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「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた
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印刷2022/08/09 12:00

インタビュー

「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた

 スクウェア・エニックスは,MMORPG「ファイナルファンタジーXIV」PC / PS5 / PS4 / Mac)において,2022年8月下旬にパッチ6.2「禁断の記憶(メモリア)」を実装する予定だ。

画像集#003のサムネイル/「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた

 このパッチでは,メインクエストのほか,新たな討滅戦やレイドダンジョン,少人数で挑戦できる新バトルコンテンツ「ヴァリアントダンジョン」「アナザーダンジョン」,武器強化クエスト「マンダヴィルウェポン」,ギャザラー向けの友好部族クエスト「オミクロン族」,ソロ特化の新コンテンツ「無人島開拓」など,さまざまなコンテンツが実装される。

 今回,これらパッチ6.2の気になる内容について,本作のプロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏(以下,吉田氏)に話を聞いた。なお,新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大防止のため,インタビューはZOOMを使用しオンラインで行っている。

画像集#001のサムネイル/「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた

―――2022年7月19日収録



盛況のDCトラベル。同時に実施されたワールドリグループによる影響は?


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。パッチ6.2のお話の前に,7月5日のパッチ6.18で実装されたばかりのデータセンター(DC)トラベル()の現状について教えてください。実装直後はさすがに混雑して,移動に時間がかかっていた印象です。

※プレイキャラがDC間を移動できる新システム。FFXIVでは,各国をまとめたリージョン(日本/北米/欧州/オセアニアなど),リージョン内の各DC,DC内のワールド(サーバー)と,それぞれにグループが分かれており,これまでは同一DCのワールド間のみ移動が可能だった

吉田氏:
 そうですね。移動のリクエストが集中したことと,移動用のチェック処理がガチガチだったため,負荷になっている要因もありましたが,そこはすでに対応して綺麗に解消しています。今は最高のピークタイムに突入したとしても,移動にかかる時間が1分半程度になっています。加えて,移動件数の1日あたりのリクエストは全然減っていないのですが,時間がバラけていることもあり,非常に安定している状態です。

画像集#004のサムネイル/「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた

4Gamer:
 プレイヤーの皆さんからは,やはり喜びの声が多いですか?

吉田氏:
 ワールドリグループと重なって,コミュニティの皆さんにはご迷惑をおかけする形になったのですが,DCトラベルが実装されて気軽にいろんなDCに行って遊べるし,前のゲームで一緒に遊んでいた人とついに再会できたというスクリーンショットをアップしている人も見かけました。

4Gamer:
 たしかに,SNSで報告している人はよく見ますね。

吉田氏:
 今は海外も含めて,ものすごくコミュニティが活性化している状態なので,本当に良かったです。ロールプレイという意味では各リージョンの壁があるにせよ,同じリージョン内での壁がなくなったことで,また強く1つの大きなコミュニティという形になっていけますし,いろいろな地域に行っていろいろな活動ができるようになるので,可能性も大きく広げられたのではと思います。

4Gamer:
 一方,ワールドリグループによって各DCからワールドが減ったことで,マッチング速度が遅くなったのでは,という意見も見られました。そちらはどうなのでしょう。

吉田氏:
 確かに多少影響はありますが,データとしてはマッチングにかかる時間の誤差は平均30秒とか,その程度です。そもそも今は,日本のプレイヤーの方がよく使われるところでいう“ナギ節()”ですので参考にしづらいかなということもあります。

※最新パッチの実装以降に取れる報酬などを集め切って,次のパッチアップデートを待っている状態。その期間にほかのゲームを遊ぶという人も多い

4Gamer:
 あー,たしかに(笑)。

吉田氏:
 ですから,普段の偶数パッチ()リリース前のマッチング時間とあまり差はないです。さらに今,モンスターハンターの新作が出ていたりと,僕の周りでも「ちょっと狩りに行ってくる」とか多いですし,皆さん別のゲームをやっているタイミングだったりするから,そう感じるだけではないかと思います。

