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[インタビュー]「FFXIV」パッチ6.3で実装される“絶”シリーズ第5弾やディープダンジョン第3弾。それらの気になる内容について聞いた
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印刷2022/12/22 12:00

インタビュー

[インタビュー]「FFXIV」パッチ6.3で実装される“絶”シリーズ第5弾やディープダンジョン第3弾。それらの気になる内容について聞いた

 スクウェア・エニックスは,MMORPG「ファイナルファンタジーXIV」PC / PS5 / PS4 / Mac)で,2023年1月上旬に最新アップデートとなるパッチ6.3「天の祝祭、地の鳴動」を実施する。

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 このパッチ(6.3xシリーズ)では,メインクエストのほか,新たな討滅戦やアライアンスレイドダンジョン「ミソロジー・オブ・エオルゼア:喜びの神域 エウプロシュネ」,武器強化クエスト「マンダヴィルウェポン」の続編(6.35),クラフター向けの友好部族クエスト・レポリット族(6.35),“絶”シリーズ第5弾,ディープダンジョン第3弾「オルト・エウレカ」(6.35)など,さまざまなコンテンツが実装される。
 今回,これらパッチ6.3の気になる内容について,本作のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏(以下,吉田氏)に話を聞いてみた。

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 なお,新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大予防のため,インタビューはZOOMを使用し,オンラインで行っている。

―――2022年11月21日収録



アルフィノとアリゼーが登場! ゼロの状況も気になるメインストーリー


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは,パッチ6.3で実装されるメインストーリーの概要や見どころを教えてください。

吉田氏:
 パッチ6.0の「暁月のフィナーレ」で,物語が10年越しに一旦の完結を迎えたあと,じわじわと第十三世界がクローズアップされました。そして,実際にそこへ赴いたり,住人との邂逅があったり……というところからの急転直下で,今回は原初世界が舞台かな? というのを,プロデューサーレターLIVE(PLL)で少し出しました。
 見どころとしては「FFXIV」におけるNPC側の主人公のように育ってきたアルフィノ,アリゼーという2人の兄妹が,いよいよメインストーリーに本格復帰するにあたり,どういった経緯でそうなるのか,今後も一緒に行動することになるのかが,1つめのポイントになります。

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4Gamer:
 2つめは,やはり“ゼロ”の状況でしょうか。

吉田氏:
 そうです。闇に飲み込まれ,ヴォイドと呼ばれる状態の第十三世界から原初世界にやってきたゼロですが,彼女にしてみれば巻き込まれた形ですよね。

4Gamer:
 やむを得ず連れてきた感じになりました。

吉田氏:
 原初世界に住むさまざまな人々やエーテルに満ち溢れた世界に触れて,そんなゼロの心境や考えがどう変わっていくのか,そして過去のゼロに何があったのかというあたりがいよいよ描かれていきます。
 今回は,そろそろ6.xシリーズの物語の核心に入るポイントにもなりますので,ぜひそこに注目して見ていただけると嬉しいです。驚きも含めて,見どころがたくさんありますので,楽しみにしていてください。

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4Gamer:
 パッチ6.2で,改めて第十三世界に上陸することになりましたが(),今後もストーリー上で訪れることはあるのでしょうか。

※クリスタルタワーのストーリーで闇の世界(第十三世界)に足を踏み入れている

吉田氏:
 もちろん,今後も第十三世界は描かれますが,パッチ6.3ではさてどうなるでしょうか……。どちらかと言うと世界そのものより,第十三世界で起きたメモリア戦争とは,どういった悲劇を生んだのかなど,その片鱗が今回のストーリーから少しずつ見え始めるので,まずはそこですね。そのメモリア戦争で,ゼロや第十三世界で暗躍しているゴルベーザと名乗るキャラクター,四天王がどういう役割を果たして今に至るのか,みたいなところに注目していただくのがいいかなと思います。

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4Gamer:
 第十三世界にあるゼロの拠点などに,また行きたいという人もいるのではと思ったんですよね。

吉田氏:
 ああ,なるほど。確かに独特の世界観,独特の場所ですし……。メインストーリーとは離れますが,“製作”のやり込み要素として(PLLでの紹介にて)グレノルトが登場していたので,勘のいい人は「もしかして第一世界でもいくつかのストーリーが進むのかな」と分かると思います。

