験デモと違うのは,「熱いゲーム性」と「複数人同時体験のソーシャル性」が与えられているところです。Hashilusでは一度に二人が体験できるようになっており,ブース出展者の「スタート!」のかけ声とともに,併走者と競走を行うことになるのです。

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 では,どうやって馬を操作するのでしょうか。電動乗馬フィットネス器具が激しく動くので,被験者にゲームコントローラを持たせるわけにはいきません。最悪,転落してしまいますから。なのでHashilusでは,手で持っている手綱を前後に移動させ,その速さに応じて馬が加速する仕組みになっているのでした。
 樹脂製の手綱部は器具に備え付けのものですが,前後に反復動作させるとボタン入力が行われるようにスイッチが付け加えられていて,要は早押しすればするほど(手綱を速く前後移動させればするほど)馬の速度が速くなるわけです。

 なお,乗っている馬の左右移動の操作は不要です。いわゆるコースが決め打ちとなっているジェットコースター型アトラクションなわけですが,前述の手綱操作による連打の加速状況に応じて二頭の馬は抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げていきます。

 ボクも実際に体験してみたのですが(下動画),恐ろしいほどリアルでした。
 確かにゲーム展開としては「馬の運転操作不要」「コースは決め打ち」ではあるのですが,被験者は「上下にうねる谷や山」「左右に曲がりくねる急カーブ」を体験することになり,そのコースの起伏やカーブに連動した動きが電動乗馬フィットネス器具で再現されていました。とくにジャンプ時の浮遊感,着地の落下感,左右の横G(※錯覚と思われる)まで,見事に再現されてたのです。なお,自分の横や後ろにいるライバルの馬の様子も,乗馬状体のまま横や後ろを向けば確認できます。

 体験する前は,「連打だけ」と聞いて「もっと複雑な操作系のほうがいいのでは」と思っていたのですが,体験後に「それは誤りだ」と感じました。VR体験として横G,縦Gを感じまくり,しかも映像世界への没入感が凄いので,いわゆる普通のゲーム操作まで要求されたら多くの人が「難しく過ぎる」とパニックになってしまうはずです。
 VR体験がリッチだと「1ボタン連打でもゲームになる」というのは,VR黎明期の今では,一般来場者までが公平に楽しめるVRゲームの「ちょうどよい落としどころ」という気がしましたね。


 このHashilusは,別々に本業を持つエンジニア達やアーティスト達がオフタイムに制作した,いわゆるインディーズゲーム的な成り立ちで制作されたものだそうです。
 ソフトウェア開発は,フォージビジョンVR事業部の長谷川晴久氏が担当。ゲームエンジンは言うまでもないですがUnityです。そしてグラフィックスはVRイベント「OcuFes」などを手がけるクリエイターの高橋建滋氏が担当しています。そしてVR体験コンテンツとしての全体プロデュースは,プロのマジシャンでありながら最新VR技術にも明るい藤山晃太郎氏が参加されたとのこと。
 このHashilusのVR体験のキモともいえる,「電動乗馬フィットネス器具」はパナソニックの「ジョーバ」そのものなのですが,このジョーバのモーションをホストPCから制御したり,手綱をコントローラとして入力デバイスにしたりする改造はエンジニアの村上修一氏が担当したそうです。プロデューサーを務めた藤山氏のサイトには,Hashilusの開発日記が詳細に書かれているので,興味のある人はそちらを参照してください。

 体験後,プロデューサーの藤山氏に話を聞くことができたのですが,同氏からはVRがまだ黎明期なのにもかかわらず,明確かつ独自のビジョンを持っている印象を受けました。
 彼が手がけるVR体験では「体験中の様子を見て思わずやりたくなってしまうような魅力の提示」を実現することにこだわっているそうです。そのためには,未体験の人に「これでなにが体験できるのか」をネタバレしない程度に見せていくことも重要だとのことでした。

「VRコンテンツは体験している人にしか良さが分かりにくい。だからこそ,VR体験をしていない人にも楽しさが伝わるプレゼンスが重要」と話す藤山氏
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 確かに,多くのVRデモ体験コーナーでは「椅子に座った被験者が,ゲームコントローラを抱えて,大口を開けながら上下左右を見渡す」ような光景が広がっていて,どちらかというと不気味です。今でこそ,HMDというデバイスの見た目の奇妙さで人の目を惹きつけていますが,それがありふれた存在になったときには,人々はその前を素通りしてしまうことでしょう。一般的なゲームであれば,体験していない人にもそのプレイ画面を見せられますが,VRコンテンツの場合はなかなかそうはいきませんからね。だからこそ,藤山氏は「VR体験では,体験していない人も楽しく見ていられる演出」が重要だと言っているわけです。