※x.2,x.4といった,いわゆるマイナーバージョンの数値が偶数になるパッチのこと

4Gamer:
 なるほど。

吉田氏:
 ロール間の人口バランスも,リグループ前と現在とで変わってないので,単純にその論理データセンターからワールドが2個減ったとしても,それぞれのロールの比率はワールド数に影響しません。全体のマッチングリクエスト数が単純に減るだけです。ただ,例えば深夜帯にしか遊べない人の数は,と聞かれると,たしかにこれまでに比べ影響はあると思います。
 データを見ている限り,影響があるように見えるのはPvPコンテンツ“クリスタルコンフリクト”のランクマッチです。

4Gamer:
 そうなんですか? クリスタルコンフリクト自体は,盛り上がっているように見えますが。

吉田氏:
 第1シリーズの“シリーズ報酬”をみんな取り終わっていること,“シーズン報酬”がちょっと弱いと言われてるところもあって。加えてランクマッチのシーズン1の終盤に調整ミスがあったこと,報酬の入手条件も仕様に不備があったなど,少しプレイ控えが出ています。そこにワールドリグループでランクマッチへの申請人数が分散したことから,「ランクマッチが日中に周りづらい」というお声があり,確かにデータを見ていても感じています。なので,ここは何かしら手を入れたいと思っているところです。

4Gamer:
 そういったさまざまな問題が起こることも想定した上でのリグループだったと思いますが,そもそもリグループを行った最大の要因というのは,何だったのでしょう。

吉田氏:
 これは以前にも告知にてその意図をお知らせしていますが,1ワールドあたりの同時ログイン上限を,とにかく引き上げるということが最大の目的です。全世界で,1つの論理DCに10個も11個もワールドが詰まっているのは日本しかなく,負荷的には限界を越えて破綻に近い状態でした。これを他のリージョンと同じように1論理DCあたりのワールド数を均等化することで,1ワールドあたりの同時ログイン数を,さらに1500人ほど上乗せできるようになります。

4Gamer:
 それによって,各DCで新規プレイヤーを受け入れやすくなりそうですね。これまでは,キャラクターを作りたいワールドに制限が入っていることも多かったですから。

吉田氏:
 そうです。どんどん新しい人に入ってきてもらって,DC内のワールド数は減ったけど,1ワールドに滞留している人数は以前よりも格段に増え,結果的に論理DC内の同時ログイン人数は前と変わらない,という状態を目指していきます。単純にワールド数が減っても,同時ログインの人数は増えているので,そこをさらに増やしていくというのが,僕らの目指しているところであり,マッチングも早くなっていくというポイントにもなります。

4Gamer:
 今後,DCの壁も取り除くことに挑戦していくのでしょうか。

吉田氏:
 残念ながらデータベースの処理が回らなくなりますし,マッチングに使っているサーバーも,世界最高水準のものを使っても処理が間に合わず,むしろ待機時間が生まれてしまう可能性が高いです。今のところは論理DCに区分けせざるを得なく,別のアイデアが必要になると思っています。


パッチ6.2で再び“闇の世界”へ? 「禁断の記憶」はパンデモニウムの核心を含む


4Gamer:
 前置きが長くなってしまいましたが,パッチ6.2のメインクエストの概要を教えてください。

吉田氏:
 パッチ6.1「新たなる冒険」では,“ほかの世界”という可能性を提示しました。パッチ6.2では「いよいよヴォイドに踏み込んでいくのかな?」という部分に関して,そのご期待に添えるように,ド直球で突っ込んでいきます。何やら知ったような知らないようなキャラクターが……といったところにも,ちゃんとお応えしていきますので,そこをまずストレートに期待していただければと思います。
 もう1つ,レイドコンテンツ「万魔殿パンデモニウム」の第2弾でも,いよいよ起承転結で言う承〜転あたりに入り,核心が深堀りされます。「禁断の記憶」というパッチタイトルは,そこらも含めたものになっているんです。

4Gamer:
 なるほど,メインクエストとレイドの両方にかかっているんですね。

吉田氏:
 どんなキャラクターが出てきて,そこにどんな封じたい記憶や思いがあるのか,というところをなんとなく想像していただけると,より楽しんでもらえるかと思います。

