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飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート
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印刷2013/06/08 20:03

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飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート

 2013年6月6日,トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」の第2回「インディーズゲームの作り方」が,東京都内にあるゲンロンカフェにて開催された。
 このイベントでは,メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏と,ブレインストーム 代表取締役 中村隆之氏,ゲームグラフィックスデザイナーの納口龍司氏,ゲーム作家の飯田和敏氏の4人が,現在推進しているインディーズゲーム制作プロジェクト「モンケン」の開発途中報告をベースに,日本におけるインディーズゲーム開発の事例を紹介した。
 本稿では,そのプレゼンテーションの模様をレポートしよう。

画像集#001のサムネイル/飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート

 なお,4Gamerにはこの4氏へ行ったインタビューも掲載されているので,そちらもぜひ読んでみてほしい。

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画像集#002のサムネイル/飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート
ゲストとして登壇したタレントの大場はるかさんが,「モンケン」の最新バージョンをプレイする一幕もあった

黒川文雄氏
画像集#013のサムネイル/飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート
 最初に登場した黒川氏は,なぜプロジェクト「モンケン」がスタートしたのか,その経緯を説明。黒川氏と言えば,セガ,デジキューブ,ブシロード,コナミ,そしてNHN Japanなど,ずっとゲーム関連企業に携わり,数々の新しい事業を展開してきた経歴を持つ人物だが,約1年前の2012年初夏,ふとしたことから「浅間山荘事件」をモチーフにしたゲームの企画を思いついたという。

 そこで,人脈をたどって知人やゲーム会社に企画をプレゼンしてみたところ,当時,ソーシャルゲームの中心的存在だったカードゲームにすることを提案されたり,あるいはビジネスの話をされたりと,どうにも新たなチャレンジに結びつくような感触ではなかったそうだ。
 それであれば,志をともにする仲間とともに,インディーズでゲーム制作をしてみたらどうかと思い立ち,旧知の飯田氏や中村氏,納口氏に声をかけ,プロジェクトをスタートさせたという。

会場では,「モンケン」の最初の企画書が披露された
画像集#004のサムネイル/飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート

 そして2012年11月に開催された東京ロケテゲームショウへ「モンケン」のプロトタイプを出展。さまざまなゲームがある中,1人の子どもがモンケンを何度も何度も繰り返し遊んでいる様子を見て,黒川氏は「これは行ける」という感触を得たとのことである。また会場では,ユビキタスエンターテインメントの清水 亮氏も「破壊のカタルシスがある」と評価していたそうだ。

 黒川氏はプロジェクトのコンセプトを「既存の概念をぶっ壊すこと」と説明。これまで誰もやらなかったゲーム業界の常識や概念を覆すということにチャレンジしたいと意気込みを見せた。
 
 また黒川氏は,クラウドファンディング「CAMPFIRE」にて募っていたモンケンの開発資金が,このイベントの直前に目標額の200万円を達成したと報告。クラウドファンディングによる資金調達は新しいチャレンジであり,今回の事例が,今後のインディーズゲーム開発の参考になればいいと展望を語っていた。

中村隆之氏
画像集#005のサムネイル/飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート
 2番めに登壇した中村氏は,これまでの活動から分かった,チーム・モンケンの特徴を紹介した。
 まず長所は,有志が集まったチームであり,上下関係や金銭的なつながりがないフラットな関係であること。コアメンバーの4人はいずれもアクティブに活動しており,今回のイベントのようにプロモーションにも注力している。
 短所は長所と表裏一体で,中村氏は,フラットな関係であるがゆえに誰がリーダーシップを取るかが問題になったり,オンライン上で打ち合わせをすると議事録がうまく残せず,情報が全員に共有されなかったりする点を指摘した。営利活動ではないために,本業などでメンバー各自の優先すべきことが生ずると,スケジュールがルーズになってしまう問題もあるという。

