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Tegra K1搭載のゲーマー向け8インチAndroidタブレット「SHIELD Tablet」,10月10日に国内発売
メーカー想定売価は4万〜4万5000円(税別)になるとのことで,単純計算した税込価格は4万3200〜4万8600円となる。
Wi-Fi Direct&USBワイヤード接続対応のゲームパッド「SHIELD Wireless Controller」と,スタンドにもなるカバー「SHIELD Cover」もやはり10日発売予定となっている。こちらのメーカー想定売価は順に,8000〜9000円程度,4500〜5000円程度(いずれも税別)とされているので,単純計算した税込価格は,8640〜9720円程度,4860〜5400円程度だ。
SHIELD Wireless Controller |
SHIELD Cover |
本体サイズは221
SHIELD Tablet最大の特徴は,採用された仕様の多くがゲーマー向けのものになっていること。具体的には,SHIELD Tabletを使うと,「ただAndroid用のゲームアプリをプレイする」以外に,ざっと挙げただけでも,以下のようなことが行えるのである。
■GameStream
現時点では,120タイトル以上のPCゲームがGameStreamに対応しているとのこと。発表会場では,「GeForce GTX 980」搭載PC上で動作している「GRID 2」をGameStreamを使ってSHIELD Tablet上でプレイするデモが披露されていた。
配信されたゲーム画面の解像度は1080p(1920×1080ドット)とのことで,PCで見るのと遜色ない映像をタブレット側に表示していたのには驚かされる。
GRID 2を動作させているホストPC(左)と,GameStreamでそれをプレイしているSHIELD Tablet(右)。ゲームの種類にもよるだろうが,遅延でもどかしい思いをすることはなかった |
■ShadowPlay
SHIELD Tabletのインカメラは,約500万画素という高いスペックを備えているが,これは自撮り映像付き配信を考慮して,一般的なタブレットよりも高解像度なものを選択したためとのことだ。
ShadowPlayによるTwitchライブ配信のデモ風景(左)。右写真が配信中の映像で,配信映像右下にインカメラによるプレイヤー自身の顔が表示されている。 |
録画映像のビットレートは,ゲームをプレイ中にSHIELD Tabletの画面上でも調整できるとのこと。具体的なビットレートの数値は確認できなかったが,ストレージ容量の差も考慮して,PC用の「GeForce Experience」に統合されているShadowPlay機能よりは低いビットレートでの録画になるとのことだった。
なお,現状では,生配信に対応する動画配信サービスはTwitchのみである。ただ,地域ごとに利用される動画配信サービスに違いがあることも理解されており,地域のニーズに合ったサービス――たとえば,日本ならニコニコ生放送――への対応も検討されているとのこと。NVIDIAによる対応に強く期待したい。
■Gamepad Mapper
Androidのタッチ操作に最適化されたゲームタイトルをSHIELD Wireless Controllerでプレイできるよう,操作をマッピングする機能。複雑なスワイプ操作をボタン1つに割り当てることもできるので,場合によっては指で操作するより便利かもしれない。
■Console Mode
なお,1台のSHIELD Tabletには,同時に4台までのSHIELD Wireless Controllerを接続できるという。ゲーム側の対応も必要だろうが,プレイ途中で他のプレイヤーがSHIELD Wireless Controllerをつなげてゲームに途中参加するといったこともできるようだった。複数人で1つのゲームをプレイするようなときには,Console Modeの機能はとくに役立ちそうだ。
SHIELD Tabletにプリインストールされたアクションゲーム「Trine 2」を,Console Modeで大画面テレビとつないだSHIELD Tabletでプレイしている様子(左)。そこにもう1人のプレイヤーが,SHIELD Wireless Controllerを持って参加すると(右),画面上にも追加プレイヤーがキャラクターを選択する画面が表示されていた |