4Gamer:
 先日のPLLで公開された新インスタンスダンジョン(ID)のスクリーンショットでは,まさにヴォイドに踏み込んでいるように見えました。

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吉田氏:
 ヴォイド=第十三世界は,クリスタルタワーシリーズの闇の世界でその一端を見ていただいたと思います。ヴォイドとはどういう構造で,闇の世界とはどのような場所だったのか,といったあたりも納得感があるように作っています。エリアは違いますが,キチンとつながった1つの世界に飛び込んでいたんだ,というところを描く予定です。

4Gamer:
 分かりました。ところで,今回の討滅戦はメインクエストと関係しているのでしょうか?

吉田氏:
 関係しています。ストーリーの新章がスタートしていることもあり,討滅戦のボスバトルを含まないと物語の盛り上げが作りづらいためです。「先にバトル系のコンテンツをバーッとやるか!」みたいな形にはなっていなくて申しわけないのですが,その分,ストーリーが盛り上がるように作っています。今回,零式の実装も1週ほど開きますし,焦ってその日のうちに極武器を取りに行く必要もないので,まずはゆっくりメインクエストをプレイしていただけると嬉しいです。

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武器強化クエストで,マンダヴィル家の強靭な生命力に迫る……?


4Gamer:
 パッチ6.2で実装されるコンテンツは数多くありますが,その中でも驚いたのは“ヒルディブランド”シリーズが武器強化の前提になる点でした。これは事件屋のクエストをパッチ6.2実装のものまで進める必要があるのでしょうか。

吉田氏:
 はい,ヒルディシリーズを全部進めていないとつながらないようになっているので,それが前提になります。ヒルディを進めていけば,自然と始まると思ってもらえれば大丈夫です。

4Gamer:
 武器強化クエストは,ヒルディ自身というより,マンダヴィル家が中心になるのでしょうか。

吉田氏:
 そうですね,マンダヴィル家の謎に迫るというか……ヒルディ自身は,武器にあまり興味がないと思いますが,あの超人さというか,マンダヴィル家の強靭な生命力というか,そういうものに迫ることになるかもしれません。ただし,今回はまだ序章ですので,武器製作のベースは非常にシンプルです。

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画像集#013のサムネイル/「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた

4Gamer:
 デイリーで何かを取りにいくようなクエストになるのでしょうか。

吉田氏:
 いえ,もともと武器強化系クエストのシリーズは,制限をかけずにやりたい人はどこまでも突っ走っていいというようにしてあるので,デイリーの要素は入れないようにしています。
 今回は,いろいろなコンテンツをこなして,アイテムを集めてきてという具合に進みますので,いたってシンプルです。専用のコンテンツを用意してるわけでもないです。

4Gamer:
 分かりました。続いて,友好部族クエストについて教えてください。今回はオミクロン族をベースに話が進むとのことですが,クエストの進行はこれまでと同様のような感じになるのでしょうか。

吉田氏:
 はい,仕組みはこれまで同様と思ってください。今回は,絶望をテーマとして描いてきた地域の周辺にいる部族にフォーカスしています。「暁月のフィナーレ」にも通じる部分ですので,ニュアンスなど(制作の)ハードルが高く,みんなで読み合わせをしてかなり調整してきました。
 ウルティマ・トゥーレにいた絶望によって作られた人達が,絶望というものをどう解釈していくのか。考え方とか,デュナミスの影響で,それが少し変わっていく……みたいな。彼らを救ってあげたいという思いもあるので,集大成っぽい感じになっていますね。ライティング担当者も演出担当者も相当頑張ってくれました。
 パッチ6.0が好きだったという方には,いろいろとアフターストーリー的に楽しめると思うので,ぜひ楽しんでもらえると嬉しいです。

画像集#014のサムネイル/「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた

4Gamer:
 ところで,武器強化もそうですが,タタルの大繁盛商店のように,前提クエストのクリアが必須なコンテンツが増えてきたような気がします。

吉田氏:
 大繁盛商店については,いわゆるサイドストーリーで,強力な何かがもらえるわけではありません。もともとパッチ6.0という第1期,1つめのサーガ完結にあたって,いろいろな集団やNPCのお世話をしたけど,お世話にもなったよねということを,総ざらいで振り返ろうというコンセプトのクエストになっています。ですので,どうしても主人公が登場人物たちと知り合いである,という前提で描く物語になります。

