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「クリスタリウム」はこうして作られた。「FFXIV ファンフェスティバル in 東京」の「開発パネル」やアクティビティなどをまとめてお届け
軽くおさらいをすると,23日の基調講演では,「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」(PC / PS4 / Mac。以下,漆黒のヴィランズ)の舞台となる「第一世界」や,追加される新ジョブ,新種族などが発表。
24日には「第50回FFXIVプロデューサーレターLIVE」(以下,PLL)が行われ,「ファイナルファンタジーXV」とのコラボイベント日程や「漆黒のヴィランズ」リリースまでのパッチスケジュールが明らかになっている。PLLの後半には開発チームの織田万里氏を招いてトークコーナーが行われ,続いて「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」の制作がサプライズ発表された。それぞれの詳細は,以下の記事を参照してほしい。
「FFXIV ファンフェスティバル in 東京」基調講演をレポート。「漆黒のヴィランズ」での舞台となる「第一世界」の都市「クリスタリウム」の姿も
MMORPG「FFXIV」のファンイベント「FFXIV ファンフェスティバル in 東京」が3月23日,24日に幕張メッセで開催された。新種族や新ジョブが発表された基調講演では,ほかにも新たな冒険の舞台「第一世界」,その拠点となる都市「クリスタリウム」など,さまざまな新情報が公開された。それらの内容をまとめて紹介しよう。
「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」発売までのスケジュールをおさらいしよう。第50回PLLをレポート
スクウェア・エニックスは2019年3月24日,幕張メッセで開催した「ファイナルファンタジーXIV」ファンイベント「FFXIV ファンフェスティバル in 東京」にて,第50回プロデューサーレターLIVEを実施した。前半は拡張パッケージ発売までのスケジュールのおさらい,後半は開発チームの織田万里氏が登壇し,トークイベントが行われた。
「劇場版 FFXIV 光のお父さん」の制作発表会をレポート。主演の2人はFFシリーズファン
スクウェア・エニックスは3月24日,「FFXIV ファンフェスティバル in 東京」で,「劇場版 FFXIV 光のお父さん」を6月21日より全国で公開すると発表した。その制作発表会を会場で行った。劇場版でW主演を務める役者の坂口健太郎さん,吉田鋼太郎さんがゲストとして登場した,制作発表会の模様をレポートしよう。
「FFXIV ファンフェスティバル in 東京」コスプレコンテストのフォトレポートをお届け。冒険者やボスキャラクターたちが会場を沸かせた
MMORPG「FFXIV」のファンイベント「FFXIV ファンフェスティバル in 東京」が3月23日,24日に幕張メッセで開催された。ステージイベントの1つで「コスプレコンテスト」も行われ,人気NPCやボスキャラクターに扮したコスプレイヤーがランウェイを歩き,ステージは大いに盛り上がった。
いずれも大盛り上がりのステージだったが,ファンフェス会場ではほかにも,来場したFFXIVファンを楽しませる多くのアクティビティや,バトルチャレンジなどをプレイする場が用意されていた。
本稿では,漆黒のヴィランズでの冒険拠点となる都市「クリスタリウム」の制作秘話や,フィールドや空など世界観をグラフィックスとして表現する過程といった興味深い話が聞けた「開発パネル」ステージの模様をメインにお伝えしたい。記事後半では,まだお伝えしきれていなかったファンフェス会場の各ステージ,スポットも駆け足でお届けしたい。
世界を形作るバックグラウンドアーティスト。高梨佳樹氏と志田雅人氏の経歴を紹介
今回の開発パネルに登壇し講演を行ったのは,バックグラウンド(以下,BG)アーティストの高梨佳樹氏と志田雅人氏だ。
BGアーティストについては「背景を制作する仕事」と説明され,そのなかで高梨氏は主にタウンやイベントマップ,レイド,小物などを制作しているとのこと。一方,志田氏は環境の制作や,テクスチャやライティングのブラッシュアップなど,背景の最終的な見た目を整える作業を行っているという。
吉田氏は2人の仕事を「高梨はポリゴンを用いて世界を形作っていく。志田は環境,光とか雲,空を足して空気感を作るスペシャリストで,同じBGアーティストでもまったく違う」と説明した。
