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「S.T.A.L.K.E.R.」開発の権利をドイツのbitComposer Entertainmentが取得。ゲームの詳細は近日中に発表される見込み
bitComposer Entertainmentという社名は聞き慣れないという人も多いと思うが,同社は2009年にフランクフルト近郊で設立された新興のパブリッシャで,これまで「Jagged Alliance」シリーズの版権を買い取るなどして成長を見せている中堅どころである。「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」のドイツ国内での販売を担当していたりもする。
同社役員のステファン・ワール(Stefan Weyl)氏は,プレスリリースの中で「このライセンス取得は,bitComposer EntertainmentがAAA級タイトルを掲げて国際的な知名度を上げるための布石になるはずだ」とコメントするなど,このフランチャイズに大きな期待を寄せているようだ。
「S.T.A.L.K.E.R.」は,ロシア国内外で著名なストルガツキー兄弟の小説「ストーカー」(原題:路傍のピクニック/本国で1972年に出版)をベースとしたゲームシリーズ。ちなみに同小説は,1979年には巨匠アンドレイ・タルコフスキー監督により,映画「ストーカー」が制作され,ソビエト時代後期の映画作品の中でも突出した評価を得ている。
1991年に兄のアルカジイ氏,2012年11月に弟のボリス氏がそれぞれ他界しているが,bitComposerはボリス氏の存命中に契約に至ったらしく,今回のプレスリリースの中でもボリス・ストルガツキー氏に対する感謝の言葉が述べられている。
少しややこしい話だが,これまで多くのファンを獲得してきたGSC Game Worldの「S.T.A.L.K.E.R.」は,同社の経営悪化や人材流出によって,その続編の開発が暗礁に乗り上げている(4Gamerでも何度か取り上げてきた)。業を煮やしたGSC Game Worldの元従業員達は,新たにVostok Gamesを立ち上げ,その“精神的な続編”となる「Survarium」を,Free-to‐Play型のオンラインシューティングとして開発中である。
とはいえ,GSC Game Worldもまだ完全には閉鎖していないようで,先日公式サイトが1年2か月ぶりに更新(http://www.gsc-game.com/)された。そこで同社は,bitComposerのライセンス取得に法的根拠はなく,GSC Game Worldと,同社社長のセルゲイ・グリゴロビッチ(Sergey Grigorovich)氏が唯一の「S.T.A.L.K.E.R.」ゲーム化権の保有者であると主張している。今後は訴訟問題などへと発展していく可能性もありそうな雰囲気である。
このような状況のため,bitComposerのライセンスは,GSC Game Worldの「X-Ray Engine」などのアセットを含むものではなく,GSC Game Worldとの関係がこのままなら,過去の「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズ作品とは異なるゲームエンジンで開発が行われるはずだ。
どこが開発するのか,またどんなジャンルになるのかも現時点では不明だが,bitComposerはドイツ国内での「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Call of Pripyat」の販売も担当し,ドイツだけで30万本のヒットになるほどの根強いファンベースを持っている。おそらく,前作から大きく逸脱するような作品にはならないだろう。
アメリカ産のFPSとはまったく異なるタッチの「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズは,日本でも一定のファンを獲得している。bitComposerはその詳細を近日中に発表するとのことなので,続報に期待しておきたいところだ。
bitComposer Entertainmentのプレスリリース
- 関連タイトル:
S.T.A.L.K.E.R.
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