4Gamer:
 そう言えば,次のお得意様取引も“草人”でしたね。

吉田氏:
 そう,(第一世界の)リダ・ラーンです。これまでに作って広げてきたいろいろな世界を引き継ぎ,ミックスしてコンテンツをいろいろお届けしようと考えています。

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4Gamer:
 とすると,いずれは第十三世界も……という感じなんですね。

吉田氏:
 かもしれません(笑)。第十三世界に限らず,第一世界のその後もちょっとずつ描いていこうと思ってるので,そのあたりにも注目かもしれないですね。
 あと,「暁月のフィナーレ」があったとはいえ,すべての物語がリセットされたり,みんなが記憶をなくしているわけではないですから,6.0までに紡がれた物語の中で,あれってどうなっているんだろう,というところもちゃんと拾っていこうとしています。

4Gamer:
 その1つが,まさに第十三世界なんですね。

吉田氏:
 そうです。鏡像世界の分裂は太古の昔に起きた事象だし,それぞれの鏡像世界の歴史の中でアシエンが暗躍して,結果こうなってるというところもあります。本筋ではないですけれど,新しい冒険でありながら過去からの歴史にもきれいにしっかりとつなげていく,つながっていくみたいなところをちゃんと用意してはいるので,そのあたりの推測もロア(ゲーム内の設定や知識)好きには,ビビッとくるものがあると思います。


マンダヴィルウェポンはお話も武器強化も好評


4Gamer:
 では,武器強化クエストについても教えてください。その前提となるとヒルディブランドのストーリーにひき続いて,強烈な個性の人々が登場しましたが,プレイヤーの反応はどうでしたか。

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吉田氏:
 ヒルディブランドについては,大変ありがたいことに,ストーリーの評判は抜群に良かったです。月にある謎の人面岩が,これだけのためにあったの? みたいな使い方になりましたが……。

4Gamer:
 ええぇ……そういう仕掛けなの? と吹きましたね(笑)。

吉田氏:
 あの人面岩は,あとでインスタンスダンジョン(ID)の入口にするかもしれないし,とりあえず置いておこう,というBG制作サイドのノリで用意されたものでした……。ですので,あの使いかたは完全にアドリブなんです。でも,そういうノリで作っていいクエストだからこそ,馬鹿馬鹿しくて面白いのだろうと思います(笑)。

4Gamer:
 アドリブだったんだ……。ちなみに,月の場面で思いっきり画面を引いて走り回るシーンがあったじゃないですか。 あれって,リアルタイムで動かしているんですか? ここまで(カメラを)引けるんだという驚きもありました。

吉田氏:
 リアルタイムです。プレイヤーの皆さんのカメラはLODや表示限界による破綻がないように作っていますが,カットシーンの場合はダミーマップも使えるので,絵の破綻を無視すればシステム的にカメラを引けるようになっているし,絵の破綻がないようなダミーの月面マップも作ろうと思えばできるので,ああいう表現が可能です。

4Gamer:
 いつもながら,ヒルディ(のクエスト)は演出の実験場みたいなことになっていますよね(笑)。

吉田氏:
 スタッフの皆がノリ良くやっているからですね。これが嫌々だと,ああはならないですけど,「やっちまえ!」と。いいことだと思います。このあたりの経験が,また拡張パッケージのクオリティアップにつながってくるので,スタッフの「楽しい」という感情はとても大切ですね。

4Gamer:
 楽しそうで何よりです(笑)。話を戻しまして,武器強化のほうはいかがでしょう。

吉田氏:
 武器強化そのものに関しては,小手調べというか第1弾だったので,そんなに苦労もなく,サブジョブを含めてコツコツ作っていただけたという感じです。
 ただし,昔のように1本を完成させてもらえれば……というのではなく,複数本を作れるようにというバランスにしているつもりなので,そこまで気構えなくやっていただけると思います。

4Gamer:
 なるほど,今はさまざまなジョブで遊ぶのが当たり前ですから,それはありがたいです。

吉田氏:
 ストーリーに関しては何と言いますか……衣服の密度が少ない人達の集いみたいになっていますけれど,あのノリでしっかり継続して,楽しく作っていけたらと思います。唯一あったフィードバックとして,作った武器が臭そうって言われてしまい(苦笑)。これでも僕のチェックで,何とかその印象をだいぶ小さくはしたんですが……。