4Gamer:
 前提というか,そうした積み重ねがあるからストーリーに深みが出るというのはありますね。

吉田氏:
 そうです。あと最近始めて「一気にメインを進めたけど,サイドはやってないんだよね」という人に,改めてサイドストーリークエストであるとか,それらを進めるともっとお話が読めるとか,もっと世界に詳しくなれるとか,マッチングするコンテンツが増えるとか,そういったガイドの役目もあります。何か方針転換があって,前提条件のあるコンテンツを多発させているわけではありませんので,その点はご安心ください。


「アナザーダンジョン」の難度はノーマルでも零式以上!?


4Gamer:
 新しく実装される「ヴァリアントダンジョン」と「アナザーダンジョン」ですが,ヴァリアントダンジョンはソロですべてのルートを回れるのでしょうか。

吉田氏:
 はい,ヴァリアントダンジョンはすべてソロで踏破可能です。今回実装するのは“シラディハ水道”という場所になりますが,あらゆるルートを探索し,そこで手に入れたストーリーをつなぎ合わせていくシステムがあり,それを手掛かりに隠された秘密やルートを発見する,といった謎解き要素もあります。カジュアルにストーリーを完成させつつ,バトルを楽しむ……みたいなのがヴァリアントダンジョンだと思っていただければいいと思います。

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画像集#019のサムネイル/「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた

4Gamer:
 ソロでもじっくりできるというのは楽しみです。

吉田氏:
 ヴァリアントダンジョンとアナザーダンジョンは,4人でカジュアルに遊べるバトルコンテンツを実装してほしいという要望と,少人数できりきり舞いできる高難度のコンテンツが欲しいというリクエストに全部お答えしようという形で企画されたコンテンツです。ですので,あらゆる人にそれぞれを遊んでいただけると嬉しいですね。

4Gamer:
 ヴァリアントダンジョンの難度はどれくらいなのでしょうか。

吉田氏:
 突入IL(アイテムレベル)が一応設定されていますが,いずれかのジョブレベルがカンストしていれば大丈夫という感じです。

4Gamer:
 パッチ6.0の「暁月のフィナーレ」まで終えていれば問題なさそうですね。では,クリア報酬はあるのでしょうか。

吉田氏:
 あります。マウントなども含め,「これはもらって嬉しいだろう」と思っていただけるものを用意していますので,まずはヴァリアントダンジョンからチャレンジしてほしいですね。

4Gamer:
 一方のアナザーダンジョンは高難度になるそうですが,どういった感じになるのでしょう。

吉田氏:
 アナザーダンジョンには複数のルートがなく,攻略は一本道です。その代わり,道中の雑魚であっても油断できない作りになっています。最初のボスでも難度は普段の零式1層よりも,ちょっと難しいくらいにしてあります。

4Gamer:
 えっ,零式より難しいんですか?

吉田氏:
 4人しかいないので,とにかくリカバリーが難しいことと,ボスギミックもロールの役割というより,全員がそれぞれの役割をこなすものが多く,新コンテンツならではの新鮮さがあると思います。普段8人レイドコンテンツの零式へ行く方にとって,しっかり歯応えがある感じにしています。複数ボスがいますし,奥のボスほどギミックの難易度も高いです。ぜひ頑張ってください(笑)。

4Gamer:
 さらにアナザーダンジョンの零式もあるんですよね……。一定時間内に攻略しないと敵が超強化されると言われていますが,どれくらい強化されるのでしょうか。

吉田氏:
 時間をかけすぎて超強化が入ると最終的には倒せなくなります。

4Gamer:
 えぇ……。

吉田氏:
 アナザーダンジョンには“異聞”と“異聞零式”がありますが,基本構造はどちらも同じです。異なるのは環境になります。異聞零式では要求ILが高くなり,蘇生も使えず,また,ワイプしたときにはボスも含めすべてのモンスターが復活します。加えて敵強化という制限時間があるため,バフのリキャスト待ちも得策ではありません。道中のモンスターへの対処も手早さが必要になります。