 Hashilusでは,ジョーバの挙動が,コースレイアウトと巧みにマッチしているように感じられたのですが,あれは何かシミュレーション的なことをしているのかと尋ねたところ,あらかじめプログラムされた動きを再生しているだけとのこと。
 藤山氏はマジシャンということもあって,人の意識がどこに向くのかを予測することに長けており,また同時に人の意識を特定の方向に向かせることにも経験が豊富なため,そうしたノウハウをもとに,緊張感と興奮を盛り込んだ動きになっているとのことでした。

 このHashilusは,もともとはいわば同人プロジェクトだったわけですが,アミューズメント業界に大きな影響を及ぼしたそうで,現在は,複数のバックオーダーを抱えているほど注文がきているとのこと。商業アミューズメント施設では,ハウステンボスの「ゲームミュージアム」に常設アトラクションとして採用されたというから凄いものです(関連URL)。興味と機会がある方はぜひ一度体験してみてください。なお,そこに設置されている「鳥獣ライド」も藤山氏プロデュースの作品だそうです。


超高層ビル群を駆け抜けるVR体験「Unity Coaster 2」


 会場にはHashilusの藤山氏が手がけた作品がもう一作展示されていました。「ある日,突然閃いて作り上げました。まだ,アナログというか手動の部分もあるんですが(笑),Hasilusに優るとも劣らぬ大迫力を感じてもらえると思います。ぜひ,体験してみてください」と強く勧められて,実際に体験させてもらいました。コンテンツ名は,「Unity Coaster 2」です。

 内容としては,現実にはありえないほどのダイナミックな高低差ライドが楽しめるバーチャルジェットコースター体験デモになっています。Hashilusとは違ってゲーム要素はなく,基本的には「乗って見る」だけの「受け身」の体験となるわけですが,そこはそれ,藤山氏がプロデュースした作品なので,一手間,いや二手間以上が加えられています。

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 まず,被験者はDK2をかぶることになりますが,座らされるのは椅子ではなく,ブランコの上なのです。当然,視界はHMDに覆われてしまうので,両手は命綱的なブランコ両端の綱を握ることになります。被験者が本作内のVR空間で搭乗するジェットコースターは,ブランコ(ロープウェイ?)のような吊り下ろし型なので,VR体験とリアル体験がマッチして没入感が高まります。
 さらにコースの上下起伏,左右カーブに応じてスタッフがブランコを揺らしにかかります。このリアル側のブランコの揺れを被験者はVR体験のコース起伏とシンクロして味わうことになり,体験としてのリアリティはさらにアップすることになるわけです。
 また,「現実にはありえないVRコースターならでは体験」ということで,コース終盤ではレールがなくなって空中に吹っ飛ばされる演出が入ります。VR空間で放り出された被験者は,危機一髪,着地地点付近に復活したコースレールに着地するわけですが,そのときに,これまたスタッフの手によってリアル側のブランコの綱が一段,ガクンと瞬間的に下げられるのです。被験者は長く続く,リアルブランコの上下左右の揺れには慣れてきているわけですが,突然の「ガクン」には「ぎゃあ」とビックリするわけです。

 この「リアルブランコに座らせる」という演出や「ブランコを揺らしたり落としたりする」工夫は,体験中の被験者を見ているだけでも楽しめますし,藤山氏ならではのアイデアといったところですね。
 もちろんボクも実際に体験してみたのですが,想像以上の爽快感が得られました。

筆者も体験
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ブランコの揺らし具合はそれほど強くはないのだが,被験者はバーチャルな「G」を感じまくる
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 ジェットコースターのコースは,東京タワーやスカイツリー,新宿都庁庁舎などの東京名所のランドマーク達の間をかすめるように敷いてあり,高度はもはや航空機が飛行する高さです。足元を見れば背の低い建物はマッチ箱レベルの大きさに見えます。そこから,これまた航空機レベルの速度で落下したり駆け上ったりするのですから,迫力満点です。
 また,VRらしいコース取りとして,狭い窓からオフィスビル屋内に飛び込んでそのまま駆け抜けていくような演出もあって笑わせてくれます。Hashilus同様,このVR体験でもサーキュレータから風を当てられるのですが,この風も心地よかったですね。

 体験前に,スタッフの方がほかの体験者が乗るブランコを揺らしたり,ブランコを落とす様子は見ていたのですが,HMD越しに見る高低差と湾曲度激しいVRシーンと一緒に体験すると,とんでもなく振り回されているような疑似体験になります。この「スタッフの手で(手動で)動かされている」部分を機械化できたら,Hashilusと同じく,アミューズメント施設への導入もあるかもしれませんね