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4Gamer:
 あのメンバーですからねぇ……。でも,予想以上にかっこ良かったと思うのですが。

吉田氏:
 最初にチェックが来たとき,「これは使いたくない!って人が出そうだから調整しよう!」と言って,それで調整を入れてなんとか今の状態に……。

4Gamer:
 それはそれで初期案(?)を見てみたい気も……(笑)。

吉田氏:
 ともかく,ストーリーの中身とデザインは切り離して,カッコいい武器を作っていくというコンセプトがあります。ですから,そこはあまりおふざけに走らず,手にしてカッコいいものを目指していくので,ご安心ください。

4Gamer:
 分かりました。まだ先のことになるとは思いますが,強化された武器にVFXなどの効果は付くのでしょうか。

吉田氏:
 もちろんです。いまは絶武器や,クラフターによる過去の討伐・討滅戦の武器にエフェクトが付いたバージョンが出ています。ですが,もともとはゾディアックウェポンのシリーズで始まったもので,当然その見た目にVFXを使うのはマストとして考えていますので,普通に期待していただいて大丈夫です。


神々の“愛”が重い。ミソロジー・オブ・エオルゼア新ストーリー


4Gamer:
 では次に,パッチ6.3ではアライアンスレイド「ミソロジー・オブ・エオルゼア」の新ストーリーも登場します。こちらの見どころを教えてください。

吉田氏:
 そもそも神々が人間の力を借りて成し遂げたい,しかも力試しをしなければ成し遂げられないこととは一体何なんだろう,というお話に踏み込みます。
 エオルゼアの神々が,エオルゼアに住む人の子らを大好きなのは相変わらずなので,今回登場する神々のそれぞれが持つ愛の形というか……それを攻撃に変えてくるのでやっかいですけれど(笑),そのあたりのキャラクターをしっかり立てつつ作っているので,そこは見どころだと思います。

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4Gamer:
 愛の形だったんですね……。かなり強烈でしたけれど。

吉田氏:
 旧「FFXIV」では,双蛇党のグランドカンパニーの広告として,ノフィカ様が描かれたものが貼り出されていました。はたして,あの絵のとおりのものが出てくるのか,みたいなところは話題になっているようです()。僕らも,あまり斜め上にならないようご期待には応えていきたいとは思いつつ,見惚れていると大変なことになるので気をつけてください……というぐらいですかね(笑)。

※ちなみに公式ブログで公開された,新生「FFXIV」の発売に合わせたカウントダウンイラストにもその姿が。上から4番め,カヌ・エ・センナと並んで描かれている

4Gamer:
 なるほど。ノフィカ様の愛も重そう……。

吉田氏:
 今回もバラエティに富んだ神々が出てきます。美しいものから可愛いもの,めちゃくちゃカッコいいものまで多数なので,攻略が落ち着いてギミックにも慣れたら,じっくり皆さんでロアをめぐろう,みたいに遊んでもらえるとありがたいです。

4Gamer:
 前回の神々も人気で,SNSにはファンアートが多く出ていました。

吉田氏:
 メインシナリオもそうでしたが,狙ってのことではないんです。うまくお話と,突き抜けたキャラクターと,みんなでわいわいやれる難度でありつつ,神々だからこそ使う技の豪快さみたいなところを合わせた結果がすごくマッチしたのかな,と思っています。
 調整には僕も石川(シニアストーリーデザイナー・石川夏子氏)も入って,かなり頑張りました。だからこそ,ライティング担当者はめちゃくちゃ喜んでいましたよ。ここまでの盛り上がりになるとは全然予想していなかったので,逆にみんなびっくりしましたし,すごくニコニコしていました。それもあって,今回はさらに気合いが入っていると思います。

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次のディープダンジョンは再び潜る。いろいろな称号を誇りたい人に朗報も?