4Gamer:
 プレイヤーの攻略次第というか,どう進めるのかを考えさせるという感じなんですね。

吉田氏:
 はい。そのきっかけになるのが,モンスターが強化されるまでの時間制限という要素になります。

4Gamer:
 では,クリアまでの制限時間はどれくらいになりますか。

吉田氏:
 コンテンツの制限時間はいつものコンテンツ程度は取ってあります。異聞にはモンスター強化がないので,普段の零式のような感覚。異聞零式はコンテンツの制限時間とは別に,モンスター強化までの時間が設定されていますので,このあたりは実際にプレイしていただくまで,イメージが湧きづらいかもしれませんね。モンスター強化までの時間,つまりその時間までに全ボスを撃破しなくてはならない時間,というのは現在も調整中ですが,25分くらいになるかな,と思います。

4Gamer:
 ちなみに,アナザーダンジョンは異聞と異聞零式とで報酬が違うのでしょうか。

吉田氏:
 それぞれで違うものは用意してありますが,強さに関わるようなものではありません。8人レイドのように,このコンテンツをやらないとILが現パッチの最大まで行かないみたいなことはないようにしています。異聞零式は,異聞でしっかり練習を重ね,パッチ6.2のパンデモニウムを全部クリアして,装備をガチガチに固めてからもう一回挑戦する……くらいが良いと思います。


無人島からもコンテンツファインダーの利用は可能


4Gamer:
 それでは,パッチ6.2でもうひとつの目玉となる「無人島開拓」について教えてください。まず,無人島滞在中にコンテンツへのマッチングは可能なのでしょうか?

吉田氏:
 可能です。これは絶対に皆さんからリクエストが出るだろうと思い,かなり特殊なゾーンの作り方をしました。無人島にいる状態でいろいろことをやりながらコンテンツファインダーを使ってマッチングできるようにしてありますので,ご安心ください。

画像集#011のサムネイル/「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた

4Gamer:
 分かりました。続いて,無人島に施設を建てられるということですが,決まった場所に設置することになるのでしょうか。島には建物が残っているという表現があったので,そこを改築していくのかな,と。

吉田氏:
 いえ,建物の形跡などは一切ありませんが,獣道など,かつて人がいた時期があったのかな?くらいのニュアンスからスタートになります。拠点とするエリアは少し開けていますが,それ以外の場所は,まず森を切り開き,スペースを作らないと施設が建てられません。この切り開けるスペースは決まっていますが,例えばA,B,Cの3か所に施設を建てられるようになったあと,それぞれの場所に建てたい建物をプレイヤーが選択できます。特定の施設を2つ置いて特定の発展を推進したり, 3つバラバラの施設を建てたりしてもいい,みたいな感じです。

4Gamer:
 というと,建築物の種類によって,プレイヤーに与えられるバフの効果が変わったりするということでしょうか。

吉田氏:
 バフというより発展段階の途中から,自由度が増えていくという感じです。製造が得意な建物もあれば,採集活動の手伝いをしてくれる施設とか,機能が違うものがいくつかあります。また,単純に見た目だけの,ランドマークと呼んでいる建物もあります。
 好きなところに建てられるとなると,根本から異なるマップシステムになってしまうため,建物を建てられる場所は決まっていますが,何を建てるか,どこに建てるか,建ててから移築するかなどは,皆さんが自由に決めていただいて大丈夫です。

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4Gamer:
 製造というと,無人島開拓で得られる工芸品を売買して専用通貨を得て報酬に換えられるとのことですが,その報酬にはどんなものがあるのでしょう。

吉田氏:
 マウントとかミニオンとか,もちろん称号もありますし,おしゃれ装備もそうですね。日々使うであろうマテリアなども交換可能です。こちらも強さに関わるものは一切入れていないので,とにかく時間に追われず,空いた時間に思い出して遊んでください。

4Gamer:
 ところで,無人島に設置できるミニオン数に制限はありますか。

吉田氏:
 制限はありますが,思った以上の数を放し飼い可能です。開拓拠点はもちろんのこと,それ以外の場所にも放し飼い可能です。拠点が少し発展した辺りでミニオンの放し飼いが開放され,専用インターフェースからミニオンの選択画面になり,好きなミニオンを選ぶ……といった流れです。


パンデモニウム零式の公開を1週ずらすその理由は?