コースターが飛び出し,着地する際の「ブランコの高さダウン」演出の瞬間。恐怖と興奮のあまり,思わず唇がとんがる筆者
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 このUnity Coaster 2は,Hashilusとは別のエンジニア,iWorksの田所広行氏の手によって開発されており,実は,後ろでブランコを揺らしていた人物こそが田所氏でした。
 ちょうど,ブランコ揺らしから解放された休憩時間(笑)に田所氏に話を伺えたのですが,このUnity Coaster 2,なんとグラフィックスからサウンドも含めてすべて田所氏一人で開発されたのだそうです。本作は「2」ということで,すでに「1」もあり,「1」はDK1用に開発された作品(後にDK2にも対応)だったそうです。「2」は,DK2用に新規開発された作品とのことでした。

実は,手動でブランコを揺らしていたのが制作者の田所氏本人だった!
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 実は田所さんの本業は,某大手電機メーカーのソフトウェアエンジニアで,業務で超大型建機の訓練用シミュレータをUnity上で開発しているそうです。その経験をもとにUnity Coasterシリーズを開発されたようです。

 余談ですが,田所氏は,シャープのパソコンであるX68000ユーザーで,ボク自身も長年執筆をしていたシャープ系パソコン専門誌「Oh!X」にプログラム投稿採用経験がおありとのこと。しかも,その某大手電機メーカーとやら(笑)も,自分の前職場だったりしたので――在籍中,お互いの面識はありませんでしたが――つい懐かしくて昔話を話し込んでしまいましたよ。
 ちなみに,Unity Coaster 2も,ニコニコ超会議2015にも出展されるほか,秋葉原のマウスコンピューター直営店「秋葉原G-Tune Garage」でも体験できるので,一度試してみることをお奨めします。

Unite 2015の各所VR体験コーナーには,Unite 2015の協賛企業でもあるマウスコンピューターの製品が使われていた。HashilusやUnity Coaster 2を動かしていたのは,G-Tuneブランドのゲーマー向けノートPC「NEXTGEAR-NOTE i5702SA1」
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大人向けで有名なILLUSIONの男のロマン系VR体験デモ


 ILLUSIONといえば,「大人向け」のゲーム開発スタジオとして有名です。ただ,Uniteというイベントでは,そちら系のコンテンツは展示できないため,ブースで展示されていたUnityエンジンベースのILLUSION製のVR体験デモ達はどれもマイルドな内容になっていました。

ブーススタッフ達はほぼ全員が「ネクタイに黒背広」姿で,とてもマジメな出で立ちで統一されていた。それが「逆に怪しさ満点」だったとは本人様達には伝えらず(笑)
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 ボクが体験できたILLUSION製VRデモは二つ。
 一つは,Samsung Electronics(以下,Samsung)製のスマートフォンである,Galaxyを合体させることでVR対応型HMDとなる「Gear VR」を活用した縄跳び「Gearなわとび」でした。
 回転する縄跳びにつまずかないように,ボタンを押してタイミングよくキャラクターをジャンプさせるだけの内容で,「それ,どこが面白いんだよ」と言われてしまいそうですが,ジャンプさせるキャラクターが,水着姿のセクシー女優「上原亜衣さん」ということになれば,話は変わってきます(笑)。

 登場する上原亜衣さんのモデリングデータは,ご本人をデジタル3Dスキャンして制作されたものだそうです。ちなみに,この3Dモデルは,イリュージョンが販売する,実在セクシーモデルといろいろな体験が楽しめちゃうそちら系のゲーム「PLAY GIRLS」用のものとのこと。

 ボクも実際に縄跳びに挑戦してみました。うまく縄跳びを続けていると,上原のいいろんな部分が揺れまくります。しかし,縄跳びの綱が引っかかると,上原さんがあられもない姿で倒れてしまい,もっとムフフな光景が広がるのです。縄跳びに失敗したほうが報酬効果が高いので,プレイしているうちに,縄跳びを成功させればいいんだか,失敗すればいいんだか,分からなくなってくる不思議なゲームでした(笑)。

この縄跳びゲームは,Galaxy側に内蔵されたカメラでリアルタイム撮影された現実世界の情景にゲームCGが合成されるシステムになっているので,VRというよりはMR(複合現実)とかAR(拡張現実)の体験といった風情。自分の部屋でこのゲームを実行すれば,自分の部屋で上原亜衣さんが飛び跳ねたりこけたりする姿が楽しめる……というわけだ。ムフフ
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 二つめはDK2を使った一人称型シューティングゲーム(FPS)でした。「え? ILLUSIONがFPS?」と思った人もいるかもしれませんが,大丈夫です。期待を裏切ったりはしません。
 プレイヤーが持つのは水鉄砲で舞台は南国ビーチ。狙う相手は逃げ回る水着美女です。水鉄砲の水を当てればスケスケになるかと思ったら……なりません。Unite出展にあたって表現自粛がなされたようです(笑)。