4Gamer:
 続いて,ディープダンジョンの第3弾についても教えてほしいのですが,今回はどれくらいの階層になるのでしょうか。

吉田氏:
 シナリオをクリアするだけであれば,30階程度で済むようになっています。死者の宮殿はそもそもオリジナルがあるので,それに則した形にしていますけれど,基本的にはアメノミハシラと同じくらいの気軽さで行っていただけると思ってもらって大丈夫です。

4Gamer:
 第1弾はどんどん地下に潜って,第2弾では空に上がって行きました。第3弾ではどうなるのでしょう。

吉田氏:
 上がるのは前回ミハシラでやったという点と,空間が上にあるのはちょっと作りづらく,地下のほうがぶっ飛んだ設定もやりやすいということもあります。ですので,今回は下がっていく形です。ただ,下がるからといって洞窟だらけか言われるとそうでもないんですよ。

4Gamer:
 公開されたスクリーンショットからも,あの大迷宮的なものを感じましたが。

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吉田氏:
 なんか嫌な音楽が流れてきそうな雰囲気もありますね(笑)。今回パッチ6.0まででやりきって,1周回った感もあるので,まだ行っていない未知の場所がエオルゼアにもあるよ,という形で提示させていただこうと思っています。
 ロア好きにとっても過去作のファンの人にも,ちょっとニヤっとする要素があったりするので,そのあたりに注目していただけると嬉しいです。

4Gamer:
 ちなみに「FFIII」の内容や,「FFXIV」のNPCとの会話から,クリスタルタワーの地下にあるのではないか,みたいな話題もありました。

吉田氏:
 考察としては非常に鋭いと思います。ロアを過去作も含めてつなぎ合わせて研究されている方はさすがだと思うので,あまりその期待から外れないように行きたいですし,おそらく,そう外れた意見ではないのでは……というところまでにさせてください。ただ,かなり面白いエピソードが知れますので,ぜひ最深層に挑んでいただけると嬉しいです。

4Gamer:
 分かりました。ところで第3弾ならではという,オリジナル要素はどういったものがあるのでしょうか。

吉田氏:
 もちろんシステム的にもよりスマートになるようアップグレードしています。例えばフロアギミックだったり,プレイヤーサイドでできる新しい大型のアクションだったりはバージョンアップして実装されます。ただ,遊び方が極端に変わるような修正要素だったりとか――例えば8人で行けるようになる……みたいなものは基本ありません。

4Gamer:
 ストレートなバージョンアップだということですね。

吉田氏:
 はい。プレイヤーが取れる行動には,当然ですが新しいものは入ってもいますし,新鮮な気持ちで遊んでもらえると思います。

4Gamer:
 ソロクリアの報酬はこれまでと同様に,称号のみがもらえるのでしょうか。

吉田氏:
 基本的に報酬の考え方は同じです。シナリオ踏破アイテムもあれば,そのさらに奥へ行った時の踏破も用意されているので,ミハシラをイメージしていただければ間違いないと思います。

4Gamer:
 ソロ踏破の称号はレアというか,持っているとかなり誇れるじゃないですか。第1弾,第2弾と頑張っている人は,今回の第3弾で3つめを得ることが目標になります。ただ,これまで2つを踏破した人にとって,どれを称号に付けるべきかと迷うこともあると思うんです。なので,例えばこの3つを踏破した証としての称号はできないものか,と思ったのですが。

吉田氏:
 実は,別のコンテンツでも同じような話は出ています。ただ,これで僕らのコンテンツ作りが終わるわけではありません。例えば「金輪際ディープダンジョンを作りません」「全3種で終わりです」というのであれば,すべてのディープダンジョンを単独踏破した証を作ることはできますけれど,もしもこの先4つめを作ったらすべてとは言えないとなるんですよね……。

4Gamer:
 そうですよね。「絶」もまさにその1つだと思うのですが。例えば,ポートレートで自分の誇れる称号をいくつか並べられるみたいな機能があったら嬉しいかもしれません。

吉田氏:
 なるほど。どういうプレイをしているかという情報の中に,お気に入り称号というか,誇りにしておきたい称号をいくつか出せます,みたいなのは……確かにアイデアとしてアリですね。

4Gamer:
 これに限らず,称号の組み合わせなどを楽しんで設定する人もいるんじゃないでしょうか。

吉田氏:
 すごくいいアイデアをいただけたので,担当に話しておきます。ありがとうございます。


次回“絶”のテーマは期待どおり? バランス調整の難しさにも言及


4Gamer:
 期待しています! では,その機能を喜んでもらえそうな絶シリーズですが,パッチ6.3で登場する新しい絶について,お話しいただけることはあるでしょうか。