4Gamer:
 では次に,今回「万魔殿パンデモニウム:煉獄編」の零式公開を1週間ずらす意図を改めて教えてください。

吉田氏:
 開発/運営としては今までと同様に,ノーマルも零式も同時実装というパターンが一番楽なのですが,4年ほど前からノーマルと零式の実装時期を1週か2週ずらしてほしいという声をずっといただいていました。

画像集#016のサムネイル/「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた

4Gamer:
 それは何故でしょう?

吉田氏:
 レイドレースで零式の初週クリアを目指そうとすると,零式の開放条件となっているコンテンツのクリアを急ごう,という空気になるというお声が多いですね。とにかくストーリーやカットシーンをスキップしてしまう。ストーリーが好きだけど,零式の早期攻略のためには……という感じでしょうか。
 メインクエストもあるし,新IDもあり,新討滅戦など,やることが多い(パッチ実装の)初週に零式を開けなくたっていいじゃないかというフィードバックが非常に多いのです。
 一方,ワールドファーストレースに参加しているプレイヤーからは,1週間ノーマルでギミック予想をしながら練習できてしまうから,今の(同時の)ままでいい,という意見もあるんです。

4Gamer:
 零式実装までに,推測を含めてかなり情報が出てくるでしょうし。

吉田氏:
 あとは当然,お抱えのクラフター達がいち早く新式を揃えて提供してくれるという,チームとしてのスピードも同時実装のほうが発揮しやすくはなりますね。

4Gamer:
 時間を争う中で,それは大きいですね。1週間もあればマテリアの禁断も合わせて,準備ができてしまいますから,レースのスタート自体が今までと大きく変わってしまいそうです。

吉田氏:
 そうですね。拡張パッケージのリリース直後を除けば,ノーマルと零式の公開時期をずらすということは,これまで1回も行っていません。ですから今回は半年以上をかけて,仮に零式の公開時期を1週間,もしくは2週間ずらした場合にどんなサポートが必要になりそうかを徹底的に検討しました。
 例えば,週制限トークンで手に入る武器防具の交換レートを改めて調整し直さなくてはいけないのではないか。各ボスのダメージ値やHPをこれまでの想定と変える必要があるのではないか。極武器のILは本当に今のままでいいのか。レイドで手に入る装備のILをもっと上げる必要があるのではないか。新式のILもそうだし,入手のしやすさ,しづらさ,あと禁断のしやすさを調整すべきじゃないかという,あらゆるパターンを全部見積もりにかけたんです。

画像集#002のサムネイル/「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた

4Gamer:
 公開時期をずらすというのは,それだけバランスへの影響が大きいわけですね。

吉田氏:
 はい。ただ,そこで恐ろしくなったのが,半年以上のコストをかけて検討し,さらにコストをかけてプログラムを組みパッチ6.2で実装したとして,結果コミュニティの皆さんから「いや,ずらさなくてよかった。むしろずらされる方が辛い」というフィードバックが多かった場合でした。そうなれば,またそれらを元に戻す作業が発生してしまうことです。そういったことを全部鑑みたうえで,まず今の状態で単純に公開タイミングを1週間ずらす,ということをさせていただきたいのです。

4Gamer:
 やり方そのものを変える前に,実際の影響を確かめたいわけですね。例えば「概ねこれで良いけど,新式関連の実装タイミングだけどうにかしてほしい」みたいな,ピンポイントな意見が出てくることもあり得ますし。

吉田氏:
 そうですね。僕らが思っているほどの影響が出るのか,「これぐらいでいい」となるのか,それ以外の意見が出てくるのか,きちんとフィードバックをいただいてから,僕らが見積もりしたコストのうち,本当にどれを適用するべきなのかを決めたいのです。
 そしてそれを適用したら,我々としても「これでパーフェクトだ」として,もうそのサイクルを変えたくないのです。プレイヤーの皆さんも,毎回コンテンツの開放サイクルが変わるのは嫌だと思いますし,今回のチャレンジで今後の流れを確定させたいと考えています。