普段はPCの前で仕事をしているという志田氏だが,「たまにイレギュラーというか,面白い仕事がありまして」とサウジアラビアに出張したときの話を始めた。
実のところ,サウジアラビアはなかなか観光ビザが下りない地域だが,「観光客に公開していないところもオープンするから,どこでも行きたいところを言ってほしい」と言われ,せっかくの機会だからといろいろなところを回ってきたのだとか。
ただ,観光地ではないために整備されておらず,移動時には何度も「死ぬかと思った」という吉田氏。一方の志田氏は,地面などの写真を何枚も撮り,また街中でも壁や扉などを撮っていたそうで,「こんな機会はなかなかない。こういう写真は大好物です」と笑いながら話していた。
「第一世界」の「クリスタリウム」制作過程を公開
高梨氏のテーマは,基調講演で初公開された「第一世界」の拠点となる都市「クリスタリウム」の制作だ。最初にタウンを制作するにあたってのフローチャートが公開された。
「1.ラフイメージアート作成」は,吉田氏らとアイデア出しを行い,都市のイメージアートを作成する工程。アートの作成に先立って吉田氏は「クリスタルタワーを中心に,そこを取り囲むように街が形成されている」とスタッフに説明したが,この時点では建築様式などはまだ白紙の状態だったらしい。なので,前述の設定以外は置いておいて,自由にアートを描いてもらったという。
方向性が決まったことで,「2.企画説明と発注」の工程へ進む。タウン制作の作業をするにあたって,シナリオ班から街の設定や要望などを受け取る。
「3.ゾーニング」は,施設などをどの位置に,どれぐらいの大きさで配置するかという街のレイアウトを決める工程だ。
「4.モックアップ作成」は,既存のデータや仮のデータを使って実際に施設を配置していく工程だ。「開発としては絶対見せたくないです」と話す吉田氏に,「(環境などを入れていないために)恥ずかしいですね」と同意する志田氏。
この時点で吉田氏にチェックしてもらったらしいが,その際に「自然物ではなく人工物のイメージだった」とツッコミが入ったそうだ。
クリスタリウムは,光の氾濫や罪喰いに立ち向かう人々を守ることを前提とした都市であるため,「自然物を使った都市ではなく,人工物で作られた街」だと吉田氏は街のイメージを語る。おそらく原初世界のクリスタルタワーの周辺の地形をイメージしてモックアップを作ったために,イメージに齟齬があったのだろうと解説した。このツッコミの結果,街の様子は大きく変わる。左が改修前で,右が改修後のスライドだ。
高梨氏は,シナリオ班からの要望以外の施設や場所を,BG班の勝手な妄想のもとに制作していくこのステップが一番楽しいと話していた。「資料などを理解して,発注外のものを勝手に作るような人は妄想力がすごい。ゲーム業界を目指すなら,ぜひ妄想力を伸ばしてほしい」と吉田氏が続けたが,その結晶がこれらのスライドだ。
タウン制作も半分を超え「5.アート作成」に突入。BGアートセクションに発注書を投げるところまで来たのだが,数日後,皆川裕史氏から待ったがかかった。
実は,吉田氏が思い浮かべるイメージと,モックアップのクリスタリウムとが,どうしてもマッチしなかったのだという。その違和感を吉田氏が皆川氏に伝えたところ,「思い当たるふしがある」と持ってきた資料が,FFXIVのプロジェクトコードネーム「rapture」だった。これは,2005年のE3で公開された映像で,まさに吉田氏のイメージどおりだったそうだ。
ここで志田氏が「(raptureは)制作期間が約4か月で,新しい技術とデザインの研究を目的として制作した映像です。機材のスペックは度外視して,やりたい放題作りました。例えばランプのモデルのなかには,中に電球のモデルを仕込み,さらにその内部にはフィラメントもモデリングして作っています。レンダリングにめちゃくちゃ時間が掛かりましたね」と,当時の制作スタッフのコメントを紹介。それを聞いた吉田氏は「映像作品を作ってるんじゃないんだから,度外視しちゃダメだって!」と,そのやりたい放題ぶりにツッコミを入れていた。
それはさておき,結局モックアップを作り直すことになった高梨氏。そのスライドがこちらだ。
すべての素材とアートが揃い,いよいよ「6.本制作」に入る。内部ではモデリング,テクスチャ作成,オブジェクトの配置作業など,いくつかの工程がある。
左は建築物に使う構造物。「rapture」を踏襲しているため,曲面が多い。右上は山,右下はカボチャと,BG班は大小さまざまなものを作るという |
こうして,長い時間をかけて「7.完成」へ。「4」で公開されたモックアップとは比べるまでもないが,美しい都市が完成した。この街を歩ける日が待ち遠しい。
フィールドに世界の息吹を吹き込む環境制作。エオルゼア世界の原型は現実世界の意外な場所だった!?