吉田氏:
 次のPLL(12月23日)で何の絶コンテンツかは当然発表しますが,そこまでは逆に出さないつもりです。すみません。現時点で言えることは「変に期待を裏切ったりはしていない」ですね。
 そもそも,僕もまだ調整に参加しておらず,今日から僕の実装通しチェックが始まります。もちろん企画や仕様は事前にチェックしていますが,どこまでそれが活きているのか,そして僕のフィードバックによってどこが変わるのか,その見通しが立たないうちに話してしまうのは,ちょっと難しいんです。

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4Gamer:
 分かりました。では,今回の絶をご担当されているのは,過去にどんなコンテンツを制作された方なのでしょうか。

吉田氏:
 具体名は避けさせていただきますが,過去の零式4層も複数回,絶コンテンツも作ったことのあるメンバーです。初の絶2回目となる担当者です。いま言えるのはここまでです。あまり言っちゃうと,担当者やそのコンテンツと関連付けて,「きっとこうだろう」みたいなものが生まれると思うのです。それが拡散してしまったとき,実際に公開されたコンテンツと方向性が違った場合,「思っていたのと違う!」となってしまうこともあります。それをまだ避けたい,と思っているんです。

4Gamer:
 なるほど。なかなか難しいですね。

吉田氏:
 実際,期待値のコントロールはものすごく難しい時代に突入していると思うのです。ですので,まずは僕自身も調整に参加して,最終形が僕の頭でも見える状態で,しっかりお伝えしたいと思っているのです。そこはインタビューのタイミングのあやで……PLLに譲っていただけると助かります。

4Gamer:
 難度的には絶竜詩戦争よりは難しくならないという話だったと思うんですけど,戦闘時間もそれと同じくらいを想定されているのでしょうか。

吉田氏:
 戦闘時間は同じくらいになると思います。もちろん戦闘時間はいつも極端に長くなりすぎないように心がけています。ちなみに長くすればするほど,難しくはできるんです。でもそれは,例えるなら難しい数学の問題を解くのに,公式を何個もひたすら当てはめていくような感じで,それぞれを解くのに莫大な時間がかかる。個人プレイで誰が最初に解けるか,そもそも解けることを証明する,という行為はとても面白いと思うのですが,8人のパーティプレイでそれを続ける,そういう難度調整はもう,エンタメじゃないと思うんです。

4Gamer:
 なるほど。

吉田氏:
 だから,そこは極端に長くなりすぎないようにします。でもコンテンツ内でのドラマチックさも絶のいいところだと思っているので,それとの兼ね合いで,どこまでにしようというのは最後の最後まで調整します。
 ギミック単体の調整も,それを組み合わせた時の解法の実地検証もかなり大変ですが,その後のDPSチェックとかヒールチェックを,どこまで厳しくするか,何度もプレイして値を決めていきます。難しさと面白さのギリギリを突くのは本当に難しいですね。

4Gamer:
 バランス調整ではよくあると思うのですが,ギリギリのところで1つ何かを変えたら,途端に簡単になりすぎてしまうということもありますよね。

吉田氏:
 そうです。そうなんです! プレイヤーの皆さんのスキル練度も,もう半端じゃないですし。そこも加味してこれから調整に向かっていくので,楽しみにお待ちください。

4Gamer:
 分かりました。ところで,6.xシリーズでの絶は,今回が最後になりますか。

吉田氏:
 はい。次期拡張の開発もスタートしていて,いろいろな準備,制作が始まっているので,これ以上の絶をパッチ7.0手前までに作る余裕はないのです。ですので,まだ絶竜詩戦争真っ最中!という方も,焦らずにじっくり挑戦を続けていただけると嬉しいです。


無人島の庭具設置はいつごろ実現できそう?


4Gamer:
 無人島コンテンツのアップデートについても聞いておきたいのですが,次のアップデートで無人島ランクの上限が上がるということで,獲得経験値の効率が上がったり緩和は入ったりしますか。

吉田氏:
 え,えーと,そもそも緩和っていう言葉が出てくるコンテンツじゃないと思うんです(笑)。1年でも2年でも3年でも,気が向いたときにゆっくりとやってもらえれば良くて。すごい勢いで進められている方も,「やることがなくなった」となるとは思うのですが,徐々にパッチでいろいろ増やしていきますので,そこは勘弁してください(笑)。