それに対してNVIDIA自社ブランド初のAndroidタブレットとなるSHIELD Tabletでは,そういったTegra Note 7の基本仕様を踏襲しつつ,NVIDIA自社ブランドの製品らしく,ゲーム用途に特化してきたというわけである。
SHIELD Tablet付属のスタイラス(左)。ここにも小さくSHIELDのロゴがプリントされていた。スタイラスは本体上部に収納可能だ(右) |
別売りで提供されるSHIELD Wireless Controllerは,低遅延のWi-Fi Direct接続でSHIELD Tabletと,USB Micro-B経由のワイヤード接続ではSHIELD TabletおよびPCで利用可能。基本的には「SHIELD Portable部のゲームパッドを独立させたもの」だが,SHIELD Portableのように液晶パネル部が蓋になるという物理的な制約がないため,ボタンやスティックのレイアウトは据え置き型ゲーム機のそれと同じ雰囲気になっており,窮屈さは感じない。
また,本体中央手前側に静電容量式のタッチパッドが用意され,カーソルによるSHIELD Tabletの操作が可能になったのも注目すべき点といえるだろう。海外取材時のデモでSHIELD Portableを使ったとき,どうしてもマウス操作が必要な局面において,いちいち画面をタッチする必要があったのを存外に不便だと思っていたのだが,SHIELD Wireless Controllerであれば,その問題から解放されるわけで,この点は大いに歓迎したい。
Tegra K1のパワーでPCゲーム並みのAndroidゲームが可能に
技術的な側面から,その根拠を説明したTegraソリューション部 SHIELD ビジネスマネージャーの山田泰水氏は,KeplerアーキテクチャのGPUコアを採用したことをその理由に挙げた。単にグラフィックス性能が向上しただけでなく,デスクトップPC向けGPUと同じアーキテクチャを採用したことでOpenGL 4.4やDirectX 12といった最新のAPIにも対応可能となり(※Android OS自体は,まだこれらに対応していない),「PCクラスのゲームを移植することが容易になった」ことが大きいというわけだ。
また,専用ゲームパッドとして用意されたSHIELD Wireless Controllerは,一般的なBluetooth接続のゲームパッドと比べて半分という低遅延を実現しており,SHIELD Tabletでのゲーム体験向上に一役買っていると主張する。
ちなみに,SHIELD Tabletに最適化されたゲームタイトルはすでに14タイトルあるほか,コントローラ対応が確認されたゲームも400タイトル以上あるとのことだ。
また,発表会ではゲーム以外の特徴として,付属スタイラスとプリインストールのイラストアプリ「Dabbler」(ダブラー)によるイラスト作成もアピールされている。ステージには絵を描くことが趣味という女優の八木のぞみさんが登壇。実際に彼女がSHIELD Tabletで描いたというイラストが披露された。
Dabblerでは色を作るときに,実際の絵の具を混ぜる動作を模しているため,パレットに色を置いてペンで混ぜるような操作で色を作れることが楽しかったと評していた。
ゲストとして登壇した八木のぞみさん(左)と,Dabblerで八木さんが描いたという沖縄の海をイメージしたイラスト(右)。写真では分かりにくいが,水彩画のような淡い色彩が多用されている |
さっそくSHIELD Tabletでゲームをプレイしてみた
イベント会場には,複数台のSHIELD Tablet実機が置かれ,実際に触ることができるようになっていた。上で紹介したゲーム関連機能のうち,「Gamepad Mapper」だけは残念ながらデモがなかったのだが,それ以外は実機で体験してきたので,順に,ムービーと合わせ,そのインプレッションをお届けしてみたい。
■GameStream
GameStreamのデモでは,「Titanfall」など,複数のゲームが用意されていたが,今回テストに用いたのはGRID 2だ。シビアな入力が求められるクルマ系タイトルでは,遅延が分かりやすいのではないかと思ったのだが,ぱっと触ってみた限りは,まったくと言っていいほど違和感がなかった。ゲームに夢中になるあまり,プレイし終えたところで「そういえばこれってストリーミングだったっけ」と思い出したほどだ。