高梨氏から志田氏にバトンタッチし,続いて環境の制作についての講演がスタートした。
環境の制作とは,ざっくり言うとタウンやフィールド,ダンジョンに光を当てることで格好良くする工程だ。ライティングによってマップの見た目は本当に変わるので,非常に重要な仕事だと志田氏は説明する。
環境制作にあたり,まずは方向性を決めることになる。新生のときは制作を急いでいたため,環境は分かりやすい色使いで作られていたという。そこで,「蒼天のイシュガルド」では,暗い場所は暗く,明るい場所は明るくとメリハリを付けて,大人の鑑賞にたえられる環境を作りたいということで,吉田氏から「DARK FANTASY!!」という方向性が求められた。
こうしてパッチ3.0全体のテーマが決まり,以降もそれを踏襲していると吉田氏は説明した。そのとき皆川氏に担当を指名されたのが志田氏だったという。
このとき志田氏は自分なりに「DARK FANTASY!!」とは何かを分析。それをまとめたものが以下のスライドだ。吉田氏は,このなかでポイントとなるのは「外連味>物理的に正しい光表現」だと話す。「物理的に正しいものが,絵として面白いとは限らない。それを理解してくれているのはデカい」と志田氏を賞賛した。
これを踏まえて,漆黒のヴィランズの新フィールド「アム・アレーン」の環境の制作と,それらに必要なデータ作成についての説明が行われた。
まずアム・アレーンのアートと,世界設定班の石川夏子氏から受けた説明をもとに,モデルデータを作成する。
ここから冒頭のサウジアラビア出張で得た地面の写真が大活躍する。出張時に撮影した地面の写真をフォトショップで分解してデータに加工,テクスチャとして使用できるように調整する。その上にキャラクターを配置して,さらに調整を進めていくのだ。
フィールドに貼られたテクスチャを見た吉田氏は「手作業で風紋を作るのはほぼ不可能に近い」と説明し,それを受けた望月氏が「サウジアラビアに行かなかったら,どうしていたんですか」と志田氏に質問する。それに対して志田氏は「たぶん,東京近郊,江ノ島の砂浜とかでなんとかしていたと思います」と答えた。
一気にスケール感が小さい話となったと,ぼやくように呟いた望月氏は,そういった例がほかにあるのかと質問を続ける。すると,グリダニアの中央森林は新宿御苑や代々木公園で撮影した画像をふんだんに使っていることや,千葉県銚子市にある海岸線に地層の入った岩壁が続く屏風ヶ浦の写真をギラバニア地方の岩壁に取り込んだことなどを暴露。「中央森林は新宿御苑だった!?」といったツッコミに,会場では笑いが起こった。ちなみに最近は,Googleのストリートビューでデスクにいながら撮影場所のアタリを付けて,実際に写真を撮りに行くようになったという。
脱線した話を戻し,フィールドの制作後は空や雲の制作を行う,と志田氏は説明を続けた。
雲のデータは自分で描くか,写真素材を使うこともあると話す志田氏に,「これはどこの雲か分かりますか」と望月氏が質問すると,「厚みのある入道雲の写真が欲しいなと思ってグアムに行った」という回答が。志田氏によると,思い立ってから10日後ぐらいに,雲の写真を撮るためだけに自費でグアムに行ったらしく,とくに出張だったというわけでもないらしい。
さまざまな苦労を経て制作されたデータに,専用のツールを用いて約90項目ものパラメータを設定。それを制御しながら環境を設定していく。
こうしていくつもの工程を経てフィールドが完成する。最後に吉田氏のチェックが入り,一発OKのときもあれば,追加オーダーがあることもあるという。追加オーダーは印象で伝えられることもあり,アム・アレーンでは「涼しそうなので,もっと気温を上げてほしい」と無茶ぶりをされたそうだ。
「これまでFFXIVはいくつもの砂漠を作ってきたが,おそらくアム・アレーンが最も暑い。陽炎のエフェクトを入れれば暑く見えるんだけど,そうじゃなくて全体的に“この地域を歩いたプレイヤーがめちゃくちゃ暑い”と感じてもらえるようにしたい」と吉田氏は説明。最終的に色味を赤に寄せ,また乾きを表現するために岩の質感などを調整したとのことだ。