4Gamer:
 スローライフを全力で駆け抜けていく感じですね(笑)。

吉田氏:
 でも,それもプレイスタイルだとは思っているんです。スケジュールが綺麗に組めるからこそ,ゴリゴリやっちゃうという人がいるのも,プレイスタイルなので否定するつもりはありません。それがゲームの,MMORPGの良いところだとも思うからです。
 今回はどちらかと言うとシステムアップデート+αくらいで,2パッチに1回くらいで大掛かりなアップデートをしようと思っています。今回も設置できるランドマークも1個増えますし,ランクも上がって目的や報酬も追加されますが,どちらかと言うと,この次のパッチ6.4のほうが,アップデートの内容としては大きくなります。

4Gamer:
 そちらをちょっと期待したいですけど,庭具を置けるようにしたいという話もありましたよね。

吉田氏:
 最終的にいただくフィードバックが,「もっと個性を出したい」というところに集約されてくるのは僕らも分かっていたので,最初から(対応を)スタートしていたのですが,巨大な設置物となると,クオリティを保つためにも,多くの人に1人1つの島を渡すためにも,「FFXIV」の開発システム的にも,建物,森の自由度をある程度落とさなくてはなりませんでした。

4Gamer:
 それが現在実装されている無人島というわけですね。

吉田氏:
 そうです。例えば庭具は,もともとハウジング用にいろいろな置かれ方をするように開発されているオブジェクトであり,システムでもあります。その仕組みを使って,特定の範囲に区切って設置するというのを(無人島の)初期設定の段階から実現したいとは思っていたんです。

4Gamer:
 なるほど。では,次の大きなアップデートに間に合いそうなのでしょうか。

吉田氏:
 パッチ6.4でいけるかどうかは,まだ……ギリギリ当落線上くらいです。(開発スタッフが)頑張ってくれていますが,まだ「パッチ6.4で置けるようになります!」とは言えない段階です。でも,それぐらい頑張っていますというのは,伝えさせてください。

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レポリットの友好部族クエスト。気になるあのダンスは報酬に?


4Gamer:
 友好部族クエストについてですが,今回はクラフター向けのレポリット族ということで,仕組みや流れはこれまでと同様だとは思うのですが,報酬が気になるところです。とくにヒルディの“アレ”があったあとなので,レポリットのダンスは報酬に入るのかなぁとか。

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吉田氏:
 あのダンスは,プレイヤーに提供するつもりで作っていない気が……(笑)。レポリットがとにかく可愛くなるようなつもりでしか作っていないと思うので……報酬になっているといいですね,と。どちらにしてもフィードバックを多数いただいていて,何かしらの機会で作ることになるのではと思っています。
 お話も,報酬も,(レポリットが)ハイデリンというか,ヴェーネスの人への愛で創造された種族なので,一心に“人”に向けられた愛情のある内容になっていると思いますから,ぜひほんわかしてほしいです。とてもストレート,あえて捻りはなくしたまっすぐなお話です。僕はとても好きです。

4Gamer:
 ところで,パッチ6.xシリーズの友好部族を全部進めると見られる,エクストラクエストは用意されているのでしょうか。

吉田氏:
 まだ検討中で,パッチ7.0のコストとの兼ね合いになります。サイドクエスト数もコンテンツ数も増えていて,シナリオライターの人数も過去最高なのですが,一定の品質以上のストーリーテリングはトレーニングも必要です。
 友好部族Allとなると,あらゆるロアに精通していないといけないし,別々の担当が書いたキャラクター,物語などの伏線をまとめあげるのは相当な力量が必要になってきます。
 そのクラスのライターはもうパッチ7.0などの制作に入っているため,まだ当落線上という状態です。

4Gamer:
 それこそストーリーや設定の整合性を取ろうと思うと,小説などもそうですが,制作も確認も,とても時間がかかるものですよね。

吉田氏:
 はい。それに加えて,日本語だけギリギリまで書けばいいわけではない,というところも「FFXIV」の特徴ですね。我々は常に日本語,英語,ドイツ語,フランス語の4言語同時対応をやっています。ちなみに,これまではローカライズチームに僕らが発注する形で担当者を付けてもらっていましたが,14時間生放送のときにもお話したように,いまはグローバル班として第3開発事業本部内にローカライゼーションスタッフをごっそり抱え始めていて,コージ(ローカライズスーパーバイザー マイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏)を筆頭に,どんどん「FFXIV」にフォーカスした仕事をしてもらっているので,翻訳量は増えています。