 こちらも実際に体験してみました。
 頭部の動きで視点操作,持たされたゲームコントローラで移動や射撃をする……という,FPSをオーソドックスにVR対応化した作りですが,内容や設定はともかく,普通にゲーム性が高くて熱くなれます。えっと「内面」がですよ(笑)。
 両デモとも,確かにセクシー度は骨抜きにされていましたが,「男のロマン」のようなものは十分に再現されていたように思います。そちら系のVRゲームには今後も期待大ですね。

嬉しそうな筆者。別に喜んでいるわけではなく,技術的な部分に感心しているだけです。帰宅後,PLAY GIRLSをネットで検索したりはしてません! 
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早くも「Gear VR Inovator Edition for S6」を体験


 Unite 2015で,Oculus VRは別室にてブース出典をしており,ここではGear VRと,予約制でRiftの第3試作機「Crescent Bay」の体験ができるようになっていました。Crescent Bayについては,ボクはGDC 2015などですでに体験済みなので(関連記事),別にいいかなと思っていたのですが,発表されたばかりのSamsungのGalaxy S6およびGalaxy S6 edge対応版「Gear VR」である「Gear VR Innovator Edition for S6」は予約なしで体験できるとのことだったので,こちらのほうを体験してみました。

Oculus VRブース。Crescent Bayの体験は事前予約制を取ったために混乱はなし
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「白猫VRプロジェクト」
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 体験できたのはスマホで大人気のゲーム,「白猫プロジェクト」のVR対応版「白猫VRプロジェクト」でした。

 白猫プロジェクトは,日本におけるUnityベースのゲーム開発成功事例の代名詞的存在の一つとなっていますが,2015年1月には,そのRift対応版「白猫VRプロジェクト」が無料公開されました。今回,ブースで体験できたのはそのGearVR版になります。

 この日の朝に行われたOculus VR日本支部のPartner Engineering Specialistである井口建治氏によるセッション「VRコンテンツ開発の勘所」にて,ちょうどGearVR版白猫VRプロジェクトの移植ポイントが解説されていたのでグッドタイミングの体験となりました。

セッションでは,Oculus Rift版の白猫VRプロジェクトをGeaVrに移植した際のポイントについて解説がなされた
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 Rift版では,主人公キャラクターの後方上方に設置されたカメラがキャラクターの動きについてくるという視点制御でしたが,GearVR版では,主人公キャラクターからさらに離れた位置にカメラを配置し,主人公キャラクターの位置が画面中心領域から外れるとカメラが遅れて追従する制御にしたとのことです。このほうが,3DゲームやVRに慣れていない人でも酔いにくいのだとか。

筆者も体験!
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 ボクは3Dゲームで酔った経験がないので,「酔いにくい,酔いやすい」の差はよく分からなかったのですが,なんとなく,GeaVR版はリアルタイムストラテジーゲームをプレイしている気分に近いと感じました。GearVR版は,カメラがかなり後方の高いところに浮いている関係上,被験者は頭部を正面に静止させた状態でも主人公キャラクターの周辺を広い範囲に見渡せてしまいますから,頭部をほとんど動かさずにプレイすることになります。「これをよし」とするかは判断の分かれるところでしょう。

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ほとんどこの姿勢で静止したままプレイできる。ただ,VRの楽しさである没入感という意味では大画面でプレイしているのと変わらない印象
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一応,こんな感じで後ろを振り向けば,そっちの情景も見られるが,殺伐とした背景が見られるだけで,あまり意味がない

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ブース内にはサムスンのGalaxy S6の実機展示コーナーも。「Gear VR Innovator Edition for S6」は4月23日から購入受付が始まるとのこと
 やはり,VRの醍醐味は没入感ですし,頭部を前後左右に回して楽しみたいという衝動に駆られますからね。
 まぁ,現実的には「酔いやすい人は俯瞰視点で」「没入感を楽しみたい人は後方視点で」という選択式にするか,レースゲームの視点切り替えみたいに,プレイ中,リアルタイムに切り換えられるようにするのが理想なのかもしれません。


 というわけで,Unite 2015は,VRの最新動向を追いかけている自分にとって,とても大きな収穫のあったカンファレンスでした。来年の開催も楽しみです。

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ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンによるイメージキャラクター「ユニティちゃん」グッズを扱う物販コーナーも出店されていた。筆者も限定モデルとなるユニティちゃん柄のモバイルバッテリー「Cheero Energy Plus 12000mAh」を購入して,リアルユニティちゃんと記念撮影
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■■西川善司■■
テクニカルジャーナリスト。最近「The Order 1886」をプレイしてクリアした模様。世間の評判は芳しくないようだが,かなり楽しめたそうだ。とくにグラフィックスは秀逸で,物理ベースレンダリングのベンチマーク的存在になっているといえそうとのこと。ただ,予想していたよりも半獣が出てこなかったのが残念と言えば残念だったとぼやいていた。
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