最後に志田氏からのおみやげとして漆黒のヴィランズの新エリアのフィールドCGが公開され,開発パネルは終了した。
光の戦士が見て,遊んで,食べた。ファンフェス会場のフロアをまるっと紹介
ファンフェス会場には,来場した光の戦士達が楽しめるアクティビティや,食事が楽しめるフードコート,オリジナルグッズが購入できる物販ブースなど,さまざまなコーナーが設けられていた。それらをまとめて紹介していこう。
●サブステージ/出張!ひろしチャレンジ(23日)
14時間生放送でもお馴染みの「ひろしチャレンジ」が,ファンフェス会場に出張! サブステージ上で,ひろしこと髙井 浩氏が青魔法のラーニングにチャレンジしていた。
●サブステージ/ALIENWARE Presents The FEAST リージョンチャンピオンシップ 2018 Japan ファイナル(24日)
ザ・フィーストの日本チャンピオンを決める大会「ALIENWARE Presents The FEAST リージョンチャンピオンシップ 2018 Japan」の決勝戦がサブステージで開催。Elementalデータセンター代表のArc'irisと,Gaiaデータセンター代表のDark-KnightによるBO5形式による決戦は,Arc'irisが3連勝で優勝を飾った。
●バトルチャレンジ
ファンフェス会場で先行体験となる「スペシャルバトル ヨウジンボウ」を始め,ルーレットで戦う四聖獣が決まる「四聖獣ルーレット」や「極リオレウス狩猟戦」,ダンジョンのクリアスピードを競う「スピードチャレンジ」など,FFXIVで遊ぶコーナーが設けられ,ファンが長い列を作っていた。
●コラボエリア
コラボエリアでは,FFXIVを含めたファイナルファンタジー作品をプレイできた。プレイするとオリジナルグッズがプレゼントされた。
●テーブルゲームラウンジ
ファイナルファンタジーはデジタルだけじゃない,とボードゲーム「ゴールドソーサー くじテンダーパーティー」やTCGを体験できるコーナーも。
●FFXIV リアル謎解きゲーム アラガンダイスクエスト
会場全体に散りばめられたヒントをもとに謎を解いていくリアル謎解きゲームも開催。一筋縄では解けない謎に光の戦士達は頭を悩ませていた。
●グルポスポット
リアルでグループポーズを決めよう! とばかりに,グルポスポットでは,スクリーンショットではなく,スマホなどで記念撮影をするファンの姿が見られた。
●出張エオルゼアカフェ/エオルゼアキッチン
FFXIVをイメージしたフードが楽しめるフードコートは,入場規制が行われるほどの大人気で,多くのファンが料理に舌鼓を打っていた。
●アドレナリンゾーン
実際に身体を動かして遊べるアクティビティが,アドレナリンゾーンに集結。なかでもヘッドマウントディスプレイとアームセンサーを装着し,リアルモンクが体験できる「ハモンの格闘士入門」が注目を集めていた。
●ワンダースクウェア
リアルグッズが入手できるワンダースクウェア。ジョブアイコンが描かれたスーパーボールをすくったり,頭装備(おめん)が購入できたりと,一風変わったグッズを手に入れられるコーナーだ。
●ファンアート展示スペース
「ファンアートコンテスト」で応募されたイラスト,スクリーンショット,クラフトなどが展示され,来場者による最終選考が行われていた。どの作品も力作揃いで,どれに投票しようかと展示スペースを何度も行き来するファンの姿も見られた。
●スペシャル ピアノライブ(23日)
23日のラストは,メインステージでピアノライブが開催され,ファンフェスではもはやお馴染みとなった,ピアニストKeikoさんによるピアノの音色が会場を包みこみこんだ。
なお,24日に開催された「スペシャルライブ-THE PRIMALS-」については,後日記事を掲載する予定だ。こちらもお楽しみに。
「ファイナルファンタジーXIV」公式サイト
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