 しかし,これ以上の新コンテンツまでとなるとまだ体制を変えての過渡期であり,新たな翻訳者の採用を続けていますが,こちらもやはりトレーニングが必要です。加えて,新コンテンツを作るというのは,リソースやプログラムの制作ボリュームだけではなく,必ずシナリオを作り,設定を決め,そこからあらゆるものが発注されていきます。書くだけが仕事ではない,というのがゲームのシナリオの醍醐味でもあり,大変なところでもありますね。

4Gamer:
 あー,その翻訳となると,また相当な作業量になるでしょうねぇ……。


エルピスという土地を活かした新しいトレジャーハント


4Gamer:
 では,新しいトレジャーハント「エルピス・ギュムナシオン」についてなのですが,地図の採集・獲得から魔紋まで,すべてがエルピス内で完結するのでしょうか。

吉田氏:
 はい。あそこは閉じた時間軸の中にしか存在しないエリアなので,エルピスに魔紋を開く地図が現代の時間軸で出現するのは,世界設定としておかしくなるね,と。

4Gamer:
 鏡像世界ができる前のエリアですし。

吉田氏:
 それもあってトレジャーハントダンジョンのアップデートは,エルピスで採集しないと出ない宝の地図があり,エルピスに特化したダンジョンの見た目にして,中身をしっかり作ることにしました。
 また,エルピスは物語上,人が滞留するマップではありません。ただ,あれだけ美しくて,マップの見た目も朗らかで落ち着ける場所なのに,人がいなくなるのはちょっと寂しいというのもあって。これであれば,再訪するキッカケを作れるんじゃないかという話をパッチ6.0の開発中からしていました。

4Gamer:
 では,予定通りのアップデートなんですね。

吉田氏:
 はい。少し特殊ですけれど,こだわった設定のアップデートになっています。

4Gamer:
 それにしても,実装してすぐはエルピスが賑やかになりそうです(笑)。

吉田氏:
 あの世界の古代人にしてみれば,正体のわからない使い魔もどきみたいなヒトが大挙して押し寄せて穴を掘ろうとする,みたいな感じでしょうか(笑)。面白い風景が広がりそうだと思います。


クリスタルコンフリクトの新ステージは一癖ありそうな純和風の戦場に


4Gamer:
 続いてPvPアップデートについても教えてほしいのですが,クリスタルコンフリクトの新ステージはどういった内容になるのでしょうか。

吉田氏:
 クリスタルコンフリクトの追加マップのギミック調整も実はこれからなんです。企画のネタとパラメータの実装は全部終わっていますが,これからガチで対戦して頻度や効果内容を決めるので,詳細についてはもう少しお時間をください。

画像集 No.009のサムネイル画像 / [インタビュー]「FFXIV」パッチ6.3で実装される“絶”シリーズ第5弾やディープダンジョン第3弾。それらの気になる内容について聞いた

4Gamer:
 分かりました。

吉田氏:
 本当にガチガチの真っ向勝負をするなら「パライストラ」のようにギミックのないシンプルなステージで,それ以外は個性的なギミックやランダム性があることによって,試合展開にひと味加わるといった意図で作られています。今回の新ステージも後者のイメージですね。

4Gamer:
 運の要素が絡んだりですね。

吉田氏:
 また,FFXIVのいろいろな風景を切り取るというのが,クリスタルコンフリクトの隠れたテーマでもあります。「FF」は知っているけれど,「FFXIV」のことはあまり知らない人が配信を見て,「和風のステージで戦っているんだ」とか「クリスタルタワーみたいなところで戦っている」とか,「FF」らしさと目新しさをマップに活かしていきたいので,今回は純和風にしているという感じですね。

4Gamer:
 マップに合わせたミラプリで行くのも面白そうですよね。

吉田氏:
 カスタムマッチで侍5人vs.侍5人で,お互い斬鉄剣合戦するのも面白そうですね(笑)。そういう意味では,今後もワンコンセプトの分かりやすい見た目のマップは続いていくのではと思います。

4Gamer:
 PvPでもう1つ,フロントラインのアップデート予定はいかがでしょうか。

吉田氏:
 ジョブ調整として,少し値を調整しようとしている部分はあります。ただ,フロントラインへの大型の調整やアップデートに関しては,皆さんからのご意見やフィードバックを参考にさせていただきつつ,現在まさに企画中なので,もう少しお待ちいただけると幸いです。