 クラウドファンディングのメリットについて,中村氏は「モンケン」を遊んでみたいという支援者と直接話ができることや,仲間意識が生まれることを挙げる。さらにクラウドファンディングで目標を達成するためには,さまざまなアピールや活動が必要となるが,それらはいい意味でゲーム的であるとも話していた。
 逆にクリアすべき課題としては,資金を何に使うのか,どんなゲームなのかなど,予想以上に多くの情報をオープンにしなければならない点,プロジェクトが資金を募っているという事実を積極的にアピールしていく方法,そして何よりクラウドファンディング自体がまだ世間に浸透していない点を挙げていた。

画像集#006のサムネイル/飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート

 「モンケン」というゲームについては,ターゲット層を想定せず,メンバーが作りたいものを作っているがゆえに,ゲームだけでなくコミュニティをも作っていく必要があると語る中村氏。従来のゲームでは,たとえばシリーズのファンに向けて作を重ねるなど,ターゲットがよりコアになっていくが,「モンケン」では,それと逆のアプローチにチャレンジするという。
 また目標額を達成したとはいえ,クラウドファンディングで調達した200万円だけでは,開発の継続は困難であるため,今後のマネタイズをどうするかも大きな課題となっているとのことである。

画像集#007のサムネイル/飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート 画像集#008のサムネイル/飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート

 続いて登壇した納口氏は,自身がなぜ「モンケン」に関わったのかについて述べた。ゲーム開発において,主に現場作業に携わっていた氏は,このプロジェクトを通じてゲーム開発者やクリエイターとしての“選択肢の幅”を広げたかったという。
 たとえば現在,日本でゲーム開発に携わっている人達の中には,「モンケン」が利用するクラウドファンディングやクリエイティブコモンズといった仕組みについて詳しい人は少なく,それが選択の幅を狭めていると納口氏は指摘。氏自身,自分がこのままゲーム業界の現場に携わっていって,果たして10年後に家族を養っていけるのか,幸せな生活を送れているのかに疑問を抱き,「モンケン」のチャレンジを通じて,自分自身で将来の選択肢を増やしたいと考えたとのことである。

納口龍司氏
画像集#014のサムネイル/飯田和敏氏らが「モンケン」の経過を報告。トークライブ「黒川文雄のエンタメ創造記」第2回「インディーズゲームの作り方」の模様をレポート
 納口氏は,一連のプロジェクトの中で,とくにクリエイティブコモンズへの取り組みに着目しているという。納口氏の生み出したキャラクターが,さまざまなクリエイターによって描かれて世間に広まり,結果として原作者である納口氏の名前が広く認知されるのではないかというのだ。
 名前が認知されることは,より多くのビジネスにつながり,10年後あるいはそれ以降の幸せな生活につながるというわけである。納口氏は「自分の得になる話ばかりで,動機が不純だけれども」と恐縮していたが,組織のマネジメントに興味のないゲーム開発者やクリエイターにとっては参考になる事例ではないだろうか。

 クラウドファンディングについては,ゲーム開発の資金調達に新しい手段が加わったと納口氏は語る。これまでの資金調達は,パブリッシャなどから予算を出してもらうか,自己資金でやるかという2種類しかなかったが,前者は基本的にパブリッシャの意に沿う表現しかできないし,後者はリスクが大きい。
 納口氏は,自身の純粋な創作意欲が生かせて,しかも対価が保証される可能性が高まるクラウドファンディングの浸透は,多くのクリエイターにとって,ひいてはゲーム業界にとっていい方向に働くのではないかと,展望を述べていた。

 最後に登壇した飯田氏は,クラウドファンディングで200万円の資金調達を実現したことを「第1目標突破」と表現。「絶対イェーイ」「epic win」(大成功)と喜びを表すとともに,「感謝の気持ちを言葉で表現するとしょっぱくなるし,野暮だから」と述べ,急遽作ったという「epic winのうた」を披露し,プレゼンを締めくくった。

飯田和敏氏
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