4Gamer:
 なるほど。

吉田氏:
 零式の公開がこれまでより1週遅れると,取得できる週制限トークンが2週分になります。450×2で900貯まるので,胴や脚など,重要な1部位が取れることになります。それを見越してレイドボスの難度を変えるべきかという議論もしましたが,例えば今回それを行って,パッチ6.4でやっぱり元のサイクルに戻そうとなると,パッチ6.2のバランスだけがおかしなことにもなりかねず……。

4Gamer:
 そうなると,パッチ6.2のコンテンツもまた作り直す必要が出てきますね……。

吉田氏:
 はい。ですから,繰り返しになりますが,まずは現状のまま1週間だけずらして,どこまで影響が出て,それに対して皆さんからどのようなフィードバックをいただけるかを見て,今後の方針を全て確定させていきたいと考えています。

画像集#017のサムネイル/「FFXIV」パッチ6.2インタビュー。アナザーダンジョンの“ヤバさ”やレイド零式の公開をずらしたことなどについてを聞いた


クリスタルコンフリクトの「シーズン報酬」見直しなど,さらに盛り上げるための施策を進めたい


4Gamer:
 PvPについて,クリスタルコンフリクトではジョブバランスの点でいろいろな意見が出ていたようですが,運営から見た感触はどうだったでしょう。

吉田氏:
 コンテンツとしての手応えとしては,めちゃくちゃありました。今まで作ってきたPvPコンテンツの中でもっともプレイ人口が多く,海外でも,ずば抜けて面白い,という評価もいただいています。
 カジュアルマッチは本当にいろいろなジョブを使ってみようという人達で常にあふれている状態なので,だからこそどんどんバランスチューニングしていくという姿勢を出そうとしたところ,「急ぎすぎだ!」というお叱りを受けてしまいました。

4Gamer:
 なるほど,そういう背景が。

吉田氏:
 今は第2シーズンが始まっていて,シーズン開始から2週間の現在のバランスは,勝率などの結果とかを見ると非常にいい状態です。今度はさらに盛り上げていくために,いろいろ大会なども含めてやっていきたいと思っています。
 あとは,先ほどお話ししましたが,シーズンランキング報酬自体が弱いと言われているところもあるので,もう少し何かできないかというところを,もっと考えていきます。ただ,あまりいいものを渡しても今度は「上位者だけか」となってしまうので悩ましいところではありますが,もっと盛り上げるための施策は進めていきたいです。
 僕自身もかなりの対戦数,試合をさせていただいています。

4Gamer:
 全DCでクリスタル(階級)まで上げていましたよね。

吉田氏:
 はい。それ以外にプライベートキャラでもやっていますので,運営チームやうちのマネージャー達がクリコンに時間を使い過ぎだと怒っています(苦笑)。

4Gamer:
 それはまあ……そうでしょうね(笑)。それでは最後に,読者に向けてのコメントをお願いします。

吉田氏:
 パッチ6.1では,大きなシステムのアップデートもありましたが,それゆえに非常に大きなバグや不具合も出てしまって,大変ご迷惑をおかけしてしまいました。申し訳ございませんでした。
 パッチ6.2では,僕らの新しい挑戦がたくさん始まります。今回のアップデートはカジュアルに遊んでいただく方からゴリゴリの高難度まで,いろいろな遊び方のリクエストにお答えしています。これまでも「全方位」という言葉は使ってきたのですが,今回ほど全方位なパッチもないと思うので,いろんな遊び方をしていただきたいです。

 ちょうど新規で始めてくださる方も,ものすごい勢いで増えているタイミングですし,日本では夏休みが終わることで,仕事や学校に戻るのが嫌だな……というタイミングでパッチ6.2が来るので,ぜひ夏休み中にフリートライアルで始めておいて,この波に乗っていただけると大変嬉しいです。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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