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ゴールドソーサーは大きな拡張を2個準備中。ナイトのジョブ調整は次回PLLで


4Gamer:
 ゴールドソーサーについても教えてください。今回,ジャンピングアスレチックの新コースが追加されるそうですが,それ以外に何かそろそろ新しい遊びが追加されるみたいな予定はあるのでしょうか。

吉田氏:
 はい。大型のコンテンツを2個作っていて,6.x中にはそのうちの1つが公開となる予定です。

4Gamer:
 分かりました。ところで,スノーボードとか……。

吉田氏:
 僕自身がスノーボーダーなので,なんとか実現したいとは常に思っているのですが,今回公開へ向かって進んでいるのは,残念ながらそれではありません。ゲームセンターの筐体っぽく作ったところで,2〜3回遊んだら終わってしまうと思いますし……。例えばスノーボードをやるんだったら,クラフターもギャザラーもいますし,素材採集で良い品質の芯材を得て,そこから自分で板を作り……というところからやりたいんです。グラフィックスをカスタマイズして,背負えるようにもしたいですし。

4Gamer:
 そうなるとスノーボードという新コンテンツで,もうゴールドソーサーとは別の方向になりそうです(笑)。

吉田氏:
 僕らもいろいろなコンテンツを作っていける可能性として,多方面に遊びの研究をしていますが,そういったゲームの実装の決断とその作業にはかなり時間がかかります。
 「FF」から連想されるミニゲームを「FFXIV」でやりたいというご要望は多いのですが,なにせ“MMORPGというゲームに向いていない”ネタが多いので,ここを解決するのはかなりの難度です。だからといって立ち止まっていてもコンテンツは増えないので,別の切り口でみんなが楽しめるものを開発しつつ,そういったリクエストにもいつかお応えしたいと,ずーっと頭の中で悪戦苦闘中です。

4Gamer:
 分かりました。今回,ジョブ調整についてもお聞きしたかったのですが,詳細を次回のPLLできっちりと話したいとのことでした。とくにナイトについては,スキル回しが変わるくらいの変更だそうですが。

吉田氏:
 ナイトは「旧FFXIV」時代に作られ,新生時にそれを引き継ぎ,「蒼天のイシュガルド」時にかなり難しめのジョブとしてオーバーホールされ,そこに対して建て増しが続いてきたことで,ほかのジョブに比べて,アクションをしたときに素直な効果が出るものが少なくなっていました。また,ほかのジョブと使い勝手が変わってしまっていたり,そもそもダメージを短期間でバーストしづらい。今度のパッチでは,そういったところを全面的にオーバーホールします。

 ただどういったコンセプトでオーバーホールするのかに関しては,次回の第75回PLLの中で,しっかり項目を出して説明していきたいと思っています。実際の細かい数値や各アクションの内容は,触ってみないと分からないことも多いため,パッチノートになってしまいますが,改修コンセプトの方向性3本柱みたいなところは,しっかり文章も使って説明させていただきます。
 PLLは12月23日(※掲載日翌日)の予定ですので,そちらも合わせてお楽しみいただけると幸いです。

画像集 No.002のサムネイル画像 / [インタビュー]「FFXIV」パッチ6.3で実装される“絶”シリーズ第5弾やディープダンジョン第3弾。それらの気になる内容について聞いた

4Gamer:
 それでは最後に「FFXIV」のプレイヤーの皆さんへ一言お願いします。

吉田氏:
 新生以来約10年,本当にたくさんのプレイヤーにプレイしていただいて,ありがとうございます。どんどん新しい光の戦士を連れてきてくださっている皆さんのおかげでもありますし,皆さんが積極的にいろんな人を連れてきて一緒に楽しみたい! と思ってくださってることが我々の励みにもなっています。

 次はいよいよパッチ6.3ということで,次期拡張パッケージに向けての折り返しなのかなというイメージでしょうか。物語も中間地点を越えて展開を見せていきますので,ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです。

 また,来年は「FFXIV」が新生してから10周年を迎えます。ゲーム外では今年12月にオーケストラコンサートもありますが,ゲーム内外を問わず,盛り上がる1年にしていきたいと思っています。ぜひ,ゲーム外の活動にもアンテナを張っておいていただけると,より楽しめると思っていますので,今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」公式サイト

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