横に比較対象機を置いて厳密に比較したわけではないが,テレビに映る映像も,「いかにもビデオ」なノイズなどはなく,快適。もちろん,テレビに映さず,SHIELD Tabletの画面にゲーム画面をストリーミングしてプレイすることも可能なので,寝っ転がりながらオンラインRPGなどをプレイするのがクセになりそうな予感もある。
説明員によると,GameStreamは,USB−LANアダプター経由の有線接続時に1920×1080ドット,無線LAN接続時には1280×720ドットでの配信になるとのことだった。
■ShadowPlay&Twitch
今回は「Bomb Squad」というAndroid用ゲームタイトルを用いたが,配信とのタイムラグは,PCなどでTwitchの生配信を使うときと変わらない印象だ。ざっくり10〜15秒程度,といったところか。
なお,半ば余談気味に続けておくと,Bomb Squadはいわゆるボンバーマン系タイトルで,デジタルボタンを押している長さによって投げる爆弾の飛距離が変わるため,ボタン操作の微妙な使い分けが必要なのだが,SHIELD Wireless Controllerの操作感に違和感がないため,すぐ慣れることができた。このあたりはさすがNVIDIAといったところか。
■Console Mode
なお,Trine 2はSHIELD Tabletにプリインストールされており,英語音声,日本語字幕で,物理シミュレーションの有効な世界でのアクションパズルを楽しめるゲームになっている。
Trine 2はビジュアルパッドでの操作にも対応しているのだが,シビアなタイミングでのジャンプ操作が必要だったりするので,先に進んでいくと,ゲームパッドでないと相当苦しいのではないかと感じた。その意味では,別売りではあるが,SHIELD Wireless Controllerはやはり必要という印象だ。
Tegra K1の高性能を武器として,ゲーム用途に特化したSHIELD Tabletは,会場で試用した限りでは,ゲーマーの期待に応えられる製品として仕上がっているように思えた。かくいう筆者(小西)はすでに予約を済ませており,10日の発売日が待ち遠しくてならない。LTEモデルの発売が未定であるのは残念だが,今後登場してくるであろうリッチなグラフィックスのAndroid向けゲームを楽しみたい人なら,導入する価値があるのではないだろうか。
●SHIELD Tabletの主なスペック(※一部筆者推測)
- OS:Android 4.4(KitKat)
- ディスプレイパネル:8インチIPS液晶,解像度1920×1200ドット
- プロセッサ:NVIDIA製「Tegra K1」(4-PLUS-1「Cortex-A15」+「GK20A」,最大CPU動作クロック2.2GHz)
- メインメモリ容量:2GB
- ストレージ:内蔵(容量16GB)+microSDXC(最大128GB)
- アウトカメラ:有効画素数約500万画素(オートフォーカス対応,HDR撮影対応)
- インカメラ:有効画素数約500万画素(HDR撮影対応)
- ペン入力:対応(DirectStylus 2,スタイラスは本体側ホルスターに搭載)
- バッテリー容量:19.75Wh
- バッテリー駆動時間:高解像度ビデオ再生時に最大10時間
- 無線LAN対応:IEEE 802.11a/g/n(2x2 MIMO,2.4GHz&5GHz対応)
- Bluetooth対応:4.0 LE
- 本体サイズ:221(W)×126(D)×9.2(H)mm
- 本体重量:約390g
- そのほか搭載インタフェース:HDMI Mini Type C(HDMI 1.4a対応),USB Micro-B,3.5mmミニピン(アナログヘッドセット対応)
- 搭載センサー:GPS,GLONASS,9軸(加速度,コンパス,ジャイロ)
- 主なゲーム関連機能:GameStream,ShadowPlay,GRID Cloud Gaming Beta,Console Mode,Gamepad Mapper,Tegra Zone
- 主なプリインストールアプリ:Trine 2,NVIDIA Dabbler,Multi language Handwriting Recognition,JusWrite,Write,Evernote,Adobe Reader,Camera Awesome
SHIELD Tablet 製品情報ページ(英語)
Tegra K1 製品情報ページ
(発表会レポート:小西,体験レポート:Orecchi)- 関連タイトル:
SHIELD
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